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こな☆フェチ ~こなたんず~

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だれでも歓迎! 編集
なんでもない日常。
そんなある日の朝、またもや妙な事件が起きた。

時間:朝、6時くらい
場所:泉家 こなた自室
原因:不明
証言:
泉こなた氏「「「またかぁああぁあぁぁあああぁぁぁああああ!!」」」















 お昼休み。私はいつものようにB組に向かい、つかさの作ってくれたお弁当を広げる。
 あ、今日は純和風だ。肉じゃがに豚の角煮、それに天ぷらか……つかさ、私のこと太らせようとしてない?
「ねぇお姉ちゃん」
 天ぷらとにらめっこを開始していた私に、つかさが遠慮がちに話しかけてきた。
「またこなちゃんいないね」
 またもやこなたは休み。
 1週間前も似たような状況で欠席してたけど、まさかまたじゃないだろうな。
 ちょっと電話してみるか。
 食事を中断し、箸を置いて携帯を取り出す。自宅に直接かけることにしよう。
 プルルプルルという呼び出し音の後、聞きなれたおじさんの声が聞こえた。
『はいもしもし泉ですが』
「あ、もしもしおはようございます。かがみです」
『あーかがみちゃんか、おはよう』
「あの、こなたは」
『……いやぁ、またちょっと困ったことになっちゃってね』
 やっぱりか……
 もしかして体質なのか?いやどんな体質だよ。
『それで、もしよかったら、帰りに寄ってってやってくれないかい?こなたも喜ぶから』
 私が脳内で漫才を繰り広げていると、おじさんが少し遠慮がちに尋ねてきた。
「はい、もちろん。もとよりそのつもりでしたので」
『うん、ありがとう。それじゃあ』
 携帯を閉じて前を向くと、2人が興味津々といった感じで、こちらに身を乗り出していた。
「お姉ちゃん、こなちゃんどうだって?」
「私も興味があります」
「どうっていわれても……ただ困ったことになったとしか」
 2人は元の姿勢に戻り、ちょっと残念そうな顔をしている。
「そっかぁ~……今度は何歳くらいになってるんだろうね♪」
 何歳って……また縮んでるとは限らないでしょ。
 というか楽しんでないか?
「そうですね、心配ですね」
 とても心配してるとは思えないほどに嬉しそうな顔で言う。
 みゆき少しは隠せ。
「2人も行くわよね?こなたん家」
「当たり前だよ♪」
「もちろんです」











「いらっしゃいみんな」
 泉家に到着すると、おじさんが笑顔で迎えてくれた。
 先週バトルを繰り広げた(繰り広げてはいない)とは思えない待遇の違いだ。
 昨日の敵は今日の友?
「こなた、2階で待ってるから」
「あ、はい。分かりました」
 おじさんに挨拶を済ませ、2階へと向かう。
 っとその前にトイレでも借りようかな。
 こなたの部屋に行く途中のトイレ。そのドアノブに手を掛ける……が、開かない。
「あ、ごめーん。今使ってるからぁ」
 こなたの声が聞こえた。
 なんだ、トイレにいたのか。
「先部屋に行っててよ」
「うん。分かった」
 それほど催しているわけじゃないし、後でいっか。
 私たちはこなたの部屋へと向かった。


 ところが、2階への階段を上っている途中。
「おー、かがみたち来てたんだ」
「え?」
 なぜかこなたが降りてくるところに鉢合わせた。
「あ、あれ?こなたトイレに」
「飲み物持ってくるから、先に部屋行っててよ」
「う、うん」
 わけも分からないまま、3人で部屋に向かうことにした。


「お姉ちゃん、こなちゃんって忍者なのかなぁ」
「なわけあるか」
 何を言ってるんだこの妹は。
 つかさに向かって忍者の歴史を語り始めたみゆきをスルーして、部屋のドアに手を掛けた。
「おーいらっしゃい、かがみにつかさ、みゆきさん♪」
「……」
 こなたが自室のベッドに座っている。
 足をぱたぱたさせながら、積み上げられた漫画を選んでいた。
 見るだけなら可愛らしい光景なのだが。どうも引っかかる。
「こなた、あんたさっき下に下りていかなかった?」
 素直に疑問を投げかけてみた。
「そしたらここにいないじゃん」
 そりゃそうだ。そうなんだけど……
 じゃあなにか?さっきのは幻覚とか幻聴だったのか?
 隣の2人もなんだか不思議な表情をしていた。





「ただいま~、飲み物持ってきたよぉ~」
「ごめんごめん、お手洗い遅くなっちゃった」




「へ?」
 後ろから、同じ声が聞こえた。
 振り返るとそこには……
「こ、こなた!?」
 こなたがいた。
 え、何?何なの?この2人のこなたは。
 あれ?というか部屋の中にも既に1人いるはずなんだけど。
「みーんなこなただよ」
 部屋中に、私とつかさの叫び声が響く。
 みゆきの眼鏡が垂直に飛んだ。
 みゆき何なんだ。










『こな☆フェチ ~こなたんず~』










 トイレで用を足してから、部屋に戻る。
「で?また起きたらこうなってたとか言うんじゃないでしょうね」
 少し落ち着いた私とつかさ、そしてたぶんみゆきだと思われる人は、こなたと向かい合うように座る。
 そして目の前には、なぜかこなたが……1・2・3……3人もいる。
「もちろんそうだけど」
 頭を抱えた。なんでこうこいつは……
 いやまぁ仕方ないんだろうけど。
「でもでもかがみぃ♪3人ともちょっと違うんだよ」
「何が違うのよ?」
「私はいつものこなただけど、こっちの私は結構甘えん坊で、そっちの私はかなりのおとぼけさんなんだよ」
 楽しそうにそう語るこなた。
 つまり、それぞれ微妙に個性が違うのか。
 それなら、全部『こなた』じゃ分かりにくいし、私の脳内の呼び方変えておくことにしよう。
 取り敢えずここでは、オリジナルはいつものように『こなた』
 甘えん坊を『こなたん』、おとぼけさんを『此方』ということにしておくか。
「泉さん、お体のほうは大丈夫ですか?」
 心配そうな顔でこなたを見つめるみゆき。
 カメラをしまえ。
「んむ、そっちの方は大丈夫なんだけど……でもねぇ」
 こなたが困ったように頬を掻く。
「あのさ、ちょっとお願いがあるんだけど」
 ちょっと言いずらそうに、視線を逸らしながらもじもじするこなた。
 これが一人だったら『やっば、可愛い』で済んだのだろうけど、3人もいるせいで
 威力は734倍だ。
 ちなみに計算式はこれ。
 『愛(こなた×こなた×こなた+(あほ毛×3+頬染め×3))』


「この家に私が3人もいるとちょっと狭いんだよね。だからさ、それぞれの家に1人づつ連れてってくれないかな」


 ……こなたさん、それはまじっすか。
 つまり、こなたをお持ち帰りしてもいいということなのか?
 ひゃっほ~い♪

 おっと、柄にもなくはしゃいでしまったわ。

「だめ……かなぁ?」
 ふぉーぅ!!そんな寂しそうにするな!!理性が!!

「私は構いませんよ」
 私が悶絶する隣で、みゆきが平然と言ってのけた。
 でもよくよく見てみると、無数のひびが眼鏡に走り、私の知らない世界だった。
 みゆきそれ見えるのか?

「わーありがとーみゆきさん♪」
「だからみゆきさん好きだよぉ~♪」
「みゆきさんだーい好きぃ~♪」

 こなたんず(今勝手に命名)が一斉にみゆきに抱きついた。その刹那。

 ガラッ
 みゆきが窓ガラスを開けて、外に飛び出す。
 ここ2階。

「あれぇ?みゆきさんどうしたんだろう」
 不思議そうに首を傾げるこなたん。
 あんたのせいよ、とは言えない。
「取り敢えず、誰が誰のところに行くのか決めようよ」
「うん、そうしよう」
「さんせ~ぃ♪」
 こなたの提案に、こなたんと此方が相槌をうつ。

「私かがみがいい~」
「私だってかがみのとこがいいよぉ~、つかさもいるし」
「かがみのとこ行くのは私だもん!!」
 3人が私に抱きついてきた。
 気づいていないのかもしれないけど、3人ともかなり構いったがり屋になってるみたいだ。
 あぁ~それにしても、暖かいなぁこの子達……てか気持ちい、気持ちよすぎる。
 こりゃぁみゆきも窓から飛び出すはずだ。
 つかさが『お姉ちゃんいいなぁ~』なんて言ってたけれど……
 つかさ。ここは天国で地獄よ。今にも理性が吹き飛びそうだ。

「むぅ~……よし!!じゃんけんでしょーぶだ!!」
「「望むところだ!!」」
 3人のこなたが火花を散らす。
「「「さーいしょーはぐー!!じゃんけんぽん!!」」」



 同じ人物だったせいか、かなり時間がかかったけれど、どうやら勝敗は決まったみたいだ。
 嬉しい顔・微妙な顔・悲しむ顔、3人の顔は様々。
 最初に選べるのがこなたん。次が此方、こなたの順番だ。オリジナルが負けてどうする。 
「いぇ~ぃ♪そんじゃあ私かがみ~♪」
 甘えん坊のこなたんが、私の腕にしがみついてきた。
 小さい胸がぐいぐい押し付けられて、今にも鼻血が出そうだ。
「すみません。取り乱しました」
 ようやくみゆきが、さっき飛び出していった窓から戻ってきた。
 そしてここ2階。

「いいも~ん。私みゆきさんといちゃいちゃするもん」
 そう言ってみゆきの腕に抱きつく此方。


 プシュッ
 みゆきの額から血が噴き出した。
 みゆき忙しそうだな。

「くぅ……私だけ留守番なんて、むごいむごすぎる!!」
「あのね、こなちゃん」
 涙を流すこなたにつかさが近づき言う。
「無理に一家に一人ってしなくても、一人につき一人づつとかでもいいんじゃないかなぁ?私余ってるし」
「……な、なるほどぉ!!つかさ頭いいね!!」
 えへへ、と照れながら頭を掻くつかさ。
 そのあとすぐに、こなたを後ろから抱きしめた。
「じゃ、じゃあ、こなちゃんは私のものだね♪」
「うむ♪」
 喜ぶこなたと、悦ぶつかさ。
 一瞬うらやましいなんて思ったけど、私だってこなたを所有してるわけだしね。
 それにしても、おじさんが可愛そうだな……一人残らず連れてかれちゃって。
 ってか今思ったけど、連れて行く理由が当初と違ってるような気が……




「んじゃーにー、かがみとつかさと2人の私~」
 泉家前で別れる前、此方が私たちに別れ際の挨拶をした。
「それでは、また明日。つかささん、かがみさん、2人の泉さん」
「ん、じゃーね。こなた、みゆき」
「ばいばい、こなちゃん、ゆきちゃん」
「また明日ぁ~、私とみゆきさん」
「じゃーにー、私とみゆきさん」
 カオス。
 もう何がなんだか分からない言葉が交わされる。
 取り敢えず私とつかさとこなたとこなたんは、私達の家に向かうことにした。




「ただいまぁ~」
 つかさが間の抜けた声を発しながら、玄関のドアを開ける。
 靴は全員分ある……説明するのめんどくさいなぁ。
 隣にいるこなたんの手を握る。すると嬉しそうににぎにぎしてきた。
 この子はいちいち私の理性を削るから困る。
 こなたんの手を引いて、リビングへと向かう。
 そこには私とつかさを除いた家族全員が揃っていた。


「あ、お帰り2人とも……あれ?こなたちゃん、いらっしゃ……え?こなたちゃん?あれ?」
 お母さんがちんぷんかんぷんといった様子で、2人のこなたを交互に指差す。
 いのり姉さんは笑顔のままで固まり、お父さんはお茶菓子を用意し始めた。
 まつり姉さんはテレビを見て爆笑している。こっちむけよ。
「あの、かがみ、つかさ……これはいったいどういう?」
「うん、実はね」
 私は、今回のことを事細かに話した。
 まつり姉さん話聞け。







「……というわけなの」
「「「……」」」
 いのり姉さんとお母さん、お父さんは、信じられないといった状態で口がぽかんと開いていた。
 まつり姉さんはこなたとこなたんをなでなでしている。
 その手を離せ!!こなたんは私のだ!!
「信じられないけど、事実なんでしょうね。実際目の前でそうなってるわけだし」
 いのり姉さんが、不思議なこともあるものね、と目を瞑る。
 お父さんとお母さんはもう慣れたのか、2人にご飯は何がいい?とか聞いてる。
 信じがたい順応力だ。
 こらまつり姉さん!!こなたんに抱きつくな!!
「まぁ、そういうことなら仕方がないね。元に戻るまでここにいさせてあげようか」
 お父さんは、こなたを実の娘を見ているような眼差しで見ながら言った。
 よかった、もしだめとか言われたらどうしようかと思った。
「取り敢えず、ご飯できるまで結構時間かかりそうだから、自分達の部屋にでも行ってて?お母さん呼ぶから」
「あ、私手伝うよお母さん」
 つかさがとことことお母さんの傍に駆けてゆく。
「あら、助かるわつかさ。量多くなりそうだし。じゃあかがみ、こなたちゃん達の相手しておいてくれる?」
「へ?あ、うん」
「かがみあそぼー」
「かがみ~」
 そう言って私の手を引っ張るこなたとこなたん。
 子供かあんたら。でもそこがいい!!
 私はこなた達の手を引き、『がんばって』部屋へと連れて行った。






 カチカチとコントローラーを叩く音が部屋に響く。
 こなたは、私の部屋でいつものようにゲームを黙々と進める。
 一方、甘えん坊なこなたんはというと……
「かーがみぃ~♪何かして遊ぼうよぉ~♪」
「……」
 さっきから私にべったりくっついて離れない。うれしいんだけど、まずい状況だ。
 今私の脳内では、理性と欲望がそれこそ宇宙戦争にすら発展しかけない勢いで、戦いを繰り広げていた。
 尚も、こなたのすりすり攻撃は続く。私、必死。
「むぅ~、なんで何も言わないのさぁ~」
 言わないんじゃない言えないのよ。余裕ないのよ、ぎりぎりなのよ、切羽詰ってるのよ。
「……よ~し」
「え?」
 突如、世界が回った。
 こなたんに肩を押されベッドに倒されたみたいだ。
 丁度こなたんの顔が目の前にある状態。
 そして、愛しいものに触れるように、私の顔を両手で挟んだ。
「な!?ちょっとこな……んぅ!?」
「ん……」
 唇を塞がれた。
 いきなりだったので、私は目を開けたまま。
 こなたんは目を瞑り、頬を仄かに染めている。
「……ふぅ」
 目を閉じたまま、ゆっくりと顔を離していく。
 私の唇には、まだ生暖かい感触が残ったまま。
 こなたんは、にまにまとぬるい微笑を浮かべていた。
 今の私は、さしずめ餌を求める鯉のようだろう。

「ぷっ……かがみなにそれ?ぱくぱくぱくぱく何してんのさ♪」
 そんな私を見てケラケラと笑うこなたん。
 このやろう。

「あー面白かった」
 一頻り笑い終わると、疲れたように私の胸に顔を置いた。
 そのまますりすりと顔を擦り付けてくる。
「かがみの胸……気持ちいね」
 まるで母親の胸の中で眠る子供のように、大きく息を吐き出した。
 目を瞑りながら、くすくすと声を震わせている。
 しかし、少しすると勢いよく立ち上がり、ゲームをするこなたのところへ向かおうとした。



「さてと、もう一人の私とゲームでも」
「待ちなさいよ」
 手の届くギリギリの距離で、こなたんの右手を捕まえることに成功した。
 そのままこっちに引っ張りベッドに押し倒す。
 今度は私がマウントポジション。
 こなたんは状況が掴めていないらしく、目を白黒させている。
 私は、耳元で囁くように言った。
「お返しくらい、覚悟してたわよね?」
「え?……んぅ!?」
 一呼吸置かないうちに、こなたんの唇へと自分のそれを重ねた。
 すぐに舌を差し入れる。一際大きく体が震えたが、今のこなたんにはどうすることもできないだろう。
 私は、理性の糸が切れていたことに気づいていなかった。
「んふぁ……ふぁふぁ……ふぃ……んちゅ」
 少し抵抗を試みていた手を自らの手で拘束して、先ほどよりも強く唇を押し付けた。
 密着率は100%。人体において『唇』と称される部分は、見事なまでに重なっている。
 この子格闘技経験者って言ってたけれど、いざっていうときは役に立たないみたいね。
 そんな思考を巡らせつつ、さっきより深く舌を差し込んだ。
 こなたんがくぐもった声をあげているけれど、まぁ危機管理ができていない自分を恨むのね。
 口内のありとあらゆる部分を、舌でなぞる。
 最初は抵抗していた可愛い舌も、今は私の舌をちろちろと追いかけている状態だ。
 ……そろそろいいか。
 私は名残惜しくも、唇を離す。
 同時に、目の前の少女が大きく息を吸った。

「かがみも好きだねぇ~」
 ……あれ?
 目の前のこなたんは息が上がって、とても話せるような状態じゃないのに、なぜか声が……
 あ、そうか……同じ声だから聞き間違えたんだ。
 私は、本当の声の主がいる方へと顔を向けた。
 いつの間にかこなたがゲームをやめて、ベッドのすぐ横で膝立ちしていた。
「それにしても……自分自身じゃないにしても、自分と全く同じ姿が襲われてると、結構くるね……」
 そう言って、内股をもじもじと擦っている。
「よーし、私も参加する!!」
「え!?ちょ!!」
 突然、こなたが私に抱きつき、首筋にキスをしてきた。
「ほらほらもう一人の私も!!」
「ん、うむ」
 ゾンビのようにゆらりと起き上がったこなたんは、私の耳にかぶりつく。
 2人とも、私の好きな人だということもあってか、スタンガンでも使われたような電気が全身に流れた。
 あ……やばい……やばい……
 二次暴走が……



「3人とも、ご飯できたよぉ……ってなにやってるの!?」
 声の聞こえた方に目だけを向ける。
 つかさが大きな目を限界まで見開いて、固まっていた。
 やばいところを見られた……

「お姉ちゃんずるい!!」
 そっちかよ。

「まぁまぁ、ほらご飯食べにいこうよ皆。つかさも、キスくらいならあとでいくらでもしてあげるから」
「わーい」
 わーいじゃねーよ。
 ってか、あんたらのそのテンションはなんなんだ。
 少し落ち着け。いや、私も落ち着け。

「そ、そうね。お腹もすいたし」
 取り敢えず、こいつらと対等に付き合うには、このテンションに合わせないと。
 そう、まるでなにごともなかったかのように。
 そう、エレガントに。

 などと考えながら、自分のテンションに疑問を抱きつつも、私たちはリビングへと降りていった。









「ねぇねぇかがみ」
 家族全員変なテンション(たぶんこなた達のせい)で夕食を食べ終ると、長女のいのり姉さんが話しかけてきた。

「何?」
「こなたちゃん、今度増えたら私にも分けて?」
 子犬かよ。いやハムスターか?
 どっちでもいいか。
「いや、たぶん増えないから」
「もしもってことがあるでしょ?」
「……増えたらね」
 ありがとーと満面の笑みで答える姉さん。
 そんなにほしいかな、こなた。
 いや、ほしいか。可愛いし。
 生返事をして、お風呂に入るために一旦、自室に戻ることにした。





 お風呂からあがり、髪を拭きながら自室へ戻る途中
 こなたんをどこに寝かすかについて考えた。
 布団を持ってきて床に寝させるか、一緒にベッドに寝るか。
 ん?何を悩んでるんだ私は?
 後者に決まってるじゃん!!

 ――ちなみにこの間0.5秒

「取り敢えず一緒のベッド……ふぉおおぉぉおぉぉおおお!?」

 私の部屋のドアを開け、我が目を疑う。
 そろそろ換え時かな、とか思ったりした。
 こなた2人が互い違いに重なり、お互いの大事なところを舐めあっていた。
 もちろん裸で。




「「ちゅぷ……あ、かがみおかえりぃ~」」
 焦れよ。
 ってか、うわ……何これ、なんてエロすぎる情景だよ。
 絶対私鼻血出てるって。
「ごめんごめ~ん、なんか2人きりになったら、急に自分の味のことが気になっちゃって……ってか、かがみ鼻血」
 自分の味って何だよ。
 何か?芸風とかそんなのか?んなわけない。
 って何言ってんだ私。
「じ、自分の味って何よ?」
「ん?つかさが前にさ『こなちゃんのここ、甘いね』とか言ってたからさ。かがみ鼻血出てるって」
 つかさが?
 つかさどこ舐めたんだ……この上なく気になる。
 それにしても……ベッドがすごいことに。
「と、取り敢えずあんたらお風呂入ってきなさいよ」
「「はーい」」
 鼻血拭きなよ?と言い残して、2人仲良く部屋を出て行く。
 っておい、裸のまま出てったぞ!?
 一階からなにやら叫び声と、食器の割れる音と、なぜか爆発音が聞こえた。
 下で何してんだ。

 そのあと、一応シーツの匂いを堪能してから、交換しておいた。








「ふぁ~いい湯だったぁ~♪」
 頭の上から湯気と音符を立ち上らせながら、こなたんが帰って来た。
 こなたの方は、つかさの部屋に向かったみたいだ。
 用意しておいた枕を、私の枕の隣に並べてこなたを迎え入れた。
「こなた、今日は一緒に寝るわよ」
「おーかがみと一緒に寝れるの?わぁーい♪……かがみ、いいかげん鼻血拭けば?」
 先にベッドに入ってて、とこなたんに言ってからトイレに向かった(ここでようやく鼻血を拭く)。


「……!!……!?……!!!!!」
「……♪……♪」
 ん?なんかつかさの部屋から声が聞こえる。
 こなたの悲痛な叫びと、つかさの楽しそうな声。
 明らかにバランスがおかしい。ドアに耳を当ててみた。

「つ、つかさ?取り敢えず落ち着こう」
「こなちゃん」
「うん、分かってる。分かってるから、まずその手に持ってるものを床にだね」
「こなちゃん、こなちゃん」
「え?いやもう寝ようよ、わたし疲れたし。それにさっきキスしてあげたでしょ?」
「こなちゃん、こなちゃん、こなこなちゃ~ん♪」
「いや、だからね?つか……にょわぁああぁぁあああぁぁぁあ!!」

「……」
 聞かなかったことにしよう。
 扉の前で手を合わせてからトイレに向かう途中、いのり姉さんと出くわした。
「あ、かがみ、こなたちゃん増えた?」
 開口一番がそれかよ。
「いや、増えてないから」
「なーんだ、残念。増えたら教えてね?」
 そういい残して、一階に下りていってしまった。
 もしかしてそれ聞くために上がってきたのだろうか。
 私は、やりきれない気持ちを抱えながら、トイレに向かった。





 こなたまだ起きてるかな。
 思ったよりも戻るのが遅くなってしまった……トイレじゃないわよ?
 お父さんとかお母さんとか姉さん2人に足止めくらったりしたせいよ。
 いのり姉さんとか下にいる間でも15回は『こなたちゃん増えてないの?』って聞いてくるし。
 あれか?いじめか?いじめなのか?
 まつり姉さんとか、またテレビ見ながら爆笑してたし。
 てか今日あの人笑ってるか撫でてるか、くらいしか行動してるの見てないんだけど……

 家族に不安を覚えつつ、自室のドアを開ける。
「かがみぃ♪」
 ベッドで、顎までかけ布団を引き上げながら、私の名前を呼んだ。
 あ、こなたか。天使かと思ったわ。
「なんだ、起きてたの。先に寝ちゃっててもよかったのに」
「折角一緒に寝られるんだよ?そんなのもったいなさすぎるって♪」
 うれしいこと言ってくれるじゃない。
 ふと机の上の携帯が光っているのが目についた。
 ディスプレイを覗き込むと『みゆき』という字が目に入る。
 なにかしら……


『かがみさん、すごい発見をしました。
  (=ω=.)
  この顔文字、泉さんに似てませんか?』


 だからどうしたんだみゆき。
 返信に困るメールはやめていただきたい。
 まぁ、一応返信はしておかないと。


『落ち着け』


 これでよしっと。
 携帯の電源を『意図的』に切って、ベッドに潜り込んだ。




「いらっしゃいかがみぃ~♪」
 嬉しそうにきゃいきゃい言いながら、私のパジャマの袖を引っ張ってくるこなたん。
 私の体をぺたぺた触ってくるこなたん。
 萌え死にそうだ。でもなぜか理性はなんともなかった。さっきの刺激物のおかげだろうか。
 こなたんは、一頻り私を触り終わると大人しくなり、こっちを見たまま微笑んでいた。
「な、何よ」
「ん?かがみかわいいなぁって」
「な、何よいきなり」
「きゅふふ」
 遊んでるな、こいつは全く……

「2人で寝ると暖かいねぇ、かがみ♪」
「そう、ね」
 一人で寝るときと比べると、身も心もずっと暖かい。
 しかもどんな体勢でもこなたに触ってしまう。
 理性が落ち着いてる分、いつもよりどきどきしてしまう。
 だけど……ちょっと……その……もどかしいというか、なんというか……
「かがみどうかした?」
「あ、いや……別に」
「ん?……むふふ♪」
 不意に、こなたんが私の頭を抱いた。

「ちょ、こなた!?」
「いーこいーこ」
 そのままの姿勢で、頭をなでなでしてくる。

「たまにはこんなのも……いいよね?」
「……」
 うわぁ……不意打ちよ。嬉しい不意打ち。
 恥ずかしかったけど、もっとこのままでいたいって気持ちの方が勝ってしまった。
 こんなことされながら、そんなやさしい声で呟かれたら私……
 目の前にある細い胴に手を回して、優しく抱きしめてみた。
 顔は薄い胸のところにくっつけて、すりすり擦る。
 ちょっと擽ったそうに身を捩ったけれど、それよりも嬉しそうに、私の頭を抱える力を強くしていた。
 この状況、別の意味でやばいかも……
 あ、ちょっと眠いや……
 目が完全に閉じる間際、小さな声で『おやすみ』と聞こえた気がした。



【 fin 】















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コメント:
  • (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-04-19 00:30:13)
  • 誰か暴走しないツッコミ求むwww
    ツッコミまで暴走するから手がつけられない…
    たまにはこんな壊れたらきすたもイイデスネ -- FOAF (2012-08-27 19:29:36)
  • そうじろう「俺としちゃ3人とも家に居るほうが嬉しいんだがなあ…って
    …え?みんな行っちゃうの??ちょっと待ってえぇぇぇ~」ショボン -- 名無しさん (2011-04-28 23:53:19)
  • みゆき、何なんだwwwww -- 名無しさん (2008-08-08 23:54:39)
  • みゆき、なにがしたかったんだ?
    でも笑ったWWWW -- 名無しさん (2008-06-02 22:20:43)
  • 新しいジャンル
    こなたざわ症候群
    -- 名無しさん (2008-04-08 09:41:12)
  • みゆき何なんだ。
    に不覚にもwwwwwwwwwwwwwww -- 名無しさん (2008-03-29 15:24:17)
  • クオリティ高いですね
    とても面白がったです -- 名無しさん (2008-02-10 04:58:29)
  • やばすぎるwww面白すぎる的な意味でwww
    だめだ‥ 萌えすぎて氏にそ‥‥う‥‥‥だ‥‥ -- 名無しさん (2008-02-10 01:05:48)
  • まさに国宝。クオリティの高さに脱毛です。 -- 名無しさん (2007-12-07 20:30:15)
  • みゆきさん家に連れ帰られた此方がどうなったのか気になるw -- 名無しさん (2007-10-04 15:21:34)
  • 天使かと思ったわwwwwどんだけー☆ -- 名無しさん (2007-10-04 14:40:45)
  • GJです!!
    こなたがかがみのパジャマの裾を引っ張るところで萌え死にました。

    更にみゆきのメールのところで笑い転げましたwwwwwww -- 名無しさん (2007-10-01 23:55:48)
  • このシリーズ1番大好きだwwwwwwwwwwwwwwwwwww
    微妙にエロを含み、更にしっかりと萌えさせてくれて
    しかも腹がぶっ壊れるくらい笑わせてくれるwwwwwwwwwwwwwwwwww
    もう・・・思い残すことは・・・・・な・・い・・・・・・・
    ・・・・は!死んじゃ駄目だ!続編が見れなくなる!!!!!!!!!! -- こなフェチ病患者 (2007-09-27 16:02:21)

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