kairakunoza @ ウィキ

魔法使いのお守り

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匿名ユーザー

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学校の帰り、私はこなたに誘われて一緒にアニメショップへと立ち寄ることになった。

「しかしあんたもよく来るわよね」
「まあほぼ毎日通ってるぐらいだしね~」

そんな会話をしつつ私たちは店に到着した。
そして店に入ろうとしたときに、同い年ぐらいの男の子とぶつかりそうになる。

「うわっ……と?」
「おっと。ごめんなさい……って、あれ?」

何故か語尾に?がつく2人。
すると男の子のほうが

「ひょっとして……こなたさん?」

と、そんな台詞を口にした。

「もしかして……」
「久しぶりだね」
「おおう、久しぶり!元気だった?」
「もちろん。こなたさんも元気そうだね。でも……」

そう言うと彼はこなたの頭に手をポンと乗せた。

「相変わらず背はちっちゃいままかな」
「む~。私じゃどうにもならないんだから仕方ないじゃん」
「でも少しは健康な生活を送らないとだめだよ?」
「48時間耐久でゲームしてた人に言われたくないよ……」

状況が呑み込めない私をおいて仲良く話す2人。
というか入口でこういう会話してて大丈夫なのだろうか……
そんなことを思っていると、こなたが話をやめてこちらに向く。

「いや~ごめんかがみ。すっかり忘れてたよ」
「何気に酷いこと言うわね……。で?そっちにいる人は誰なの?」
「ああ。前に話さなかったっけ?ほら、中学のときの友達だよ」

そういえば前にそんな話をしたような気がする。
確か……

「魔法使いさん……だったっけ?」
「そうそう、その人だよ」

そして彼―――魔法使いさんの方へと向いた。


「えーと。初めまして、柊かがみです」
「こちらこそ初めまして。僕は――」
「『魔法使いさん』でよくない?あの時からのあだ名みたいなもんだし」

魔法使いさんが名前を口にしようとした瞬間にこなたが割りこんできた。

「まあ確かにそうだけど……」
「じゃあ『魔法使いさん』で決定ね~」
「拒否権は……ないよなぁ」

そのまましょんぼりしてしまう魔法使いさん。

「あのー、大丈夫ですか?」
「ああ、うん、大丈夫。友達になったときからのことだから……」

いや、全然大丈夫そうに見えないのだけど。
というかこなたよ、あんたはこの人に何をしたのか。

「こういう絡みも久しぶりだねぇ」
「ははは……。まあ確かに」
「魔法使いさんは今日は何でここに?」
「多分2人と同じ。今日発売のマンガとか、そういうのを買いに来ただけだよ」
「なるほど。これも一期一会ってやつだね」

ふむふむ、と一人で納得するこなた。
……もうすっかり雑談ムードだが本来の目的を忘れていないだろうか。
少し心配になったのでこなたに声をかける。

「ねぇ、こなた」
「何だいかがみんや」
「あんた買い物は?」
「―――あ」
「やっぱり忘れてたか……」

その台詞と共にため息をつく。

「えーと……どうする?もう帰っちゃう?」
心配そうな声で魔法使いさんに話しかけるこなた。

「用は済ませちゃったし今日はこの後用事があるんだけど……。それじゃあこなたさんが来るまで外で待ってるよ。それくらいの時間はあるしね」
「分かった、なるべく早く買って来るよ!」
言うが早いかそのままダッシュ――をしようとしたところでこなたがこちらを向いた。

「―――と、かがみはどうする?」
「私?」

一応こなたに付き合って来たわけだし、本当は行くべきなのだろう。
けどすぐに買い物が終わるのだったら私が居てもあまり意味は無いわけで。
私は後者を取ることにした。

「私も外で待ってるわ。だからさっさと買い物済ましちゃいなさいよ」
「りょーかいっ!」

その言葉を合図に今度こそこなたはダッシュで店の中へと消えた。
残された私たちは店の前からちょっと離れた所にあるベンチに腰掛ける。
ふう、と息をつくと魔法使いさんが話しかけてきた。

「こなたさん……もしかして学校でもあんな感じ?」
「そうですね、いつもあんな感じです」

即答する。

「なるほど。相変わらず回りを巻き込んでるわけだ」

昔を懐かしむように話す魔法使いさん。
こなたのああいう性格は3年前から変化がないようだ。


「それじゃあもう一つ質問いいかな」
「何ですか?」
「もしかしてこなたさんのこと好きなのかな?」
「なっ!?」


突然投下された爆弾発言に驚いた。
私は冷静に返答しようとする。

「なななななな何を言って……!」

駄目だ、こんなこと言われた後で冷静になれる筈がない……。

「ふむふむ。これは正解かな?」

上擦った声でしか返答出来ない私をよそに、魔法使いさんは一人で納得していた。

「な、なんで分かったんですか」
「ん、何が?」
「そ、その……」

自分の顔が真っ赤になっていくのが分かるが、それを必死に抑える。

「私がこなたのこと……その、好きになったってことを」
「柊さん、こなたさんに話しかけられる度に顔がちょっと赤くなってたからね。もしかしたら―――と思ったわけだよ」
「そうなんですか……って、ええええ!?」

そんなこと自覚すらしていなかった。
他人から見れば毎回そんな反応をしていたのか……!
思わず頭を抱えてうずくまる。

「柊さん」
「何でしょうか……」
真っ赤になった顔を上げると、目の前に同じく真っ赤な色をした物が視界に入る。

「これ、柊さんにあげるよ」

その魔法使いさんの手に握られていたのは、少し小さめのお守りだった。

「これって……」
「まあ世間一般で言う恋愛成就のお守りだね」

そう言って魔法使いさんは私の手にそのお守りを握らせる。

「貰ってもいいんですか?」
「もちろん。大切にしてね。そのかわり頑張ってね」
「……はい」

私はそのお守りをなくさないようポケットへとしまった。
そして魔法使いさんは少し寂しそうに、

「でも効果はあんまり期待しないように。何と言ったって3年前のだから」

そう呟いた。

「え?」
「おまたせ~!」

シリアスな空気をぶち壊すかのように戻ってくるこなた。
……頼むからもう少し空気読んでくれ。

「いや~買った買った……って2人ともどしたの?」

こなたの視線が私と彼の顔を言ったり来たりする。
すると急にニヤニヤし始めた。

「なるほど、一目惚れかぁ……。かがみも女の子だねぇ」
「違うわよ!っていうかあんたも女だろうが!」
「……こういう妙にオヤジくさい所も相変わらずだね」
「はっはっは」

偉そうに笑うこなたを見てると、自然に笑みがこぼれた。
おもむろに魔法使いさんのほうを見ると携帯の時刻をみていた。
そして別れの言葉を口にする。

「じゃあ悪いけど時間だから。ごめんね?」
「気にしなくていいよ。それにこっちも待たせちゃってごめん」
「それこと気にすることじゃないよ。それじゃあこなたさん、柊さん。縁があったらまた」

またね~、と手を振るこなたと一緒に魔法使いさん別れを告げた。
そしてこなたの方へと向く。
私と、魔法使いさんの想いを告げる為に。

「こなた」
「ん、何?」

いつもの様に話しかけてくるこなた。
私はポケットの中にあるお守りを握りしめて、

「私ね―――」







end.













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  • 魔法使いさんGJ!作者さんにもGJ! -- コメント職人U (2009-06-06 19:58:54)
  • GGGGJJJJJ!!!!!!!
    続き続き! -- 将来ニートになるかも (2007-11-05 17:29:56)

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