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どうしていつもこうなるんだろう

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だれでも歓迎! 編集
誰も帰ってこない家で。かがみが泊まりで。
ベッドに押し倒されたのは、夜。お風呂上りの私が部屋に戻ってすぐだった。

平坦な、私の身体。見た目はまるっきり、子供なのに。
それなのにどうして、かがみに触れられると、狂いそうなほど疼くんだろう。
おかしくなっちゃいそうだ、と思った。
そんなの、フィクションの世界だけのことかと思っていた。

お風呂で火照った身体の中に点る、別の熱。熱源はお腹の中。いつもと違って素肌で触れ合っているからなのかな?いまだかつてない早さで、火種が大きくなる。
私の舌はかがみに絡め取られていて、逃れようもなく、口の中は掻き回される。舌の裏とか、上顎とか、弱いところは全部知られていて、舐め取られるたびに、お腹の中がじんじん熱くなる。

「っ、ふ、んむぅ……っはぁ、か、が、ん、ぅくっ」

唇が離されたかと思うと、すぐにまた奪われる。少し荒っぽいくらいのキスは、私をどんどん酸欠にして、白っぽく霞んだ景色の中、身体の奥ばっかりがひくりと震える。
受け取りきれなくて溢れた唾液が、顎をつたって胸元へと垂れる。気化熱がその部分をひんやりと感じさせて、皮膚の感覚がますます鋭くなってくる。今日はもとから、いつもより鋭敏な感じだというのに。
かがみの顔が、急に私の視界から消える。あれ?ってちょっとぼんやりしたまま思っているうちに、もう歯を立てられていた。

「ぅひゃうっ!?」

思わず変な声を上げてしまう。
ささやかに過ぎる私の薄い胸は、それでも、ちゃんと感じていて。かがみに吸い付かれたり甘噛みされたりしていると、どこかが強烈に、きゅうんっ、となってくるのが分かった。

「あっ、ひゃぁ……っ!これぇっ、なぁっ?」

声が勝手に喉から出ていく。いつも、我慢すれば押し殺せていた気がするのに。
全身の力がぬけて、ふにゃふにゃになってしまう。どんな刺激にも身構えられなくなって、ただ身体のいろんなところが勝手に強張ったりひくひくしたりは止められない。

あれ、こんなに……気持ち、よかったっけ? 

思えば、かがみと触れ合うのはいつも、どこか追い詰められたときだった気がする。
今日は行為に集中しているだけだから、身体ばっかりからいろんな情報がきて、それに慣れていない私は、脳がパンクしそうになるのを止められない。

「ふわあぁ!?」

追い討ちみたいに、かがみは抱き寄せている私の腰を指先でなぞる。胸のてっぺんを吸い上げるおまけ付きでだ。
変な反射ポイントがあるみたいに、私の身体が勝手に仰け反る。

ああ、きっと、皮膚の下に地雷原が広がってるんだ。でなきゃ、いまにも爆発しそうなこの感覚の説明がつかない。

なまじ熱源に近いだけに、ずきずきするほど『そこ』が疼く。
何かがとろりと溢れる感じ。
それなのにいつまでも肝心なところに触れてくれないかがみに、私はとうとう痺れを切らした。

「かがみぃ……っ、ね、おねが……っ、さわってぇ……」

どうしようもないほど、追い詰められてる。理性が消えかけていて、でも恥ずかしいのだけはまだ残ってる。それなのに、一番恥ずかしいおねだりを、こんなふうに口に出して、かがみを求めていた。
でもどうしようもなかった。
おかしくなるって、思ったから。


かがみはちょっと、意地悪そうに笑って。
ただ、その目は何となく潤んでいたから、かがみも興奮してるんだな、って分かって、ちょっとどきどきした。

「珍しいんじゃない?あんたがそこまで余裕ないのは」

……余裕なんてあったこと、ないよ。

かがみに触られてるだけで、私はいつもいっぱいいっぱいなのだ。大きい声を出したりするのは、じつはけっこう恥ずかしいからセーブがかかっているだけで。
でも、なんでだろ、今日はぜんぜん、抑えがきかない。

「ちょっと虐めすぎたか、私」

そんなことを独りで呟いて、かがみの手は私のおへその横を降りていった。
それから、辿り着いた指が、出っ張りを引っかけるように動いて。

──限界だった。

「~~~っっっ!!!」

あっけなく、私は達した。
かえって声は出なかった。糊のきいたシーツが、手の中でしわくちゃになるのが分かる。感電したみたいに身体ががくんがくんと揺れた私に、かがみはちょっとびっくりしてるみたいだった。

「こなた……?ちょっと、大丈夫?」

今更心配そうに聞かれたって、返事なんてできない。軽い虚脱と、荒い呼吸が治まらない。ぜんぜん足りなかった。ますます熱くなっていた。

「もうやめとく?今日、ちょっとだるそうだったじゃない」

そりゃ酷いんじゃないですかい、かがみ。そう思うけど、だらしなく開いてしまった口は、言葉を返せない。
そんな私を見て、かがみは『ああそうか』という顔をする。簡潔に尋ねてくれた。

「まだする?」

これなら、意思表示できる。私はこくこく何度も頷いた。
かがみが苦笑する感じで言う。

「そんなにしなくても、分かるわよ。まったく、あんたは……」

小さい声で、『可愛いんだから』なんて、かがみ、ずるいよ。

恥ずかしさと、嬉しさで、身体中がぞくぞくする。鳥肌が立つっていうか、全身がぞわりと震える感じ。
共鳴するように、お腹の奥がまた熱くなった。

「わ。……こなた、これ、ちょっと……」

改めて触れたかがみが、驚いた声を上げる。

言いたいことはわかるが驚かれても困る。
頼むからそこで微妙に赤面しないで。しかも中途半端につつかないで。恥死するから。

さすがにこれ以上放っておくとまずいと思ったのか、かがみはようやく指を動かしだしてくれた。入り口のあたりを撫でるように、ゆっくりとなぞられている。

「あぅっ」

感触がぬるりとしていて、もうそれだけで気持ちよくて、声を上げてかがみの頭にしがみついた。
自然と顔を引き寄せるような形になって、唇がまた、重ねられる。

かがみの舌が唇を割って入ってきたのと、私の中に指が入ってくるのは、同時だった。

偶然かも知れない。けど、結果として間違いなく、その二重攻撃は私の腰にクリティカルヒットしていた。

「んむううぅっっ!!」

叫び声は、キスに消されて声にならない。かがみはそれにはお構いなしで、口の中とそこ、両方を掻き回してくる。
つま先がきゅっと丸まって、指が入ってるところがさっきからひっきりなしにきゅっとなって、ぴちゃ、とかぷちゅ、とか湿っぽい音が聞こえるけど、どこからなのかぜんぜん分からない。
なにこれなにこれとか、どうしようどうしよう、とか、脳内にそんな表示が浮かんだまま思考処理は完全に停止、フリーズしてる。
ただ、私に触れるかがみのすべてだけが、リアルだった。

「こなた」

そうやって名前を呼ばれるだけで、お腹の奥──たぶんこれが、子宮なんだよね──のざわざわはずきずきに変わって、血が沸騰しそうになる。
汗が目に入ってしみるけれど、なんの抑止力にもならない。

「……こなた」

だからそんな顔で呼ばないでってば。
優しいような、やらしいような、顔。
そんな表情されたら、本当に狂っちゃうからさ。

「うぁあ、あぁっ!」

こんなの、もう声じゃなくって、声帯の震え。
溶けてなくなりそうな感じ。押し上げられるような、落ちていくような。
とろとろなのは、心の方か、それとも身体の方なのか。どっちも、なのかな?

「かっ、が……み、かが、み、っか、ぁひ……んっ、が、みぃっっ!!」

ただ、呼んだ。呼ぶしかなかった。
たぶん、すごく締め付けてるんだと思う。押し広げるように、私の中で、窮屈そうに指が踊る。
気持ちよすぎて苦しくて、目の端から流れていく涙と、それを舐め取るかがみの舌、あったかい。
空いた右手に髪を撫でられていて。

足し算じゃなくて、かけ算なんだ、って思う。

ばらばらだった快感が連鎖して、ふくれあがって。
かがみの指が、奥のほう、なんだかすごく大事なところに触れた気がして──

「か、がっ、ん、あっ、あっぁあっ、うああぁあああぁっっ!!!!」

──スパークして、真っ暗。それから、真っ白だった。


抱きしめられてるのに、いつまでもびくんびくんと跳ね上がっていた身体がようやく落ち着いてくると、まぶたの裏に色とりどりの星がちかちか散ってることに気付いた。鼓動も呼吸もまだまだ速いまま、ぼやけた思考が思う。綺麗だ、なんて。

かがみと目があった。余韻が残ってる感じがなんとも気恥ずかしいけれど、触れるだけの軽いキスで応える。もう少し回復したら、こんどはかがみにもしてあげよう、と思った、その時。

「ん」

身体を起こしたかがみが、急に妙な声を上げた。

「……どしたの、かがみ?」

弛緩しきっていて、まだ起きあがれない。だから、首だけちょっと巡らせて、かがみを見る。

「ちょっと、電気点けるよ」
「え?え、ちょ、まっ……」

いきなりの言葉に対応しきれない私を放って、かがみはベッドからすとんと降りた。そのまま、有無を言わさぬ感じで電灯のスイッチを押す。

「っ、眩しいって、かがみー」

目をくらまされてる間に、かがみはもう戻ってきていた。そしてなぜか、私の股間あたりを見ている気配。
いくらかがみにだって、事後の身体を見られるなんて、さすがに勘弁してほしかった。
私が抗議しようとする気配を感じ取ったのか、かがみは、いや違うから、とシーツを指さす。

「そうじゃなくて、これ……」
「あ」

真っ白なシーツについた、チョコレート色の染み。
血だった。

「なんていうか、ごめん。シーツ、汚しちゃったわ」
「ありゃ……始まっちゃった、みたいだね」

どうも、している最中に始まったらしい。そう思うと、いろいろなことに合点がいった。
いつもより若干だるめだったこととか、皮膚感覚の鋭さとか。
ちょっとおかしいと思ってたんだよね、なんて、かがみに言ったら、周期ぐらい把握しときなさい、って軽く怒られた。
そのあと、シーツを換えたり、急遽下着を替えなおしたりで、時計を見たら3時を回っていて。
始まってしまった以上もうできないなぁ、っていう空気は変えられずに、私たちは服を着直していた。かがみは何となくもぞもぞしている感じだったけれど、もちろん何も言わず、今はベッドの中、ただ抱きしめてくれている。
背中にくっついているかがみの呼吸は規則正しいばかりで、眠ったかどうかは分からなかった。私の方はといえば、あれほどだるかったというのに今は妙に目が冴えている。
いつもよりほんの少しだけ、余計なことをいろいろと考えていた。

抱き合うことは多かったけれど、かがみにこんな風に後ろから抱きしめられたことってあったっけ?いや、そもそも。私って、誰かにこうやって抱かれたことあったかな?

しばらく考えて、結論を出す。

──やっぱり初めてみたいだ、こういうのって。

背中の方から、かがみの心臓の音が伝わってくる。かがみの体だって、そんなに大きくないのに、包み込まれるような感じが心地いい。
だから、不意に浮かんだ思考に自分で驚く。ひどい違和感だった。

……お母さんって、どんな感触だったのかな?

違和感のあとは、罪悪感だった。自分が嫌な人間に思えて仕方なかった。
言葉にしがたい、苦い悔恨があっという間に胸にこみ上げてくる。
こうなると、もうだめなのだった。
ここにかがみはいるのに。私を抱いていてくれるのに。
生理のせいにしたかった。ちょっと精神的に不安定になってるだけだよ、と思いたかった。
なんでかがみに抱かれたあとなんかに、こんなにお母さんのことなんて思い浮かぶんだろう。
目をきつく閉じて、眠ろうとする。でも、もう止まらなくなっていた。


……なんで私、こんなところに来ちゃったんだろう。

こんなところ、がどこかはよく分からない。分からないけど、ただ、こんなところ、と思った。
はじめて人を好きになって、はじめてキスして。それから、抱かれて。
そしたら、こんなに失うことが怖くなって。こんなに不安になるなんて。
今になってようやく、本当に理解できたことがある。

失って、それでもまっすぐ立っていられるお父さんは、なんて強いんだろう。

不意に、頭の中に甦るのは、お父さんがいつか言ってくれた言葉。
『お前がいたから、今までやってこれたんだ……』
心励まされる言葉。思い返して、少し安心する。
こんな私でも、お父さんの支えになっていたのかな、と、少し嬉しくなる。

けれどその時、ふとよぎったのは、ぞっとする考えだった。暖まり始めていた気持ちが、一気に凍り付く。

『……じゃあ、私は?』

もし、仮にだ。かがみを失ったとして、私にはなにが残るんだろう?
シーツについた染み、その画像が脳裏に焼きついて離れない。
ぐるぐる回る、考え。
どんなにかがみが好きでも、私がかがみとの子を宿すことはない。
かがみに遺せるものさえ、私は持ち合わせていない。

──私の体、こんなんでもちゃんと女として育ってるのにね。

そんなこと、とうに覚悟はしていたつもりだったのに。
かがみに申し訳ない考えだということは分かっている。かがみだって同じだってことぐらい、分かっている。それでも、私は思ってしまったのだった。

──お父さん、お母さん。ごめんなさい。
──次につなげていけない恋をして、ごめんなさい。

浮かんだ考え以上に、そんな考えをしている私にぞっとした。
私の方からかがみに好きって言ったのに、自分だけ、こんなこと考えて。卑怯で、自分勝手で、臆病者で、どうしようもない、ずるい自分。
後悔と自己嫌悪と、なんだか分からない感情に押し潰されそうで、どうしよう、消えてなくなりたい。涙がこぼれる。息ができない。気持ち悪い。頭が痛い。
胸が、痛い。

「こなた……!?」

強張った私の身体の感触で、異変に気付いたのか、かがみが私の肩をつかんで心配そうに覗き込んでくる。私はどんなみっともない顔をしているんだろう。
見られたくなくて、顔を伏せたまま首を横に振る。どこか壊れたんじゃないかってくらいに涙ばっかり出て、換えたばかりのシーツを濡らした。

……ごめんね。今の私には、合わせる顔なんてないんだよ、かがみ。

「かが、み……ごめ……っ、さわ……っな、いで……っ!」

しゃくり上げながら、抱きしめようとするかがみを拒絶した。
拒絶しながら、心の中は『ごめんなさい』でいっぱいだった。

──かがみ、ごめんなさい。私のこと、好きだって言ってくれたのに。ごめんなさい。
──ごめんね。ごめんなさい。かがみのこと、好き、で、ごめんなさい。

今は慰められたくなかった。かがみの優しさが辛かった。胸が痛い痛い苦しい、それは自分への罰だと思った。

「っうぁああああぁあぁっっ!!」

嗚咽と共に大きく絞り出された息は、声帯を震わせて叫び声になった。
頭の中で反響して、世界がノイズまみれの音に埋め尽くされて、真っ白になって──

「こなた」

──歪んだ音の世界で、その声だけがクリアに聞こえた。

すごく心配そうな声音が、私の名前を呼んでいるのだ。
それから、ふわり、と頭に触れるのは、柔らかく温かい感触。

困ったようにしていたかがみの手が、私の頭をそっと撫ではじめたのだった。それをもう一度拒絶するなんて、もうできなくて。
髪を撫でるその感触は、覚えてもいないお母さんとはきっとぜんぜん違うんだろう。
かがみの手はやっぱり優しくて、私は子供みたいにわんわん泣いた。













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  • こなたの苦悩がとてもリアルでいいです。 -- 名無しさん (2010-07-18 11:55:04)
  • 脱帽 -- 名無しさん (2008-10-13 19:44:32)
  • ちんこから白い涙が出ました -- 名無しさん (2008-10-13 19:04:34)
  • >>名無しさん (2007-11-16 14:58:16)
    自分もです。
    この作品はかがみの母性っぽさも描かれているので、そこが更に好きです。 -- 名無しさん (2008-04-07 23:35:24)
  • 良すぎです!
    -- 名無しさん (2008-04-07 22:51:43)
  • すごいですね!GJ -- 九重龍太 (2008-03-15 00:59:43)
  • 泣いた

    続きを見たいです -- 名無しさん (2008-02-25 23:44:03)
  • すげー・・・ -- 名無しさん (2008-02-08 23:53:25)
  • 心底、筆者さんに脱帽。
    SSでマジ泣きしたのは初めてでした。 -- 名無しさん (2008-02-06 21:06:12)
  • 涙が溢れて止まらない -- 名無しさん (2008-01-30 22:20:21)
  • 弱気で受けなこなたが、私は大好きです -- 名無しさん (2007-11-16 14:58:16)
  • 『次につなげていけない恋をしてごめんなさい』
    泣けました。 -- 名無しさん (2007-11-02 16:42:15)
  • 想いが通じて幸せに終わる物語も好きなのですが、
    その後の不安感をテーマに掘り下げるのもツボにはまりました。
    どのような結末が待っているのか、続編を楽しみに待っています。 -- 名無しさん (2007-10-04 03:53:36)
  • 続編希望! -- 名無しさん (2007-10-02 19:23:15)
  • 続きが気になる、、、、、。 -- 名無しさん (2007-10-02 17:03:33)
  • ?????遣?????݁A?ӂ??Ȃ肉?Ȃꡠ -- 名無しさん (2007-10-02 00:12:38)

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