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雨あがる。その世界

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風の音を聞けばかがみの 声を想い出し。
雨に濡れればかがみとの
想い出が甦る…。
―雨あがる。その世界―
「ねぇ、こなちゃん?
一緒にお昼食べよ!」
いつもの風景。いつもの
授業と昼休み。
そう、いつもの日常だ。
いつもの如く地球は自転をくり返してる。
ただ一つ欠けているのは
……大切だったいつも。
あれは丁度一年前だ。
人なんて肺に小さな影が
できるだけで
死んじゃうんだ、って
初めて知った。
「…でね。セバスちゃん
たら足が……どしたの?
こなちゃん??」
いつもの様につかさが
笑いかけてくれる。
一番辛いだろうつかさが。時が解決してくれる……
よく言ったもんだ。
『お姉ちゃん!!嫌だよ!私お姉ちゃん居なきゃ
起きれないよ!!
…‥また勉強教ぇてよ!
…おねぇちゃん……
一人にしなぃで………。
‥‥…わぁぁぁあ!!!』冷たくなった姉の横で
泣き崩れている。
周りの大人達もみんな
泣いてた。
…その頃…私は……何してたっけ……?
確か雨がスゴかったなぁ。「どうかしましたか!?
泉さん。…もしや
体調が優れないのでは?」ン~、萌えるねぇイーヨ
みゆきさんも……スゴかったなぁ。
毎日かがみのトコに通って、学校から20kmもあるのに。……家反対方向なのに。
『…みゆき‥もうい…よ
ありが…う……。』
既に酸素マスクは外せない状態だ……。
これだけの言葉を発する
のに命の危険すらある。
みゆきさんはいつもの如く花の水を取り替えていた。『…そんな事…言わないでください……。
私はかがみさんが良くなるまで……毎日‥来ます。
私…ごめんなさい!!』
みゆきさんはすぐさま病室を出ていった。
病院全体に響く位に…
悲しくて優しい声で
…泣いていた……。


「泉さん。さうよなら」
私相手に丁寧に
お辞儀までしてくれてる!「こなちゃん!またね!」おぉう、眩しいよ。
太陽が?NO!!NO!!
つかさが?YES!YES!YES!!~…ぇ?
   ド ン
…おっと?つかささん、
こんなトコで抱き締められて     も困り……
「こなちゃん……?
昼、ずっと具合悪そう
  だったよね……。
……イヤだ!!!
こなちゃんまで居なく…、 居な‥く……!!」
つかさはこれ以上は
喋ろうとせず私から
逃げるように走ってった。 そりゃね……。私でも
ゆーちゃんがいなくなったら立ち直れませんよ……。

『かがみ?…ナ~二コレ?新種の想像上の生き物?』『うるさい!!!黙れ//病院て暇なんだから…』
かがみお手製のそれは
犬+猫+=ウサギ
みたいな人形だった。
『Σお姉ちゃんうまいネ
えと?……ブタさんカナ?』 嘘つけないんだよネ。
ナンか同情票が入りました『むー…!もう知らない!……っあのね…?
もし私に‥何かあったら…みんなにコレ受け取って
  ほしいなって…』
ベッドの下の段ボールからもう二つ人形を取り出した『ほら!私の事た‥‥
『かがみさん!!!』
それは今までに無い程の
 大きな声だった。
『そんな事…言わないで!私…あなたが死ぬなんて
考えたくない……!!』
『みゆ‥っき……
 うわぁぁぁあぁ!!』
『お姉ちゃ…ウッグ………  ヒック……』
私は泣けなかった。
一人だけ。
かがみの手を握るだけで
精一杯だった。
…とても細い手を……。

おっ、と。
…昔の夢をみてた……。
そこは、電車の中だった。 いつも通りの薄暗さが
妙に心安らぐ……。って!危ないな!降りる駅一つ前だった。
私はこれまで何度も読んだ本を急いでしまい込んだ。


‥かがみの隣は、いつも
私の特等席だったっけ、
そうそう!
いつも寄り掛かって
よだれ垂らしちゃって、
 怒られてたヨ。
…ダメだよ。早すぎるよ。もっと沢山怒ってよ……。まだ借りたラノベも
返していないし……。
かがみにもう…返せない
 じゃんか……!!
『こーなた!!』
猫撫で声で私の名前を
呼ぶ時はいつも……
『私が貸したげたラノベもう読んだよね~ぇ?』
アナタは貸したんじゃない私に【課した】んです!
『その顔、お前まだ
開いてすらないな……!』おぉ!さっすが私の親友! なんでもご存じで!!
あ、ため息ついた。
『ハァ…あのラノベまだ
私も読んでないのよっ!
早く読んで
くれないと……ッッッ!!』   え?
何が起きたの……?
急にかがみが咳き込み
出して…血を吐いて!!
 …ナースコール!
ナースコールに伸ばした
私の手をかがみは掴んだ。『ハハ‥‥いいよ‥いつもの事だからさ‥‥。
…そうだあのラノベやっぱ
アンタのペースで
読んでいいわ……』
…ゴメンね、かがみん。
嘘ついたんだ‥ホントは
  全部読んだよ…?
おもしろくて一日で
読み切っちゃったんだ……ホントはね…かがみが
退院したらね感想と一緒に 返そうと思ったんだよ?電車が込んできたね……
しょーがない、
電車の外でも見るかナ。
…町の灯りが灯っている。それは当然だけど
 当然じゃないんだ……。『おじさん!!かがみは、助かるんですよね!?』
そこはかがみが倒れて
搬送された病院の病室前。 授業が終わってすぐ走って来た為に息苦しい…。
  し ま っ た。
その息苦しさはすぐに
胸の苦しさに変わった…。『…うん、大丈夫だよ。』 おじさんは赤く目が腫れていた。
『何も心配しなくても
すぐ良くなるって。』   寝ているかがみに寄り添そっておばさんが
すすり泣いていた。
『すぐ学校にも……』
 ここから先は声にならない声だった。
『他の子達…特につかさ
には内緒にしてくれるかな‥‥‥?
あの娘はまだ姉が
治ると信じているんだ‥』私はハイ。としか
言えなかった……。
…どんな気持ちなんだろ。 娘が死んでいくのに
何もできないなんて……。


私は電車を降りた。
外は小振りの様だ。
雨が降っている。
頬に水滴が当たる……。
傘なんか無いワケで
仕方なく走った。

あの時。
かがみが死んだ時も、
雨が降っていた。
手術室のランプが着いてる『おねぇちゃん……』  『大丈夫ですよ‥きっと
つかささんを置いていく
訳ないですよ……』
みゆきさんがつかさの
頭を撫でながら寄り添っている。
『ゴメン!つかさ、みゆきさん。私トイレ!』
……限界だった。
私はできる限り全速力で
外に走っていった。
まるで泣いてるのを神様に見られなければ
かがみが死ぬ訳ないとでもいうかの様に……。
今日は凄く土砂降りだ。
雨が頬にとめどなく
流れ続ける……。
違うっ!!これは雨だ!!雨だっ!雨っつ……!!
「…っっ、ぅグ、
うわぁぁあぁぁあ!!!」その日は雲一つ無い
太陽が眩しい快晴だった。

~10年後~とある病院。
 「ボクね。走れるようになったんだ~
 スゴいでしょ!!」
「へぇ、スゴいねぇ!
この前まで
歩いただけでゼィゼィ
ヒィヒィ
ゆってたのにねぇ?」
「ヒィヒィは言ってないよ…。 ……ありがとう……
チビねえちゃん!!
 ボクを直してくれて!」「チビは余計…かな?
いいよっ。君が元気に
なってくれて嬉しい!!」「‥また来るからね?
  ………遊びに!!」
少年は走り去っていった。「またおいで…ってコラ!しょうがないな~……
今度は友達連れてきな!」 医者はお気に入りのベレー帽をとった。
そこに可愛らしいクセ毛が ピョコっと顔を出した。

どこかで雨がまた
一つ止んだ……。        ~END~















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  • 感動して泣きました・・・
    いい話ですね -- 癒水 (2010-08-16 12:04:32)
  • 感動して泣きました…… -- 名無しさん (2008-05-10 14:41:22)
  • いいお話でしたね!!感動しました。

    -- 九重龍太 (2008-03-18 23:39:44)
  • とても感動しました!ss読んで泣いたのは久しぶりでした。 -- 名無しさん (2007-10-06 00:40:17)
  • 凄く悲しくなってきました、、
    執筆ご苦労様です… -- 名無しさん (2007-08-16 16:40:21)

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