ある夏の昼下がり。
私の家に柊ちゃんとみさちゃんが遊びに来た。
ジュースを取って部屋に戻ってくると、二人はおしゃべりで盛り上がっていた。
私の家に柊ちゃんとみさちゃんが遊びに来た。
ジュースを取って部屋に戻ってくると、二人はおしゃべりで盛り上がっていた。
「この前、あやのが初チューした時の夢を見てさ」
「おぉ~」
「あれは・・・、アニキだっけ?」
「ほほぅ。 峰岸って、結構大胆なのね?」
「おぉ~」
「あれは・・・、アニキだっけ?」
「ほほぅ。 峰岸って、結構大胆なのね?」
どうやら私が小さい頃、無理やり男の子にキスした時の話をしたみたい。
2人ともニヤニヤして私を見ている。
2人ともニヤニヤして私を見ている。
「も、もう!!」
まったく、困っちゃうな。
みさちゃんて、時々昔の恥ずかしいことしゃべっちゃうんだもん。
みさちゃんて、時々昔の恥ずかしいことしゃべっちゃうんだもん。
私は赤い顔で、ジュースを注いだコップを置いた。
その後も2人は他愛もないおしゃべりを続けていて、私は少し離れたところに座って外の景色を眺めた。
その後も2人は他愛もないおしゃべりを続けていて、私は少し離れたところに座って外の景色を眺めた。
セミの鳴き声が遠くから響いてくる。
部屋はクーラーが効いてて、とても快適。
外はきっと炎天下。
部屋はクーラーが効いてて、とても快適。
外はきっと炎天下。
私の初キスの夢・・・か。
みさちゃんの中では・・・、きっとそうなんだよね。
みさちゃんの中では・・・、きっとそうなんだよね。
私は窓から見える青い空を見上げ、ふと思い出した。
私が初めてキスをしたときのことを・・・・・・。
私が初めてキスをしたときのことを・・・・・・。
― あやの の 神様 ―
あれは、私とみさちゃんが小学校に入る前、みさちゃんの家族と私の家族が、
一緒にみさちゃんの親戚の家に遊びに来ていた時のことだった・・・。
一緒にみさちゃんの親戚の家に遊びに来ていた時のことだった・・・。
私とみさちゃんは、家の中で遊ぶのにも飽き、2人で探検に出かけた。
アブラゼミの鳴き声が、道のあちこちからうるさいくらいに聞こえている。
真夏の強い日差しと、地面から立ち上る熱気に、舗装もされていない道を、2人は汗だくで歩いていた。
すると、石を蹴りながら歩いていたみさちゃんが急に立ち止まり、森のほうを指差して言った。
アブラゼミの鳴き声が、道のあちこちからうるさいくらいに聞こえている。
真夏の強い日差しと、地面から立ち上る熱気に、舗装もされていない道を、2人は汗だくで歩いていた。
すると、石を蹴りながら歩いていたみさちゃんが急に立ち止まり、森のほうを指差して言った。
「ねぇねぇ、あやの。あっちに、でっかいカブトムシいんだゼ」
「そうなの?」
「うん。この前アニキと一緒に見つけたんだ。これから行ってみようよ」
「え? で、でも、私たちだけじゃ危なくない?」
「へーきへーき。そんなに危なくなかったもん」
「でも・・・・」
「大丈夫だって。ね? いこー」
「わ、ま、まってよ、みさちゃん」
「そうなの?」
「うん。この前アニキと一緒に見つけたんだ。これから行ってみようよ」
「え? で、でも、私たちだけじゃ危なくない?」
「へーきへーき。そんなに危なくなかったもん」
「でも・・・・」
「大丈夫だって。ね? いこー」
「わ、ま、まってよ、みさちゃん」
みさちゃんは私の手を引くと、そのまま森に向かって歩き出した。
背丈ほどもある草をかき分けると、もわっとした草いきれが顔を掠める。
森の中に入ると、そこには鬱蒼とした木々が広がり、少し薄暗かった。
背丈ほどもある草をかき分けると、もわっとした草いきれが顔を掠める。
森の中に入ると、そこには鬱蒼とした木々が広がり、少し薄暗かった。
「あれー? この辺だったと思うんだけどな・・・」
「ね、ねぇ、みさちゃん。・・・そろそろ戻ろうよ」
「大丈夫だって。ほら、あそこから入ってきたんだよ」
「ね、ねぇ、みさちゃん。・・・そろそろ戻ろうよ」
「大丈夫だって。ほら、あそこから入ってきたんだよ」
そういってみさちゃんは、後ろの草むらを指差した。
見ると、確かに私たちが入ってきた部分の草がなぎ倒されている。
見ると、確かに私たちが入ってきた部分の草がなぎ倒されている。
「な? だから心配すんなって」
「う、うん・・・」
「う、うん・・・」
みさちゃんに手を引かれ、しばらく周辺を探してみたけれど、カブトムシは見つからなかった。
「おかしいなぁ・・・。この前はいたんだけど・・・」
「ねぇ、また今度来ようよ。今度はお兄さんとか、おじさんと一緒に」
「なぁ・・・。もうちょっと奥に行ってみようか?」
「え~! 危ないよ!」
「大丈夫だって。じゃあ、ここに目印に、私の麦わら帽子置いとけば、すぐわかるじゃん?」
「う~ん・・・・。 じゃあ、ちょっとだけだよ」
「うん! よし、行こう!」
「ねぇ、また今度来ようよ。今度はお兄さんとか、おじさんと一緒に」
「なぁ・・・。もうちょっと奥に行ってみようか?」
「え~! 危ないよ!」
「大丈夫だって。じゃあ、ここに目印に、私の麦わら帽子置いとけば、すぐわかるじゃん?」
「う~ん・・・・。 じゃあ、ちょっとだけだよ」
「うん! よし、行こう!」
そういってみさちゃんは私の手を掴んで、森の奥に向かって歩いていった。
私はちょっぴり怖くて、時々後ろを振り返りながら、みさちゃんの麦わら帽子を確認して歩いた。
私はちょっぴり怖くて、時々後ろを振り返りながら、みさちゃんの麦わら帽子を確認して歩いた。
「あやの、ここ、少し急だから、ちゃんと前見てね」
「う、うん。わかった」
「う、うん。わかった」
目の前には、少し急な坂があった。
そろりそろりと斜面を降り、ようやく下に着く。
そろりそろりと斜面を降り、ようやく下に着く。
「ね、ねぇ。帽子見えなくなっちゃったよ?」
「ん? 大丈夫だよ。降りてきたところ覚えてるから」
「そ、そう?」
「ん? 大丈夫だよ。降りてきたところ覚えてるから」
「そ、そう?」
そのまま森の奥に進むと、一本の大きなクヌギの木があった。
「おお! ここならいるんじゃねー?」
そう叫ぶと、みさちゃんはクヌギの木に向かって走っていった。
「見ろ、あやの! でっかいのがいたぞ! すげーな!」
「ホントだ! あっ!みさちゃん!そっちにもいるよ!」
「んー・・・。おお!こんなに大きいのは初めて見た!アニキと見つけたのより大きいかも!」
「ホントだ! あっ!みさちゃん!そっちにもいるよ!」
「んー・・・。おお!こんなに大きいのは初めて見た!アニキと見つけたのより大きいかも!」
私たちは、目の前にいる大きなカブトムシに夢中になって、周辺の木を探して回った。
どれくらい探していたのかわからないけれど、気がつくと、周囲はさっきよりも薄っすらと暗くなっていた。
どれくらい探していたのかわからないけれど、気がつくと、周囲はさっきよりも薄っすらと暗くなっていた。
「ははは、もう虫かごに入らないや。これだけあれば、きっとアニキもびっくりするな」
「みさちゃん・・・・。なんか、暗くなってきてない?」
「え? ホ、ホントだ・・・。さっきまで晴れてたのに・・・」
「みさちゃん・・・・。なんか、暗くなってきてない?」
「え? ホ、ホントだ・・・。さっきまで晴れてたのに・・・」
さっきまで聞こえていたセミの鳴き声もいつしか止んでいて、あたりは急に静かになった。
私は途端に心細くなり、みさちゃんの腕にしがみついた。
私は途端に心細くなり、みさちゃんの腕にしがみついた。
「ね、ねぇ。そろそろ帰ろう?」
「う、うん・・・」
「う、うん・・・」
みさちゃんも、辺りが急に暗くなって不安になったみたいで、すんなりと同意してくれた。
「あ、あれー? どっちから来たんだっけ?」
「え?」
「え?」
周りには似たような坂がいくつもあって、どこから降りてきたのかわからない。
カブトムシ探しに夢中で、いつの間にかさらに奥まで来てしまっていたようだった。
カブトムシ探しに夢中で、いつの間にかさらに奥まで来てしまっていたようだった。
「ど、どうしよう。みさちゃん・・・・」
「だ、大丈夫だって。たぶん、あっちから来たんだよ」
「だ、大丈夫だって。たぶん、あっちから来たんだよ」
そういってみさちゃんは、私の手を握って歩き始めた。
私の手を握るみさちゃんの手は、力が入っていて少しだけ痛かった。
私の手を握るみさちゃんの手は、力が入っていて少しだけ痛かった。
歩いても歩いても辺りは同じ風景で、どこをどう歩いているのか、まったくわからなかった。
いくつか同じような土手を登ってみたけれど、目印の麦わら帽子は見つからなくて、何度も降りては登ってを繰り返した。
いくつか同じような土手を登ってみたけれど、目印の麦わら帽子は見つからなくて、何度も降りては登ってを繰り返した。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・。おかしいな・・・・。どこ行っちゃったんだろう・・・」
「みさちゃん。ちょっと休まない?私、疲れたよ」
「あ、う、うん・・・」
「みさちゃん。ちょっと休まない?私、疲れたよ」
「あ、う、うん・・・」
目の前に細い木が倒れていて、私たちはそれに腰掛けた。
そこでみさちゃんの持ってきた水筒の麦茶を一緒に飲んで、私のポケットにあったビスケットを2人で分けた。
無言のままビスケットを食べていると、私は次第に不安になっていった。
そこでみさちゃんの持ってきた水筒の麦茶を一緒に飲んで、私のポケットにあったビスケットを2人で分けた。
無言のままビスケットを食べていると、私は次第に不安になっていった。
「・・・みさちゃん・・・・」
「んあ? どうした、あやの?」
「・・・もし、このまま帰れなかったらどうしよう・・・」
「・・・・・・」
「・・・・おじさんたちも見つけられないかもしれないし・・・」
「・・・・・・」
「・・・う、うぇ・・・ぐす・・・うぇぇぇぇぇん」
「んあ? どうした、あやの?」
「・・・もし、このまま帰れなかったらどうしよう・・・」
「・・・・・・」
「・・・・おじさんたちも見つけられないかもしれないし・・・」
「・・・・・・」
「・・・う、うぇ・・・ぐす・・・うぇぇぇぇぇん」
私は不安に耐え切れず、思わず泣き出してしまった。
「あ、あやの・・・」
そんな私をみさちゃんは、ギュッと抱きしめてくれた。
その身体は温かくて、でも、少しだけ震えていた。
その身体は温かくて、でも、少しだけ震えていた。
「大丈夫だ! 絶対に帰れるから!」
「・・・ぐすっ・・・う、うん・・・」
「きっと、アニキたちも探してくれるよ。だから、もうちょっとがんばろう?」
「・・・・うん! 私、がんばる」
「・・・ぐすっ・・・う、うん・・・」
「きっと、アニキたちも探してくれるよ。だから、もうちょっとがんばろう?」
「・・・・うん! 私、がんばる」
今思えば、きっとみさちゃんだって不安だったんだと思う。
だけどみさちゃんは、そんな気持ちは見せないようにして、私を励ましてくれた。
だけどみさちゃんは、そんな気持ちは見せないようにして、私を励ましてくれた。
「ねぇ、みさちゃん。麦わら帽子は見つからないみたいだから、それを探すんじゃなくて、どこか道に出られそうな場所を探さない?」
「そうだね。そうしようぜ」
「そうだね。そうしようぜ」
ビスケットを食べ終えた私たちは、今度は森から出られそうな場所を探して、もう一度歩き始めた。
周りをよく見ながら歩いていると、みさちゃんが、遠くに家のようなものを見つけた。
周りをよく見ながら歩いていると、みさちゃんが、遠くに家のようなものを見つけた。
「お? あ、あれ、家じゃないか?」
「え? う、うん。そうだよ。きっとお家だよ」
「やったー! あそこに誰かいるかもしれない。行ってみよう」
「うん!」
「え? う、うん。そうだよ。きっとお家だよ」
「やったー! あそこに誰かいるかもしれない。行ってみよう」
「うん!」
私たちは家を見つけたことが嬉しくて、短い草に足をとられながらも、一生懸命走った。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・・・ん? あ、あやの、これって・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・、ど、どうしたの? あ・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・、ど、どうしたの? あ・・・」
目の前にあったのは、古ぼけた小さなお堂だった。
屋根は所々色が剥げ落ち、壁には小さな穴が無数に空いていた。
屋根は所々色が剥げ落ち、壁には小さな穴が無数に空いていた。
「家・・・じゃなかった・・・・」
「・・・・う・・・、う・・、う、うわぁぁぁぁん!!」
「あ、あやのぉ・・・だ、だいじょう・・・・ぶ」
「うぇぇぇ・・・。ひ、ひっく・・・うぇぇぇぇん!」
「う・・、う・・、大丈夫・・・・だか・・・ひくっ・・・ら・」
「う・・ぐすっ・・・もう、帰れないよぉ・・・」
「・・ぐ、ぐすっ・あ・・やの・・・・」
「お父さ~ん!お母さ~ん!」
「・・ん・・・くっ・・・・あ、あやのっ!!」
「っ!!」
「・・・・う・・・、う・・、う、うわぁぁぁぁん!!」
「あ、あやのぉ・・・だ、だいじょう・・・・ぶ」
「うぇぇぇ・・・。ひ、ひっく・・・うぇぇぇぇん!」
「う・・、う・・、大丈夫・・・・だか・・・ひくっ・・・ら・」
「う・・ぐすっ・・・もう、帰れないよぉ・・・」
「・・ぐ、ぐすっ・あ・・やの・・・・」
「お父さ~ん!お母さ~ん!」
「・・ん・・・くっ・・・・あ、あやのっ!!」
「っ!!」
みさちゃんの大きな声に、私は思わず泣き止んだ。
驚いて顔を上げると、そこには目にいっぱいの涙を溜めて、口を強く結んだみさちゃんがいた。
驚いて顔を上げると、そこには目にいっぱいの涙を溜めて、口を強く結んだみさちゃんがいた。
「あやのっ!! 大丈夫だから!」
「みさちゃん・・・・」
「こういうところには神様がいるって、前にばあちゃんが言ってたから。
だから、一緒にお祈りしよう!」
「・・・・・・・」
「『お家に帰れますように』って、一緒にお祈りしよう!!」
「・・・・ひ・・ひく・・・う、うん」
「みさちゃん・・・・」
「こういうところには神様がいるって、前にばあちゃんが言ってたから。
だから、一緒にお祈りしよう!」
「・・・・・・・」
「『お家に帰れますように』って、一緒にお祈りしよう!!」
「・・・・ひ・・ひく・・・う、うん」
私たちは、お堂の前に座って手をあわせて、一生懸命にお祈りをした。
(お家に帰れますように・・・。お父さんとお母さんに早く会えますように・・・)
その時、突然空が光った。
「うわっ!!」
「きゃあっ!!」
「きゃあっ!!」
思わず2人で抱き合い、空を見上げると、真っ黒な雲が空一面を覆っていた。
そして、次の瞬間、大きな雷の音が辺りに鳴り響き、空から大粒の雨が降ってきた。
そして、次の瞬間、大きな雷の音が辺りに鳴り響き、空から大粒の雨が降ってきた。
「うわぁぁぁぁ!!」
「きゃぁぁぁぁ!! み、みさちゃん!! こわいよぉ!!」
「きゃぁぁぁぁ!! み、みさちゃん!! こわいよぉ!!」
思わずみさちゃんに抱きつくと、みさちゃんの身体も震えていた。
みさちゃんも私を抱き締め、お堂の軒に立ったまま空を見上げている。
その間も、稲光は容赦なく頭上で閃き、数秒後に大きな音をたてる。
みさちゃんの服を掴み、不安と恐怖で震えながら、ふとお堂を見ると、扉が少しだけ開いているのが見えた。
みさちゃんも私を抱き締め、お堂の軒に立ったまま空を見上げている。
その間も、稲光は容赦なく頭上で閃き、数秒後に大きな音をたてる。
みさちゃんの服を掴み、不安と恐怖で震えながら、ふとお堂を見ると、扉が少しだけ開いているのが見えた。
「み、みさちゃん。ここに入れるかもしれない」
「だ、だけど・・・、神様に怒られないかな・・・」
「だ、大丈夫よ。きっと神様も許してくれるよ」
「・・・・う、うん・・・」
「だ、だけど・・・、神様に怒られないかな・・・」
「だ、大丈夫よ。きっと神様も許してくれるよ」
「・・・・う、うん・・・」
恐る恐る中に入ってみると、床がギシギシと音を立てる。
暗闇の中、室内を見回すと、そこには小さな像が一つだけ置いてあった。
人の形はしているけれど、今まで見たこともないような不思議な姿だった。
暗闇の中、室内を見回すと、そこには小さな像が一つだけ置いてあった。
人の形はしているけれど、今まで見たこともないような不思議な姿だった。
「ねぇ、みさちゃん。これって、神様なの?」
「う~ん・・・。ばあちゃんは神様がいるって言ってたような気がするけど・・・」
「仏様かな?」
「そうだっけ? わかんない」
「わたしも」
「ま、どっちでもいいんじゃん?助けてくれるんだったら」
「なんか、そんなこと言ったら怒られそうね」
「んじゃ、神様仏様、ちょっとだけ雨宿りさせてください。あと、早く家に帰れますように、お願いします。
ほれ、あやのもお願いしたほうがいいよ」
「う、うん。早くお家に帰れますように。お父さんとお母さんに会えますように」
「う~ん・・・。ばあちゃんは神様がいるって言ってたような気がするけど・・・」
「仏様かな?」
「そうだっけ? わかんない」
「わたしも」
「ま、どっちでもいいんじゃん?助けてくれるんだったら」
「なんか、そんなこと言ったら怒られそうね」
「んじゃ、神様仏様、ちょっとだけ雨宿りさせてください。あと、早く家に帰れますように、お願いします。
ほれ、あやのもお願いしたほうがいいよ」
「う、うん。早くお家に帰れますように。お父さんとお母さんに会えますように」
私たちは、その像に向かって手を合わせ、その前に隣り合って座った。
お堂の屋根には、すごい勢いで雨が叩きつけ、外からは雷の大きな音が、ひっきりなしに聞こえている。
雷の音が聞こえるたびに、私はみさちゃんにしがみついて泣いた。
みさちゃんもきっと怖かったと思うけど、私を抱きしめながら、ずっと背中をさすってくれていた。
雷の音が聞こえるたびに、私はみさちゃんにしがみついて泣いた。
みさちゃんもきっと怖かったと思うけど、私を抱きしめながら、ずっと背中をさすってくれていた。
どのくらい経ったのか、気がつくと、雨の音も雷の音も聞こえなくなり、お堂の屋根から落ちる雫の音だけが聞こえていた。
「み、みさちゃん?」
「ん? あ、雨・・・、止んだのかな?」
「そ、そうみたい」
「ん? あ、雨・・・、止んだのかな?」
「そ、そうみたい」
お堂の扉を開けると、さっきまでの黒い雲は消え、雲ひとつ無い、真っ青な空が広がっていた。
「うわぁ・・・・」
「きれい・・・・」
「きれい・・・・」
そして、その抜けるような青空には、とても大きな虹が架かっていた。
それはまるで、がんばった私たちに、神様がご褒美をくれたみたいだった。
それはまるで、がんばった私たちに、神様がご褒美をくれたみたいだった。
しばらく2人で虹を眺めていると、遠くから声が聞こえてきた。
「あ!あれ、アニキじゃねーか!?」
「え? あっ!本当だ! それにおじさんもお父さんもいるよ!」
「やった!神様が助けてくれたんだ!」
「うん!きっとそうだよ!」
「え? あっ!本当だ! それにおじさんもお父さんもいるよ!」
「やった!神様が助けてくれたんだ!」
「うん!きっとそうだよ!」
私たちはもう一度お堂に振り返り、手を合わせた。
「「どうもありがとうございました」」
そして手を繋ぎ、一緒に走り出した。
おじさんたちに連れられて家に戻ると、お父さんとお母さんからすごく怒られた。
横では、みさちゃんもおじさんとおばさんに怒られていて、わたしたちは大きな声で泣き続け、そのまま泣き疲れて寝てしまった。
横では、みさちゃんもおじさんとおばさんに怒られていて、わたしたちは大きな声で泣き続け、そのまま泣き疲れて寝てしまった。
翌日、お堂にいたことをみさちゃんのおばあちゃんに話したら、
「困った時は、ちゃんと守ってくれるんだよ。ちゃんとお礼も言えて、偉かった」
って言って、頭を撫でてくれて、お菓子をくれた。
お堂のことをおばあちゃんに聞くと、あそこは地元の人もあんまり行かないところだけど、
もしかしたらと思って、おじさんたちに探すように言ってくれたんだって。
もしかしたらと思って、おじさんたちに探すように言ってくれたんだって。
その後、おばあちゃんに道を聞いて、私はみさちゃんと一緒にあのお堂に向かった。
手にはバケツと布巾と箒。道に咲いてた綺麗なお花。そして、おばあちゃんからもらったお菓子を持って。
手にはバケツと布巾と箒。道に咲いてた綺麗なお花。そして、おばあちゃんからもらったお菓子を持って。
お堂に着くと、置いてあった像を濡れた布巾で優しく拭き、お堂の中を箒で掃いた。
像を元の場所に戻し、その前にお花とお菓子をお供えすると、少しだけお堂の中が明るくなった気がした。
像を元の場所に戻し、その前にお花とお菓子をお供えすると、少しだけお堂の中が明るくなった気がした。
「よし。これでいいかな」
「うん。すごく綺麗になったね。神様も喜んでくれるかな?」
「大丈夫じゃねーか?これだけ綺麗にすれば」
「そうだね。ちゃんとお礼・・・ あっ!」
「うん。すごく綺麗になったね。神様も喜んでくれるかな?」
「大丈夫じゃねーか?これだけ綺麗にすれば」
「そうだね。ちゃんとお礼・・・ あっ!」
その時私は、まだちゃんとお礼をしてないことに気がついた。
「ねぇ、みさちゃん?」
「ん?どした?」
「ちょっと目つぶってくれる?」
「こ、こお?」
「そうそう。そのままでいてね」
「ん?どした?」
「ちょっと目つぶってくれる?」
「こ、こお?」
「そうそう。そのままでいてね」
チュッ
「んあ? なんかした?」
「うふふ。みさちゃんにありがとって」
「へ? な、なんで?」
「え~と・・・、みさちゃんは、私が怖かったり、泣いちゃったりした時、ちゃんと守ってくれたから」
「ん~・・・。そうだっけ?」
「うん。だから、みさちゃんにもお礼ね。ありがと」
「あはは、ありがと、あやの!」
「えへへ」
「んじゃ、帰ろっか?」
「うん!」
「うふふ。みさちゃんにありがとって」
「へ? な、なんで?」
「え~と・・・、みさちゃんは、私が怖かったり、泣いちゃったりした時、ちゃんと守ってくれたから」
「ん~・・・。そうだっけ?」
「うん。だから、みさちゃんにもお礼ね。ありがと」
「あはは、ありがと、あやの!」
「えへへ」
「んじゃ、帰ろっか?」
「うん!」
私たちは手を繋いで、もう一度来た道を戻っていく。
その時見た青い空はどこまでも透き通っていて、まるでその時の私の気持ちを表しているみたいだった。
その時見た青い空はどこまでも透き通っていて、まるでその時の私の気持ちを表しているみたいだった。
空から部屋に目を戻すと、みさちゃんと柊ちゃんは、まだおしゃべりを続けている。
お菓子を食べながら、2人はすごく楽しそう。
その2人を見ながら、私は1人考える。
お菓子を食べながら、2人はすごく楽しそう。
その2人を見ながら、私は1人考える。
私のファーストキスはみさちゃんとだった。
そして、私の初恋もみさちゃんだった。
そして、私の初恋もみさちゃんだった。
あの時みさちゃんは、私をちゃんと守ってくれた。
怖くても、逃げないで一緒にいてくれた。
私はそれが嬉しくて、私はみさちゃんが本当に好きになった。
だからみさちゃんにキスをした。
私はみさちゃんが、今でも大好き。
怖くても、逃げないで一緒にいてくれた。
私はそれが嬉しくて、私はみさちゃんが本当に好きになった。
だからみさちゃんにキスをした。
私はみさちゃんが、今でも大好き。
だけど私は今、みさちゃんのお兄さんと付き合っている。
みさちゃんのお兄さんはすごく優しくて、私を大切にしてくれる。
たまにケンカもするけれど、すぐに仲直りをしてくれる。
私はそれが嬉しくて、私はお兄さんが本当に好きになった。
だからいつまでも一緒にいたいって思ってる。
私はみさちゃんのお兄さんが、これからもずっと大好き。
たまにケンカもするけれど、すぐに仲直りをしてくれる。
私はそれが嬉しくて、私はお兄さんが本当に好きになった。
だからいつまでも一緒にいたいって思ってる。
私はみさちゃんのお兄さんが、これからもずっと大好き。
私は、みさちゃんもみさちゃんのお兄さんも、どっちも大好き。
だけど、その「大好き」はちょっとだけ違う気がする。
どうして違うんだろう?
だけど、その「大好き」はちょっとだけ違う気がする。
どうして違うんだろう?
私はみさちゃんとお兄さんのことを考える。
みさちゃんは柊ちゃんが好きだけど、大好きなみさちゃんが柊ちゃんの事で悩んでると、私はとっても哀しい。
みさちゃんは柊ちゃんが好きだから、大好きなみさちゃんが柊ちゃんと仲良くしてると、私はとっても嬉しい。
みさちゃんは柊ちゃんが好きだから、大好きなみさちゃんが柊ちゃんと仲良くしてると、私はとっても嬉しい。
でも、
私はみさちゃんのお兄さんが好きだけど、大好きなお兄さんが別な誰かを好きって言ったら、私はとっても哀しい。
私はみさちゃんのお兄さんが好きだから、大好きなお兄さんが私のことを好きって言ったら、私はとっても嬉しい。
私はみさちゃんのお兄さんが好きだから、大好きなお兄さんが私のことを好きって言ったら、私はとっても嬉しい。
ああ、そうだ。
きっと私は、
「大好きなみさちゃんが、幸せになってほしい」って思ってる。
だから、みさちゃんが柊ちゃんのことを好きでも、私はちっとも哀しくないし、幸せになってほしいと思えるんだろう。
だから、みさちゃんが柊ちゃんのことを好きでも、私はちっとも哀しくないし、幸せになってほしいと思えるんだろう。
そして私は、
「大好きなお兄さんと、幸せになりたい」って思ってる。
だから、みさちゃんのお兄さんが、私以外の誰かを好きって言ったら、とっても哀しいと思うんだろう。
だから、みさちゃんのお兄さんが、私以外の誰かを好きって言ったら、とっても哀しいと思うんだろう。
「大好きな人が幸せになってほしい」のか「大好きな人と幸せになりたい」のか。
たぶん、それが違うんだと思うし、それだけの違いなんだと思う。
たぶん、それが違うんだと思うし、それだけの違いなんだと思う。
きっと2人への「大好き」は一緒で、これからもずっと変わらないんだろう。
私とお兄さんのように、みさちゃんが柊ちゃんと恋人になれるかはわからない。
だけど、その楽しげな様子を見ていると、私はこの2人が、
いつかは私たちと同じように恋人になるんじゃないかって思うし、なってほしいと思う。
だから私はもう一度、大好きなみさちゃんのために、あの神様にお祈りをする。
だけど、その楽しげな様子を見ていると、私はこの2人が、
いつかは私たちと同じように恋人になるんじゃないかって思うし、なってほしいと思う。
だから私はもう一度、大好きなみさちゃんのために、あの神様にお祈りをする。
― みさちゃんが柊ちゃんと幸せになれますように ―
目を開け、顔を上げると、不意にみさちゃんが話しかけてきた。
「なあ、あやの。あの話ってなんだっけ?」
「ん?なんの話?」
「ほら、あれ。えーと・・・、わたしとあやのが小さい頃、森で迷子になった話」
「え・・・・?」
「ん?なんの話?」
「ほら、あれ。えーと・・・、わたしとあやのが小さい頃、森で迷子になった話」
「え・・・・?」
みさちゃんの口から出た思いがけない言葉に、一瞬唖然としてしまう。
「あんたら、そんなことあったの?」
「うん。確か、夏だったと思うんだけど・・・。
一緒に虫取りしようとしてて・・・えーと・・、神様がいて・・・・・」
「神様?」
「うん・・・。あやのと2人でお祈りしたような・・・・」
「ちょ、ちょっと! 気になるじゃない!」
「う~ん・・・・・。なんだっけ、あやの?」
「うん。確か、夏だったと思うんだけど・・・。
一緒に虫取りしようとしてて・・・えーと・・、神様がいて・・・・・」
「神様?」
「うん・・・。あやのと2人でお祈りしたような・・・・」
「ちょ、ちょっと! 気になるじゃない!」
「う~ん・・・・・。なんだっけ、あやの?」
頭を抱えたみさちゃんは、そういって私の方を見る。
「ふふふ。ほら、みさちゃんが、私が止めるのも聞かないで・・・・・・」
私は話す。
あの怖くて、不思議で、そして、甘酸っぱい話を。
だけど、ファーストキスの話は内緒にしとこ。
柊ちゃんがヤキモチ妬いちゃうかもしれないから。
あの怖くて、不思議で、そして、甘酸っぱい話を。
だけど、ファーストキスの話は内緒にしとこ。
柊ちゃんがヤキモチ妬いちゃうかもしれないから。
私は思う。
あの私のお祈りが、きっと神様に届いたんだって。
もしも願いが叶ったら、その時は2人に教えてあげよう。
私が内緒でお祈りしたことを。
あの私のお祈りが、きっと神様に届いたんだって。
もしも願いが叶ったら、その時は2人に教えてあげよう。
私が内緒でお祈りしたことを。
ふふふ。いつか叶えてくれるよね?
そしたら、みさちゃんと柊ちゃんを誘って、一緒にお礼にいくから。
だから、楽しみに待っててね。 神様。
そしたら、みさちゃんと柊ちゃんを誘って、一緒にお礼にいくから。
だから、楽しみに待っててね。 神様。
了
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- まさか公式であやのの初恋がみさおだとは思わなかったなぁ…
この二人結構好き -- FOAF (2014-02-13 21:53:42) - なるほど、
この二種類の好きは面白いな
これは百合じゃなく友情として見れる -- 名無しさん (2011-04-14 02:09:08) - 丁寧で優しくて本当感動させられます。ありがとう。 -- 名無しさん (2010-05-10 20:33:53)
- GJなんだぜ -- 名無しさん (2009-08-30 20:31:29)