バトルロワイアル - Invented Hell - @ ウィキ

It's My Life(後編)

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kyogokurowa

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主催が消え、禁止エリアの制約が外れた渋谷駅にて9名の参加者が集っている。
そのうちの四名、クオン、麦野沈利、冨岡義勇、ベルベット・クラウは眠りについており、残る5名、岩永琴子・リュージ・神隼人・ビルド・夾竹桃は己が得た情報を持ち寄り交わし合っていた。

「ええ。武偵は確かに存在している。あなたが出会った神崎・H・アリアは間違いなく私の知る彼女ね」
「そうか。となると、本当に平行世界から集められてるって話は間違いじゃなさそうだな」
「俄かには信じがたいけれど、ことここにまで至って否定する理由もないわね。まあ、日本に学園都市なんてものがある話からして薄々思っていたけれど」

真 真 真

嘘発見器を通して見た夾竹桃からは虚勢の強がりはなく、言葉の通り、あるがままを受け入れているようだ。

「あんたらは全然驚いてないんだな」

リュージは隼人とビルドへとかぶりを振る。

「そのあたりはおおむね予想はついていたからな」

隼人の言葉にビルドも頷く。

真 真 真

(どいつもこいつも肝が据わってんなあ)

『参加者たちは交わらぬ平行世界から集められている』という説は遠からず他の参加者も辿り着くというのは琴子の予想通りだった。
しかし、ここに集う三人は予想以上に辿り着くのが早く、なおかつ既に受け入れている。
自分などあれだけダーウィンズゲームという超常現象に巻き込まれておきながら、すぐには平行世界を信じることなどできなかったというのに。

「...どうする岩永」

リュージは確認の為にチラ、と琴子を見やる。
二人は、情報の交換の合間に他の三人を品定めしていた。
果たして自分たちが辿り着いた解を彼らが受け止められるかどうか、あるいはこの解を否定する材料を出せるか。

「彼らなら大丈夫でしょう」

琴子の判断は是だった。
彼らは誰もが妖怪変化の事件すら可愛く思えるほどの経歴を持ち、先の戦闘を失神するでもなく生き残り、且つ主催に負けた今でも折れることなく冷静に状況を見ている。
その彼らならば明かしたところで問題はあるまい。

コホン、と一つ咳払いを入れて琴子は口を開く。

「皆さん、私たちはこの催しの正体について一つの解を導き出しました」
「えっ!?」

驚くビルドを隼人が手で制し琴子に続きを促す。

「もちろん、今の時点ではただの推測です。あなた方から反論・及び新たな情報の開示を頂ければ棄却されるべきものだとも存じています。それでも聞いていただけますか?」

根拠はあっても強制はしないのは琴子なりの警告であった。
この解は人によっては思わぬ地雷を踏み冷静さを奪う危険物だ。
だからこそ警告を挟み、相手自身が同意したと認識していればそれが暴走への枷となるからだ。

「構わん。今はどんな情報でも欲しい。ソイツが要るかどうかは俺が決めることだ」
「右に同じね。どんな毒でもまずは効能を見なければ扱いようがないもの」
「この殺し合いを壊せるなにかがあるなら、僕はそれを知りたい」

二の句もなく同意する三人に琴子は頷き、再び裁決の木づちを振り下ろす。

「『この殺し合いの参加者77名は平行世界の本物の住人ではなく、μにより平行世界の人間の情報をインストールされた同一世界の人間である』...それが私の出した解です」

琴子の口にした解に、隼人も、ビルドも、夾竹桃も―――この解を知っているアリアとリュージまでもが驚愕に目を見開いた。

「ちょちょちょ、岩永!いいのこんなこと喋っちゃって!?」

アリアは思わず驚き慌てふためる。
μと会うまでは筆談で隠し通してきたこの解を平然と口に出したのだから驚くのも無理はない話だ。

「別に構いませんよ。喋っても首輪を爆破されないことはさっきのμとの問答でわかりましたから」

あっけらかんと言ってのける琴子に、アリアとリュージは背中が底冷えする。
二人としては自分が自分でないかもしれないという解自体に良い気持ちがせずそれしか見えていなかったというのに、琴子は既にその先まで見据えて問答に臨んでいたというのだから。
リュージは改めて琴子の『知恵の神』という肩書を思い知らされた。
彼女は感情のない合理的AI機械ではない。身体の発育に嫉妬したり、知人の死に思うところがあったりと確かに人間としての感情を有している。
それらを持ち合わせた上で、推理に関しては感情を廃し導いてしまった合理的な解にもおくびも動揺を見せず常に脳髄をフルスロットルで動かせる。
だからこその『有識者』や『探偵』ではなく『知恵の神』なのである、と。

(さて、あの三人は...)

リュージが隼人たち三人を見やれば、さすがに衝撃と困惑が抜けない表情になっている。

(まあそりゃそうだわな...こんなもんそう易々と受け入れられは...)

「ねえ」

ほどなくして夾竹桃が口を開いた。

「その答えに根拠はあるのかしら?」
「μはメビウス内で既に人間の記憶の忘却や肉体改造・ヒーローの固有能力をインストールし活用できるように施したという実績があります」
「平行世界から直接拉致してきた可能性は?」
「考えましたが77人分の平行世界への干渉はリスクが高すぎます。それなら観測だけして情報を持ち帰りμにインストールさせた方が手っ取り早くリスクも低いです」
「...平行世界への代償がない干渉なら心当たりがある」

隼人が徐に口を開き割って入る。

「清明だ。奴は俺たちの世界に幾度も鬼を送り込んできた。奴がなにかしらの代償とやらを支払っていたとは思えん」

隼人の意見にリュージは安堵する。
彼とて、未だに自分が本物ではないとは思いたくはなく、こうして真っ向から否定できる情報があればそちらを信じたい。

「だが、俺としてはその線は薄いと思っている」

が、己の持ち出した考えを即座に否定する隼人の言葉にリュージの表情は固まってしまう。

「奴はゲッターロボに乗った俺たちと戦うことに固執していた。もしも奴が主催側ならば、俺たちを各個撃破させてゲッターに乗せないような真似はしない。
それにあの平行世界間を自在に移動できる術...奴が他人に教えるとは思えん。ならばこの殺し合いにいる清明もお前の言う通りの存在だと考えた方が無難だな」
「なるほどね...なら死者の蘇生というのも、本質的には『死の直前にまで至った参加者のデータを抜き取ったもの』と考えればいいのかしら」
「はい。テミスが嘘を言っていない以上、私もそれが一番近いと思っています」
「平行世界の別人よりはそっちの方がしっくりくるわね。となると、岩永の説が一番実現性があるわね」
「現状ではそうなるな。あとは連中の目的だが...」
「実験でしょうね。私たちの素材となる人間も、被検体として用意された人間なのでしょう」
「だろうな。77人程度ならば研究員だろうがそこらの人間をとっ捕まえようが大した人数じゃない」

テキパキと話し合いを進める琴子・隼人・夾竹桃にリュージとアリア、ビルドの三人は言葉を失ってしまう。

「い...いやいや、あんたら平気なのかよ?俺たちが偽物かもしれないんだぞ!?」

思わずリュージが問いかける。
琴子の考察を一番初めに聞いたリュージでさえ未だに拒否感を示しているというのに、隼人と夾竹桃はすんなり受け入れ既に話し合えるほどの冷静さを取り戻しているというのだから当然だ。

「俺が偽物だろうがなんだろうが知ったことじゃない。俺が『神隼人』である以上はやることは変わらないからな」
「同感ね。むしろ夏コミのことを考えれば、本物と私が揃えば作業ペースが速まって効率的よ」
「私はこれでもそれなりに嫌だと思ってるんですよ?本物の私が九朗先輩とあんなことやこんなことをしてるのを見せつけられでもしたら、これはもう実質的なNTRじゃないですか。ああおぞましい」

「マジかよ...」
(自分じゃそれなりに修羅場を潜り抜けてきてると思ってたんだけどな...)

もう何度目になるかわからない言葉をリュージは口にする他なかった。
王(ワン)を殺すためなら自爆も厭わぬ覚悟ではあったが、そんなものでは生ぬるいと言われたような感覚を覚えた。

そんなリュージの内心をくみ取り、励ますようにアリアは肩に、ビルドは足にぽんぽんと手を置いた。
自分もこっち側だと言っているようで、ほんの少しリュージの心が軽くなったが、同じ側なのが少年と不思議妖精ではやはり肩を落としてしまうのだった。




ポオーッ、と汽笛が鳴り、先頭に『無限』と記された列車が動き始める。
乗組員は夾竹桃と、失神しているベルベット・クラウ及び麦野沈利。


同行者二人が気を失っているという不利な点から、彼女は列車での移動の権利を許された。

(ふふっ、うまくいったわね)

燃え盛る炎の森を窓から眺めながら、夾竹桃は薄ら笑いを浮かべる。

夾竹桃本人としてはあくまでも中立の立場ではあったが、ベルベットと麦野は殺し合いに肯定的な人間である。
にも関わらず殺し合いに反する四人から見逃されたのは完全にツいていた。
首輪の解析は決して簡単なことではない。
どうしても器具が必要になるし、なにより調達行為自体が他参加者との軋轢を生み出しやすい。
だが、幸いなことに夾竹桃はシュカ・錆兎・浜面仕上の首輪を有していた。このうち錆兎と浜面の首輪を渡し、この場だけは見逃してもらう契約に取り付けたのだ。

首輪を二つも失ったのは痛手ではあるが、しかし彼女としてはそれと引き換えにしても得るものが多かった。

神隼人や岩永琴子という現実主義者な協力者。
主催側の戦力及び背景。
ゲッター線に触れた者からのゲッター線の情報。
傷つき倒れているベルベットと麦野に対しての身体的優位性。

これだけのものを手に入れて自分はさほど傷ついていないのだ。
ある意味、今回に関しては主催に逆らった者たちの中では一番の勝ち組とも言えよう。

(私は全てを手に入れる...鷹捲りも、ゲッター線も、夏コミの覇権も―――このゲームの勝利も)

上品にも思えた薄ら笑いが凶悪な笑みに変わる。
灼熱の森はそんな夾竹桃の変化を示すかのように一層勢いを増すのだった。



【D-2/一日目/無限列車内/昼】

※D-3の森林エリアに炎が広がって森が焼けていますが、エリアを跨いで火事が広がることは無いようです。
※渋谷駅に設置された電車は無限列車@鬼滅の刃です。


【ベルベット・クラウ@テイルズオブベルセリア】
[状態]:左腕切断(再生中)、疲労(大)、全身にダメージ(大)、気絶中
[服装]:いつもの服装
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考]
基本:他の参加者共を喰らって、主催共を喰らい、復讐のための力を貯める
0:気絶中
1:夾竹桃、麦野沈利と共に行動する
2:ライフィセットの名を騙る『悍ましい何か』は私の手で殺す
3:あの時戦った対魔士(オスカー)は殺す
4:牢獄で会った女(マギルゥ)に関しては保留
5:夾竹桃の提案に乗りまずは紅魔館(の図書館)に向かう
[備考]
※牢獄でのオスカー戦後からの参戦です
※3人でアイテムを結成しました


【麦野沈利@とある魔術の禁書目録Ⅲ】
[状態]:全身にダメージ:特に顔面(大)、疲労(大)、怒り、気絶中
[服装]:いつもの服装(ボロボロ)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考]
基本:『願いを叶える力』とやらを手に入れる
0:気絶中
1:気に食わないが、夾竹桃、ベルベットとともに行動する
2:絹旗とフレンダも見つけたら必ず殺す
3:夾竹桃の提案に乗りまずは紅魔館(の図書館)に向かう
[備考]
※アニメ18話、浜面に敗北した後からの参戦です
3人でアイテムを結成しました


【夾竹桃@緋弾のアリアAA】
[状態]:疲労(小)、ゲッター線に魅入られてる(小)、夏コミ用のネタの香りを感じている。
[服装]:いつものセーラー服
[装備]:オジギソウとその操作端末@とある魔術の禁書目録Ⅲ、胡蝶しのぶの日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、シュカの首輪、素養格付@とある魔術の禁書目録Ⅲ
[思考]
基本:間宮あかりの秘毒・鷹捲とゲッター線という未知の毒を入手後、帰還する
0:紅魔館(の図書館)に向かう。首輪の解析は図書館到着後
1:ベルベット、麦野と共に行動
2:神崎アリア及び他の武偵は警戒
3:ゲッター線の情報を得るためにゲッターチームから情報を抜き取ることも考慮
4:夏コミ用のネタが溜まる溜まる...ウフフ
[備考]
※あかりとの初遭遇後からの参戦です
※3人でアイテムを結成しました
※晴明からゲッター線に関する情報を入手しました
※隼人からゲッター線の情報を大まかに聞きました。
※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。
※隼人・ビルド・琴子・リュージ・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。
※隼人からゲッター線について聞きました。どれだけの情報が供給されたかは後続の書き手の方にお任せします。





「さて。私たちはどうしましょうか」

渋谷駅に残された五人はこれからの方針を話し合うことにした。

「これだけ人数が集まっているんだ。仲良くとどまって時間を無駄にする訳にもいかんだろう...俺は灯台に向かう」

そう案を出したのは、起きている五人の中では最も重傷である隼人だった。

「大丈夫かよアンタそんな身体で」
「この程度は怪我のうちに入らん」
「そこは入れとけよ人として」
「灯台ですか。理由を聞いても?」

隼人の体調を気遣うリュージを抑え、琴子が尋ねる。

「元々は早乙女研究所に向かう予定だったが色々と茶々が入ってな。コイツは実験も兼ねている」

隼人は地図を取り出し、四人に見えるように地面に敷く。

「この地図を信じるなら会場は海に囲まれていることになる。ならこの地図の端の先はどうなると思う?」
「禁止エリア扱いになって首輪が飛ばされるんじゃねーか?」
「ならば灯台なんて如何にも船がありそうな場所を設置する必要はないだろう。ここがメビウスとやらならば猶更な」

隼人は指をD-1に乗せ、一旦離してD-8へと移動させる。

「俺の予想ではこの会場の端を超えた時、その正反対側のD-8に移動することになる。この会場がどこぞから借りてきたものならまだしも、メビウスならば小さな地球じみた会場を作ることもワケないだろう」
「...ああ、そういうこと!うん、確かに出来る。というかそっちの方がしっくりくるよ隼人!」
「どういうこと?」

1人、分かったような口ぶりになるアリアにビルドは尋ねる。

「μの作ったメビウスはできるだけ自然に人が当たり前に過ごせる環境を作ってるんよ。例えばビルドはこのエリアの端に行ったとき、なにか壁にぶつかって進めなくなるのとずっと続いているのどっちが自然だと思う?」
「続いてる方が自然かなあ」
「でしょ?ただここが殺し合いならずっと行かれちゃっても困るし...だから会場を地球みたいに小さな球体にしちゃえばいいわけよ。さすがに一つの国とかそういう規模は無理でもこれっぽっちの広さなら球体に出来るし、逃げ道も塞げる一石二鳥ってやつなわけよ!」
「なかなか鋭いな。起爆装置以外にも使い道はありそうだ」
「でしょでしょ?伊達にバーチャドールやってるわけじゃ...起爆装置?」

首を傾げるアリアに隼人は筆談で告げる。

『またμが現れた時にお前に首輪を持たせて近づかせて爆破すれば奴も仕留められるだろう』

「あーなるほど。あたし首輪ないしμとも仲いいから近づきやすい...ってこわっ、発想めちゃこわっ!!」

『それはいい案ですね。首輪の威力も確かめられて一石二鳥です』

「岩永も筆談やめてくれない!?ガチに思えちゃうじゃん!助けてビルドー!!」

「大丈夫だよ、隼人も本気じゃないから」

泣きつくアリアをビルドが宥めつつ、琴子が話を戻す。

「まあそういう理由があるなら止めませんが...一人で向かうつもりで?」
「それでも構わん...と言いたいところだが、現状、まともに戦えるのは俺とリュージだけだ。さすがにこの面子を一人で護り切れというのは難しいだろう」
「なら面子をわけるか」
「そういうことになる。ビルド、アリア。お前たちはこっちに来い。首輪の解析にお前たちの力がなにか使えるかもしれん」
「うん、わかった」
「えー、あたしもかぁ...岩永、リュージ、あたしが離れても大丈夫?」
「問題ありませんよ。私たちにカタルシスエフェクトが使えない以上、より多くの場所や参加者に触れてもらった方が都合がいいですから」
「別に今生の別れって前提でもねえだろ?」
「そうだね...うん、わかった。あたしも一旦隼人たちについてくよ」
「決まりですね。あとは気絶している二人ですが...」
「冨岡はクオンほどは警戒心が高くない。事情を説明して殺し合いに乗っていないことを伝えれば変に拗れることはないだろう」
「なら冨岡さんはこちらで、クオンさんはそちらで預かってもらいましょう」

かくして話し合いは纏まり、隼人・ビルド・クオン・アリアは灯台から船に乗り研究所へ、琴子・リュージ・義勇は夾竹桃や隼人たちとは別の施設へ向かうこととなった。

別れの挨拶もほどほどに、渋谷駅から離れていく隼人たち一行。

(主催を殺せなかったのは痛手だが収穫が無かったわけではない)

隼人は夾竹桃から受け取った浜面の首輪を右手に持ち眺める。
夾竹桃たちが既に三名もの犠牲者を出していたことには大して思うところは無い。
ここが首輪を嵌められた殺し合いという盤面である以上、誰かしら蹴落とされる者は出てきてしまう。
隼人自身、ゲームに乗った者か足を引っ張るだけの無力な者からの調達も視野に入れていた為、手間が省けたと思うだけだ。
故に、チョコラータ達とは違い必要最低限だけ狩り、自制の効く狩人は放っておいた方が効率がいいと考え彼女たちを見逃したのだ―――尤も、自分たちに牙を剥かないという前提でだが。


(継ぎ目はない。見たところ特別な装置もない。となると、やはり中身を開いてみないとわからんか)

このまま素手での解析は非常に困難である。解体器具があったとして、自分一人で解析可能な代物かもわからない。
その為のビルドとアリアだ。
ビルドのものつくりの技術とμに通じるアリアの能力。
これらを合わせれば何かしらの糸口はつかめるかもしれない、と隼人は考えたのだ。



「ビルド、こいつを持っておけ」

隼人から手渡したのは、義勇が使っていた折れた日輪刀。
このままでは使い道がなく、それならビルドに加工なりなんなりさせた方がいいだろうと判断し、はやぶさの剣と交換したのだ。
それを受け取ったビルドの面持ちは―――暗い。
いつものニコニコとした笑顔は鳴りを潜めていた。

「あいつらと一緒にいたかったか?」
「...違うよ」
「リックとかいう奴のことか」
「...うん」

主催の手先として現れたかつての仲間であるリック。
彼は元の世界では死にたくないという切実な願いで自分たちを裏切った。
今回もそうなのだろう。いや、それ以上に純粋かもしれない。
彼がμとの逢瀬を語っている時は、ハーゴンの手先にまものに変えられた時よりも嬉しそうだった。
μは正しくリックを救い、今度こそ彼は本音で彼女の為に戦えているのであるのは疑いようもない事実だ。
彼を救えなかったビルドにはそれを責めることなどできない。

「だから倒すのもしのびないということか?」
「...うん」
「...お前がどういう心境で奴と戦おうと勝手だ。だが覚えておけ。本気でぶつかり合うのは決して侮辱などではないことをな」

掛けられた声に、ビルドは俯いていた顔を思わず上げる。
隼人は振り返りもせず真っすぐに歩いていた。
ただ、慰めてくれたのかな、と思うと、自然とビルドの足も隼人の後を追う速度が速くなっていた。




【D-2/一日目/渋谷駅/昼】
【ビルド(ビルダーズ主人公、性別:男)@ドラゴンクエストビルダーズ2】
[状態]:疲労(大)、精神的疲労(大)、全身にダメージ(大)
[服装]:普段着
[装備]:ビルダーハンマー@ドラゴンクエストビルダーズ2、大砲(半壊、素材を集めて修理すれば使えるかも?)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、あぶないカビ 大量の鉄のブロック@ドラゴンクエストビルダーズ2、大量の爆薬@鬼滅の刃、大砲の設計図@製作、折れたサイコロステーキ先輩の日輪刀@鬼滅の刃
[思考]
基本方針: ゲームからの脱出。殺し合いをしない。
0:灯台に向かい船でD-1からD-8に向かえるか実験がてら早乙女研究所に向かい首輪を解析する。
1:灯台に船が無ければ渋谷駅まで戻ってくる。
2:シドーや隼人の仲間たちを探す。
※幻想郷の大まかな概要を聞きました。
※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。
※夾竹桃・隼人・琴子・リュージ・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。




【神隼人@新ゲッターロボ】
[状態]:疲労(大)、全身にダメージ(大)
[服装]:普段着
[装備]:ミスタの拳銃@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風、ミスタの拳銃(ビルドの作った模造品)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、浜面仕上の首輪、錆兎の首輪
[思考]
基本方針: ビルドの主催討伐作戦を手伝う
0:灯台に向かい船でD-1からD-8に向かえるか実験がてら早乙女研究所に向かい首輪を解析する。
1:灯台に船が無ければ渋谷駅まで戻ってくる。
2:ビルドのものつくりの能力を利用し有利に立ち回る。現状、殺し合いに乗るつもりはない。
3:作戦実行の前に、やはり首輪のサンプルが欲しい。狙うのは晴明、殺し合いに乗った者、戦力にならない一般人(優先度は低い)。
4:竜馬と弁慶は合流できるに越したことはないが、まあ放っておいても死なんだろう。
5:チョコラータは始末しておきたい。
※少なくとも平安時代に飛ばされた後からの参戦です
※幻想郷の大まかな概要を聞きました。
※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。
※夾竹桃・ビルド・琴子・リュージ・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。





【クオン@うたわれるもの 二人の白皇】
[状態]:全身にダメージ(大)、疲労(大)、気絶中
[服装]:皇女服
[装備]:
[道具]:基本支給品一色、薬用の葉っぱ@オリジナル、不明支給品0~2
[思考]
基本:殺し合いに乗るつもりはない。皆と共に脱出を。
0:気絶。
1:復讐、か……。
2:アンジュを失ったことによる、若干の喪失感
3:着替えが欲しいかな……。
4:オシュトル……やっぱり何発か殴らないと気が済まないかな
5:優勝……ハクを蘇らせることも出来るのかな……ううん、馬鹿なこと考えちゃ駄目!
[備考]
※ 参戦時期は皇女としてエンナカムイに乗りこみ、ヤマトに対しての宣戦布告後オシュトルに対して激昂した直後からとなります。オシュトルの正体には気付いておりません。



【アリア@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-】
[状態]:健康
[思考]
基本:μを止める、だけど……
1:帰宅部の仲間との合流
[備考]
※参戦時期は少なくてもシャドウナイフ編以降。琵琶坂生存ルートです。詳しい時期はお任せします。
※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。
※夾竹桃・隼人・ビルド・琴子・リュージと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。






岩永琴子の思考に踏み込みますか?


はい   いいえ



本当に踏み込みますか?


はい いいえ





岩永琴子は考える。
この殺し合いの背景に潜む物語を。
相談を持ち掛けた相手にも、同行者にも伝えることなく。
己の脳髄の中で虚構と真実を積み重ね組み合わせて一つの型を彩っていく。

隼人や夾竹桃は『自分たちのモデルになった人間は自組織か拉致してきた人間だ』と考えていた。
確かにそれも一つの解であり琴子も考えたことだ。
しかし一方で彼女はもう一つの解を導き出していた。

誰にも知られるべきではない、真に最悪の解を。


琴子はテミスの目的を『ビジネスの一つである』と考えている。
ではその『ビジネス相手』は誰か。
悪趣味な金持ちが大金をはたいて『平行世界間の者たちの殺し合いを見たい』とでも依頼したのだろうか。
有りえない話ではない。相手の人格がどうであれ、金さえ払われればそれでビジネスは成り立つのだから。

しかしこれだけでは不可解な点がいくつかある。

①主催陣が参加者をなぜ誰一人として殺さなかったのか。

②そもそもなぜ主催があんな大立ち回りを演じることになったのか。

③μが言った『すばらしいこと』とはなにか。


まずは①について考えよう。
あれだけの参加者が主催に歯向かおうとしたのだ。
護衛をつけてまでμが列車を完成させるのを成功させたかったのなら、誰か一人を見せしめとして殺した方が手っ取り早かっただろう。
現にその機会はいくらでもあった。

麦野沈利はあれだけ痛めつけられたというのに気絶で済まされており。
眼前の戦いに集中していた義勇とベルベットには刺客の一人も寄越さず。
ましてや、リックなどは最初からクオンに見せたような銃火器を使用していれば被害はあの程度では済まなかったはずだ。

にもかかわらず、参加者は誰一人として死んでおらず反逆行為も見逃されている。
このことから主催達は『あくまでも参加者同士での潰し合い』を望んでいることが見て取れる。

次に②だ。
そこまでしてμに電車を完成させたいなら、護衛に戦わせるよりもいくらでも簡単な方法がある。
例えば、渋谷駅のあるD-2の周囲すべてのマスを禁止エリアにしたり―――攻撃を開始してきた時点で誰かの首輪を爆破し見せしめにしたり。
そう、特に首輪による爆殺はかなり効果的なはずだ。こればかりはいくら腕が立ち心を強く保とうとも関係ない主催者の特権なのだから。
にもかかわらず主催は首輪の爆破を行使しなかった。
いや、もしかしたらできなかったのかもしれない。

セレモニーではテミスがリモコンを押して滝壺理后の首輪を爆破をしたが、それ自体はあくまでもキッカケの一つであり、もう一つのスイッチは『μが手持無沙汰であり、彼女が首輪を爆破させようと認識すること』だとしたら。
今回の戦いで首輪の爆破という最も効率的な方法を取らなかったのも頷ける。
μは列車を作るのに力を割いていて、首輪を爆破する力を行使できなかったということなのかもしれない。


そして③
これを引きずり出せたのはアリアのファインプレーと言えよう。
彼女の『これからなにが起こるのか』という問いかけにμは『すばらしいことだよ』と言った。
このすばらしいことが誰を指しているのかがわからない。μか、テミスか、顧客の推定金持ちたちか。
あるいは―――参加者たち自身に向けてなのか。

もしも参加者たちに向けての場合。
殺し合わせている者たちに向けて何をもって『すばらしいこと』だと認識しているのか。
望まない闘争を強制されてなにが『すばらしい』ことなのか。
...考え方を変えれば、私たちの誰もが殺し合いを強制されていないのかもしれない。

そう。

『stork』や『リュージ』のように本名でなく慣れ親しんだ名前で記載されている名簿も。

主催に明確に逆らった七名の誰もが見逃されていることも。

そもそも、μが一大イベントのように護衛を引き連れて戦いのステージに降り立ったことも。

その全てが参加者に都合のいい事柄なのだ。

―――もしも、もしもだが。

テミスのビジネス先の相手が何処ぞの金持ちではなく、私たち参加者のデータをインストールされた者たちだとしたら。

μの『すばらしいこと』というのが誰が見ても嘘偽りのないことだとしたら。

私たちは首輪を嵌められた奴隷ではなくテミスのビジネス先の顧客だとしたら。

配られた名簿が主催よりも参加者にとって都合がいいのも。主催が誰も殺さずに事を済ませたのも。μが一大イベントのように降り立ったのも。

文字通り顧客へのもてなし方だと捉えれば全て説明がついてしまう。


故に、岩永琴子の導く解答は一つ。






【μにより平行世界の人間の情報をインストールされた同一世界の人間は、自らこの催しを望んだ者たちである】





この説が合っていれば、人材の調達もビジネスとしての資金もよりローリスクで済む。
被検体も資金も募れば勝手に飛びついてくるのだから。

望む理由はいくらでも思いつく。
社会に絶望し疲れ切った大人たち。ヒーローに救いを求める子供たち。生きることに疲れた老人。興味本位で。
そんな者たちがふと『こんなキャラになって死にたい』『こんなキャラでこんな活躍をしたい』。『今の自分なんて全て捨てて、新しいキャラとして人生を歩みたい』と願っていたら。

この殺し合いで抗うことも従うことも全てが茶番と化してしまう。
どういう形でこの催しを終えるにせよ、もととなる被検体の願望を叶えるだけに終わってしまうのだから。

しかし、私たちにとっては最悪なことでも、元の人間にとっては『すばらしいこと』だろう。

なぜなら、殺し合いの中で死のうが、勝ち残って優勝して終わろうが、この殺し合いを破綻させてハッピーエンドを迎えようが。

元の人間たちは喜んで口をそろえて言うだろう。

―――これが私の人生なんだ、と。


岩永琴子は虚構を使いこなし真実を構築する。
しかしそれは無暗やたらと嘘を撒き散らすという訳ではない。
必要な虚構とそうでない虚構、必要な真実と不要な真実を使い分けてこその推理である。


(そしてこれは―――不要な真実)

この解を他の参加者に知らせる必要はない。
例えこれが真実だったとしても、参加者間に不穏な空気が蔓延り、最悪自暴自棄からの殺し合いに発展しかねない。
もしそうなれば殺し合いを破壊しようとしている『岩永琴子』にはなんの利益もない。

だから知恵の神はこの虚構から導き出した真実を覆い隠す。
誰にも触れられないように。触れさせないように。

そっと、そっと心の奥底に仕舞い込んだ。


【D-2/一日目/渋谷駅/昼】


【冨岡義勇@鬼滅の刃】
[状態]:疲労(大)、精神的疲労(中)、全身にダメージ(大)、気絶
[服装]:いつもの隊服
[装備]:はやぶさの剣@ドラゴンクエストビルダーズ2
[道具]:基本支給品一式、不明支給品2つ(本人確認済み)
[思考]
基本:テミスとμを倒す
0:気絶
1:鬼舞辻無惨に会ったら殺す
2:仲間(妖夢、錆兎、煉獄)死亡による意気消沈
[備考]
※無限城に落とされる直前からの参戦です
※毒消し薬、消化促進薬を摂取しました。


【リュージ@ダーウィンズゲーム】
[状態]:健康
[服装]:軍服
[装備]:イケPの二丁拳銃@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-
[道具]:ポルナレフの双眼鏡@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風、不明支給品0~1
[思考]
基本:王を殺す。そのあとは知り合いの有無で考える。
0:どこに向かうかを考える。
1:岩永琴子と行動する。とりあえず会場の目ぼしい建物を巡る。
2:王を殺す。
3:アリアの仲間、ジョルノ、カナメ、レイン、桜川九朗、メビウスの関係者を探す。
[備考]
※参戦時期は宝探しゲーム終了後です。
※この世界をメビウスのような「フィクション」だと思っています。
※夾竹桃・ビルド・琴子・隼人・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。
※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。


【岩永琴子@虚構推理】
[状態]:健康、無意識下での九郎との死別への恐れ
[服装]:いつもの服、義眼と義足
[装備]:赤林海月の杖@デュラララ!!
[道具]:基本支給品、文房具(消費:小)@ドラゴンクエストビルダーズ2、ランダム支給品1(岩永琴子確認済み)
[思考]
基本:このゲームの解決を目指す
1:どこに向かうかを考える。
2:九郎先輩との合流は……
3:紗季さん……
4:首輪の解析も必要です、可能ならサンプルが欲しいですが……
5:オスティナートの楽士から話を聞きたいですね
[備考]
※参戦時期は鋼人七瀬事件解決以降です。
※アリアから彼女が呼ばれた時点までのカリギュラ世界の話を聞きました。
※この殺し合いに桜川六花が関与している可能性を疑っています。
ただし、現状その可能性は少ないと思っています。
※リュージからダーウィンズゲームのことを知っている範囲で聞きました。
※夾竹桃・ビルド・隼人・リュージ・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。
※今の自分を【本物ではない可能性】、また、【被検体とされた人間は自ら望んだ者たちである】と考えています。

前話 次話
It's My Life(前編) 投下順 病院戦線 開幕

前話 キャラクター 次話
It's My Life(前編) ベルベット・クラウ 「会えてよかった」
It's My Life(前編) 麦野沈利 「会えてよかった」)
It's My Life(前編) 夾竹桃 「会えてよかった」
It's My Life(前編) 岩永琴子 嘘と真
It's My Life(前編) リュージ 嘘と真
It's My Life(前編) 神隼人 カウントダウン
It's My Life(前編) ビルド カウントダウン
It's My Life(前編) クオン カウントダウン
It's My Life(前編) 富岡義勇 嘘と真
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