J 重症筋無力症
101E4,101E5,101E6
次の文を読み,4~6の問いに答えよ。
72歳の男性。眼瞼下垂,複視および易疲労性を主訴に来院した。
現病歴: 2か月前から疲れやすさを自覚し,眼瞼が下がり,物が二重に見えるようになった。午前中は程度は軽いが,午後になると眼瞼の下垂と疲労とが増悪する。最近は階段の上りや重いものを運ぶのが次第に困難になってきた。
既往歴: 50歳時に肺結核と診断され,抗結核薬を1年間内服した。
現症: 意識は清明。身長 170cm,体重 58kg。脈拍 60/分,整。血圧 130/82mmHg。両側に眼瞼下垂を認め,1分間上方注視させると下垂は増悪する。全方向で複視を認めるが,瞳孔は左右同大で対光反射は正常である。頭部屈筋と四肢近位筋とに筋力低下を認め,握力は両側20kg。筋萎縮はなく,深部腱反射は正常。感覚障害と自律神経障害とはない。
検査所見: 尿所見:蛋白(-),糖(-)。血液所見:赤血球 488万,Hb 14.9g/dl,白血球 4600。血清生化学所見:空腹時血糖 75mg/dl,総蛋白 7.3g/dl,アルブミン 4.7g/dl,CK 120IU/l(基準 40~200),FT3 3.0pg/ml(基準 2.5~4.5),FT4 1.2ng/dl(基準 0.8~2.2)。胸部エックス線写真で肺尖部に陳旧性結核病変を認める。胸部単純CTで前縦隔に異常はない。
4 この患者の診断に有用なのはどれか。
a 脳幹誘発電位
b ポリグラフィ
c 針筋電図
d 誘発筋電図
e 神経伝導速度
× a
× b
× c
○ d
× e
正解 d
5 この患者の眼瞼下垂はどの障害によるか。
a 前頭筋
b 上眼瞼挙筋
c 眼輪筋
d 交感神経
e 動眼神経
× a
○ b
× c
× d
× e
正解 b
6 治療として,プレドニゾロンを20mg/日(隔日投与)で開始し,漸増していくことにした。
今後,起こりえる合併症はどれか。2つ選べ。
a ネフローゼ症候群
b 大腿骨骨頭壊死
c 結核の再燃
d 間質性肺炎
e 発癌
× a
○ b
○ c
× d
× e
正解 bc
診断 重症筋無力症全身型
99G44
24歳の女性。1週前から夕方になると時々ものが二重に見えるようになり来院した。3年前からBasedow病で内服薬で治療中である。意識は清明。身長 158cm,体重 54kg。体温 36.6℃。呼吸数 18/分。脈拍 104/分,整。血圧 120/78mmHg。皮膚色は正常。貧血と黄疸とはない。胸部でラ音を聴取しない。腹部は平坦で,肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。四肢筋萎縮はないが徒手筋力テストは眼輪筋 4,頸部屈筋 3および三角筋 3である。深部(腱)反射は正常。感覚障害,小脳症状および自律神経障害は認めない。
この患者でみられないのはどれか。
a 筋の易疲労性
b 末梢神経伝導速度正常
c テンシロンテスト陽性
d 誘発筋電図でのwaxing現象
e 抗アセチルコリンレセプター抗体陽性
○ a
○ b
○ c
× d
○ e
正解 d
診断 重症筋無力症