~~拾死の巻 「アース・ウィンド・ファイアー・アンド・ニンジャ(中編)」~~
炎の夜はまだ半ばである。
化学ニンジャ隊の作戦にかろうじて冷水を浴びせることができた楔。
その後、防衛軍基地から脱出を図るが化学ニンジャ四天王たちがそれを許さない。
その後、防衛軍基地から脱出を図るが化学ニンジャ四天王たちがそれを許さない。
風のように駆ける楔。それを激しく追撃するのはババア・バーニング!
炎を撒き散らしながらキャタピラ走行で追いすがり、最高速度400km近くまで加速!
炎を撒き散らしながらキャタピラ走行で追いすがり、最高速度400km近くまで加速!
「この不埒者、逃しはせん!」
対する楔は後方へ向けて何かを投じた。
それは先に戦ったBUZZ=僧の被っていた編笠!
ノコギリ仕掛けの編笠をババア・バーニングの足元に投げ込んだのだ!
それは先に戦ったBUZZ=僧の被っていた編笠!
ノコギリ仕掛けの編笠をババア・バーニングの足元に投げ込んだのだ!
「なんじゃ!?」
間一髪よけたが、高速で移動するババア・バーニングはその分だけ反応が遅れ、回避動作も大きくならざるをえない。
また速度があるだけに回避運動による距離のロスも肥大化し、楔に逃走する時間を与えてしまった。
また速度があるだけに回避運動による距離のロスも肥大化し、楔に逃走する時間を与えてしまった。
「えぇい小癪な……!」
ババア・バーニングは遅れを取ったが、その間に別の忍が楔に迫る。
ザ・ラッキーとMr.ダイアモンドパープル、レイ・ガンたちが次々と駆け抜けていく。
ザ・ラッキーとMr.ダイアモンドパープル、レイ・ガンたちが次々と駆け抜けていく。
「――ッ!」
まずはレイ・ガンの手裏剣攻撃! 無言で放たれた無数の手裏剣が楔に襲いかかる!
気配を察知した楔は横っ飛びにかわす。すると地面に当たった手裏剣はアスファルトを削り深い破壊の痕を残した。
人間がまともに喰らえばまず無事ではいられないだろう。
気配を察知した楔は横っ飛びにかわす。すると地面に当たった手裏剣はアスファルトを削り深い破壊の痕を残した。
人間がまともに喰らえばまず無事ではいられないだろう。
この攻撃で生じた隙に他の忍者が乗じた。
「逃さないよ!」
ザ・ラッキーの忍刀が唸りを上げ、強烈な風を巻き起こす!
楔も刀で受けたが、一つ受けたと思った時にはすでに二撃目が迫っていた。
ザ・ラッキーの高速剣術「はかぶさの剣」は常忍の倍の速度で敵を切り刻むのだ。
楔も刀で受けたが、一つ受けたと思った時にはすでに二撃目が迫っていた。
ザ・ラッキーの高速剣術「はかぶさの剣」は常忍の倍の速度で敵を切り刻むのだ。
懸命に防ぐ楔だが蓄積したダメージがあるため正面から戦うのは得策ではない。
楔はザ・ラッキーに対し大振りして回避を誘い、その隙に離れようとした。しかし――
楔はザ・ラッキーに対し大振りして回避を誘い、その隙に離れようとした。しかし――
「化学忍法・瓶偽楽魔!」
ザ・ラッキーが叫ぶと楔に向けて炎と閃光がほとばしった!
空気に触れて熱と光を発する化学物質を吹き付けたのだ。
逆に体勢を崩された楔にMr.ダイアモンドパープルが回り込み、バットヌンチャク★アナコンダの痛烈な一撃を見舞う!
空気に触れて熱と光を発する化学物質を吹き付けたのだ。
逆に体勢を崩された楔にMr.ダイアモンドパープルが回り込み、バットヌンチャク★アナコンダの痛烈な一撃を見舞う!
メキョッ!
ガードした楔の腕が歪に曲がった! 骨が完全に折れてしまっている!
「もらったな!」
追い込みにかかるダイアモンドパープルだが、その視界から急に楔が消える。
楔は身体を急速に沈めると、片手で倒立しての回転蹴りを放った!
楔は身体を急速に沈めると、片手で倒立しての回転蹴りを放った!
一発! 二発! 連続で繰り出される倒立蹴り。ダイアモンドパープルはこの動きに覚えがあった。
サンキストの一族が使うカポエイラの蹴り技、それも彼らの奥義「メイア・ルーア・ジ・サンキスト・オーレンジ」に似ているのだ。
サンキストの一族が使うカポエイラの蹴り技、それも彼らの奥義「メイア・ルーア・ジ・サンキスト・オーレンジ」に似ているのだ。
大日本帝國忍術・百の技の一つ……水鏡!!!
帝國忍者の高い観察力、洞察力は戦った相手の技をコピーする術をもたらす。
これにより帝國忍者は戦うたびに技を増やすという変幻自在ぶりで世界のニンジャたちを恐れさせたのだ。
これにより帝國忍者は戦うたびに技を増やすという変幻自在ぶりで世界のニンジャたちを恐れさせたのだ。
ダイアモンドパープルはバットヌンチャク★アナコンダで攻撃を防ぐ。
しかし、次の瞬間には楔の体位が逆転し下段の蹴り!
体操選手の如き華麗な体捌きでダイアモンドパープルの足を蹴り抜いた!
しかし、次の瞬間には楔の体位が逆転し下段の蹴り!
体操選手の如き華麗な体捌きでダイアモンドパープルの足を蹴り抜いた!
――ズッ!
……だがしかし、後方から砲弾のような手裏剣が飛んできて楔の腕を直撃!
ダイアモンドパープルが近くにいたにも関わらず投げられた手裏剣は、正確に楔のみを貫いたのだ。
ダイアモンドパープルが近くにいたにも関わらず投げられた手裏剣は、正確に楔のみを貫いたのだ。
投げたのはまたしてもレイ・ガン。
その強烈な手裏剣は対物ライフル級の破壊力で、楔の腕は骨が吹き飛び、筋だけでぶら下がる放送禁止レベルのダメージ!
さらにレイ・ガンは立て続けに殺人的手裏剣を投げて楔を追い詰める。
その間ダイアモンドパープルとザ・ラッキーは、あまりの手裏剣の威力に近づけず側面に回りこむ程度に止めた。
その強烈な手裏剣は対物ライフル級の破壊力で、楔の腕は骨が吹き飛び、筋だけでぶら下がる放送禁止レベルのダメージ!
さらにレイ・ガンは立て続けに殺人的手裏剣を投げて楔を追い詰める。
その間ダイアモンドパープルとザ・ラッキーは、あまりの手裏剣の威力に近づけず側面に回りこむ程度に止めた。
正確無比なレイ・ガンの手裏剣投擲だが、威力が高すぎるため万が一でも巻き込まれればただでは済まない。
四天王の中でも最高クラスの遠距離攻撃手段だが、援護射撃としては不的確と言わざるをえないのだ。
四天王の中でも最高クラスの遠距離攻撃手段だが、援護射撃としては不的確と言わざるをえないのだ。
この戦いの一部始終を、記者の古畑はそのカメラに、収めることは叶わなかった。
めまぐるしく動く彼ら忍者の戦いを素人が捉えることなど不可能なのだから。
ようやく楔の姿をカメラに収めたのは、彼がレイ・ガンの手裏剣で腕を傷つけられた時だった。
楔は両腕が使いものにならないほどの傷を負っていて、古畑も思わずカメラを握る手に力を込める。
めまぐるしく動く彼ら忍者の戦いを素人が捉えることなど不可能なのだから。
ようやく楔の姿をカメラに収めたのは、彼がレイ・ガンの手裏剣で腕を傷つけられた時だった。
楔は両腕が使いものにならないほどの傷を負っていて、古畑も思わずカメラを握る手に力を込める。
だが次の瞬間、彼は我が目を疑った。
一瞬、レイ・ガンの手裏剣で削られた地面から土煙が舞い、楔の姿が見えなくなった。
再び姿を見せた楔は、なんということか両腕が正常に戻っているではないか!
一瞬、レイ・ガンの手裏剣で削られた地面から土煙が舞い、楔の姿が見えなくなった。
再び姿を見せた楔は、なんということか両腕が正常に戻っているではないか!
(何だ今のは、見間違いか?)
このときは疑った古畑だったが、後に映像を見返して間違いでないと確信するに至る。
楔を囲む化学ニンジャたちはどうであろうか?
腕を回復させて手裏剣を投げ返してきた楔に対し、彼らの驚きは小さくなかった。
楔の腕を砕いた本人であるダイアモンドパープルはいぶかしがる。
腕を回復させて手裏剣を投げ返してきた楔に対し、彼らの驚きは小さくなかった。
楔の腕を砕いた本人であるダイアモンドパープルはいぶかしがる。
(なんだありゃあ? 奴の腕は確かに俺が砕いて折れ曲がっていたのに……)
(バイオサイボーグ……?
ブラッククロス本部ではホムンクルスの研究をしているという噂もあるんじゃが……)
ブラッククロス本部ではホムンクルスの研究をしているという噂もあるんじゃが……)
ババア・バーニングも自慢のキャタピラを止めて一旦様子見に入った。
彼らは敵の持つ未知の能力を警戒したのだ。
彼らは敵の持つ未知の能力を警戒したのだ。
わずかな間、戦闘が止んだ。その静寂を破ったのは、耳をつんざくジェット音だった。
防衛軍基地に急接近する物体がある。
防衛軍基地に急接近する物体がある。
「あれは……ロボットか!?」
古畑は再び興奮してカメラを構えた。
現れたのは黒塗りの人型兵器。楔の相棒・梟だ。
現れたのは黒塗りの人型兵器。楔の相棒・梟だ。
「なぜここに?」
驚いたのは楔だった。
彼としては、確かに梟に乗って戦線離脱することを考えていた。
だが自動操縦で呼び寄せては撃墜される恐れが高いため、敵と離れてから呼び寄せるつもりでいたのだ。
だがどうだろう、梟は自動操縦とは思えない意志の通った機動で防衛軍基地に、楔の下へ向かってくる。
彼としては、確かに梟に乗って戦線離脱することを考えていた。
だが自動操縦で呼び寄せては撃墜される恐れが高いため、敵と離れてから呼び寄せるつもりでいたのだ。
だがどうだろう、梟は自動操縦とは思えない意志の通った機動で防衛軍基地に、楔の下へ向かってくる。
「逃がすか!」
ダイアモンドパープルが楔を追うが、楔が大きく飛び退くのに合わせて梟がマキビシランチャーを発射。化学ニンジャたちを牽制する。
ドッ! ドドォッ!
広域にばら撒かれたマキビシ型の爆弾が炸裂し、あたり一面が土煙に包まれた。
その間に楔は梟のコックピットに乗り込もうとする。するとそこには――
ドッ! ドドォッ!
広域にばら撒かれたマキビシ型の爆弾が炸裂し、あたり一面が土煙に包まれた。
その間に楔は梟のコックピットに乗り込もうとする。するとそこには――
「楔さん無事ですか!?」
「マイア、君が操縦してきたのか?」
「マイア、君が操縦してきたのか?」
乗っていたのは竜蔵寺研究所のアンドロイド・マイアだった。
「お迎えに来ました、すぐ乗ってください!」
「感謝する」
『待てやぁ!!!』
「感謝する」
『待てやぁ!!!』
だがそこに、周辺の警戒から戻ってきた羅甲・双武が猛烈な勢いで駆けつける。
操縦するのは四天王ダブル・トマホークだ!
操縦するのは四天王ダブル・トマホークだ!
『このまま行かせるかよ! トマホォォォォク・ブゥーメラァン!!!!』
羅甲・双武のトマホーク投擲! これを喰らえば梟の機体は真っ二つにされること請け合いだ!
しかしマイアが梟を急発進させて回避、そのまま宙返りし、さらに牽制のマキビシランチャーを放つ!
ダブル・トマホークは羅甲・双武を後退させて難を逃れたが、楔とマイアの乗る梟をまんまと逃してしまった。
しかしマイアが梟を急発進させて回避、そのまま宙返りし、さらに牽制のマキビシランチャーを放つ!
ダブル・トマホークは羅甲・双武を後退させて難を逃れたが、楔とマイアの乗る梟をまんまと逃してしまった。
『おのれぇ!』
コンソールに拳を叩きつけてダブル・トマホークは悔しがった。
その気持は他の四天王たちにしても同じだ。これほどまでに作戦を完璧に進めて、最後の最後画竜点睛を欠いた。
その結果、機械将軍の演説が失敗に終わり、世間の失笑を買ったことであろう。
その気持は他の四天王たちにしても同じだ。これほどまでに作戦を完璧に進めて、最後の最後画竜点睛を欠いた。
その結果、機械将軍の演説が失敗に終わり、世間の失笑を買ったことであろう。
「奴はいったい何者なんだ……」
疑問は募ったが、今はそれどころではない。
楔の乱入で混乱はあったが、彼らはすぐに撤退しなければならないのだ。
急がなければ日本防衛軍の援軍が殺到し数で圧倒されることは明白なのだから。
ラバー・マッスルがバスター・アーセナルを担ぎ上げて回収用のヘリに乗り込む。他のものもそれに続いた。
楔の乱入で混乱はあったが、彼らはすぐに撤退しなければならないのだ。
急がなければ日本防衛軍の援軍が殺到し数で圧倒されることは明白なのだから。
ラバー・マッスルがバスター・アーセナルを担ぎ上げて回収用のヘリに乗り込む。他のものもそれに続いた。
しかし、一人だけ楔を追うものがいた。否、この場合は彼しか追撃しうるものはいない。
禍々しい翼を広げ夜空を駆ける操兵の名は羅甲・爪我! 操るはデッド・イーグル!
禍々しい翼を広げ夜空を駆ける操兵の名は羅甲・爪我! 操るはデッド・イーグル!
「ようやく恨みを晴らす時が来たぜ!」
彼の行動に機岩城の軍師・セッサイはすぐさま諫止した。
「戻れデッド・イーグル、貴殿は撤退する部隊の護衛についてもらわねばならないのだぞ」
「よい、やらせよ」
「将軍!?」
「よい、やらせよ」
「将軍!?」
セッサイを引き止めたのは機械将軍だ。
「彼奴の黒い忍に対する恨みはもっともだ。雪辱の機会を奪ってはならぬ」
「承知しました……」
「承知しました……」
そう、デッド・イーグルは破壊工作や誘拐作戦を幾度も楔に阻止されている。
その恨み、屈辱が極みに達することを理解している将軍は、彼を束縛せず自由に解き放ったのだ……。
その恨み、屈辱が極みに達することを理解している将軍は、彼を束縛せず自由に解き放ったのだ……。
◆◆◆◆◆
一方、防衛軍基地を脱出した梟は市街地を離れ山岳部へと至る。そのコックピット内では……。
「マイア、もう動いても大丈夫か?」
「はうぅ……大丈夫です……」
「いや、誠に申し訳ない……」
「いいんです……不可抗力ですから」
「はうぅ……大丈夫です……」
「いや、誠に申し訳ない……」
「いいんです……不可抗力ですから」
そこにあったのは楔とマイアがもつれ合う異様な光景である。
梟が緊急発進したその瞬間、楔は反動でマイアの豊満な胸に顔からダイブしていたのだ。
女性の本物の胸と遜色ない精巧に作られた柔肌の感触。それが楔の顔を両側からサンドする。
だがどうだろう、楔の肉体、その男の部分はまるで反応を示さない。この強固な自制心、さながら不能の如し。
梟が緊急発進したその瞬間、楔は反動でマイアの豊満な胸に顔からダイブしていたのだ。
女性の本物の胸と遜色ない精巧に作られた柔肌の感触。それが楔の顔を両側からサンドする。
だがどうだろう、楔の肉体、その男の部分はまるで反応を示さない。この強固な自制心、さながら不能の如し。
その後どうにか体を入れ替えて楔が座席に着く。
だがその身体はところどころに傷を負い、未だ出血している箇所もあった。
だがその身体はところどころに傷を負い、未だ出血している箇所もあった。
「楔さん……怪我は痛くないんですか?」
「痛い」
「わわっすぐ治療しないと!」
「ある程度は塞がっている。後回しでいい」
「痛い」
「わわっすぐ治療しないと!」
「ある程度は塞がっている。後回しでいい」
楔はそう言って操縦に専念した。
マイアはこれまでにも楔の手当をしたことがあるが、楔の奇妙な能力には驚かされていた。
それは人並み外れた治癒力。否、人並み外れどころではない。
彼の肉体は骨が折れても、筋が切れても、一分と経たずに傷が塞がってしまうのだ。
マイアはこれまでにも楔の手当をしたことがあるが、楔の奇妙な能力には驚かされていた。
それは人並み外れた治癒力。否、人並み外れどころではない。
彼の肉体は骨が折れても、筋が切れても、一分と経たずに傷が塞がってしまうのだ。
だがその治癒力も万能万全ではない。
回復といってもせいぜい応急措置レベルで、傷が完治する前に超回復は止まってしまう。
また小さな切り傷や打撲などには適用されないらしく、今も体中に多くの小さな傷が口を開いている。
いったいどういう体質をしているのか。竜蔵寺研究所で検査しても確たることはわからなかった。
回復といってもせいぜい応急措置レベルで、傷が完治する前に超回復は止まってしまう。
また小さな切り傷や打撲などには適用されないらしく、今も体中に多くの小さな傷が口を開いている。
いったいどういう体質をしているのか。竜蔵寺研究所で検査しても確たることはわからなかった。
「レーダーに反応!?」
梟のレーダーが後方から追ってくる飛行物体を捉えた。デッド・イーグルの羅甲・爪我だ!
「速い……!?」
楔が気づいた時には、羅甲・爪我が梟に並びかけ、脚部に備わる鉤爪で一蹴り!
すれ違い様の攻撃で梟は地面に落下する。
すれ違い様の攻撃で梟は地面に落下する。
「くっ……!」
「キャァァ!?」
「キャァァ!?」
激しい衝撃にマイアの豊かな胸が弾み、楔の横面を叩く。
それでも姿勢を整えて着地した梟。その頭上で羽を広げ、敵を睥睨する羅甲・爪我の禍々しき姿よ。
それでも姿勢を整えて着地した梟。その頭上で羽を広げ、敵を睥睨する羅甲・爪我の禍々しき姿よ。
この操兵には腕部がなく、代わりに推進器を備えた翼が生え、豊富なミサイルのウェポンラックも兼ねている。
脚部はたくましく太く、鉤爪による攻撃は戦闘機などなんなく引き裂くだろう。
そしてそのシルエットは洗練された流線型をしており、生半可な空戦機とは別次元の機動性能を与えていた。
脚部はたくましく太く、鉤爪による攻撃は戦闘機などなんなく引き裂くだろう。
そしてそのシルエットは洗練された流線型をしており、生半可な空戦機とは別次元の機動性能を与えていた。
「お前を倒す日を心待ちにしてたぜ!」
デッド・イーグルの怒声と同時に放たれる多数のミサイルが梟を取り囲む。
対する梟は手裏剣でミサイルをいくつか破壊するが、数発が逃れて梟の周りで着弾、激しい爆発光に包まれる。
対する梟は手裏剣でミサイルをいくつか破壊するが、数発が逃れて梟の周りで着弾、激しい爆発光に包まれる。
反撃にマキビシランチャーを放つ梟だが、羅甲・爪我の華麗な機動を捉えることは叶わず、夜空に無駄弾を散らすだけである。
楔は考えた。この敵は前に戦った化学ニンジャ――T・スパイダーの羅甲である――とはレベルが違う。
本格的な空戦機だ。空中戦はもとより振り切ることも難しい。
……どこか最寄りの日本防衛軍の戦力とぶつけるか、あるいは……。
楔は考えた。この敵は前に戦った化学ニンジャ――T・スパイダーの羅甲である――とはレベルが違う。
本格的な空戦機だ。空中戦はもとより振り切ることも難しい。
……どこか最寄りの日本防衛軍の戦力とぶつけるか、あるいは……。
だがそうしているうちに事態はさらに深刻化する。
羅甲・爪我のミサイルをよけた梟に、横合いから襲うトマホークの投擲!
トマホークは梟の肩部装甲を削り取ると、弧を描きながら持ち主のところへリターンしていく。
羅甲・爪我のミサイルをよけた梟に、横合いから襲うトマホークの投擲!
トマホークは梟の肩部装甲を削り取ると、弧を描きながら持ち主のところへリターンしていく。
「なにっ!?」
それはダブル・トマホークが操る羅甲・双武だった。
彼ももデッド・イーグルが楔を足止めしているうちに地上から追いついてきたのだ。
彼ももデッド・イーグルが楔を足止めしているうちに地上から追いついてきたのだ。
「デッド・イーグルだけに手柄は渡さねえぜ! 喰らえ、こっぱみじん斬り!!!」
羅甲・双武の二本のトマホークがミキサーの如き壮烈な斬撃となって襲う。
楔は梟の刀で受けようとしたが、数撃受けると刀はへし折られてしまったではないか。
楔は梟の刀で受けようとしたが、数撃受けると刀はへし折られてしまったではないか。
楔は空と陸から追い詰められる格好となってしまった。
空には羅甲・爪我が陣取り、捕捉して放さない。陸には羅甲・双武が詰め寄る。
疲労した楔には一人相手でも苦しい局面であるのに、同時に二人といかにして戦えばいいのか?
空には羅甲・爪我が陣取り、捕捉して放さない。陸には羅甲・双武が詰め寄る。
疲労した楔には一人相手でも苦しい局面であるのに、同時に二人といかにして戦えばいいのか?
「勝てないな」
楔はハッキリと結論した。この男はその点、希望的観測を抱いたりはしない。
「楔さん?」
「マイア、万一に備えて降りて欲しい。そのための隙を作ってみる」
「ダメですよ! 私がなんのために梟ちゃんに乗ってきたと思うんですか!」
「この敵二体に勝つのは難しい。君を巻き込みたくない」
「マイア、万一に備えて降りて欲しい。そのための隙を作ってみる」
「ダメですよ! 私がなんのために梟ちゃんに乗ってきたと思うんですか!」
「この敵二体に勝つのは難しい。君を巻き込みたくない」
巻き込まない――その言葉が二人の間にできた壁のようだった。
「これは俺の個人的な戦いだ。君も、ドクター竜蔵寺もこれ以上関わる必要はない。
いままで多くの協力をしてくれただけでも感謝している」
いままで多くの協力をしてくれただけでも感謝している」
「……私の計算でも楔さんのピンチは明らかです。
でもそれは、楔さんが一人で戦うことばかり考えてるからですよ。
貴方は知らないでしょうけど、私もドクターも巻き込まれたなんて思ってません」
でもそれは、楔さんが一人で戦うことばかり考えてるからですよ。
貴方は知らないでしょうけど、私もドクターも巻き込まれたなんて思ってません」
マイアが楔の手に自分の手を重ねて、言った。
「一人で勝てないならみんなで力を合わせればいいんです!」
ドボォッ!
梟と羅甲・双武の間の地面が突如隆起し、吹き上げるように土を巻き上げた!
「なんだ!?」
突然の出来事に思わず後退する羅甲・双武とダブル・トマホーク。
だが土煙が晴れて、そこからロボットが姿を現すと驚きはさらに大きなものとなる。
だが土煙が晴れて、そこからロボットが姿を現すと驚きはさらに大きなものとなる。
「バカな……テメエは!」
「ドーモ! 初めまして、ファントム・オーガです!」
「ドーモ! 初めまして、ファントム・オーガです!」
奥ゆかしい挨拶とともに戦闘の構えをとったのは、スペインが誇る忍者ロボット・ファントム!
「楔殿! 遅れて申し訳ないでござる!」
「ファントム・オーガ、何故ここに!?」
「拙者と貴殿、共に戦った仲でござろう。それに相手が忍者を名乗る以上は捨て置けぬ!」
「ファントム・オーガ、何故ここに!?」
「拙者と貴殿、共に戦った仲でござろう。それに相手が忍者を名乗る以上は捨て置けぬ!」
意外な助っ人の登場に楔も思わず心が高鳴った。
そして彼を援護するものは他にもいたのだ。
そして彼を援護するものは他にもいたのだ。
『楔! 聞こえているか!?』
「その声、竜蔵寺か?」
『まだ無事だな、もうすぐお前のところにサポートユニットが届く、それを使って戦うんだ!』
「サポートだと?」
「その声、竜蔵寺か?」
『まだ無事だな、もうすぐお前のところにサポートユニットが届く、それを使って戦うんだ!』
「サポートだと?」
その時、空中で小さな火花が散ったように見えた。
その方角に目をやると、次の瞬間には多数のミサイルが飛び交い、空中にいた羅甲・爪我を爆発光で包み込む!
その方角に目をやると、次の瞬間には多数のミサイルが飛び交い、空中にいた羅甲・爪我を爆発光で包み込む!
「なんだ、こっちにも新手か!?」
闇を裂いて現れたのはステルス爆撃機を思わせるシルエットの飛行物!
「来ましたよ楔さん! 今のうちに合体です!」
「合体だと? どういうことだ?」
「私に任せてください、そのためにここにいるんですから!」
「合体だと? どういうことだ?」
「私に任せてください、そのためにここにいるんですから!」
そう言うとマイアは身を乗り出してコンソールを叩きだした。
その集中力とタイプ速度は人間をはるかに凌駕し、楔の横面に胸を押し付ける体勢にも気を止めぬほどの没入ぶりだ。
その集中力とタイプ速度は人間をはるかに凌駕し、楔の横面に胸を押し付ける体勢にも気を止めぬほどの没入ぶりだ。
「OSセットアップ……データリンク……センサー感知……同期確認、楔さん飛んでください!」
「応!」
「応!」
楔は梟を高々とジャンプさせた。
梟の飛行能力はつまるところ、スラスターの噴射で舞い上がり、あとは滑空していく程度のものである。
そんな梟の背後に、サポートユニットが速度を落としながら接近する。
梟の飛行能力はつまるところ、スラスターの噴射で舞い上がり、あとは滑空していく程度のものである。
そんな梟の背後に、サポートユニットが速度を落としながら接近する。
『相対速度……ゼロ。合体オーケー、デス』
サポートユニットの機械的な声がナビゲーションする。用意は整った。
「合体です!」
マイアがスイッチを押すと、伸ばされたアームが梟の背部とドッキング! 引き寄せて二体の兵器は一つとなった!
『これぞ梟のためのバックパック兼サブフライトユニット、“オーバー・ハング・ギア・ゼロ”だ!
人工知能を搭載してるから独自の判断でお前を助けてくれるぞ!』
「オーバー・ハング……なんだと!?」
『“オーバー・ハング・ギア・ゼロ”! 呼びやすい名前で呼ぶといい!』
「よし、お前のことは“オハギ”と呼ぶ!」
『了解、ヨロシク、楔サン』
『オハギナンデ!?』
人工知能を搭載してるから独自の判断でお前を助けてくれるぞ!』
「オーバー・ハング……なんだと!?」
『“オーバー・ハング・ギア・ゼロ”! 呼びやすい名前で呼ぶといい!』
「よし、お前のことは“オハギ”と呼ぶ!」
『了解、ヨロシク、楔サン』
『オハギナンデ!?』
オハギという翼を得た梟が飛翔! 体勢を立て直したデッド・イーグルの羅甲・爪我と対峙する。
そして地上ではファントム・オーガがダブル・トマホークの乗る羅甲・双武と向かい合っていた。
そして地上ではファントム・オーガがダブル・トマホークの乗る羅甲・双武と向かい合っていた。
「逆賊殺すべし」
今ここに、空と大地の忍者たちが火花を散らし、熱い戦闘を繰り広げようとしている……。