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銭湯作法
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銭湯作法 03/05/11
銭湯や温泉等の大浴場に於いては、作法というものがある。
値段は銭湯であれば大抵三百円から四百円の間、温泉ならば文字通りピンからキリまで。先払いで払ってから脱衣所にて全て脱ぐ。くれぐれも靴下だけ脱ぎ忘れる醜態を晒さないように。さて、ここで温泉によっては体を洗うスペースがないこともある。従って銭湯に絞って話を進める。大体修学旅行で「大浴場の入り方」を習っている筈だから今更作法でもないが、たまに心得ていない者がいるので記しておく。
湯殿にバスタオルを持ち込む奴は流石にいないだろう。当然洗濯なども厳禁である。通常「刺青はお断りします」とあるが、悪さをしなければ何も言われない。刺青などの本人特定が簡単な目印を背負っている人は、本人特定が簡単であるが故に想像以上に品行方正である。泥酔者がお断りなのは単純に暴れるのも困るが、それより倒れたりしたら困るからである。
銭湯の湯殿に持ち込むものとしてまずタオル。石鹸。これが必要最小限だ。シャンプー・リンスまでも許そう。洗顔フォーム、歯ブラシ、髭剃りは湯殿に持ち込むべきではなく、脱衣所の洗面台にて用いるものである。持ち込むのは日常的に銭湯慣れしていないか、数日風呂に入っていないかのどちらかであろう。常連と思しき落ち着きのある人は自分用洗面器を持ち込んでいることがある。あれは潔癖症から持ち込んでいるのではない。潔癖症なら椅子には座っていられないし、何より共同湯船には浸かれない。では何故洗面器を持ち込むのか。あれは石鹸やシャンプーなどを手に持っていくのが面倒なので、籠として洗面器を利用しているのである。
まず湯殿に入って扉を静かに閉める。くれぐれも静かに閉める。ここでかかり湯をしてまず湯船に浸かる人がいるのだが、間違っている。共同風呂であるから例えかかり湯をしてもいきなり湯船に浸かるのは常識がないと非難されて当然である。言訳を聞こう。「かかり湯でまず一応洗い流す。暫く浸かると洗った時に汚れが落ちやすい」自分の家でやれ不埒者。自分の家でも一人一回湯を張り直す奴だけいきなり浸かってもよい。銭湯・温泉は汚れを落す為の湯ではない。温まる為の湯なのだ。だからまず洗え。
洗い場には椅子と洗面器があるはずだ。なければ隅に積んであるはずだ。まずは座る前に温度を確認する。熱くしてある悪戯は最近流行っていないが、冷たすぎる事はよくある。下の蛇口から直接床のタイルに当たって隣に跳ねないよう洗面器を設置しておく。下の蛇口から出してみて程よい温度にする。洗面器に溜まった程よい温度の湯を椅子に掛ける。一応流すことと椅子を温める為である。座れば目の前に鏡がある筈だ。そして鏡は曇っている筈だ。鏡の曇りを取るべくシャンプーをなすりつけよう。なすりつけたあと、シャワーなどで流してはいけない。流すとまた曇る。暫く放っておくと泡が垂れ落ちて膜が張り鏡は本来の働きをするようになる。ここで体を洗う。
洗い方はひとそれぞれ身についたやり方があるだろう。しかし最も合理的な方法を述べておく。
「上から順番に」
まず顔を洗う人がいる。その後で頭を洗えばシャンプーが顔に垂れてくる。もう一度顔を洗う事になる。非合理的である。まず髪だ。髪を洗ってシャンプーを流さず、リンスを使う人はリンスまでしてリンスを流さず、顔を洗う。そのまま首筋顎襟足まで洗っておく。そして流す。後は体を洗って流せばよい。貴方が例えば銅像を洗えと命ぜられたとしようか。足から洗い始めるか?頭の天辺から洗い下ろすだろう。最後が足の先の筈だ。なのに何故自分の体を中途半端な所から洗い始めるのだね。
一通り洗って体を流し、鏡の膜もじわじわ縮んできた頃、洗面器にてタオルをしっかり洗う。シャンプーや石鹸を置いていたところは手のひらでざっと拭う。タオルを肩にかけ、洗面器を洗ってから腰を上げ、蛇口の下の洗面器に最後の湯を出す。溜まった洗面器の湯を椅子に掛けて流す。洗面器は椅子に裏返して置くのが正しいが、混んでいるなら蛇口の下に置いてよい。
湯船に浸かる時、シャンプーや石鹸などを洗い場に放置しておくのは厳禁である。公衆浴場での席取りは迷惑であるし、使いそうになるし、邪魔だし、突然手が伸びて持ってゆかれるのは驚く上に気が悪いし、いいことは一つもない。湯船のすぐ外に置いておこう。いろいろな湯船があるから全部入ろうという貧乏根性は捨てた方がよい。銭湯は嬉しそうに入るものではない。遠慮と遠慮と遠慮の世界なのだ。
尚付け加えておくと、色のついた薬草風呂は小便率が高い。