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ベル

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ベル 04/06/05

  隣で「ひとぉぉぉつ人の世生き血を啜もしもし?今電車!」携帯電話、桃太郎侍での呼び出しは周囲の心臓に悪いから止してくれないか。うつらうつらしていたあんちゃんは突然「ひとぉぉぉつ」と凄まれて焦ったよ。

  ところで「ベル」とは鐘で、しかし「電話の鐘」とは言わず、「電話の鈴」もまた聞いたことがないから「ベル」が日本語として定着していることが判る。「電話の音が鳴る」とは言わず、「電話が鳴る」と言い、それならば電話の音とは何かと考えれば、「呼出音」とは少し違うようで、しかし受話器の向こうで響いているのは紛れもなく呼出音で、それでもやはり電話が鳴って「呼出音が鳴っている。誰だろう」とは明らかに言わないのであって、これは「呼び出す」音だから呼び出す側はそれでよいが、呼び出される側から見た電話の音、「ベル」に適切な漢字を振るならば何が適切か。「呼ぶ」の対義語は何か。「応じる」ならばそれに関連した言葉を繋げればよいわけだが、残念ながら鳴っている電話に対して「応じる」という概念を持ち難い。明らかに「電話に呼ばれている」印象しかない。

  そこで携帯電話の氾濫時代、これを着信音と呼ぶようになった。様々な着信音が溢れる中でさすがに「ベル」では具合が悪かったのだろう。これは携帯電話が齎し普及した日本語として特記に値する。よくやった。誉めて遣わす。

  しかし円盤旋廻式の古い電話機が叫ぶ「じりりりりりりん、じりりりりりりん」を「着信音」と呼ぶことに躊躇いを覚えるのは何故だろう。あれは着信音ではなく確かに「ベル」であった。しかし椀状の金属をどつきまわすことで音を鳴らすという仕組みは、考えてみると仏壇にあるじゃないか。漢字はあれから流用すれはよい。ところで仏壇にある「ちーん」と鳴らす奴は何と呼ぶ代物かね?

  しばし唸っていたが、どうしてもあの金属の椀の名称が思い出せない。それより以前に正式名称を聞いたことがあっただろうか。あの「ちーん」を何と呼ぶ?鳴らす行為を何と呼ぶ?通夜や葬式の場では「焼香」の一言で誤魔化されていた気がする。そうでないときは「ちーんしておいで」「お祈りしておいで」で済まされていた。

  結局調べてみると、あの家庭にあるちーんや由緒ある寺にあるくわーんは、「りん」と呼ぶらしい。「リーン」という音が祈りと共に仏の世界まで届けるべく打ち鳴らす為の仏具であるという。 「鈴」と表記したり、丁寧に「おりん」と呼ぶこともある。

  「りん」ではさすがに電話の音として当て辛いので、「じりりりりりりん」のことは残念ながら「ベル」と呼んでおくのが無難であるようだ。
 
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