~~拾惨の巻 「アース・ウィンド・ファイアー・アンド・ニンジャ(前編)」~~
話は若干遡る。
日本防衛軍の基地に化学ニンジャ隊の襲撃が始まってより三十分ほど。
侵入した化学ニンジャは十名ほどと少数だったが、一人ひとりが化学ニンジャ隊幹部四天王の称号を持つものたちだ。
その戦闘力は凄まじく、最新鋭のパワードスーツ部隊は壊滅、司令官の東城が戦死するなど、すでに大勢は決していた。
今や防衛軍兵士たちは武器も捨てて基地から脱出しようと必死になっている。
だが……。
侵入した化学ニンジャは十名ほどと少数だったが、一人ひとりが化学ニンジャ隊幹部四天王の称号を持つものたちだ。
その戦闘力は凄まじく、最新鋭のパワードスーツ部隊は壊滅、司令官の東城が戦死するなど、すでに大勢は決していた。
今や防衛軍兵士たちは武器も捨てて基地から脱出しようと必死になっている。
だが……。
「シノビケイン! とぉうっっっ!」
ザンッッッッ!!!
闇の中、シルバー四天王バスター・アーセナルの光剣が唸る!
防衛軍兵士の二人が胴から真っ二つにされてしまった!
闇の中、シルバー四天王バスター・アーセナルの光剣が唸る!
防衛軍兵士の二人が胴から真っ二つにされてしまった!
「グアーッ!?」
「だ、ダメだ逃げろー!」
「……」
「だ、ダメだ逃げろー!」
「……」
逃げ去る兵士たちを、バスター・アーセナルは追わなかった。
「やめだ。こんな一方的な戦いをするために俺はニンジャになったのではない」
バスター・アーセナルは踵を返し、戦いをやめてしまった。この襲撃作戦は彼の興を削いでしまったようだ。
彼は化学ニンジャでありながら、忍ばず、聞かず、従わずの三拍子が揃った問題児であった。
業前はスーパー四天王に匹敵すると目されながら、シルバー四天王止まりの所以である。
彼は化学ニンジャでありながら、忍ばず、聞かず、従わずの三拍子が揃った問題児であった。
業前はスーパー四天王に匹敵すると目されながら、シルバー四天王止まりの所以である。
「やれやれ、またアイツは適当な仕事してやがる。なんのためにサイボーグになったんだか」
やる気をなくした僚友を倉庫の屋根から見下ろすのは、袈裟に編み笠ルックの忍、暫定四天王BUZZ=僧。
屋外の敵に打撃を与え、ホログラム投影装置を設置する場所を確保した時点で、彼の役割はほぼ終了していた。
屋外の敵に打撃を与え、ホログラム投影装置を設置する場所を確保した時点で、彼の役割はほぼ終了していた。
今は機械将軍のゴキゲンそうな演説を聞き流しつつ、武器の再充填を済ませていた。
BUZZ=僧とっては、アムステラ神聖帝国やブラッククロスの思想はどうでも良かった。
ただサイボーグ化によって得た破壊の力を、好きなだけ行使できればそれでいい。
BUZZ=僧とっては、アムステラ神聖帝国やブラッククロスの思想はどうでも良かった。
ただサイボーグ化によって得た破壊の力を、好きなだけ行使できればそれでいい。
組織内にはBUZZ=僧の破壊活動が過剰だと指摘するものもいる。
彼はそれを僻みと見て取り合わなかった。実際、機械将軍に咎められたことはあまりない。
将軍は得体のしれない部分も多いが、BUZZ=僧に優れた力を与え、働きも高く評価してくれる分は忠義を尽くしてやっても良い。
それがBUZZ=僧の基本的なスタンスであった。
彼はそれを僻みと見て取り合わなかった。実際、機械将軍に咎められたことはあまりない。
将軍は得体のしれない部分も多いが、BUZZ=僧に優れた力を与え、働きも高く評価してくれる分は忠義を尽くしてやっても良い。
それがBUZZ=僧の基本的なスタンスであった。
ヒュウ――
BUZZ=僧の背筋に寒気が走る。彼は周囲の確認も省いてその場から跳躍した。
すると彼の元いた空間に数発の手裏剣が突き刺さったではないか!
着地したBUZZ=僧が振り向くと、その視線の先に襲撃者の黒い影が浮かび上がる。
すると彼の元いた空間に数発の手裏剣が突き刺さったではないか!
着地したBUZZ=僧が振り向くと、その視線の先に襲撃者の黒い影が浮かび上がる。
「貴様は――!?」
その姿には見覚えがあった。最近化学ニンジャ隊にまとわりついて邪魔をしてくる黒尽くめの男。
そう、楔がBUZZ=僧の眼前に現れたのだ!
そう、楔がBUZZ=僧の眼前に現れたのだ!
「フ、フフ……随分と遅い到着だったな?」
BUZZ=僧に驚きはあったが、この事態を予測していなかったわけではない。
作戦のシミュレートで楔の妨害については、作戦開始時、侵攻時、撤退時と段階ごとに想定してあった。
ただBUZZ=僧にとって問題だったのは彼が自分を狙ってきた点である。
作戦のシミュレートで楔の妨害については、作戦開始時、侵攻時、撤退時と段階ごとに想定してあった。
ただBUZZ=僧にとって問題だったのは彼が自分を狙ってきた点である。
「化学ニンジャは殺す」
「へっ、出来るものならやってみろ!」
「へっ、出来るものならやってみろ!」
BUZZ=僧は気勢を張ったが内心では焦っていた。
楔がマスク・ド・サンキスト・ブラッド・オーレンジなどを倒した事実から、彼は相当な格闘戦の腕と目されている。
砲撃による破壊活動を得意とするBUZZ=僧には危険な相手だった。
楔がマスク・ド・サンキスト・ブラッド・オーレンジなどを倒した事実から、彼は相当な格闘戦の腕と目されている。
砲撃による破壊活動を得意とするBUZZ=僧には危険な相手だった。
『――非常警戒信号発信!』
BUZZ=僧はインプラントされた機器から、付近の化学ニンジャに暗号で急変を告げた。
(早く誰か来やがれー!)
そうしている僅かな間に、楔が手裏剣を続けて三枚投擲。
慌てて避けるBUZZ=僧だが肩口に手裏剣が一発直撃し、袈裟が裂けていかついサイボーグボディが露出した。
慌てて避けるBUZZ=僧だが肩口に手裏剣が一発直撃し、袈裟が裂けていかついサイボーグボディが露出した。
「この野郎!」
BUZZ=僧の反撃!
まず神経接続した思考回路により使用する武器を選択、発射準備が整う。
標的は目測で狙いを定める。何度も訓練を重ねて狙いは正確だ。
最後にトリガーは手のひらの回路とリンクしており、引き金を引くようにしてロケット弾を発射するのだ。
まず神経接続した思考回路により使用する武器を選択、発射準備が整う。
標的は目測で狙いを定める。何度も訓練を重ねて狙いは正確だ。
最後にトリガーは手のひらの回路とリンクしており、引き金を引くようにしてロケット弾を発射するのだ。
バウッ!
BUZZ=僧のボディからロケット弾が飛び出すと、着弾した倉庫の屋根に大穴が空いた!
楔は跳んで避けている。隣の倉庫の屋根に乗り、すかさず手裏剣連射!
足を狙った手裏剣がBUZZ=僧を襲うが、BUZZ=僧も屋根から屋根へ跳んで回避!
二人は倉庫の上を移動しながら遠距離での撃ち合いを繰り広げていく……。
楔は跳んで避けている。隣の倉庫の屋根に乗り、すかさず手裏剣連射!
足を狙った手裏剣がBUZZ=僧を襲うが、BUZZ=僧も屋根から屋根へ跳んで回避!
二人は倉庫の上を移動しながら遠距離での撃ち合いを繰り広げていく……。
◆◆◆◆◆
『BUZZ=僧からの信号だと、外で何か変化があったのか?』
『通信には出ないな。戦闘中で交信出来ない状況ということか』
『フン、随分慌てているようだな』
『他に外にいるのは誰だ? デッド・イーグルは? ダブル・トマホークは?』
『周辺警戒の最中だ、近くにいる奴らで確認しろ』
『通信には出ないな。戦闘中で交信出来ない状況ということか』
『フン、随分慌てているようだな』
『他に外にいるのは誰だ? デッド・イーグルは? ダブル・トマホークは?』
『周辺警戒の最中だ、近くにいる奴らで確認しろ』
現場の四天王たちはBUZZ=僧を呼び出すが、彼に応える余裕は皆無だった。
かと言って彼らはまだ屋内にあったため、状況が把握できずにいた。
一方、化学ニンジャ隊の本拠地・機械城でもこの信号は受信していた。
機械城の作戦室には小型ロボットたちの送る映像が多数表示され、現場の様子を当事者たちよりもよく把握している。
かと言って彼らはまだ屋内にあったため、状況が把握できずにいた。
一方、化学ニンジャ隊の本拠地・機械城でもこの信号は受信していた。
機械城の作戦室には小型ロボットたちの送る映像が多数表示され、現場の様子を当事者たちよりもよく把握している。
「小型ロボットからの映像を各忍者に送れ。倉庫の屋根で爆発、恐らくあそこだ」
「将軍にはお伝えしますか?」
「……やめておこう、今は演説に夢中のご様子だ」
「将軍にはお伝えしますか?」
「……やめておこう、今は演説に夢中のご様子だ」
オペレーター忍者たちは頷きあった。機械将軍の機嫌を損ねればどんな目に遭うかわかったものではないのだ。
そんな彼らに現場から通信が届いた。
そんな彼らに現場から通信が届いた。
『こちらバスター・アーセナル。BUZZ=僧が戦っているようだな、近くまで来たぞ』
「倉庫の屋根の上です、今もまた爆発がありました。敵の姿は煙で確認できません」
『了解、こっちで確かめてみるぜ』
「倉庫の屋根の上です、今もまた爆発がありました。敵の姿は煙で確認できません」
『了解、こっちで確かめてみるぜ』
◆◆◆◆◆
バスター・アーセナルは頭上を見上げた。またしても屋根の上で爆発、同時に黒い影が屋根の上を跳んでいった。
「あれが敵だな?」
彼の傍らには連れ回されている古畑がいた。
バスター・アーセナルに言われるがまま基地内の戦闘をビデオに撮っていた彼だが、今は虚ろな目をしている。
彼の眼前では兵隊が容赦なく殺され、炎と悲鳴が各所で上がっている。
従軍記者でもなんでもない古畑は戦いの凄惨さに耐えかねたのだ。
今は心を閉ざし、戦闘――むしろ虐殺の映像を記録することに専念する木偶人形でしかない。
バスター・アーセナルに言われるがまま基地内の戦闘をビデオに撮っていた彼だが、今は虚ろな目をしている。
彼の眼前では兵隊が容赦なく殺され、炎と悲鳴が各所で上がっている。
従軍記者でもなんでもない古畑は戦いの凄惨さに耐えかねたのだ。
今は心を閉ざし、戦闘――むしろ虐殺の映像を記録することに専念する木偶人形でしかない。
(こんな映像どこでも扱えないなあ……それより生きて帰れるのかな)
ぼんやりと考え事をしていると、バスター・アーセナルが倉庫の壁に飛びついていた。
驚く古畑をよそにバスター・アーセナルは爪を突き立て、壁を高速で登っていく。
驚く古畑をよそにバスター・アーセナルは爪を突き立て、壁を高速で登っていく。
「器用だな……」
古畑はカメラを向けて彼を追った。また屋根で爆発。
そこにバスター・アーセナルが辿り着くところで、古畑は黒い影を目で捉えた。
そこにバスター・アーセナルが辿り着くところで、古畑は黒い影を目で捉えた。
「なんだ、テロリストと戦っているのか?」
◆◆◆◆◆
BUZZ=僧と楔の戦いにより倉庫の屋根は穴だらけだ!
この間、BUZZ=僧は手裏剣を身体の数カ所に受け、このままではジリ貧である。
迫るは黒い影、楔がBUZZ=僧に迫り――その姿が突然消えた!
この間、BUZZ=僧は手裏剣を身体の数カ所に受け、このままではジリ貧である。
迫るは黒い影、楔がBUZZ=僧に迫り――その姿が突然消えた!
BUZZ=僧は口を開けた穴に気づく。楔はあそこに飛び込んで倉庫内に身を隠したのだ。
(次はどうする……? そう次は……)
BUZZ=僧は閃くと走りだし、広く屋根の穴を見渡せる場所で止まった。
(ここなら死角が少ないから、奴がどの穴から出てきてもすぐわかる!)
まさにモグラ叩き、BUZZ=僧はありったけの火器をスタンバイ状態にして楔を待ち構えた。
……だが彼の待ち伏せは無駄に終わった。
彼は迂闊だったのだ。穴に入ったモグラが、出るときも穴から姿を現すとなぜ決めつけたのか。
彼は迂闊だったのだ。穴に入ったモグラが、出るときも穴から姿を現すとなぜ決めつけたのか。
ザシュッ!
それは屋根の裏からの攻撃! 楔の忍刀がBUZZ=僧の足を屋根ごと刺し貫いた!
「ギィィヤアアァ!?」
さらに楔は刀を横に振りぬき、BUZZ=僧の足は寸断される。
「ギィィィィヤアアァァァァ!!??」
膝をついて悶えるBUZZ=僧。
次の瞬間、屋根の鉄板が刀で切り開かれ楔が姿を現した。
次の瞬間、屋根の鉄板が刀で切り開かれ楔が姿を現した。
「こう近くてはロケットなど撃てまい」
楔が刀を構える。
対するBUZZ=僧は苦悶の表情を浮かべたまま動かない。覚悟を決めたのか?
対するBUZZ=僧は苦悶の表情を浮かべたまま動かない。覚悟を決めたのか?
「つぁっ!」
楔の忍刀が一閃! だがその途端、BUZZ=僧に異変が起きる!
彼の被る編笠が高速回転、よく見ればノコギリの刃が仕掛けられているではないか!
彼の被る編笠が高速回転、よく見ればノコギリの刃が仕掛けられているではないか!
「ぬぁっ!?」
思わぬ不意打ちに楔は腕に切り傷を負って後退した。
(この不意打ちも仕損じた! 同じ手は通じない……!)
その場しのぎにも限度がある。BUZZ=僧の焦りはいよいよ募ったが、ここで屋根に上がる新手の姿があった。
「トォゥッ!!!!」
大きな掛け声とともに飛来したのは化学ニンジャ・バスター・アーセナル!
そのまま蹴りおろして楔の頭蓋を砕きにかかる!
そのまま蹴りおろして楔の頭蓋を砕きにかかる!
「フンッ!」
両腕でガードする楔。受けた衝撃で屋根の鉄板が深くひしゃげたが、楔は無事だ。
「貴様が噂の忍者か、面白い!」
バスター・アーセナルは腰をやや落とし、左手は握りしめ腰だめ構えた。
「夜空の星が輝く陰で」
続いて右手を旋回させてポーズを取る。
「悪の叫びがこだまする」
ガスッッ!!
ここで楔の拳が炸裂、名乗り中の攻撃だ!
楔の中段突きがバスター・アーセナルの腹部へ!
楔の水平チョップがバスター・アーセナルの首へ!
楔の肘鉄がバスター・アーセナルの顎へ! 次々と打ち込まれる!
だがバスター・アーセナルは倒れなかった。
生身の人間ならば血を噴いて倒れるほどの打撃を受けながら、彼は即座に反撃に転じたのだ。
ここで楔の拳が炸裂、名乗り中の攻撃だ!
楔の中段突きがバスター・アーセナルの腹部へ!
楔の水平チョップがバスター・アーセナルの首へ!
楔の肘鉄がバスター・アーセナルの顎へ! 次々と打ち込まれる!
だがバスター・アーセナルは倒れなかった。
生身の人間ならば血を噴いて倒れるほどの打撃を受けながら、彼は即座に反撃に転じたのだ。
「シノビパンチ!」
「グハッ!」
「グハッ!」
逆に楔がダメージを受けて後ずさる。
「フッ……この俺のシノビパンチを受けてまだ立つか。やはり貴様もサイボーグだな?」
「なんだと?」
「いい性能だな、貴様の作戦目的とIDは!?」
「答える必要はない!」
「なんだと?」
「いい性能だな、貴様の作戦目的とIDは!?」
「答える必要はない!」
ガキィッ!
「トリャーッ!」
「フンッ!」
「タアァーッ!」
「ハッ!」
「フンッ!」
「タアァーッ!」
「ハッ!」
黒い装甲と黒い装束、二つの影が繰り返し交錯し、そのたびに火花が散る。
楔とバスター・アーセナルの格闘は互いに譲らず甲乙つけがたい。
それを離れた位置から狙うのは、危機を脱したBUZZ=僧である。
楔とバスター・アーセナルの格闘は互いに譲らず甲乙つけがたい。
それを離れた位置から狙うのは、危機を脱したBUZZ=僧である。
「よく来てくれたバスター・アーセナル……」
BUZZ=僧は僚友の援護に感謝したのか? 否、そうではない。
「これでまとめて殺してやれるぜー!」
BUZZ=僧は動きの止まった楔に向け、ロケット砲を一斉発射! バスター・アーセナルも気にしない!
ズドォッ!
倉庫上に一際巨大な火炎の花が咲いた。熱風に噴かれながらBUZZ=僧は哄笑する。
「ハハハハハ、やったぞ! 組織の邪魔者だった黒い男は俺が倒した!
これで将軍は俺を賞賛し“暫定”の名もなくなる! もっと俺をリスペクトしろぉ!!!」
これで将軍は俺を賞賛し“暫定”の名もなくなる! もっと俺をリスペクトしろぉ!!!」
笑うBUZZ=僧。叫ぶBUZZ=僧。
やがて風が炎を払い、無惨な姿になった楔とバスター・アーセナルを曝け出す……はずだった。
やがて風が炎を払い、無惨な姿になった楔とバスター・アーセナルを曝け出す……はずだった。
「クハハハハ……は……?」
BUZZ=僧の目に映ったのは人影が一つ。
なんとロケットの直撃を受けたバスター・アーセナルが直立不動しているではないか。
楔は死体すら見当たらない……屋根から落下したのか?
なんとロケットの直撃を受けたバスター・アーセナルが直立不動しているではないか。
楔は死体すら見当たらない……屋根から落下したのか?
「イヤーッ!」
掛け声とともに突如飛来するは二つの手裏剣! BUZZ=僧の両手のひらが手裏剣に貫かれた!
「グワーッ!?」
悲鳴を上げるBUZZ=僧。一方、彼の眼前でバスター・アーセナルが倒れ伏し、その後ろから楔が姿を見せた。
彼はバスター・アーセナルを盾にしてBUZZ=僧の砲撃を凌いだのだ!
彼はバスター・アーセナルを盾にしてBUZZ=僧の砲撃を凌いだのだ!
「まさか……まさかそんな……」
「ガフッ……BUZZ=僧、テメェ……」
「ガフッ……BUZZ=僧、テメェ……」
バスター・アーセナルは息はあるがほとんど動けない重症だ。
「俺が死んでいなくて残念だったな」
楔がBUZZ=僧に向かっていく。
さすがに完全に攻撃を避けきったわけではないため、衣服も身体もボロボロだが、バスター・アーセナルよりはマシである。
さすがに完全に攻撃を避けきったわけではないため、衣服も身体もボロボロだが、バスター・アーセナルよりはマシである。
「ちっ……この死に損ないがぁ!!!!」
BUZZ=僧は再び両手のトリガー機能を作動させてロケット砲を撃とうとする。
しかし、手裏剣で傷つけられたトリガーは作動しない!
楔は一連の戦いの最中に、BUZZ=僧のサイボーグとしての性能を見極めて彼の両手を狙い撃ちしたのだ。
しかし、手裏剣で傷つけられたトリガーは作動しない!
楔は一連の戦いの最中に、BUZZ=僧のサイボーグとしての性能を見極めて彼の両手を狙い撃ちしたのだ。
「あ……? う、動け! 起動しろ! 発射だ!」
ロケットは発射されない。BUZZ=僧は已む無く手動で発射しようとするが、それを黙って見過ごす楔ではない。
楔はすかさずBUZZ=僧に迫る。対して編笠の回転ノコギリを起動させるBUZZ=僧。
楔はすかさずBUZZ=僧に迫る。対して編笠の回転ノコギリを起動させるBUZZ=僧。
大日本帝國忍術・百の技の一つ……輪廻!!!
楔の体が中を舞い、編笠の中心にオーバーヘッドキックを見舞う。
するとBUZZ=僧の頭から編笠が落ち、楔を阻むものはもう存在しなくなった。
楔はBUZZ=僧の体を肩に担ぐと、ジャンプして倉庫の下へ投げる!
そこは――ホログラム投影装置の置かれた場所だ!
楔の体が中を舞い、編笠の中心にオーバーヘッドキックを見舞う。
するとBUZZ=僧の頭から編笠が落ち、楔を阻むものはもう存在しなくなった。
楔はBUZZ=僧の体を肩に担ぐと、ジャンプして倉庫の下へ投げる!
そこは――ホログラム投影装置の置かれた場所だ!
ガッスゥゥゥン!!!!
BUZZ=僧の大柄な体が投影装置に落下した。
「アガガ……こ、こんな……」
BUZZ=僧は助けを求めるように手を泳がせたが、身体に仕掛けられた爆薬が誤作動し、投影装置もろとも爆発して散った。因果応報。
投影されていた機械将軍の姿は消え、同時に演説も止んだため、基地から離れた位置にいたマスコミたちは困惑した。
だが一人だけ現場の様子を目の当たりにしている男がいた。基地内に入り込んでいた古畑である。
彼はBUZZ=僧の落ちてきた方角を見上げ、そこに立つ楔を見つけると、ただ無心になってカメラを回した。
だが一人だけ現場の様子を目の当たりにしている男がいた。基地内に入り込んでいた古畑である。
彼はBUZZ=僧の落ちてきた方角を見上げ、そこに立つ楔を見つけると、ただ無心になってカメラを回した。
「すごい……すごいぞ……」
「見ているのだろう機械将軍。ふざけたことをしてくれたな」
楔の周りには化学ニンジャ隊の小型ロボが飛び交い、映像を機岩城に送っている。
「お前に代わり宣言しよう。機械将軍、お前は殺す。化学ニンジャも殺す。
お前が創りだしたものは全て破壊する。これが俺の宣戦布告だ!」
お前が創りだしたものは全て破壊する。これが俺の宣戦布告だ!」
――手裏剣が一閃し小型ロボの一つが破壊された。
◆◆◆◆◆
「あ奴め!!!!!!」
ブオンッ!
作戦室のコンソール台が高速で飛び、控えていた警備兵を押しつぶした。
機械将軍が怒りにまかせ放り投げたものである。警備兵もサイボーグだったが即死した。
よもや大演説も大詰めというところで台無しにされようとは、想定のうちでも最悪の部類の出来事だ。
しかも暫定四天王のBUZZ=僧の死が確認され、二重に化学ニンジャ隊の面目を潰された。
将軍の怒りは尋常でなく、作戦室を将軍の殺気が満たした。
作戦室のコンソール台が高速で飛び、控えていた警備兵を押しつぶした。
機械将軍が怒りにまかせ放り投げたものである。警備兵もサイボーグだったが即死した。
よもや大演説も大詰めというところで台無しにされようとは、想定のうちでも最悪の部類の出来事だ。
しかも暫定四天王のBUZZ=僧の死が確認され、二重に化学ニンジャ隊の面目を潰された。
将軍の怒りは尋常でなく、作戦室を将軍の殺気が満たした。
「ヒィッ……!」
オペレーターが失禁しながら逃げ出した!
警備兵までも失禁しながら作戦室から飛び出す! 後の叱責など気にしていられない、それほど将軍の殺気は恐ろしかった。
警備兵までも失禁しながら作戦室から飛び出す! 後の叱責など気にしていられない、それほど将軍の殺気は恐ろしかった。
そんな中、腰を抜かして脱げることも出来ずにいるのは報告官だ。
彼は将軍の側近くにいたため、殺気を直に浴びて身動きできなくなってしまった。
せっかく締め付けておいたサイボーグ膀胱は破裂した水道管のごとく失禁。
さらに、将軍の御前で気を失うことのないように神経回路も強化していたため、彼は気絶することすら出来なかった。
彼は将軍の側近くにいたため、殺気を直に浴びて身動きできなくなってしまった。
せっかく締め付けておいたサイボーグ膀胱は破裂した水道管のごとく失禁。
さらに、将軍の御前で気を失うことのないように神経回路も強化していたため、彼は気絶することすら出来なかった。
「ヒィィィィ! アババババ!」
報告官は将軍の殺気を全身で浴び続けて発狂寸前!
だが彼は発狂するよりも前に、脇差しを抜いて己の腹に当てた。切腹するつもりなのだ!
彼は人間としての、将軍の家来としての尊厳を失うより、自らの死を選ぼうとしているのだ!
だが彼は発狂するよりも前に、脇差しを抜いて己の腹に当てた。切腹するつもりなのだ!
彼は人間としての、将軍の家来としての尊厳を失うより、自らの死を選ぼうとしているのだ!
「しょ、しょしょ将軍の 御前で果てる 我が身かな
あ、アバ……うう~」
あ、アバ……うう~」
辞世の句を読むが、下の句が出てこない。下の句が揃わなければ辞世の句は成り立たない。
苦しみながらも言葉を継ごうとする報告官に近づく者がいる。
それは機械将軍の側近、ランスである。
苦しみながらも言葉を継ごうとする報告官に近づく者がいる。
それは機械将軍の側近、ランスである。
ドフッ!
「ゲボッ!!!!」
「ゲボッ!!!!」
ランスが報告官の腹部に蹴りを打ち込むと、報告官は白目を剥いて気絶した。
なんとも無様な姿になったが、おかげで彼は命と正気を保つことが出来たのである。
なんとも無様な姿になったが、おかげで彼は命と正気を保つことが出来たのである。
「将軍、あの不埒者を殺すようご命令ください」
ランスが将軍に要請した。怒りを敵に向けて発散するように促しているのだ。
「ぬぅぅぅぅぅ……セッサイ、そちに任せる」
「ハッ」
「ハッ」
軍師のセッサイがモニターに向き直る。
「現地の四天王たちに告ぐ。我らの作戦を妨害しに現れた敵を打ち倒せ。将軍直々の命令である!」
作戦室から将軍の殺意は薄れていた。やがて下半身を濡らしたオペレーターや警備兵が少しずつ戻ってきて、再び作戦を継続する。
だがセッサイとランスは将軍の殺気を間近で浴びながら、顔色一つ変えずにいるではないか。
その堂々たる姿に兵士たちは感嘆すると同時に、ある種の気味の悪さも覚えていた……。
だがセッサイとランスは将軍の殺気を間近で浴びながら、顔色一つ変えずにいるではないか。
その堂々たる姿に兵士たちは感嘆すると同時に、ある種の気味の悪さも覚えていた……。
◆◆◆◆◆
楔を映像に収めていた古畑の周囲に不穏な気配が満ちた。
ゾッとして古畑が振り返ると、そこには異形異質な化学ニンジャの忍たちがいた。
ゾッとして古畑が振り返ると、そこには異形異質な化学ニンジャの忍たちがいた。
「ひっ!?」
彼らは古畑には目もくれず、過激な宣戦布告を叩きつけた敵手を睨む。
「化学ニンジャを全てころすだと?」
激しい怒りがこみ上げる。そこに機械将軍からの命令が届いた。『黒装束の忍を殺せ!』
「言われなくとも!」
楔は倉庫の上から飛び降りると、踵を返して戦線離脱を図る。
そうはさせまいと化学ニンジャの四天王たちが楔へ向けて攻撃を開始した。
そうはさせまいと化学ニンジャの四天王たちが楔へ向けて攻撃を開始した。