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らっきー☆ぷりんせす ~ お姉ちゃんといっしょ♪ ~

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「こなたお姉ちゃん、何しているの? 」
「うおう、ゆーちゃん」
 慌てて画面を手で覆い隠すけれど、幸いにも濡れ場シーンではなかったので、胸をなでおろしながら、
後ろから声をかけてきた少女に向きなおった。

「うん。ゲームだよ。シスター・プリン○スっていう」
「シスターっていうと、教会? 」
「違うよ、姉妹の方。このゲームだと妹かな」
 こなたがパタパタと手をふると、ゆーちゃんは首をかしげた。
「えっと、いもうと姫…… だよね」
「そうそう。主人公に12人の妹がいてね。みんな、主人公のこと慕っているのだよ」
「面白そうだね。お姉ちゃん、私もやっていい? 」
「ダメダメ、これは18歳以上にならないとねえ」

 首を横に振るこなたに、ゆたかは残念そうな表情をしてから尋ねた。
「こなたお姉ちゃんは、妹が12人も欲しいの? 」
「そうだねえ。一種の夢であり、ロマンだね」
 うんうんとうなずくこなたに向かって、ゆたかは微笑んだ。
「たくさんの妹がいたら、賑やかでいいよね」
「ま、現実には無理だけどね」
 こなたは笑いながら肩を竦めてみせて、ゲームを再開した。

 翌日の朝、こなたが目を覚ますと、エプロン姿のゆたかが声をかけてきた。
「こなたお姉ちゃん。おはよう。朝ごはんできているよ」
「お、おふぁよう」
 ゆたかの裸エプロンが見たいなあなんて不埒なことを考えながら、ベッドから這い出して、
彼女が作ってくれたお味噌汁を飲む。最近はかなり上達したんじゃないかな。
「いってきまーす」
 そうじろうに声をかけてから、ゆたかと一緒に学校に向かう。ここまでは至って普通だった。


 黄色く染まった銀杏並木をしばらく歩いていると、かがみとつかさと出会う。
「おはー、かがみ、つかさ」

「おはよう。こなたお姉チャマ」

「へ? 」
(今、つかさ、なんて言った? )
 一瞬、耳を疑って問い直そうとしたけれど、衝撃は立て続けに襲いかかる。
「おはよ、アネキ」
 呆然として固まってしまったこなたの様子に不審をおぼえた、かがみが顔を覗き込んでくる。
「アネキ、どうしたの?」
「いや、なんで、姉なの?」
「何いってるの? アネキはアネキだよ」
 ここまで噛み合わない会話も久しぶりだなあ、と考えた時、とっても嫌なことを思いついた。

(もしかして…… 昨日のゲームのせい? )
 つかさも、かがみもこなたのことを姉と言っている。
 そして、あのゲームは恐ろしいことに妹が12人いて、全員が『お兄ちゃん』が大好きだ。

「さ、さあて行こうかな。かがみ、つかさ」
 こなたは、首を何度も横に振って、歩き出した。
 既に、背中にたっぷりと冷や汗が流れ落ちているけれど、気にしない。気にしてはいけない。


「おはようございます。泉お姉さま」
 教室につくなり、清楚な女性が微笑んでくる。
「うああっ…… やっぱり、みゆきさんもだよ」
 つかさは、へたり込んで頭をかかえているこなたを心配そうに見ながら、首を傾げてみゆきに話しかける。
「こなたお姉チャマの様子が、今日はちょっと変なの」

(つかさ、お姉チャマは勘弁してくれ)
「どうされたのですか? 」
 掌を額にのせてくるみゆきの、ふくよかな膨らみに視線が集中する。
 あまりにも豊潤で柔らかそうで、顔を埋めたら幸せなんだろうなと危険な誘惑に駆られるが、
紙一重の差で理性が働いて辛うじて顔を逸らした。

「な、なんでもないよ。みゆきさん」
「もしかして、少し熱があるかもしれません。あまり無理をなさらないでくださいね。お姉さま」
「う、うん、分かったから。心配しなくていいよ。むしろ私が心配したい」
 無理矢理笑顔をつくってごまかしたけれど、疲れは隠しようがなかった。
(こりゃあ、先が思いやられるよ)

 1時間目は体育だ。隣のクラスと合同の授業となり、ドッジボールをすることになっている。
「こなたあねぇ! 勝負だあ! 」
 ライン際に立ったみさおが、ボールを振り上げながら叫んだ。
(ふうっ、みさきちもかよ。となると当然…… )
 外野を見ると、おでこがよく光っている少女が、穏やかに微笑んでいる。
「泉…… 姉君様。今日は敵同士ですわね。でも手加減いたしませんわよ」
(峰岸さん…… もか)
 深いため息をついていたら、顔面にボールが勢いよく飛んできた。


 さてと、お昼だね。いろいろあったけれど、やっぱりお腹はすく。
 チョココロネを購買に買いに行く途中の廊下で、ゆたかが声をかけてくる。
「こなたお姉ちゃん。一緒にお昼しようよ」
「いいけど? 」
(ゆーちゃんだけは変わらない。まあ、もともと妹みたいなものだしね)

 購買でチョココロネをゲットして、食堂の座席を探すと、既に一年生組の残り3人が集まっていた。
「…… 」
 ゆたかの隣に座ることになった、背の高い少女がこなたを睨んでいる。
「こなた姉くん……  」
 みなみは鷹のような鋭い目つきで、こなたを威嚇する。
「姉くん。分かっているとは思うけれど、いくら姉くんでも、絶対にゆたかは渡さないよ」

(この設定だけは、ゲームより強い訳ね)
 こなたは妙なことに感心した。
「Oh、コナタアネエたま、今日はゲマズよりましょうヨ」
(舌っ足らずと、外国人の発音はちがうのだよ。パティ)
 心の中の突っ込みに気づく者は当然ながら、いない。

(それにしても…… 疲れる設定だなあ)
 正直、12人も恋人候補の妹がいたら身体がもたないような気がする。
 世の中のお兄ちゃん達は頑張っているのだねえ、なんてしんみりしながら、チョココロネに、はむっとかじりつくと、
こなたの隣に座っていたひよりが、いきなりペンを高く突き出した。

「姉チャマ、チェキッス、姉チャマの秘密は冬コミの新刊で暴露するッスよ! 」
「ひよりん…… もの凄く無理があるよ」
(ひよりんのサークルの冬コミは楽しみだけれど。頼むから私をモデルにした18禁本は勘弁してね)
 とっても疲れる、一年生の妹達との昼食を終えて、こなたは食堂を後にした。


 廊下を歩いているだけで、身体がふらふらするし、頭もズキズキと痛む。
(保健室にいって、少し休ませて貰おう)
 こなたは、ふらつきながら保健室へと向かった。

「ゆーちゃん、つかさ、かがみ、みゆきさん、みさきち、峰岸さん、みなみちゃん、ひよりんで8人か。
とすると…… あと4人だね」
 残りが誰なのか知りたくもないが、学校における親しい友人のストックは底をついているので更に不安になる。

(鬼とでるか、蛇と出るか)
 どっちも出て欲しくないなあなんて思いながら扉を開けると、養護教諭が椅子に座っている。
「天原先生。体調が悪いので、休ませてほしいのですけど? 」
「ええ。構いませんわ」
 白衣の女性が、天使のような柔らかい微笑みを浮かべたままベッドに案内する。
「こなた姉上様。少し顔色が優れませんね」
「ちょ、まってくださいっ」

 動揺する生徒に構わず、こなたの額に柔らかい掌を載せてから、懐から取りだした体温計をそっと脇に挟み込む。
(ど、どうして、天原先生が!?)
 パニックになって頭を抱えるが、ふゆきは優しげな視線をこなたに注ぎ続けている。

「37.1度ですわ。少し熱があるようですね」
「は、はあ」
「わたくし、とても心配していますわ」
(先生から心配されるのはうれしいけれど、何かが決定的に違う! )
「お薬を飲んで、少し休んでくださいね」
「わ、分かりました」
 ベッドに横になったこなたは、とりあえず現実から逃避するために、身体を横たえて瞼を閉じた。


「ねえさま…… 大丈夫ですの? 」
 うとうととしていると、元気そうな少女が顔を覗いてくる。
 どこかで聞いたことがあるような声だけど、よく思い出せない。
「ねえさま、早く良くなってくださいですの。ねえさまとの対戦で勝てるように一生懸命練習したんですの」
(そういえば、確かひよりんが、こうちゃん先輩とか言っていたなあ、でもキャラとの整合性に無理があるような) 
 だいぶ投げやりになっていたこなたは、額に浮かぶ汗をハンカチで拭いてくれている少女に、
乾いた笑顔をみせながら言った。
「あ、うん、まあ、すぐによくなるよ」
「早く元気になってほしいのですの」
(やれやれ…… ゲームのせいとばかり思っていたけれど、心のどこかに、ハーレム願望でもあるのかな? )
 ぼんやりと考えていると、猛烈な眠気が襲っていて、こなたはベッドで寝息を立て始めた。

 目を覚ますと、6時間目になっている。
「今日は…… もう帰ろう。これ以上フラグを立てると身体がもたないよ」
 保健室を出て、職員室に入って担任を探すと、黒井先生は担当する授業がないようで、席でお茶を飲んでいる。
「あの…… 先生。調子が悪いので早退します」
 黒井先生はゆっくりと振り向いて、とても寂しそうに言った。
「あねや…… もう…… 帰るの? 」

(うわあああああ、よりによって、黒井先生が○○○なんて)
 とても恐ろしくなって、全力で職員室から逃げ出す。
 紅白にでた中の人だって黒歴史として記憶から抹消するに違いない。
「ま、まって~ 」
 背後からドップラー効果のように先生の声が聞こえるけれど気にしない。気にしてはいけない。


「はあ、はあっ」
 一気に校門まで走りぬけて、こなたは荒い息を吐いた。
(帰る! すぐに帰る! )
 とにかく、家に帰ればゆたか以外の『妹』たちに会うこともあるまい。
 しばらく歩いていると、背後から車が近づいてくる。
 何度か警笛を鳴らされて振り返ると、パトカーに乗っている、制服姿のゆいが手を振って言った。
「こなたお姉さま、家まで送ってさしあげますわ! 」
「…… 」
 こなたは全てをあきらめて、まるで逮捕された容疑者のような足取りで、埼玉県警のパトカーに乗り込んだ。

「ただいまー 」
 チャイムを押して暫くすると、時給で1万円くらいのスマイルを浮かべたゆたかが出迎えてくれる。
「こなたお姉ちゃん、おかえりなさい」
「うわああん」
 普段と変わりのないゆたかを見て、緊張の糸がきれたこなたは泣きながらむしゃぶりつく。

「お姉ちゃん。ど、どうしたの? 」
「こわかった、こわかったよう…… 」
 涙を流しながら小さな胸に顔をくっつけると、背中に手を回される。
「大丈夫だよ。こなたお姉ちゃん…… 」
「ありがとう。ありがとう、ゆーちゃん。ゆーちゃんだけが変わらないよ」

 ゆたかの手が私の背中に回って、ぎゅっと抱きしめられる。というより、強く締め付けられる。
「えっ!? 」
「こなたお姉ちゃんはとても女の子にもてるから私、心配なの。お姉ちゃんに色目を使う女狐は徹底的に排除するから。
だから…… お願いだから私だけを見て。私を見捨てないで。私を永遠に愛して。私はこなたお姉ちゃんが全て。
お姉ちゃんに嫌われたら生きていけない。こなたお姉ちゃんは私のこと大好きよね。こなたお姉ちゃんは裏切らないよね。
こなたお姉ちゃんは私のものだよ…… ねえ? 」

 (おしまい)


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  • ヤンデレゆーちゃん? -- 名無しさん (2010-01-12 23:33:40)
  • ゆたか恐ぇぇぇぇ!
    あと、かなたさんがこなたをどう呼ぶのかが気になる… -- 名無しさん (2009-03-24 00:26:39)
  • 桜庭先生は?? -- 名無しさん (2009-03-07 20:51:57)
  • やまととか白石とか未登場キャラの呼び方が気になります・・・
    ってあれ?みさおとこうの呼び方、姉なのに「あにぃ」って
    おかしくないですか? -- 名無しさん (2009-03-07 16:40:49)
  • なぜか、『シスター不倫説・お兄ちゃんと遺書』を思い出してしまったw -- 名無しさん (2009-03-07 08:50:20)
  • 8人のとこパティわぁ??
    -- 名無しさん (2009-03-07 07:20:15)
  • こなたとゆたかとみなみの三角関係・・・う~ん・・・ -- 名有り (2009-03-06 22:51:06)
  • そう言えば可憐は潜在的ヤンデレ気質の持ち主だったでござるの巻 -- 名無しさん (2009-03-06 21:42:19)
  • これは怖ひ・・・・・ -- 名無しさん (2009-01-06 23:08:59)
  • 恐ェェェェェェ何このオチ!まるでホラーだwwww -- 名無しさん (2009-01-02 10:18:24)
  • オチが


    妹そうじろう


    というバッドエンドに走らなかった作者に感謝。 -- 名無しさん (2008-12-24 01:01:01)
  • まさかのゆーちゃんw -- 名無しさん (2008-12-24 00:06:33)

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