「そういえばさ、小学校の頃8月の中あたりにさ、学区の七夕集会みたいのがあったんだけどさ。あれって何だったの
かな?」
梅雨も明け、蝉の声がけたたましく鳴き始めた頃。期末も終わり、学校内は夏休みに向けたインターバル的な雰囲気に
包まれている。学生達はここぞとばかりに、一夏の思い出の為のプラン制作に勤しむ。それはこなた達4人も同様であり
他愛もない会話を挟みつつ、まだ見ぬ夏のバカンスに想いを馳せていた。
そんな中でこなたがふと疑問を洩らしたのだった。
「何だった?って私が知るわけないじゃない」
「あれ~?みんなの所ではやらなかったの?」
長年疑問に思っていた、八月中旬に執り行われる七夕っぽい謎の行事。その疑問をぶつけた訳だが、返ってきたのはこ
なたにっとて想像外のものだった。
「私達の所ではなかったよね」
「うん、そうね。聞いた事もないわ」
「じゃ、みゆきさんは」
「残念ながら。私の所でもそう言った事は行っていませんでした」
「え~!うちだけだったの!!」
小学校時代に誰しもが経験していると、こなたは思い込んでいた謎の行事。それが特殊なものだと知って、驚きを隠せ
なかった。そもそも、なぜこなたがこの七夕っぽい行事を疑問に感じているかと言うと、
「だいたい、なんで八月に七夕集会があるのよ。七夕って7月じゃない」
「そこなのだよ、かがみん。七夕なのに何で八月にやるのかずっと疑問に思っていたわけよ」
「だいたい、記憶違いじゃないの」
「う~ん、それは無いと思う。こうね」
そう言いながら立ち上がったこなたは、両手を天に高々と掲げ、一杯に広げてみせる。
「夜空に突き刺さる、竹飾りをよ~く覚えているから」
「だからさ、それが7月の話を、8月と勘違いしてるんじゃないの」
「う~ん、確実に夏休み中の話だと思ったのだが。う~ん」
「たぶん、泉さんの言ってるのは8月で合っていると思いますよ」
「え、みゆきさん何かしってるの」
「おそらく、陰暦での七夕、ではないでしょうか」
「陰暦って旧暦だよね」
「ええ。現行の太陽暦と陰暦とでは約1ヶ月のずれがありますから」
「それで、こなたの小学校では旧暦の7月7日、つまり8月の真ん中で七夕を祝ってた、って訳ね」
「ありがとう、みゆきさん!長年の疑問が解けたよ!!」
喉の奥に刺さった鰯の小骨が綺麗に取れた様な、晴々とした顔でみゆきに礼を言う。
「でもさ、なんでうちの小学校では陰暦で祝ってたのかな」
「えっと、それは私でも分からないです。すみません」
こなたの長年の疑問に明快な答えを出したみゆきだが、流石にその理由までは知らなかった。むしろそれが当然であり、
その疑問は学校に直接問わなければ正しい答えは出ないだろう。
かな?」
梅雨も明け、蝉の声がけたたましく鳴き始めた頃。期末も終わり、学校内は夏休みに向けたインターバル的な雰囲気に
包まれている。学生達はここぞとばかりに、一夏の思い出の為のプラン制作に勤しむ。それはこなた達4人も同様であり
他愛もない会話を挟みつつ、まだ見ぬ夏のバカンスに想いを馳せていた。
そんな中でこなたがふと疑問を洩らしたのだった。
「何だった?って私が知るわけないじゃない」
「あれ~?みんなの所ではやらなかったの?」
長年疑問に思っていた、八月中旬に執り行われる七夕っぽい謎の行事。その疑問をぶつけた訳だが、返ってきたのはこ
なたにっとて想像外のものだった。
「私達の所ではなかったよね」
「うん、そうね。聞いた事もないわ」
「じゃ、みゆきさんは」
「残念ながら。私の所でもそう言った事は行っていませんでした」
「え~!うちだけだったの!!」
小学校時代に誰しもが経験していると、こなたは思い込んでいた謎の行事。それが特殊なものだと知って、驚きを隠せ
なかった。そもそも、なぜこなたがこの七夕っぽい行事を疑問に感じているかと言うと、
「だいたい、なんで八月に七夕集会があるのよ。七夕って7月じゃない」
「そこなのだよ、かがみん。七夕なのに何で八月にやるのかずっと疑問に思っていたわけよ」
「だいたい、記憶違いじゃないの」
「う~ん、それは無いと思う。こうね」
そう言いながら立ち上がったこなたは、両手を天に高々と掲げ、一杯に広げてみせる。
「夜空に突き刺さる、竹飾りをよ~く覚えているから」
「だからさ、それが7月の話を、8月と勘違いしてるんじゃないの」
「う~ん、確実に夏休み中の話だと思ったのだが。う~ん」
「たぶん、泉さんの言ってるのは8月で合っていると思いますよ」
「え、みゆきさん何かしってるの」
「おそらく、陰暦での七夕、ではないでしょうか」
「陰暦って旧暦だよね」
「ええ。現行の太陽暦と陰暦とでは約1ヶ月のずれがありますから」
「それで、こなたの小学校では旧暦の7月7日、つまり8月の真ん中で七夕を祝ってた、って訳ね」
「ありがとう、みゆきさん!長年の疑問が解けたよ!!」
喉の奥に刺さった鰯の小骨が綺麗に取れた様な、晴々とした顔でみゆきに礼を言う。
「でもさ、なんでうちの小学校では陰暦で祝ってたのかな」
「えっと、それは私でも分からないです。すみません」
こなたの長年の疑問に明快な答えを出したみゆきだが、流石にその理由までは知らなかった。むしろそれが当然であり、
その疑問は学校に直接問わなければ正しい答えは出ないだろう。
「…そっか、旧暦の七夕かぁ~」
「よく集まってくれた、諸君!!」
8月もお盆を過ぎた頃、残暑厳しく蝉がワシャワシャ喧しく鳴くとある日に柊姉妹は泉家に呼ばれていた。何をするかは
全く何も聞かされてない。かがみは、どうせ宿題を写させて欲しくて呼んだのではないかと予想していたのだが、部屋
に通されてもその素振りは全く見せず、突然椅子の上に立ち上がると演説じみた事始めたのだ。
「みゆきさんは家の都合で来れなかったが、まぁ良い!これから諸君にはあるミッションを行なってもらう」
「ちょっと、こなた」
拳を握り締めて、声を張り上げて話すこなたを制しようとするが
「しゃらっぷ!!!!そこ私語は慎みなさい!!」
悦に入っているこなたには何の意味もなさなかった。
「これから、我々が行なう事、それは…」
一旦ここで止め、すぅ~と息を吸う。そして一気に吐き出し、その息吹に言葉を乗せる。
「七夕を祝う事だ!!!」
外からは蝉の鳴き声が雨霰と聞こえて来る。残暑の厳しい日差しは全身に汗をもたらす。お盆も過ぎた今日は8月19日。
旧暦で表せば、7月7日、七夕である。
8月もお盆を過ぎた頃、残暑厳しく蝉がワシャワシャ喧しく鳴くとある日に柊姉妹は泉家に呼ばれていた。何をするかは
全く何も聞かされてない。かがみは、どうせ宿題を写させて欲しくて呼んだのではないかと予想していたのだが、部屋
に通されてもその素振りは全く見せず、突然椅子の上に立ち上がると演説じみた事始めたのだ。
「みゆきさんは家の都合で来れなかったが、まぁ良い!これから諸君にはあるミッションを行なってもらう」
「ちょっと、こなた」
拳を握り締めて、声を張り上げて話すこなたを制しようとするが
「しゃらっぷ!!!!そこ私語は慎みなさい!!」
悦に入っているこなたには何の意味もなさなかった。
「これから、我々が行なう事、それは…」
一旦ここで止め、すぅ~と息を吸う。そして一気に吐き出し、その息吹に言葉を乗せる。
「七夕を祝う事だ!!!」
外からは蝉の鳴き声が雨霰と聞こえて来る。残暑の厳しい日差しは全身に汗をもたらす。お盆も過ぎた今日は8月19日。
旧暦で表せば、7月7日、七夕である。
「暑い」
「なんかさ、学校以外で体操服着るのって恥ずかしいよね」
こなたに言われて動きやすい格好、つまり体操服に着替えた2人。ちなみに下はジャージなので暑い事この上ない。
ちなみに、この体操服はこなたの物で動きやすい服を持って来ていなかった2人に貸したのだ。ただ、体操服のサイズが
明らかにこなたのサイズより大きいのが気になると言えばそうだが。なんとなくそれは聞かない方がいいような気がし
たので、深く突っ込んでではない。
「待たせたな、皆の衆!」
妙に時代劇染みた声色で玄関から出てくる。大きめの甚平を羽織り、手にはノコギリ(刃先はタオルで巻いてある)を
持つ。腰までもある長い髪は後頭部で結っており、所謂ポニーテールである。本人は侍のつもりなのだろうが、どう見
ても小姓にしかみえない。
「ちょっと待った」
「え、何。第一声は、遅参の段御免なり、がよかった?」
「そうじゃない!!!」
こなたの格好、喋りは突っ込みどころ満載なのだが、とりあえず今どんなゲームに嵌っているかは明白である。
「あんたさ、私達に動きやすい格好とか言いながらなんであんたは動きにくそうな甚平なの?しかも大きいし」
「大きいのは仕方ないよ、これお父さんのお下がりだもの」
父親のかよ!と心の中で突っ込んでおいて、こなたの話の続きを聞く。
「それに動きにくいのは、こう…」
そう言って何処に持っていたのやら、やや長めの紐を取り出す。その紐をたくしあげた袖に引っ掛け、背で十字を結び
同じようにたくしあげた反対側の袖に引っ掛け結ぶ。
「たすきを掛ければ無問題!」
「こなちゃん上手~、もーまんたい」
今更感の漂うセリフと共に親指を突き出す。嫌味の無い笑顔をするこなたに毒気を抜かれたかがみは、はぁ~と溜息を
洩らす。
「そうかい……。でこれからどうするの」
よくぞ聞いてくれました、とばかりに目を輝かせて拳を天に突き上げる。そして声高らかに宣誓する。
「我が生涯に一遍の悔い無し!!」
一瞬無音と無色の世界が広がった。
「帰っていいか」
「くちなし??」
「冗談だってば。ほらなんかさ、こう、拳を突き上げると言いたくなるじゃん」
「ならん!」
「ま、今度はちゃんと言うからさ」
再び、拳を突き上げ叫ぶ。
「ミッション 笹飾り用の竹を取ってくる!!」
ご丁寧に口でぶおぉ~と法螺貝の真似までしている。
「はぁ」
終始はてな顔だったつかさ、嫌そうな顔のかがみ、そして何かを遣り遂げた顔のこなた。無論、やるのはこれからの訳
だが……兎にも角にもここに3人の少女による、インポッシブルでダイハードなミッションがスタートしたのかも知れ
ない。
「なんかさ、学校以外で体操服着るのって恥ずかしいよね」
こなたに言われて動きやすい格好、つまり体操服に着替えた2人。ちなみに下はジャージなので暑い事この上ない。
ちなみに、この体操服はこなたの物で動きやすい服を持って来ていなかった2人に貸したのだ。ただ、体操服のサイズが
明らかにこなたのサイズより大きいのが気になると言えばそうだが。なんとなくそれは聞かない方がいいような気がし
たので、深く突っ込んでではない。
「待たせたな、皆の衆!」
妙に時代劇染みた声色で玄関から出てくる。大きめの甚平を羽織り、手にはノコギリ(刃先はタオルで巻いてある)を
持つ。腰までもある長い髪は後頭部で結っており、所謂ポニーテールである。本人は侍のつもりなのだろうが、どう見
ても小姓にしかみえない。
「ちょっと待った」
「え、何。第一声は、遅参の段御免なり、がよかった?」
「そうじゃない!!!」
こなたの格好、喋りは突っ込みどころ満載なのだが、とりあえず今どんなゲームに嵌っているかは明白である。
「あんたさ、私達に動きやすい格好とか言いながらなんであんたは動きにくそうな甚平なの?しかも大きいし」
「大きいのは仕方ないよ、これお父さんのお下がりだもの」
父親のかよ!と心の中で突っ込んでおいて、こなたの話の続きを聞く。
「それに動きにくいのは、こう…」
そう言って何処に持っていたのやら、やや長めの紐を取り出す。その紐をたくしあげた袖に引っ掛け、背で十字を結び
同じようにたくしあげた反対側の袖に引っ掛け結ぶ。
「たすきを掛ければ無問題!」
「こなちゃん上手~、もーまんたい」
今更感の漂うセリフと共に親指を突き出す。嫌味の無い笑顔をするこなたに毒気を抜かれたかがみは、はぁ~と溜息を
洩らす。
「そうかい……。でこれからどうするの」
よくぞ聞いてくれました、とばかりに目を輝かせて拳を天に突き上げる。そして声高らかに宣誓する。
「我が生涯に一遍の悔い無し!!」
一瞬無音と無色の世界が広がった。
「帰っていいか」
「くちなし??」
「冗談だってば。ほらなんかさ、こう、拳を突き上げると言いたくなるじゃん」
「ならん!」
「ま、今度はちゃんと言うからさ」
再び、拳を突き上げ叫ぶ。
「ミッション 笹飾り用の竹を取ってくる!!」
ご丁寧に口でぶおぉ~と法螺貝の真似までしている。
「はぁ」
終始はてな顔だったつかさ、嫌そうな顔のかがみ、そして何かを遣り遂げた顔のこなた。無論、やるのはこれからの訳
だが……兎にも角にもここに3人の少女による、インポッシブルでダイハードなミッションがスタートしたのかも知れ
ない。
「ちょっと、あんた。何よここは!」
「いやぁ~家の近くで竹生えてるのここしかなくてねぇ~」
「だからってこんな所で…と言うか許可取ってるの」
「う~ん、大丈夫じゃない?」
「いいわけあるかぁー!!」
「お、お姉ちゃん~」
「つかさ?」
「た、助けてぇ~」
「つ、つかさぁぁぁぁぁ!!!!」
「いやぁ~家の近くで竹生えてるのここしかなくてねぇ~」
「だからってこんな所で…と言うか許可取ってるの」
「う~ん、大丈夫じゃない?」
「いいわけあるかぁー!!」
「お、お姉ちゃん~」
「つかさ?」
「た、助けてぇ~」
「つ、つかさぁぁぁぁぁ!!!!」
こなたが自分の家の前で世紀末覇王の物真似をしてからおよそ2時間後。
こなた達は見事に竹を手に入れて泉家まで戻ってきた。こなたの部屋に帰った3人は竹を隅に立てかけて、それぞれベッ
トや床に倒れこんだ。
「いやぁ~まさかこんな事になるとは」
ベットに突っ伏したこなたがそう洩らす。
「あんな所行けばこうなるって予想出来るでしょ!!」
床に手を付き肩で息をしているかがみがそう突っ込む。ちなみにつかさは壁に背を預けて座り込んでいる。
「小学校くらいに行ったきりだったしね」
「おい!下見ぐらいしろよ!!」
3人が竹を取りに言った場所は、雑木林の奥にある竹林だった。夏と言う事もあり、下草が生い茂り膝から下は完全に隠
れてしまっていた。当然、虫は大量発生しており、あちらこちらを挿すだけでなく3人の心胆を寒からしめた。そして、
件の竹林の先は崖になっており、それに気付かなかったつかさは落ちそうになった。かがみとこなたのお陰で落ちる事
は辛くも避けられたが。
そんなこんなで、3人の体力はごっそり持っていかれたのであった。
だが、無論これで終わりではない。
「う~ぃりぃぃぃぃ」
気だるそうに、ベットから起き上がり机の引き出しから紙の束を取り出す。
「さぁ、また戦が始まる」
テーブルの上に紙の束――折り紙と短冊を置く。
「ミッション 笹飾りを作る!!」
また、口で法螺貝の真似をする。
2人とも顔を上げ、テーブルの上の折り紙と短冊を一瞥した後さらに顔を上げてこなたを見上げる。
溜息を一つ吐き、顔を見合わせた後テーブルに向かう。この愛すべき友人との想い出をまた一つ積み重ねる為に。
こなた達は見事に竹を手に入れて泉家まで戻ってきた。こなたの部屋に帰った3人は竹を隅に立てかけて、それぞれベッ
トや床に倒れこんだ。
「いやぁ~まさかこんな事になるとは」
ベットに突っ伏したこなたがそう洩らす。
「あんな所行けばこうなるって予想出来るでしょ!!」
床に手を付き肩で息をしているかがみがそう突っ込む。ちなみにつかさは壁に背を預けて座り込んでいる。
「小学校くらいに行ったきりだったしね」
「おい!下見ぐらいしろよ!!」
3人が竹を取りに言った場所は、雑木林の奥にある竹林だった。夏と言う事もあり、下草が生い茂り膝から下は完全に隠
れてしまっていた。当然、虫は大量発生しており、あちらこちらを挿すだけでなく3人の心胆を寒からしめた。そして、
件の竹林の先は崖になっており、それに気付かなかったつかさは落ちそうになった。かがみとこなたのお陰で落ちる事
は辛くも避けられたが。
そんなこんなで、3人の体力はごっそり持っていかれたのであった。
だが、無論これで終わりではない。
「う~ぃりぃぃぃぃ」
気だるそうに、ベットから起き上がり机の引き出しから紙の束を取り出す。
「さぁ、また戦が始まる」
テーブルの上に紙の束――折り紙と短冊を置く。
「ミッション 笹飾りを作る!!」
また、口で法螺貝の真似をする。
2人とも顔を上げ、テーブルの上の折り紙と短冊を一瞥した後さらに顔を上げてこなたを見上げる。
溜息を一つ吐き、顔を見合わせた後テーブルに向かう。この愛すべき友人との想い出をまた一つ積み重ねる為に。
「こなちゃん、星上手~」
「実はヒトデです」
「え?」
「つかさが元ネタ知ってるわけないでしょ」
「…かがみってやっぱりオタクだよね」
「な、これはあんたが……」
「実はヒトデです」
「え?」
「つかさが元ネタ知ってるわけないでしょ」
「…かがみってやっぱりオタクだよね」
「な、これはあんたが……」
「つかさは短冊に何書いた?」
「お料理うまくなりますように、って」
「おお、頂点を極めても更にその先を見据える、か。さすが達人!」
「も~、こなちゃん褒めすぎ」
「で、かがみは」
「わ、私は別に普通よ」
「そー言われると余計見たくなるなぁ~」
「あ、こら近づくな!!」
「あ、え~と。“卒業しても4人いつまでも仲良くしたい”だって」
「つ、つかさぁ~」
「かがみん、かわいい~」
「そう言うあんたはどうなのよ」
「私?私はPS3が値下げしますように、って」
「あんた、他にないのか」
「お料理うまくなりますように、って」
「おお、頂点を極めても更にその先を見据える、か。さすが達人!」
「も~、こなちゃん褒めすぎ」
「で、かがみは」
「わ、私は別に普通よ」
「そー言われると余計見たくなるなぁ~」
「あ、こら近づくな!!」
「あ、え~と。“卒業しても4人いつまでも仲良くしたい”だって」
「つ、つかさぁ~」
「かがみん、かわいい~」
「そう言うあんたはどうなのよ」
「私?私はPS3が値下げしますように、って」
「あんた、他にないのか」
「ど~でもいいけど、こう言うのって先端に付けたほうが願いが届きそうじゃない?」
「ほんと、どうでもいいな。あんま関係ないんじゃない、だいたい願いを叶えるのは本人の努力でしょ」
「……かがみ、もうちょっと夢持とうよ」
「ほんと、どうでもいいな。あんま関係ないんじゃない、だいたい願いを叶えるのは本人の努力でしょ」
「……かがみ、もうちょっと夢持とうよ」
およそ一刻ほど。
部屋の中央には、星、天の川、短冊などで飾られた竹が鎮座している。煌びやかに飾られたそれは3人での制作にしては
十二分すぎるほど立派なものだった。
ちなみに、3人はすでに体操服(+甚平)から私服へと着替え終わっている。
「さて、出発しますか」
外は既に日が傾き、宵闇の涼しい風が室内に入ってくる。雲一つない青空でまさに絶好の七夕日和だ。
「出発って、庭先でやるんじゃないの」
「ほらさ、広い所で伸び伸びとやりたいじゃん。それに星がよく見えた方が」
「うん、私も。綺麗な星空の下でやりたいな」
「つかさ、あんたまで」
こなただけでなく、つかさまで賛成の意を唱える。とすればかがみもこれ以上何か言うのは野暮になる。
「しょうがないわね」
いかにも仕方ない、という返事。だがかがみは始めから反対する気もなく、またその理由もなかった。メンバーの良心
との心得がそうさせるのだろう。こなたに言わせれば、ツンデレの一言で終わってしまうが。
「で、どこでやるの?遠い所はいやよ」
「う~ん、じゃ、私の出身中学でやる?」
「じゃあ、って……つーかいいわけ?」
「ま、ちゃんと片付けて痕跡なくせばいい事だし」
「おい」
行き先も決まった所で、早速出かける支度をする。笹飾りはビニール袋で覆い、お菓子や飲み物、そして花火などを袋
に詰める。花火は、派手な音がするものや打ち上げ式の物は全て外し、手持ち系ののんびり楽しめる物だけを持って行
くことにした。
「やっぱさ、近所迷惑になりたくないじゃん」と言うこなたの配慮からだ。無論、バケツ、ゴミ袋持参だ。
そうじろうからの手厚い送り出しを受け出発する。格闘技経験のあるこなたが不審者相手に後れを取ることはないが、
やはりそれでも心配するのが親心。最後はこなたを嫁に送り出すが如くに泣いていた。本当に嫁に行く時は一体父はど
うなるのか、そう考えるといささか心配を覚えるこなた18歳であった。
部屋の中央には、星、天の川、短冊などで飾られた竹が鎮座している。煌びやかに飾られたそれは3人での制作にしては
十二分すぎるほど立派なものだった。
ちなみに、3人はすでに体操服(+甚平)から私服へと着替え終わっている。
「さて、出発しますか」
外は既に日が傾き、宵闇の涼しい風が室内に入ってくる。雲一つない青空でまさに絶好の七夕日和だ。
「出発って、庭先でやるんじゃないの」
「ほらさ、広い所で伸び伸びとやりたいじゃん。それに星がよく見えた方が」
「うん、私も。綺麗な星空の下でやりたいな」
「つかさ、あんたまで」
こなただけでなく、つかさまで賛成の意を唱える。とすればかがみもこれ以上何か言うのは野暮になる。
「しょうがないわね」
いかにも仕方ない、という返事。だがかがみは始めから反対する気もなく、またその理由もなかった。メンバーの良心
との心得がそうさせるのだろう。こなたに言わせれば、ツンデレの一言で終わってしまうが。
「で、どこでやるの?遠い所はいやよ」
「う~ん、じゃ、私の出身中学でやる?」
「じゃあ、って……つーかいいわけ?」
「ま、ちゃんと片付けて痕跡なくせばいい事だし」
「おい」
行き先も決まった所で、早速出かける支度をする。笹飾りはビニール袋で覆い、お菓子や飲み物、そして花火などを袋
に詰める。花火は、派手な音がするものや打ち上げ式の物は全て外し、手持ち系ののんびり楽しめる物だけを持って行
くことにした。
「やっぱさ、近所迷惑になりたくないじゃん」と言うこなたの配慮からだ。無論、バケツ、ゴミ袋持参だ。
そうじろうからの手厚い送り出しを受け出発する。格闘技経験のあるこなたが不審者相手に後れを取ることはないが、
やはりそれでも心配するのが親心。最後はこなたを嫁に送り出すが如くに泣いていた。本当に嫁に行く時は一体父はど
うなるのか、そう考えるといささか心配を覚えるこなた18歳であった。
満天とは言い難いが、街中に比すれば十二分に星が瞬き煌く空。天の川も薄らとその姿をみせる。
持って来た笹飾りは朝礼台の脚の一本に結びつけ、今は風に揺れつつ天を衝く。
校庭の片隅に転がっていた机を洗い、上に布を被せテーブルクロスとする。その上に持参したジュースやお菓子を並べ
る。懐中電灯で机の上を照らすのも忘れてはいない。
「プラネタリウムはいかがでしょう」
「いや、本物だから」
「ねぇ、お姉ちゃん。織姫と彦星ってどれかな?」
「あ、私も知りたい」
「えっと……」
2人に頼まれたかがみはすぐに真上を向く。
「上に明るい星が三つ見える?」
「「う~ん、何とか」」
「その三つが夏の大三角形で、その内の一番高い位置にあるのがベガ。つまり織姫ね。それでその反対側、地上近くに
見えるのがアルタイル。これが牽牛、彦星ね。で真ん中にあるのが白鳥座のデネブ」
「へ~そっか。今年は2人は会えたのかな?」
「そうだといいわね」
「…う~ん、どうせならもっと分かりやすく、あの家のアンテナから数えて何番目の星、って教えて欲しいな」
「1人で数えていろ」
「そこはバカだなぁ~って言って欲しかったな」
などと他愛もないことを喋り、天体観測を続ける。
星は彼女らを虜にし、幾星霜の世界に誘う。美しき輝きの世界に。
「あ、そだ花火やろ。花火」
「うん、そうね。何からやる?」
「線香花火!」
「いきなりかい!!」
持って来た笹飾りは朝礼台の脚の一本に結びつけ、今は風に揺れつつ天を衝く。
校庭の片隅に転がっていた机を洗い、上に布を被せテーブルクロスとする。その上に持参したジュースやお菓子を並べ
る。懐中電灯で机の上を照らすのも忘れてはいない。
「プラネタリウムはいかがでしょう」
「いや、本物だから」
「ねぇ、お姉ちゃん。織姫と彦星ってどれかな?」
「あ、私も知りたい」
「えっと……」
2人に頼まれたかがみはすぐに真上を向く。
「上に明るい星が三つ見える?」
「「う~ん、何とか」」
「その三つが夏の大三角形で、その内の一番高い位置にあるのがベガ。つまり織姫ね。それでその反対側、地上近くに
見えるのがアルタイル。これが牽牛、彦星ね。で真ん中にあるのが白鳥座のデネブ」
「へ~そっか。今年は2人は会えたのかな?」
「そうだといいわね」
「…う~ん、どうせならもっと分かりやすく、あの家のアンテナから数えて何番目の星、って教えて欲しいな」
「1人で数えていろ」
「そこはバカだなぁ~って言って欲しかったな」
などと他愛もないことを喋り、天体観測を続ける。
星は彼女らを虜にし、幾星霜の世界に誘う。美しき輝きの世界に。
「あ、そだ花火やろ。花火」
「うん、そうね。何からやる?」
「線香花火!」
「いきなりかい!!」
遠くからは虫の声が聞こえる。秋の訪れを微かに伝えながら。
夜風は心地良い風をもたらす。夏の熱気を掃うように。
星々は天高くより見つめる。花火に興ずる少女達を、そして風に揺れる笹飾りを。
「あら、こんなところで、こんなことしていいのかしら」
突然話しかけられたのは、花火も終わり片付けを開始しようとしたその時だった。
一瞬、学校関係者かと思い3人はそろって変な汗を掻いた。このまま、校内に連行され延々とお説教を聞かされる。それ
で済めばよいが、もし高校に通報されたら……。
ゆっくりと振り返るとそこにいたのは
突然話しかけられたのは、花火も終わり片付けを開始しようとしたその時だった。
一瞬、学校関係者かと思い3人はそろって変な汗を掻いた。このまま、校内に連行され延々とお説教を聞かされる。それ
で済めばよいが、もし高校に通報されたら……。
ゆっくりと振り返るとそこにいたのは
白く光輝く人
正確に言うならば白いワンピースを着た若い女性であった。ただ、あまりにもワンピースの白が鮮やかだったので輝い
ている様に見えたのだった。白い大きな帽子をしている為表情を窺い知る事は出来ない。ただ、自分達に不振な眼を向
けてはいないような気配がした。年は自分達より3、4歳くらい離れているのではないかと思われる。
突然の闖入者に対し、つかさは目を白黒させ、こなたは俯いてだんまりを決め込んでる。どうやら、真っ当に対応出来
るのはかがみだけらしい。
「えっと、ですね」
とは言え、この状況では咄嗟に返答は出来ない。適当に言葉を見繕うとするが、ほとんど見つからない。
3人の狼狽する姿を見て、いたずらが成功した子供のように女が小さく、くすり、と笑う。
「ふふふ、いいのよ。別に誰か言ったりしないから。それに私も似たようなものだし」
はたと考えてみればそうだった。学校関係者じゃなければこの女性も招かれざる客、だと。
「ただし、ゴミはちゃんと持ち帰ってね」
「はい、それはもちろん」
小さい子を窘めるように言う。それ程歳が離れているとは思えない女性に子供扱いされているのに、何故かかがみには
不快感は無かった。寧ろ、どこか心地良い物でさえあった。何故だろうと思うも、結論はでない。ただ、この女性の雰
囲気がそうさせたのであろうか。
「七夕パーティー、ってのかしら」
「ええそうです」
女性はゆっくりと笹飾りの所まで歩みを進める。笹に吊るされた星の一つを手に取るとそれを優しく撫でる。
「……なつかしいわ」
「え?」
ちいさな呟きが耳に届くもそれは泡の如くすぐに消えてしまう。
「でも、こんな時期に七夕を祝うなんて、どうして?」
星の飾りから手を放しかがみ達を見つめる。優しく温かく。
まだ、帽子の奥の顔は見えない。
「それは、こなた…こっちの小さい子ね、が今日突然言い出したのよ。夏休み前にみゆき…今日はいないけど私達の友
達が、旧暦の七夕のことを話していたから、たぶんそれで思い立ったんじゃないかな~って」
「そうなの。それはきっと星達も喜んでいるわ。きっと」
女の纏う雰囲気がさらに和らぐ。きっとその帽子の下で微笑んだのだろう。
ゆっくりと、かがみ、つかさ、こなた、と顔を巡らせ、その視線は脇の机へと注がれる。
机の上には2リットルのジュースのペットボトル、紙コップ、ポッキー、コロネそして一目で自家製と判るチョコチップ
クッキーが紙皿に載せられていた。
女が特に興味を引かれたのが、自家製のチョコチップクッキーであった。一つを摘むと、かがみ達に向き直り。
「これを作ったのはどなた?」
「あ、わ、私です」
返事をしたのは混乱状態から解けたつかさだった。ちなみにこのクッキーこなたの家に行く事を聞いて自宅で作って来
たものだ。
「とてもお上手ですね」
「そ、そんなこと無いです。趣味程度ですし……」
「食べていいかしら」
「あ、はい!」
つかさの許可を取ってから女は摘んだクッキーを口にした。サクサクした食感チョコの甘み、ほのかなバターの香り、
それは趣味のレベルをすでに越えている完成度だった。
「うん、やっぱりおいしい。これは自信を持って良いわよ」
「え、あ、はい」
少々頬を染め頷く。いつもは身内や友達にしか配ってなかった。この女性が第三者、全くの他人としてつかさの料理を
初めて食べた物であり。その感想はつかさの初めての他者からの評価だった。
クッキーを食べた後、2人に断りジュースをコクコクと飲むと女性は。
「あまり、長居するのも野暮だから、そろそろ私もかえるわね。3人も遅くならない内に」
紙コップを机に置き、3人に近づく。
ている様に見えたのだった。白い大きな帽子をしている為表情を窺い知る事は出来ない。ただ、自分達に不振な眼を向
けてはいないような気配がした。年は自分達より3、4歳くらい離れているのではないかと思われる。
突然の闖入者に対し、つかさは目を白黒させ、こなたは俯いてだんまりを決め込んでる。どうやら、真っ当に対応出来
るのはかがみだけらしい。
「えっと、ですね」
とは言え、この状況では咄嗟に返答は出来ない。適当に言葉を見繕うとするが、ほとんど見つからない。
3人の狼狽する姿を見て、いたずらが成功した子供のように女が小さく、くすり、と笑う。
「ふふふ、いいのよ。別に誰か言ったりしないから。それに私も似たようなものだし」
はたと考えてみればそうだった。学校関係者じゃなければこの女性も招かれざる客、だと。
「ただし、ゴミはちゃんと持ち帰ってね」
「はい、それはもちろん」
小さい子を窘めるように言う。それ程歳が離れているとは思えない女性に子供扱いされているのに、何故かかがみには
不快感は無かった。寧ろ、どこか心地良い物でさえあった。何故だろうと思うも、結論はでない。ただ、この女性の雰
囲気がそうさせたのであろうか。
「七夕パーティー、ってのかしら」
「ええそうです」
女性はゆっくりと笹飾りの所まで歩みを進める。笹に吊るされた星の一つを手に取るとそれを優しく撫でる。
「……なつかしいわ」
「え?」
ちいさな呟きが耳に届くもそれは泡の如くすぐに消えてしまう。
「でも、こんな時期に七夕を祝うなんて、どうして?」
星の飾りから手を放しかがみ達を見つめる。優しく温かく。
まだ、帽子の奥の顔は見えない。
「それは、こなた…こっちの小さい子ね、が今日突然言い出したのよ。夏休み前にみゆき…今日はいないけど私達の友
達が、旧暦の七夕のことを話していたから、たぶんそれで思い立ったんじゃないかな~って」
「そうなの。それはきっと星達も喜んでいるわ。きっと」
女の纏う雰囲気がさらに和らぐ。きっとその帽子の下で微笑んだのだろう。
ゆっくりと、かがみ、つかさ、こなた、と顔を巡らせ、その視線は脇の机へと注がれる。
机の上には2リットルのジュースのペットボトル、紙コップ、ポッキー、コロネそして一目で自家製と判るチョコチップ
クッキーが紙皿に載せられていた。
女が特に興味を引かれたのが、自家製のチョコチップクッキーであった。一つを摘むと、かがみ達に向き直り。
「これを作ったのはどなた?」
「あ、わ、私です」
返事をしたのは混乱状態から解けたつかさだった。ちなみにこのクッキーこなたの家に行く事を聞いて自宅で作って来
たものだ。
「とてもお上手ですね」
「そ、そんなこと無いです。趣味程度ですし……」
「食べていいかしら」
「あ、はい!」
つかさの許可を取ってから女は摘んだクッキーを口にした。サクサクした食感チョコの甘み、ほのかなバターの香り、
それは趣味のレベルをすでに越えている完成度だった。
「うん、やっぱりおいしい。これは自信を持って良いわよ」
「え、あ、はい」
少々頬を染め頷く。いつもは身内や友達にしか配ってなかった。この女性が第三者、全くの他人としてつかさの料理を
初めて食べた物であり。その感想はつかさの初めての他者からの評価だった。
クッキーを食べた後、2人に断りジュースをコクコクと飲むと女性は。
「あまり、長居するのも野暮だから、そろそろ私もかえるわね。3人も遅くならない内に」
紙コップを机に置き、3人に近づく。
その帽子の下はやはり見えない。
「最後に一つ」
ゆっくりと顔を廻らし、質問する。
「今は楽しい、幸せ?」
非常に単純でありながら、深い質問。だが3人の答えは決まっている。
「うん。お姉ちゃん、こなちゃん、ゆきちゃん、皆といたら楽しいし出来るならずっと一緒にいたいよ」
「1人喧しいのがいるけど。ま、それを含めても楽しいし。会えて良かったを思っているわ」
「私は……」
ずっと、俯き黙っていたこなたが、始めて声を洩らした。
「かがみがいて、つかさがいて、みゆきさんがいて、おとうさんがいて、ゆい姉さんがいて、ゆーちゃんがいて、黒井
先生がいて……毎日が楽しいし、幸せだよ。たとえ……」
声が震えていた。声だけじゃない、肩が手が足が、それこそ全身が震えていた。
「…たとえ、お母さんがいなくても、わたし幸せだよ」
真っ直ぐにこなたは女性を見つめた。手を強く握り締め、全身を震わせ。
ゆっくりと顔を廻らし、質問する。
「今は楽しい、幸せ?」
非常に単純でありながら、深い質問。だが3人の答えは決まっている。
「うん。お姉ちゃん、こなちゃん、ゆきちゃん、皆といたら楽しいし出来るならずっと一緒にいたいよ」
「1人喧しいのがいるけど。ま、それを含めても楽しいし。会えて良かったを思っているわ」
「私は……」
ずっと、俯き黙っていたこなたが、始めて声を洩らした。
「かがみがいて、つかさがいて、みゆきさんがいて、おとうさんがいて、ゆい姉さんがいて、ゆーちゃんがいて、黒井
先生がいて……毎日が楽しいし、幸せだよ。たとえ……」
声が震えていた。声だけじゃない、肩が手が足が、それこそ全身が震えていた。
「…たとえ、お母さんがいなくても、わたし幸せだよ」
真っ直ぐにこなたは女性を見つめた。手を強く握り締め、全身を震わせ。
顔は見えない。こなたのも女性のも。
「…そう。なら、よかった」
こなたの返答を聞いた女性は3人の脇を通りその場を去ろうとする。だが、
「最後に、あなたの名前。名前を教えてください」
それは叫びだった。こなたの悲痛な思いを籠めた。
歩みを止め、振り返る女性。
こなたの返答を聞いた女性は3人の脇を通りその場を去ろうとする。だが、
「最後に、あなたの名前。名前を教えてください」
それは叫びだった。こなたの悲痛な思いを籠めた。
歩みを止め、振り返る女性。
こなたを見つめる。様々な想いを籠めた目で。
こなたも見つめる。歪む視界で彼女の姿を捉える。
数秒の交錯の後に女性はゆっくりと手を挙げて、人差し指で天を示す。
「これ以上は教える訳にはいけません」
そう言い、手を下ろすと闇の中に消えていった。
「これ以上は教える訳にはいけません」
そう言い、手を下ろすと闇の中に消えていった。
「どういうこと?」
「?」
かがみとつかさには女性の意図が掴めなかった。
だが、こなたには伝わった。
「……そらの……」
「?」
かがみとつかさには女性の意図が掴めなかった。
だが、こなたには伝わった。
「……そらの……」
風が舞い、笹飾りを揺らす
何枚も書かれた短冊が踊る
その内の一つは頭頂部近くに掲げられてる
とても古びた短冊に籠められた
その願いは
おかあさんにあいたい
願いは届けられたのだろうか
彦星と織姫に届いたのだろうか
彦星と織姫に届いたのだろうか
そう、そらのはるか
「………かなた………」
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- とても、深い話ですね。おもしろかったです!
-- チャムチロ (2012-07-21 01:12:15)