kairakunoza @ ウィキ

誕生日プレゼント

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匿名ユーザー

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 八月二十一日。時刻はもうすぐ子の刻になろうかというところだった。

「‥‥ねえお父さん」
「なんだ?」
「今日はお父さんのお誕生日だよね」
「さーて、それはどうだったかな」
「またそうやってとぼけて。もういいよ。じゃあこれはおあずけ」
 こなたはサッと何かを隠すそぶりをする。
 瞬間、そうじろうの目つきが変わった。
「前言撤回! ワタクシ、泉そうじろうは本日付けで一歳としを取りましたっ!
 ……で、『これ』って何だ? 」
「まだ秘密~。とりあえず、私の話が終わってからね」
「ふむ、じらしプレイか。なかなかやるな」
「‥‥とにかく、茶化さないで最後まで聴いて」
 あきれた顔から、普段はあまり見せないまじめな顔に変わる。

「例えばの話だけど、お父さんも中学生か高校生のとき合唱コンクールがあったでしょ」
「ああ、そういえばあったな」
「そのとき、最後のほうで歌ったクラスは有利になるって聞いたことない?」
「あるようなないような‥‥。まあ、言わんとすることはわかるが」
「先に歌うと、よほど完成度が高くない限り、審査員の印象が薄くなっちゃうんだよね」
「そういうことになるな。で、それはどう関係するんだ」
「つまり内容もおろそかにはできないんだけど、順番も重要なの。
 日付が変わってすぐ、おめでとうメールを送ってもいいけど、それじゃ物足りない。
 だから私は、今日のことをずっと覚えていてもらうために“一番最後”に『お誕生日おめでとう』ってお父さんに伝えたくて‥‥」
「こなた‥‥」
(本当にオレ好みのいい子に育ってくれたなぁ‥‥感動のあまり萌死しちゃうぞ?)

「お父さん、これは十八年分も育ててくれたお礼。これからも私のお父さんでいてね」
 先ほど隠したプレゼントを手渡す。
 涙で視界はにじんでいたが、そうじろうはしっかりと受け取った。
「ありがとう! オレはこんなにすばらしい誕生日を迎えられてとても嬉しいぞ!!
 花粉症の時期じゃないのに、涙が、涙がとまらな、い‥‥」
「お父さん、ちょ、なにもそこまで‥‥もう夜だから、そんな大声で泣かないで――」




 時はちょっと進んで、翌日の昼。
 柊家の一室。
「――てなかんじで、お父さん号泣しちゃって、その後が大変だったよ」
「こなちゃんのお父さんすごいね‥‥」
「あんた、また変なアニメかゲームに影響されたの?」
「う゛」
「図星か‥‥。唯一の親なんだから、あんまりからかっちゃダメよ」
「まぁお父さんは喜んでくれたし、結果オーライということで」
「本当、はた迷惑な存在ね。あんたは」















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  • ちょwww 感動していいのかわからないWWW -- 名無しさん (2008-04-06 13:40:07)

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