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旅




「じい様まずはどこへ向かうのじゃ?」
「ほっほっ。どうするかのう。」
深山の里を離れ二人は西へ向かうのであった。まずは三河か尾張かあの辺りであろうと思いながら影心は雲流についていくのであった。しかし一行に山合いからは降りず、ずっと山深くを移動するのであった。
「そろそろ山から降りねえか?」
「少し寄りたいところがあってのぅ。」
「それじゃ、じい様稽古しようぜ。」
「まあまて時間はたっぷりあるのじゃ。あせることはない。」
影心はしょうがなくついていく。
やがて前方に集落らしき村が見えてきた。
「よし、では少しお使いを頼まれてくれんかの。あの館がわかるか?一番大きな館じゃ。」
「あれですか。じい様。」
「そうじゃ。あそこの館にこれを届けてほしい。」
雲流は懐から忍びが持っているような短い懐刀を取り出した。
「これを届ければいいんだな。わかった。」
「では行ってこい。わしは疲れたから少しここで休むとしよう。」
影心はただ届けるだけでなにも感じず道を歩いていく。館までの距離は山を降りるだけであるから直線距離にしてもさほどの距離ではない。
しかし・・・
カランカラン
何かに足をとられた瞬間山に音が響き渡った。
シュッと音とともに矢が射られてくる。
すぐさま刀を抜き払い矢を叩き落す。
「お主、我らの里に何用じゃ?」
「だれだお主?」
「質問をしてるのはこっちじゃ!」
「しらねえよ。わしのじい様がこれをあの館まで届けろというんじゃ。じじぃは疲れて休んどるよ。」
「その懐刀は・・・」
さっと木の上から猿が降りてきたのかと影心はは思った。
毛皮の衣をまとった子供である。年は10歳前後であろう。
しかしその身のこなし猿と間違うほどであった。
「それは我が家の客人への礼の品である。それを持っているということは客人じゃな。父上にあわせるついてくるがよい。」
「えらそうな童じゃの。」
「まあよい。この辺りは罠だらけじゃわしについてこいよ。」
「ほんとにえらそうじゃ・・・」
影心はその子供について山の中をぐるぐるまわりながら下山していく。
「まっすぐいけばええんじゃないのか?」
「一人でいってみるとええ。お主なら獣の餌によいかもしれぬの。」
(こいつはほんとにもう・・・)
憎まれ口を叩かれながら山をおりやっと館の前までたどり着いた。
館からはなんと見間違えることもない。がっしりした体格で人を見透かすような眼をもった者がいる。父である雲心が現れたのである・・・
最終更新:2008年09月16日 23:12