平穏と仲間
桶狭間から帰った一行は織田からの報酬でこれから何年も兵を養える資金を手に入れた。今回の戦に参加しなかった末っ子の影心が戦のことを聞きたがり兄弟の間をうろうろしっぱなしだった。戦働きがないと村も普通の山村となんかわりはない。のどかな毎日を過ごすばかりであった。
「雲心様なにやら麓に正体不明の一団が。その数300。」
楓の突然の報告で村にほら貝の音が響き渡った。
村は警戒態勢をとりいつでも敵を迎え撃てる状態になった。
が、しかし、突然その正体不明の一団は進むのやめ一人の武士のみが村の門の前まで単騎で現れた。
「突然の訪問許したまえ。拙者、名を関口康友と申す。雲心殿にお目通り願いたい。」
「たった一騎でなにもできぬであろう話ぐらい聞いてやろうか。」
その武者は雲心の館へ通された。
「さてあのような大人数の一団で何用じゃ?」
「拙者、松平家とゆかりのあるものわけあって今川の下で働いていたのですが松平家は今川と離別、そのことで今川の家臣団からもうとまわれ、松平本家を頼るものの今の時期に今川とのいさかいを増やせぬと。そしてこの手紙と共にここへいってみろうと。」
なにやら懐から一通の書状を取り出してくる。
松平元康からの書状である。今は家康と名乗っているそうだ。
雲心は書状に目を通し、じっと康友を睨みつける。
「うむ。だいたいのことはわかった。お主らがわしらに加わりたいと申すのであればこちらで面倒をみよう。」
「それはありがたい。もともと武将の中で出世しようとは思っておりませぬ。ただ戦場で駆け回りたかっただけのこと。」
「書状にもそうかいておるのう。わしらの生き方にぴったりじゃと。」
「ではさっそく拙者の部下を呼んでまいります。」
「まあ待て。一応は戦にでた精鋭であろうが力のほどを見てみようとするか。せっかくの戦支度のままじゃしの。」
「影心。おらぬか。」
「はい。お呼びでございましょう。」
「そちはわしの150をつれてこの者と一戦してまいれ。」
「少しお待ちください。このような子供でしかも拙者の半数の人数で力比べでござるか。」
「そうじゃのう。そなたたちは旅の疲れもあろう。それに子供といってもこれからの戦この者も深山の大将として出陣する予定のものじゃそう簡単にはやられはせぬぞ。」
「わかり申した。ではいつよりはじめまするか?」
「さすがに本物の刀や槍でつきあうと死人がでる。あそこの蔵に演習用の武器が入っておる。何人かに運ばせよう。」
「御意。」
それから影心に案内され蔵から刃物の突いてない棒や木刀などを運ばせ部隊に説明をした。
「これより戦することになった。しかし本物の戦ではない。力比べのようなものじゃ。だからといって気を抜く出ないぞ。勝つつもりでやれ。」
部隊は移動し盆地になっている開けた場所に到着した。
そこにはもう騎馬150騎で待ち構えている影心の部隊があった。
両者向かい合い勝負の音を待っていた・・・
ほら貝の音が鳴り響いた。
関口の部隊は歩兵200騎馬100歩兵が先頭で騎馬半数が両側に分かれ歩兵で騎馬を止め騎馬を押し包むような陣形をとった。
影心の部隊は大きく右にそれ一直線になり部隊の側面をつこうと動いてくる。それに合わせ関口の部隊は歩兵で正面と向き合うように位置を変えてくる。突然、影心の部隊が方向を変えた。すごい早さである。それに合わせ歩兵も正面を向いたと思ったがそちらに来たのは50騎だけ残りの100騎はそのまま歩兵の側面へ一直線に飛び込んでくる。側面の騎馬も対処しようとするが次々と落とされていく。歩兵も一気に中を割られ騎馬の道ができあがった。
「固まれ、離れるな。」
関口は部隊をまとめようと懸命に鼓舞するが正面から影心50騎が突っ込んでくる。今度は楔のような形で正面から刃物でつかれるようにえぐりとってくる。騎馬が間にはいってこようとするがその勢いは止められない。あれよあれよといううちに部隊は散開さされなすすべもなくなったと思ったときほら貝の音が鳴り響いた。
「やめー。」
雲心の声が鳴り響いた。
「完璧にやられ申した。こんな子供といえど戦上手の一族だとこれほどまでに。」
「わしの部隊であるからそれなりの働きはするからの。まあそこそこ動けるようじゃからこの部隊のものもすぐに追いつくであろう。」
「そなたもいい武将になれる。よし今日は宴会じゃ皆のものを村で歓迎会じゃ。」
その日の夜は獅子の鍋など酒も振舞われて大賑わい。影心も最近覚えた酒をもらい上機嫌になっている。
「兄者達、おれも実戦で戦えるだろ。」
「まだまだ若いわ。もっと修練に励め。」
パーン。頭を空心にはたかれた。
「いったいな。いつか兄者をやっつけてやるよ。」
「ん?もう一発くらいたいか?」
手が上がる前に影心は兵達の中に飛び込んでいった。
次の日からは大忙し。突然300人もの兵が増えたのだ。兵糧などは今までの蓄えでなんとかなるが寝泊りするところを作らねばならない。村人総出で皆の家を作った。それからは新兵の錬度をあげるための演習が毎日行われた。それそろほかの部隊との連携もとれいつでも出動できるようになった頃使者が到着した・・・
最終更新:2010年05月23日 17:34