影狼隊徒然記【隊長の優雅な休暇】その7
~ アムステラ基地・アフリカ大陸南部支部へ向かう輸送機内 ~
普段なら基地への補給物資の輸送を主とするのだが。今回は客人も乗せて居た。『リノア隊』の隊長・リノアとグーチェの2名。
遊撃隊的な扱いで、今のとこ急務も無かった(=暇してた)彼女らは、とある試合の話を聞いて興味津津で現地へ向かっている最中である。
遊撃隊的な扱いで、今のとこ急務も無かった(=暇してた)彼女らは、とある試合の話を聞いて興味津津で現地へ向かっている最中である。
「それにしてもさー。分別盛りの年頃だろに、絶頂期の快王に挑むなんて。あの真似っこ隊長は一体何を考えてんだろね?」
大袋入りのおやつイリコを豪快に掴んでポリポリ貪りながら、グーチェが言う。
「以前、快皇に挑んで返り討ちにされた貴方がそれを言うの?」
額の冷えピタを取り換えつつ、リノアが応える。
「うぐっ。で、でもテッシン老に挑んだのって数年前だしー。『若気の至り』で済むじゃない? で・・・さっきから何考えてんのさ?」
「今、話に出た影狼隊の事よ。正直、調べだしたら『良く判らない』の連続なのよね。特務部隊って事を差し引いてもね」
「・・・へーっ? 何が判らないってのよ??」
「今、話に出た影狼隊の事よ。正直、調べだしたら『良く判らない』の連続なのよね。特務部隊って事を差し引いてもね」
「・・・へーっ? 何が判らないってのよ??」
そんな事でリノアが冷えピタ冷却を駆使した本気思考してるのに驚いて、イリコを握ったグーチェの手が思わず止まる。
「まぁ色々あるけど、例えば彼の乗機である『妖爪鬼』ね。グーチェ、さっき彼を『真似っこ』とか言ったわよね?」
「あぁ言ったよ。昔、何かで彼が藤宮道場を尋ねた後、あの『怪物』ゲオルグが『モノマネ師』と評したって話を聞いた事もあるしね」
「でも『妖爪鬼』の機体特性って、『物真似』の真逆なのよね。端的に言えば『他の者が真似出来ない』のが売りでしょアレ」
「・・・そういやそっかー。じゃあ何で『物真似』するのさ」
「そりゃ相手の手筋を理解出来るからじゃない? 自分の手を読ませずに相手の手を知るって感じなのかな、多分」
「・・・ふーん? 陰でこそこそやる部隊っぽいっちゃぽいよね、それは」
「あぁ言ったよ。昔、何かで彼が藤宮道場を尋ねた後、あの『怪物』ゲオルグが『モノマネ師』と評したって話を聞いた事もあるしね」
「でも『妖爪鬼』の機体特性って、『物真似』の真逆なのよね。端的に言えば『他の者が真似出来ない』のが売りでしょアレ」
「・・・そういやそっかー。じゃあ何で『物真似』するのさ」
「そりゃ相手の手筋を理解出来るからじゃない? 自分の手を読ませずに相手の手を知るって感じなのかな、多分」
「・・・ふーん? 陰でこそこそやる部隊っぽいっちゃぽいよね、それは」
グーチェの手が再び動き、握り込んだイリコを口へと放り込んでゆく。
「それと、そもそも影狼隊って『地球に来る必要』があったのかしらね?」
「ハァッ? だって来てるじゃん。確か『地球侵攻軍の第四部隊』って事で、割と早めに来てたんじゃなかったっけ?」
「そこよ。裏毘沙門隊辺りと比べたら、どっちかと言えば直接戦闘よりも破壊工作とかに向いた部隊でしょ、影狼隊って」
「・・・そりゃ判るけど? だからそれがどうしたのよ??」
「今でこそ戦局は拮抗してるけど、地球側って初期の頃は1型とか2型みたいな笑える機体ばっかしじゃない。破壊工作する必要ある?」
「・・・そりゃあんま無いよねぇ。まぁ特機潰しの方なら需要あるだろけど、それだって当時そこまで必要だったかってと・・・ねぇ」
「ハァッ? だって来てるじゃん。確か『地球侵攻軍の第四部隊』って事で、割と早めに来てたんじゃなかったっけ?」
「そこよ。裏毘沙門隊辺りと比べたら、どっちかと言えば直接戦闘よりも破壊工作とかに向いた部隊でしょ、影狼隊って」
「・・・そりゃ判るけど? だからそれがどうしたのよ??」
「今でこそ戦局は拮抗してるけど、地球側って初期の頃は1型とか2型みたいな笑える機体ばっかしじゃない。破壊工作する必要ある?」
「・・・そりゃあんま無いよねぇ。まぁ特機潰しの方なら需要あるだろけど、それだって当時そこまで必要だったかってと・・・ねぇ」
それ以上深く考えるのを諦めて、イリコの群れを咀嚼するグーチェ。だが、フト何かに気付いた様な顔でリノアに尋ねる。
「って、そういや影狼隊ってどういう立ち位置なのよ?」
「良い処を突いたじゃない。そう。その判断が一番頭の痛い処なのよ」
「良い処を突いたじゃない。そう。その判断が一番頭の痛い処なのよ」
グーチェの問いに応えて、リノアは手にしたタブレットを操作する。
「非公式の話だけど、数年前にあった『コンウェイの乱』(※SRC作品『毘沙門』参照)では、オスカー様に協力したらしいわね」
「ただ、その時の言動に何かあったみたいで、それ以降オスカー様は影狼隊と深く関わるのを避けてるみたい」
「ただ、その時の言動に何かあったみたいで、それ以降オスカー様は影狼隊と深く関わるのを避けてるみたい」
リノアのデータ検索と検証は続く・・・
「それより前だけど。アムステラ神聖帝国軍、陸軍機動連隊突撃部隊第65機動戦隊"炎駒"による惑星セイントヘレナ鎮圧戦・・・」
「これに『強化人間』が関与していると報告したのが『影狼隊』らしいわね・・・。(※SRC作品『傭兵達の挽歌』参照)」
「これに『強化人間』が関与していると報告したのが『影狼隊』らしいわね・・・。(※SRC作品『傭兵達の挽歌』参照)」
「地球に来てからはそうねぇ。えぇと、それでも破壊活動とかも色々やってるのよね・・・。(※SS作品『影の死闘・暁の戦闘』参照)」
「あらっ? あのKGFの特機、剣王機と交戦した記録まであるわね。返り討ちにされてるけど。(※SS作品『対決!秘剣vs妖拳』参照)」
「後は・・・ふぅん? フランダル部隊に協力した記録なんかもあるわね。(※SRC作品『ギタラン東遊記』参照)」
「あらっ? あのKGFの特機、剣王機と交戦した記録まであるわね。返り討ちにされてるけど。(※SS作品『対決!秘剣vs妖拳』参照)」
「後は・・・ふぅん? フランダル部隊に協力した記録なんかもあるわね。(※SRC作品『ギタラン東遊記』参照)」
「他にはっと・・・あら。カスム隊の作戦を援助した事もあるのね。(※SRC作品『一意穿震 第三章』参照)」
「へぇ、ステラ隊が『震月』絡みで起こした行動を擁護したりもしてるんだ。(※SRC作品『Starlight Nexus -ホシノキズナ-』参照)」
「何ていうか、基本的にあんまし派閥に迎合してない感じはするわね。同種の部隊・裏毘沙門隊と比べたら、その傾向が顕著だわ」
「へぇ、ステラ隊が『震月』絡みで起こした行動を擁護したりもしてるんだ。(※SRC作品『Starlight Nexus -ホシノキズナ-』参照)」
「何ていうか、基本的にあんまし派閥に迎合してない感じはするわね。同種の部隊・裏毘沙門隊と比べたら、その傾向が顕著だわ」
バリボリバリボリ。リノアの分析と考察に頭がついてゆかず、豪快にイリコを頬張るグーチェ。・・・ゴックン。
「で? あたしらは結局、影狼隊の連中にどう接すりゃいいのよ?」
「真っ向から『強化人間』辺りの話をするのはタブーでしょうね。でも後は、普通にしてりゃ何とかなるんじゃない?」
「ちょっ、リノアっ?! えらくテキトーな物言いじゃない? ソレ」
「つまり下手に取り繕う事を考えずに、堂々と接すれば良いのよ」
「真っ向から『強化人間』辺りの話をするのはタブーでしょうね。でも後は、普通にしてりゃ何とかなるんじゃない?」
「ちょっ、リノアっ?! えらくテキトーな物言いじゃない? ソレ」
「つまり下手に取り繕う事を考えずに、堂々と接すれば良いのよ」
オスカー達の闇に触れた者として、迂闊な言動は取れないなと判断したリノアではあるが、自分の身は自分で処すれば良いと割り切った。
幸いグーチェは脳筋・・・もとい、そこまで闇の事情には通じて無いので、自然体で居てくれればそんなに問題は無い。
幸いグーチェは脳筋・・・もとい、そこまで闇の事情には通じて無いので、自然体で居てくれればそんなに問題は無い。
そうこうするうちに、アフリカ大陸南部支部に到着。バトゥロ達の居所を尋ねたら、訓練室との事。
そこでサンドバッグを背にした強化服と対峙する、宙に浮いたグローブを見て、目を丸くする2人であった。
そこでサンドバッグを背にした強化服と対峙する、宙に浮いたグローブを見て、目を丸くする2人であった。
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~ 訓練室 ~
「・・・やるわね。この訓練なら能力のハンデをある程度は補えるじゃない」「ちぇー、これならあたしでも手伝えたかもしんないなぁ」
「は、はは・・・ですがもう、防御率はかなり落ちましたよ。えぇとさっきので確か、また3連敗しましたしね」
「最初は俺だって連敗してるけどな。親父、勝敗はどうなってるかな?」「フム。今ので26勝15敗だな」
「は、はは・・・ですがもう、防御率はかなり落ちましたよ。えぇとさっきので確か、また3連敗しましたしね」
「最初は俺だって連敗してるけどな。親父、勝敗はどうなってるかな?」「フム。今ので26勝15敗だな」
訓練の小休止中、和気藹々と会話する一同。そしてリノアがフト気付く。
「そう言えば、こちらはどなた?」
「あ、申し遅れました。自分は影狼隊のルカスと言います」
「あぁ、あんたも影狼隊の。んじゃー、あんたンとこの隊長は部下ほっぽって何処行ってんのよ?」
「それなら、レゼルヴェ国に行ってるぜ」「トワイス大佐が戻られるまで、まだ少々掛かりそうだからな。先に用件を済ませて来るそうだ」
「あ、申し遅れました。自分は影狼隊のルカスと言います」
「あぁ、あんたも影狼隊の。んじゃー、あんたンとこの隊長は部下ほっぽって何処行ってんのよ?」
「それなら、レゼルヴェ国に行ってるぜ」「トワイス大佐が戻られるまで、まだ少々掛かりそうだからな。先に用件を済ませて来るそうだ」
「「 ・・・ ハ ァ ッ ? ! 」」
予定表があったとはいえ、シエンヌとバトゥロの口から改めて『百文字に挑戦しに行った』と聞かされて愕然とするリノア隊の2人。
なにせ『ギガント破壊しねえ』作戦で直接対峙しただけに(※SS作品『ウルトラマサイ』参照)、その恐ろしさは骨身に染みている。
なにせ『ギガント破壊しねえ』作戦で直接対峙しただけに(※SS作品『ウルトラマサイ』参照)、その恐ろしさは骨身に染みている。
「な、何て命知らずな・・・あのギガントを相手に??」「それじゃトワイス快王の不戦勝だろっ!」
リノアとグーチェが口々に叫ぶ。しかしルカスは能天気とも思える反応を返す。
「いえ、大丈夫と思いますよ? 様子見だけだって話でしたし」
「いやいやいやっ!『様子見』とかで済むレベルじゃねーからアレ!!」
「いやいやいやっ!『様子見』とかで済むレベルじゃねーからアレ!!」
さて、リノアとグーチェがこの様に真っ当な反応を見せていた翌日。潜入して居る隊長達はと言えば・・・
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~ 早朝 レゼルヴェ国・執務室 ~
香を焚きしめた部屋の中で。その黒尽くめの男は、昨日までは確かに無かった筈の、謎の封筒を睨んで居た。
「・・・。」
しかし無造作に封筒を取り上げ、武骨な指でビリビリと封を破る。その中から出て来たのは手紙とネクタイピン。
”貴公の噂を聞き、その虚実を知る為に来訪させて貰った。休暇がてら視察はしたが、他にも一つ所望したいものがある。”
”それは貴公とギガント28号の実力を知る為の手合わせである。幸い、当方の関知する限り本日の軍事活動は無い様だ。”
”本日18時『ベイベーおフランス』屋上にて待つ。ギガントの出番は貴公と立ち合った後になるだろう。影狼隊隊長より”
”それは貴公とギガント28号の実力を知る為の手合わせである。幸い、当方の関知する限り本日の軍事活動は無い様だ。”
”本日18時『ベイベーおフランス』屋上にて待つ。ギガントの出番は貴公と立ち合った後になるだろう。影狼隊隊長より”
”なお、同封のネクタイピンは小型マイクになっている。私は超聴力(地獄耳)の持ち主では無いのでね・・・”
手紙を読み終わった百文字は、無言のままネクタイピンを胸に留める。そして重々しく言い放った。
「委細承知!」
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~ 夕方 ベイベーおフランス・(現在の)最上階 ~
『ベイベーおフランス』とは。レゼルヴェ国首都(コマンタレヴ・シティ)のスラム街中心部にあった一番のカジノビル。
全長324mの威容を誇っていたそのビルは、後に『コマンタレヴ・ラプソディ』と呼ばれたクーデターの際、ギガント28号の
『レスラーへの賛歌・その1』によって半分にへし折られた。
全長324mの威容を誇っていたそのビルは、後に『コマンタレヴ・ラプソディ』と呼ばれたクーデターの際、ギガント28号の
『レスラーへの賛歌・その1』によって半分にへし折られた。
用が無ければ、というか今更こんな処に用事がある者も他に無かろうが、地上162mまで上がると風の音しかしない。
その静寂の中で、ギシリ・・・ギシリと重々しく床を踏みしめる音がする。そしてガソリンの臭いがうっすらと漂ってくる。
その静寂の中で、ギシリ・・・ギシリと重々しく床を踏みしめる音がする。そしてガソリンの臭いがうっすらと漂ってくる。
天井の失せた最上階に姿を見せたその黒尽くめの男は、耐撃の百文字。悠揚と歩みを進め、腹に響く声で重々しく告げる。
「・・・時間だ。ワシは忙しいのでな、ただの手合わせ程度ならば早く済ませよう」
それに応えて瓦礫の影から姿を見せたのは、張り子の狐面を被った黒装束の男。
「今日もずっと観察させて貰って居たが、聞きしに勝るな・・・。紳士的に立ち合いを受けて貰って感謝する」
バキバキと指を鳴らしつつ、百文字は言う。
「紳士的なのは17時までだ。『狼』だか『狐』だか知らぬが、今すぐ尻尾を巻いて逃げた方が良いのではないか?」
会話しつつ、双方間合いを詰めて行く。身長210cmの巨体・百文字。対するは身長174cm程度の狐面。
身長だけでなく、身体の横幅や手足の太さも2回り以上は違う両名。
かつて百文字と死闘を繰り広げた大蛇毒砲とて、身長178cmの体重110kgであり、勝負が論外とまでは言えないだろうが・・・
身長だけでなく、身体の横幅や手足の太さも2回り以上は違う両名。
かつて百文字と死闘を繰り広げた大蛇毒砲とて、身長178cmの体重110kgであり、勝負が論外とまでは言えないだろうが・・・
そういう状況下で無造作に歩み寄っていた狐面が、百文字へと軽く声を掛ける。
「予想通りで想像以上だ・・・故に3手、(…ヒュッ!)貰えるかな?」「(ゴッ!)ぬっ…『菩薩の拳』か!」
狐面の腕が突然霞み、軽く握った拳が百文字の心臓を強打する。
タンッ! タンッ! タンッ! タンッ! ( ス ッ … ダ ダ ッ ! ) ダ ッ !
直後、連続後方転回(バック転)で間合いを開ける狐面。それを追う百文字が体勢を低くしてタックルで突っ込んだ瞬間!
バック転で着地した狐面の脚が溜めを作り、その溜められた力はバック転の続きでは無く、百文字の方へ戻る力として放たれた!
バック転で着地した狐面の脚が溜めを作り、その溜められた力はバック転の続きでは無く、百文字の方へ戻る力として放たれた!
ギ ュ ル ル ル ッ ッ !! ガ ッ !!
狐面が身体を捻りながら放った螺旋蹴りは、突っ込んで来た百文字の左肩口に突き刺さり、さしもの百文字も軽くよろめく。
とはいえ蹴りを放った狐面も、百文字のタックルの威力と蹴りの反動で再び後方へと跳ね飛ばされる。
とはいえ蹴りを放った狐面も、百文字のタックルの威力と蹴りの反動で再び後方へと跳ね飛ばされる。
「蛇輪脚・・・応用編。まぁ本家本元の7割も出てれば上等かな」
「努力は認めるが、笑わせる・・・精々5割だ」
「むっ? そうか。この技も早々完璧に習得出来るものでは無いからな、鍛錬あるのみか」
「努力は認めるが、笑わせる・・・精々5割だ」
「むっ? そうか。この技も早々完璧に習得出来るものでは無いからな、鍛錬あるのみか」
この時、百文字は螺旋蹴りに耐えた状態のままその場に留まって居たが、狐面はさりげなく建物の縁近くにまで寄っていた。
「・・・お主、もしや『3手目』と言うのは・・・」
「然り。『逃げの一手』を打たせて貰う。と、その前に。参考までにお尋ねしたい」
「・・・む?」
「こういう状況下でも、貴公が打てる『賛歌』というのはあるのか?」
「然り。『逃げの一手』を打たせて貰う。と、その前に。参考までにお尋ねしたい」
「・・・む?」
「こういう状況下でも、貴公が打てる『賛歌』というのはあるのか?」
意外な質問に、さしもの百文字も一瞬考え込む。その答えは・・・っ!
「ある。」
・・・実にシンプルだった。
「あるのか・・・聞かなければ良かったな」
その答えを聞いた狐面は、苦笑混じりの反応を返し、そのまま建物の縁から地上へと飛び降りる!
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脚を下にして、まるで地上から見上げる様に建物の縁へ来た百文字を見ながら落下する狐面。
百文字はというと、宣言通り『賛歌』を放つ準備に入る!
百文字はというと、宣言通り『賛歌』を放つ準備に入る!
「ワシはこの技を、闘技場(リング)に生き、闘技場(リング)に散った道化師(愚か者)に捧ぐ!」
「『 レ ス ラ ー へ の 賛 歌 ・ 番 外 ッ ・・・ !!』 これぞ『お男爵・殿鼓宇(デンコウ)』のマジシャンレスリングの奥義ッ!」
シュボッ!
右拳の人差し指と中指のみをピンと伸ばし、『剣訣指』の形を作った百文字。
そして体内を巡る潤滑油(ガソリン)をその指先に滲ませ、瓦礫に擦り付ける事で摩擦熱で発火。『剣訣指』に炎を纏わせる!
そして体内を巡る潤滑油(ガソリン)をその指先に滲ませ、瓦礫に擦り付ける事で摩擦熱で発火。『剣訣指』に炎を纏わせる!
「『 ”奪 命 刺 突 ”太 極 指 剣 (タイキョク・フィンガー”ライフはゼロ”)』 で あ る ッ ッ !! 」
(※SS作品『クロガネの賛歌・番外 響鐘ゥ!地下プロレス編』第二話参照)
建物の縁を蹴って落下する百文字。元々、体長50mのギガント28号の肩に飛び乗るだけの跳躍力も備えて居るのだ。
落下に数秒程度の差があっても、それを補って余りある加速で自然落下する狐面に肉薄する。
そして、その炎を纏った『剣訣指』が狐面を貫こうとした瞬間!
落下に数秒程度の差があっても、それを補って余りある加速で自然落下する狐面に肉薄する。
そして、その炎を纏った『剣訣指』が狐面を貫こうとした瞬間!
「 ぬ っ ? ! 」
遥か上空から瞬時に急降下してきた巨体。その巨大な指がデコピンの形を作り、まるで虫でも弾く様に百文字を弾き飛ばす。
もう一方の拳は優しく狐面を受け止め、慣性と重力を無視した動きでその場に静止した。
もう一方の拳は優しく狐面を受け止め、慣性と重力を無視した動きでその場に静止した。
操兵の指で弾かれ、『ベイベーおフランス』に叩き付けられた百文字は、窓ガラスを破って建物内の壁にぶつかった末に止まる。
そこへ届いたのは、地獄耳(超聴力)の百文字だからこそ聞こえる呼びかけの声。
そこへ届いたのは、地獄耳(超聴力)の百文字だからこそ聞こえる呼びかけの声。
「まー、少々荒っぽくて悪ぃが操兵で微調整すんのはしんどくてねぇ。でもアンタ、この程度じゃ死なねーだろ?」
「今度はオタクもギガント28号を呼んでくれや。俺達ァこの『禍風(まがつかぜ)』でお相手すっからよォ~」
「今度はオタクもギガント28号を呼んでくれや。俺達ァこの『禍風(まがつかぜ)』でお相手すっからよォ~」
ここまでは狐面と異なる男の声。続いて操縦席に乗り込む音と共に、狐面の声が科白を続ける。
「無論、この街中で戦闘をする訳にはいかぬからな。我らはマドモワゼル平原にて待つ」
その言葉と共に、禍風は遥か彼方へと飛び去って行った。
選択肢としては一応、『この状況で、わざわざ追いかけて闘うまでも無い』という選択もあるっちゃある。
選択肢としては一応、『この状況で、わざわざ追いかけて闘うまでも無い』という選択もあるっちゃある。
だが、耐撃の百文字という漢(おとこ)は。その様な考え方も、その様な生き方も出来ない漢であった。それ故に・・・
「三下ヒール(禍風)如きが、チャンピオン(ギガント28号)に挑もうとは僭越であるっ!」
「リング(マドモワゼル平原)にて、王者(ギガント28号)の闘いぶりを存分に味わうが良いっ!」
「リング(マドモワゼル平原)にて、王者(ギガント28号)の闘いぶりを存分に味わうが良いっ!」
ネクタイピン型マイクにそう返答すると、レゼルヴェ国を守護する鋼の巨人の名を高らかに叫ぶ百文字。
「 来 い っ ! ギ ガ ン ト 2 8 号 ウ ゥ ウ ー ー ッ ッ ! ! ! 」