それはこなたが柊家に遊びに行ったときの事だった。
約束の時間よりも少し遅れて着いたが、まあ問題は無いだろう。
「お、つかさ、こんちはー」
「こなちゃん、こんにちは。先におねえちゃんの部屋に行っててもらえる?」
ちょうどつかさが飲み物の用意をしているところだった。
あとで持っていくから、と言うつかさを見送りながら、こなたはかがみの部屋へ向かった。
「しっつれいしまーす」
ノックをしながら部屋に入る。そのときのかがみは珍しくシューティングゲームをしていた。
「おっ、珍しいね」
「……」
こなたが声を掛けるが、かがみは返事をしなかった。続けて声を掛けようかとも思ったのだが、
(……真剣だ)
それはかがみが本を読んでいる時に似ていた。今声を掛けたところで、まともな返事は得られそうになかった。
下手なちょっかいを出して、かがみの機嫌を損ねるのも何だし、こなたはしばらく見ている事にした。
約束の時間よりも少し遅れて着いたが、まあ問題は無いだろう。
「お、つかさ、こんちはー」
「こなちゃん、こんにちは。先におねえちゃんの部屋に行っててもらえる?」
ちょうどつかさが飲み物の用意をしているところだった。
あとで持っていくから、と言うつかさを見送りながら、こなたはかがみの部屋へ向かった。
「しっつれいしまーす」
ノックをしながら部屋に入る。そのときのかがみは珍しくシューティングゲームをしていた。
「おっ、珍しいね」
「……」
こなたが声を掛けるが、かがみは返事をしなかった。続けて声を掛けようかとも思ったのだが、
(……真剣だ)
それはかがみが本を読んでいる時に似ていた。今声を掛けたところで、まともな返事は得られそうになかった。
下手なちょっかいを出して、かがみの機嫌を損ねるのも何だし、こなたはしばらく見ている事にした。
やがて一面が終わったのか、一息ついてこちらの方を向いた。
「あ、こなた来てたんだ。ごめんね」
「本当だよねー。せっかく遊びに来たのに放置だなんてさ」
少し拗ねてみせて、かがみをからかってみる。
「う。ご、ごめん。そんなつもりじゃ無かったんだけど」
慌てるかがみもかわいい。こなたはそんなことを思っていた。
あまりからかうのも悪いので、話題を変えてみる。
「私を放っておくほどのゲームは何かな~」
あまり変わってないのは気のせいだろうか。かがみもばつの悪そうな顔をしていた。
「……私が悪かったわ」
「わかればよろしい」
胸をはってやたらと誇らしげなこなたの返事に、かがみは半眼となってにらむ。からかわれた事に気づいたのだ。
だがかがみはあえてそれを流した。このままではこなたのペースになってしまう。
「あんたが遅いから先に始めたんだけど」
かがみはそう言い訳しつつ説明する。
「虫姫さまっていうシューティングゲームよ」
かがみはシューティングゲームが好きであるが、同好の士がいないせいか、あまり遊んでいる姿を見ない。
ちなみに虫姫さまとは、レコ姫という名の主人公の、CAVE制作、タイトーが移植販売を手がけた、アーケードゲームの移植作品である。
「へー、何か難しそうだね」
「オリジナルモードならそんなに難しくないと思うけど……」
そう言いつつ、かがみは続きをすることにした。
そうしてまた一面をクリアした辺りの事だった。
「おお」
こなたが一つぽん、と手を打つ。
「思い出したよ、かがみん」
「……何を?」
かがみは正直言って、こういう態度のこなたがまともな事を言うとは思えなかった。
しかし聞かないわけにもいかなかったので、プレイを続けながらも聞いてみたのだ。
「穿いてないのだよ」
「? 誰が?」
「レコ姫さまが」
「……何を?」
「ぱんつを」
『キャァァー』と、画面上のレコ姫が墜落していく。かがみが動揺したせいだ。
「ち、ちょっとあんた何言い出すのよ!」
かがみはゲームにポーズをかけながらこなたに叫んだ。
「そんなの、見える訳ないじゃない!」
際どいイラストはあるものの、見えるような物があれば、一般作だし問題である。
「いやいや、確かにイラストではわからないけど」
得意げにこなたは語る。
「以前に、限定販売のフィギュアつきサントラCDがあってだね」
「……CDだけなら欲しいわね」
「そのレコ姫さまフィギュアが穿いてなかったのだよ!」
「調べたのかよっ!」
かがみは全力で突っ込んだが、
「ふっふっふ。人間は好奇心の生き物だよ、かがみ君」
あっさりとこなたに流されてしまう。おまけに、格好つけて「チッチッ」と指まで振っていた。
「そういう問題かよ……」
こなたは、かがみがジト目で見ているのに気づき、一応の言い訳をしてみる。
「いや、私が調べた訳じゃないよ。ネットで見ただけだから」
「……別に私に言わなくてもよかったと思うの」
かがみはため息をつきつつ、ソフトを片づけ始めた。これ以上遊べる気がしなかったからだ。
「あれ、片づけちゃうの?」
「あたりまえだ!」
片づけているかがみを見ながら、こなたはネコ口になり、あることを考えていた。
かがみの背後にそっと近寄り――
「うりゃっ」
「きゃあっ」
ジーンズに手をかけた。ベルトを緩めようとして、かがみの猛烈な抵抗を受ける。
「ちょっとこなた、何するの!」
その抵抗を軽く流しながら、
「ぱんつ、脱いでみない?」
こなたはそんなことを言ってみる。
「嫌に決まってるでしょ!」
「答えは聞いてないけど♪」
「やめんかー!」
かがみはこなたから逃れようとするものの、うまく力を受け流されるせいか、はたまた謎の萌え力のせいか、歯が立たない。
気がつけばベッドの上に押し倒される格好になっていた。
(……まずい)
「ふっふっふ。脱いでみれば新たな力に目覚めるかもよ」
こなたはそう言うが、それは痴女だ、とかがみは思った。
ぎりぎりとこなたを押し止めるのが精一杯のかがみには返事が出来なかったが、こなたは構わずに続ける。
「三倍早くなったり、一秒間に十六連射とか、セブンセンシズに目覚めるかも」
「どれもいらんわっ!」
かがみは力一杯否定をしたついでに、こなたを押し退けようとしたが、やはり動かなかった。
「あ。ぱんつを脱いだ後、ズボンは穿いていいからね」
「何か、余計悪い気がするぞ」
「いーじゃん、何か減る訳じゃないし」
「減る! いろいろと!」
「むー」
かがみは、こなたの小さな体のどこにこんな力があるのだろうか、と思う。たまには普段に使え。
「そんなに新たな力に目覚めたいなら、自分でやれ!」
それは、かがみにとって苦し紛れの一言であったが――
「おお」
こなたはぽん、と手を打ち、ベッドから降りると、自分のズボンに手をかけた。
「それもそうだね」
「え゛」
思いも寄らぬこなたの行動に、かがみは固まってしまう。
カチャカチャ、という音で我に返り、こなたを止めに入った。
「やめんか!」
「いーじゃん、今度はかがみのが減る訳じゃ無いし」
「減るの! つかお前もやるなっ」
二人は先ほどと同じ様な会話を繰り広げる。
しかし残念ながら、全力の戦いの後のかがみには、あまり力は残されていなかった。
こなたのズボンがあえなく引き下ろされようとした時、彼女は来た。
「お姉ちゃん、こなちゃん、お茶が入った……よ?」
ノックをして入ってきたのはつかさである。
そこで見た物は、
乱れたベッド。
乱れた衣服。
――無理矢理引き下ろされようとするこなたのズボン。
正確にはかがみが阻止しているのだが、『誤解をするな』と言う方が無理な状況であった。
「えーと、あの。つかさ、これは違うの」
固まったままかがみはつかさに声を掛けるが、つかさは何故か妙に潤んだ瞳で、顔を赤くして言った。
「……こなちゃんには優しくしてあげてねっ」
そしてそのまま、いつものつかさでは想像のつかない素早さで、走って消えていった。
「…………」
「……えーと。誤解、されてる?」
呆然とつかさを見送るかがみに、こなたは声をかけるが、かがみには何も言えなかった。
「あ、こなた来てたんだ。ごめんね」
「本当だよねー。せっかく遊びに来たのに放置だなんてさ」
少し拗ねてみせて、かがみをからかってみる。
「う。ご、ごめん。そんなつもりじゃ無かったんだけど」
慌てるかがみもかわいい。こなたはそんなことを思っていた。
あまりからかうのも悪いので、話題を変えてみる。
「私を放っておくほどのゲームは何かな~」
あまり変わってないのは気のせいだろうか。かがみもばつの悪そうな顔をしていた。
「……私が悪かったわ」
「わかればよろしい」
胸をはってやたらと誇らしげなこなたの返事に、かがみは半眼となってにらむ。からかわれた事に気づいたのだ。
だがかがみはあえてそれを流した。このままではこなたのペースになってしまう。
「あんたが遅いから先に始めたんだけど」
かがみはそう言い訳しつつ説明する。
「虫姫さまっていうシューティングゲームよ」
かがみはシューティングゲームが好きであるが、同好の士がいないせいか、あまり遊んでいる姿を見ない。
ちなみに虫姫さまとは、レコ姫という名の主人公の、CAVE制作、タイトーが移植販売を手がけた、アーケードゲームの移植作品である。
「へー、何か難しそうだね」
「オリジナルモードならそんなに難しくないと思うけど……」
そう言いつつ、かがみは続きをすることにした。
そうしてまた一面をクリアした辺りの事だった。
「おお」
こなたが一つぽん、と手を打つ。
「思い出したよ、かがみん」
「……何を?」
かがみは正直言って、こういう態度のこなたがまともな事を言うとは思えなかった。
しかし聞かないわけにもいかなかったので、プレイを続けながらも聞いてみたのだ。
「穿いてないのだよ」
「? 誰が?」
「レコ姫さまが」
「……何を?」
「ぱんつを」
『キャァァー』と、画面上のレコ姫が墜落していく。かがみが動揺したせいだ。
「ち、ちょっとあんた何言い出すのよ!」
かがみはゲームにポーズをかけながらこなたに叫んだ。
「そんなの、見える訳ないじゃない!」
際どいイラストはあるものの、見えるような物があれば、一般作だし問題である。
「いやいや、確かにイラストではわからないけど」
得意げにこなたは語る。
「以前に、限定販売のフィギュアつきサントラCDがあってだね」
「……CDだけなら欲しいわね」
「そのレコ姫さまフィギュアが穿いてなかったのだよ!」
「調べたのかよっ!」
かがみは全力で突っ込んだが、
「ふっふっふ。人間は好奇心の生き物だよ、かがみ君」
あっさりとこなたに流されてしまう。おまけに、格好つけて「チッチッ」と指まで振っていた。
「そういう問題かよ……」
こなたは、かがみがジト目で見ているのに気づき、一応の言い訳をしてみる。
「いや、私が調べた訳じゃないよ。ネットで見ただけだから」
「……別に私に言わなくてもよかったと思うの」
かがみはため息をつきつつ、ソフトを片づけ始めた。これ以上遊べる気がしなかったからだ。
「あれ、片づけちゃうの?」
「あたりまえだ!」
片づけているかがみを見ながら、こなたはネコ口になり、あることを考えていた。
かがみの背後にそっと近寄り――
「うりゃっ」
「きゃあっ」
ジーンズに手をかけた。ベルトを緩めようとして、かがみの猛烈な抵抗を受ける。
「ちょっとこなた、何するの!」
その抵抗を軽く流しながら、
「ぱんつ、脱いでみない?」
こなたはそんなことを言ってみる。
「嫌に決まってるでしょ!」
「答えは聞いてないけど♪」
「やめんかー!」
かがみはこなたから逃れようとするものの、うまく力を受け流されるせいか、はたまた謎の萌え力のせいか、歯が立たない。
気がつけばベッドの上に押し倒される格好になっていた。
(……まずい)
「ふっふっふ。脱いでみれば新たな力に目覚めるかもよ」
こなたはそう言うが、それは痴女だ、とかがみは思った。
ぎりぎりとこなたを押し止めるのが精一杯のかがみには返事が出来なかったが、こなたは構わずに続ける。
「三倍早くなったり、一秒間に十六連射とか、セブンセンシズに目覚めるかも」
「どれもいらんわっ!」
かがみは力一杯否定をしたついでに、こなたを押し退けようとしたが、やはり動かなかった。
「あ。ぱんつを脱いだ後、ズボンは穿いていいからね」
「何か、余計悪い気がするぞ」
「いーじゃん、何か減る訳じゃないし」
「減る! いろいろと!」
「むー」
かがみは、こなたの小さな体のどこにこんな力があるのだろうか、と思う。たまには普段に使え。
「そんなに新たな力に目覚めたいなら、自分でやれ!」
それは、かがみにとって苦し紛れの一言であったが――
「おお」
こなたはぽん、と手を打ち、ベッドから降りると、自分のズボンに手をかけた。
「それもそうだね」
「え゛」
思いも寄らぬこなたの行動に、かがみは固まってしまう。
カチャカチャ、という音で我に返り、こなたを止めに入った。
「やめんか!」
「いーじゃん、今度はかがみのが減る訳じゃ無いし」
「減るの! つかお前もやるなっ」
二人は先ほどと同じ様な会話を繰り広げる。
しかし残念ながら、全力の戦いの後のかがみには、あまり力は残されていなかった。
こなたのズボンがあえなく引き下ろされようとした時、彼女は来た。
「お姉ちゃん、こなちゃん、お茶が入った……よ?」
ノックをして入ってきたのはつかさである。
そこで見た物は、
乱れたベッド。
乱れた衣服。
――無理矢理引き下ろされようとするこなたのズボン。
正確にはかがみが阻止しているのだが、『誤解をするな』と言う方が無理な状況であった。
「えーと、あの。つかさ、これは違うの」
固まったままかがみはつかさに声を掛けるが、つかさは何故か妙に潤んだ瞳で、顔を赤くして言った。
「……こなちゃんには優しくしてあげてねっ」
そしてそのまま、いつものつかさでは想像のつかない素早さで、走って消えていった。
「…………」
「……えーと。誤解、されてる?」
呆然とつかさを見送るかがみに、こなたは声をかけるが、かがみには何も言えなかった。
「はぅっ、そうだったんだ……」
「いやいや。信用しちゃだめよ、つかさ」
「んにゃ、案外いけるかもよ」
「お前は黙っとけ」
何とかつかさの誤解を解くことが出来、三人はつかさの部屋でまったりしていた。
かがみの部屋はカオスな事になっていたからだ。
「ぱんつと言えば、ぱんつ穿かない健康法ってあったよね」
「へー」
「まだこだわるか」
こなたは未だにぱんつに拘っているようだ。つかさは興味があるようだが、かがみはもう関わりたく無かった。
「廃れたんだから、効果なんて期待出来ないわよ」
かがみはそう否定するが、
「……三倍速くなれるなら、やってもいいかな」
つかさは思わずつぶやいた。
『いやいやいや。無いから』
こなたとかがみの突っ込みが重なった。
「いやいや。信用しちゃだめよ、つかさ」
「んにゃ、案外いけるかもよ」
「お前は黙っとけ」
何とかつかさの誤解を解くことが出来、三人はつかさの部屋でまったりしていた。
かがみの部屋はカオスな事になっていたからだ。
「ぱんつと言えば、ぱんつ穿かない健康法ってあったよね」
「へー」
「まだこだわるか」
こなたは未だにぱんつに拘っているようだ。つかさは興味があるようだが、かがみはもう関わりたく無かった。
「廃れたんだから、効果なんて期待出来ないわよ」
かがみはそう否定するが、
「……三倍速くなれるなら、やってもいいかな」
つかさは思わずつぶやいた。
『いやいやいや。無いから』
こなたとかがみの突っ込みが重なった。
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- 「いろいろと減る」は秀逸だとおもう -- 名無しさん (2011-04-13 06:21:22)