<1>
雑貨屋タイショ―。
入口には、タイショ―の店主が外で店先の掃除をしていた。
貴方達4人のハンターに気が付くと、店主は鼻を鳴らす。

店主「ふん、別の奴らを連れてきたところで、貴様らと話すことなど何も無いわい!
特にハンターはいけ好かんのばかりじゃ!我が物顔で他所の地へ足を踏み入れ、荒らすだけ荒らして去っていく。
本人達はいい事をしているつもりでも、結局のところ上から目線なんじゃ。
どいつもこいつも、あれしてやるから物を売れ、これしてやるからあれを教えろ、そればっかりじゃ。
本土から離れたこの地に、物など満足にも届かんのに、それをハンターへと優先的にやったばかりにわしの孫は…!」

そこまで怒鳴るようにまくしたてると、しまったと言わんばかりに口を閉じる。
貴方達が何かを言う前に、さらにその背後から声が聞こえた。

「聞いちゃった~聞いちゃった。へーえ、お爺さんのお孫さんなんだ、田中まゆみ」

背後にいたのは鎮守由衛。貴方達の後からついてきたようで、軽く店主を馬鹿にするような調子で笑う。

鎮守「でもさあ、自業自得なんじゃないの?そうやって情報を持ってるのに口を閉ざしたり、調査に必要な物すら売ってやらないから、嫁さんだけでなくお孫さんも失うんだぜ?」
店主「き、貴様なぜわしの連れの事まで知って…!?」
鎮守「え、だって立ち聞きしちゃったから」

明るい顔で、簡単にネタバレをする鎮守。
管野暢弘が仲間と話していた、と説明するように貴方達へも説明をする。
その事を更に追及しようとして、管野に殴られていたのは想像に容易いだろう。

店主「…」
鎮守「僕は詳しい事情を知らないけどさ、全部お爺さんの責任だってのは理解してるんでしょ?
だったらさあ、償わないと。せめて僕らに情報とか教えたりするのが筋ってもんじゃあない?」
店主「…黙れ…!去ね!!わしの前から消えろ!!」
鎮守「あれあれ?図星突かれて怒っちゃった?参ったぜこりゃあ、僕はそんなつもりなかったんだけどなあ」
店主「うるさい!!」

店主は、掃除をしていた箒で、バシバシと鎮守を叩く。
「ひえー参った」と言いつつ、鎮守は逃げて行った。
ぜえはあと息を切らしながら、店主は貴方達を睨むような視線で見た。

店主「…どうせ貴様らもわしのせいだとでも思ってるんじゃろ。そうじゃ、あいつも孫も…わしのせいで…」

ひどく落ち込んでしまった店主を、慰めたのは幸村カヤだ。
もちろん、心の底からすべての理由がそう思っているわけでないだろうが、心象を良くしようと店主を慰めた。
すると鎮守に図星を指摘されたのがよほど効いたのか、彼は落ち着きを取り戻す。

店主「…先ほどの小僧と違って、貴様らはまだ話せる奴のようじゃの…。中へ来い、外でそう待たれていても営業妨害じゃ、少しなら時間をとってやる」

それが功を奏したのか、店主の言うように貴方達は店の中へと入った。

<2>
店主「3年前の事件など思い出したくもない。全ては…邪神への生贄なんじゃ」

貴方達はまず、店主の名前が田中大正(たなかおおまさ)で雑貨屋タイショ―という事を聞いた。
そこから、孫と言っていたことを照らし合わせて田中まゆみとの接点が理解できる。
調査で必要そうなものを買い揃えた後、話を更に店主から聞く。

店主「邪神ランマー、話くらいは聞いたことがあるじゃろ」

実際、この中で誰もその話を知る者はいなかった。
店主は知っていると思っているようで、言いだし辛かったが蛇姫神紗咲良が正直に知らないと言ったため、そこの説明から始まった。

店主「邪神ランマーについては詳しくは知らん。栄命島の奴らが勝手に崇拝していた神じゃからな。
じゃがこの辺りを守る神と呼ばれており、わしも漁師だった頃はよくランマーに祈っていたわい。
人の命と引き換えにその地に反映をもたらす神。だから邪神と言われておるだけで、別に生贄を出さなくても豊漁の時は豊漁だったので、やがてその文化は廃れた。元々、栄命島から来た文化じゃからの。
わしが長老会に入るまでは、そこまで気にしたことはなかった」

しかし、と彼は話を続ける。

店主「せがれへと船を譲り…と言っても漁師にならず、本土に働きにいったがの。まあとにかく引退を決めた時じゃった。
当時の村長…今でいう元村長に、長老会へと誘われたのは。
年寄りは大体入っている集まりじゃし、わしもあいつ…わしの妻と迷わず入ったよ。
本土へ旅行したり、なんてことはない、ただの老いぼれの集まりだった。
じゃが、もう何年も前じゃ。この集落に流行り病が起こった。
原因はわからんが、元村長は当時、邪神が怒っていると長老会で呟いた。
それからは、どこの誰を生贄にするかの話題で持ち切りになった。
そういう風習じゃった。わしもそれが当然と当時は思っており、誰かを生贄にするのが当然だと思っていた。
わしは自分の息子夫婦は本土で暮らしていたから安心だったせいもある。他人事だった。
しかし、反対する者がいた。わしの妻だ。
わしが何を言っても、妻はそれをよしとしなかったのじゃ。
…数日後、妻はわしの船の中で死んでいた。遺書には、私が生贄となって死ねばこの集落は助かるのなら、とだけ書いてあった」

震えながら、そして涙を呑むように話を続ける。

店主「わしもその時正気に戻った。長老会を抜け、ひっそりとこの雑貨屋を営み始めたのじゃ。
生贄の事は誰にもいっとらん。双三に言っても、わしの妻は勝手に死んだから長老会の連中は罪にはならんと言っての。
わしは絶望した。死ぬことも考えた。その時じゃ、長老会の連中が、毎年行ってる本土の旅行中に、船が沈没して死んだのは」

天罰じゃ、とほくそ笑む店主。
それで話は終わり。帰れ。
そう彼から言われ帰ろうとするが、行成ハナと六角屋灼が田中まゆみの事について改めて尋ねた。

店主「もう話すことは何もない、3年前の事件など思い出したくもないと言ったはずじゃ。帰っとくれ」

最初よりは態度は軟化したが、それでもその事については話そうとしない店主。
貴方達は諦め、雑貨屋から出ていった。
次の日、貴方達は宿で雑貨屋タイショ―が全焼、店主が死亡した事を聞いた――。

(※シークレット1が解放されました)
(※遺跡調査時の必要ステータスが、必要な物資調達のおかげで下がりました)
(※以後、雑貨屋タイショ―へ行けなくなります。また、施設説明から削除されました)

蛇姫神紗咲良:HP1100/MP100/OP10/状態:普通/依頼P:105
六角屋灼:HP500/MP150/OP10/状態:普通/依頼P:105
行成ハナ:HP500/MP80/OP10/状態:普通/依頼P:170
幸村カヤ:HP550/MP175/OP10/状態:普通/依頼P:105

依頼P内わけ:
シークレット達成(15)
別チームが海上調査完了(15)
別チームが依頼・海木樹を10体倒す達成(50÷2=25)
合計:55p


最終更新:2015年01月20日 02:52