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バトルロワイアル - Invented Hell - @ ウィキ
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バトルロワイアル - Invented Hell - @ ウィキ

Crest of “Z's”

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kyogokurowa

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「カタルシスエフェクト・オーバードーズ... Go Liiiiiiiiive!!!」

アリアの叫びに呼応し、隼人の脳髄に抑えきれぬ衝動が迸りはじめる。

カタルシス・エフェクト。
破壊神との戦いの最中に覚醒した隼人の新たなる力。
これより起こるは、その枷を外し敢えて暴走させる歌唱劇。
和楽器調の前奏を経て、歌は始まる。

 ーーー♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪

ゲッターに支配された流竜馬がその拳を振るう。
ソレが眼前に迫るまで隼人は動かず、消えた。
刹那、竜馬の真横に姿を現し、ドリルで顔を狙い抉る。
飛び散る肉片と血液、抉れ剥き出しになった口腔。が、しかし。
その笑みは途切れず。

咆哮と共に再び振るわれる拳をかわし、今度は背後より腹部へと狙い済ます。

ドリルの先端が服に触れる刹那、竜馬の身が捩れ身を掠めるに留まる。
その勢いのまま振るわれる裏の拳をすんでのところでかわし距離を取る。

「隼人!あんたほんとに殺す気なの!?仲間なんでしょ!?」
「歌を途切れさせるな!」

隼人の檄に慌ててアリアは途切れた歌を再開、ソレとほぼ同時に隼人は飛び上がり、もといた位置に竜馬の拳が叩き込まれる。

轟音と共に床が破壊され、石飛礫があたりに飛び交う。

その人智外れた膂力にアリアは背筋をゾッとさせる。

(あんなもの当たったらひとたまりもない...!)

 ーーー♪♪♪♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪♪

アリアは気を引き締め直して歌を紡ぐ。
隼人の仲間だからだとか、そんなことを気にしている余裕はない。話が通じない以上はやらなければこちらがやられる、ただそれだけだ。

 ーーー♪♪♪♪ ♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪♪♪♪♪

傷口が蠢き、瞬く間に修復していく竜馬に構わず、隼人は突貫する。

 ーーー ♪♪ ♪♪♪♪♪♪

ソレを待ち構えた竜馬の掌と隼人のドリルが衝突し火花を散らした。


(とても立ち入れる領域じゃない)

九郎は眼前の戦いを前に傍観する他無かった。

彼とて臆病風に吹かれたわけではない。

妖怪変化の類に関わる荒事に巻き込まれるのは日常茶飯事だし、死への恐怖心などとうに鈍りきっている。

純粋にレベルが違う。

いくら不死身でも身体能力はあくまでも一般の領域。

追いつけなければ意味はなく、追いついたとして対抗できなければ意味がない。

この殺し合いにおいても炎を操る青年や禍々しい氣を放つ魔王、見るものを畏怖させる剛腕の巨漢などと対峙してきたが。

瞬き一つで苛烈さを増していく衝突は、彼らとは異質のモノを感じざるを得ない。

(あれがゲッター...)

自身も見せられたゲッター線に喰われ尽くしていた地獄、その片鱗。

岩永も自分も。この狂った秩序を正そうというのなら。
果たしてこの永遠の進化という無限地獄に立ち向かえるのか、不安の影が消えることは無かった。


 ーーー♪♪♪♪ ♪♪♪♪ ♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪

竜馬の拳が振るわれる。
眼前で迫ったソレを寸でのところでかわし、しかし頬が切れる。

舌打ちと共に放つ蹴上げで顎をかち上げ、がら空きになった胸部へと掌底を叩きつけ、後方へと弾き飛ばす。

「ドリルアタック!!」

叫びと共に射出されるドリルを竜馬は殴り潰し、爆破させる。




 ーーー♪♪♪ ♪♪♪♪ ♪♪♪♪ ♪♪♪♪ ♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪

舞い散る塵の膜を突き破り、再生させたドリルで突貫する隼人。
それに怯むことなく拳で迎え撃つ竜馬。
三度、ドリルと拳が衝突しようとする寸前。
隼人は高速で軌道を変え、横合いからねじ込まんとする。
が、ドリルが微かに腹を抉った瞬間、竜馬の拳は既に隼人の眼前にまで迫っており、後退を余儀なくされる。

(こんなの、反則じゃん...!)

歌を紡ぎながらも、アリアはゲッターの化身という脅威に戦慄を隠せない。
いまの隼人の速度は人智を超えている。相手が人間ならとうに決着は着いているだろう。
だが、いまの竜馬には隼人の攻撃が効かない。
殴ろうが抉ろうが、如何なるダメージもたちまちに再生し。
どころか、反応速度は加速度的に増していき。あまつさえ、痛みによる怯みも無いときた。
このままではいつかは捉えられるのは確実。
ならばーーー殺すしかないのか。

(隼人...本当にやるの?)

隼人はゲッターの地獄とやらを見てから明らかに様子がおかしくなっている。竜馬ほどではないが、暴力的・殺戮的な衝動が抑えられなくなっている。そんな状況下で殺害なんて判断を下していいのか。よしんぼ竜馬を殺せても、それは隼人が第二の竜馬になってしまうだけではないのか。

そんなアリアの恐怖と迷いを嘲笑うかのように。
ステージは更なる段階へと進む。



 ーーー♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪♪♪





ダ ン ッ

震脚。
アリアの歌声を踏み潰すかの如き振動が大気を震わす。

先ほどまで鳴り響いていたアリアの歌とBGMが、唐突に無くなった。

「え...ぇ?」

困惑。
アリアは己の歌劇が止められたことに驚きを隠せない。

先の破壊神との戦いでは力を使い果たしての解除だった。
いまは違う。
まだタイムリミットには達していない。なのに、途切れさせられた。

意味が分からない。
ーーーその答えはすぐに思い知らされることになる。

 ーーー♩ ♩ ♩ ♩

音が鳴り響く。低音で、それでいて透き通るような独特の音。
アリアが発するものではない。
今日では古めかしくなった、奥ゆかしき笛の音だ。

出所は、竜馬ーーーその背後。

 ーーー♩ ♩ ♩ ♩ ♩ ♩ ♩ ♩

空間が歪んでいた。
重低音の和楽器が織りなすコールを侍らせ、彼から発せられる緑黄色の光が歪み、人型を模っていた。
表情は見えない。色彩も変わらない。ただ、その姿形はアリアの見知ったモノであり。このゲームを管理する張本人のモノであり。

アリアは思わずその名を呟く。

「μ...?」

彼女が本物か偽物か。
なぜ彼女がここにいるのか。
それらをアリアたちが識る術はない。
だが。
たとえ虚構だとしても彼女が、アリアと同じバーチャドールがここに現れたということは、そこから導き出される解は一つしかない。




 ーーー♪♪♪ ♪♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪
覚悟して 我の名を唱えよ

「フロアー...ジャック...!」

アリアがしていたことが、そのまま返ってくる。
新しく現れた進化の歌姫に、舞台が乗っ取られていく。

 ーーー♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪♪

「マズイマズイ!隼人!このままじゃ」

言い終わる前に、竜馬の姿がかき消え、隼人の眼前にまで迫る。
隼人の目が見開かれ、抵抗する暇もなく顔面を掴まれ床に叩きつけられる。

後頭部の衝撃に皮膚が裂け、苦悶の声と共に血が流れ出す。

それだけでは飽き足らないと言うのか。
まるで玩具を振り回す赤子のように持ち上げては叩きつけ、持ち上げては叩きつけ。
その度に赤い雫が飛び散り破片と共に塵が舞い、カタルシスエフェクトのドリルも次第に砕けていく。

(速さが...!こいつはアリアと同じことをやってるのか!)

痛みと共に、瞬時に理解する。
今までは隼人がフロアージャックの恩恵であの竜馬相手にも上回っていたが、今度は竜馬のそばに現れたμの模造品が歌による加速の恩恵を与えているのだと。
詳しい原理はともかくとして。
竜馬から溢れるゲッター線が、それを可能にしているのは一目瞭然だった。

「やめて!隼人が死んじゃうよ!」

咄嗟に竜馬の腕に飛びつくアリアだが、あっさりと腕の一振りで弾き飛ばされ壁に叩きつけられる。

その背後より。

二人に気を取られている隙を突き、九郎が竜馬の首めがけて手を伸ばす。

 ーーー♪♪♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪♪♪

(この人はここで排除する)

桜川九郎は感情表現は薄いが決して薄情ではない。
不死身という死生観が狂う体質になっても、それで人を殺しても平気、という価値観には至らなかった。

だから、隼人の仲間である竜馬を殺すとなると思うところがないと言えば嘘になる。

それでも。

あの地獄を見てしまったなら。
幸せになるべきだと願う琴子ですらアレに巻き込まれてしまうのなら。

桜川九郎は誰よりも容赦なく排除に踏み切ることができる。


狙うは首輪。これを爆破させれば確実に殺せる。たとえ超常の力を得ようとも、参加者である以上は抗えない絶対のルールだ。

圧倒的に戦闘力の劣る九郎に残された唯一の勝ち筋ーーーそれを嘲笑うかのように、竜馬の拳の振りが九郎の腕を破壊する。

 ーーー♪♪♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪♪♪


「っ!」

へし折れた骨が肉を突き出し、少し遅れて血が流れ落ちる。
九郎に痛みや死への恐怖は無いが、しかし身体が破壊されれば、再生まで行動が制限されるのは逆らえぬ条理。

竜馬は隼人の身体を砲弾の如き勢いで投げつけ、諸共に壁際に叩きつける。
舞い散る鮮血、さらに追撃に跳躍からの飛び蹴りは、隼人と九郎の背後の壁すら破壊し外部へと吹き飛ばす。

高所からの落下で苦労の身体は衝撃にバラバラに弾けとび、受け身をとった隼人は膝をつき息を荒く吐く。

「隼人!九郎!」

アリアは慌てて二人のもとへと降り立つ。
内包物を曝け出すグロテスクな様相になりながらも再生をしていく九郎。
見るからに満身創痍の隼人。

そんな二人を気遣う間もなく、竜馬は研究所から飛び降り落下してくる。

(なぜ...俺じゃない...)

朦朧とする思考の中、過ぎるは疑問。

(なぜ...あいつなんだ...)

竜馬がゲッター線に選ばれたのは認めている。
だが。
ゲッター線を誰よりも求めているのは自分だ。
誰よりも理解しようとしているのも自分だ。

なのになぜ。

なぜ、『ゲッター』は自分よりもあいつを選ぶ。



「ぉ」

嗤いながら降り立つ竜馬に対し、隼人がおぼつかない足取りで立ち上がる。

(寄越せ)

「隼人!それ以上動いたらあんた本当にーーー」
「オオオオオオオオォォォォ!!!」

(俺にソイツを寄越せ!!!)

アリアの制止を振り切り、雄叫びと共に駆け出す。カタルシスエフェクトのドリルすら半壊しているというのに、残る拳を握りしめて。
死を覚悟した特攻、アリアや九郎の目にはそう見えたがしかしすぐに違和感に気づく。

速い。先ほど死んでもおかしく無いような打撃を幾度も受けたばかりだというのに。
速度も。力強さも。立ち直りの速さも。
先ほどまでとなんら遜色のない動きが出来ている。

 ーーー♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪♪♪

それを歓待するかのように。
化身は哄笑し、受け入れるように迎え撃つ。

 ーーー♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪♪♪♪

竜馬と隼人の拳が交差し、互いの頬にめり込み合う。
衝撃に顔が逸れるが、すぐに敵を見据えて逆の拳を振るう。



その最中、アリアと九郎は見た。
龍馬ほどではないが、隼人にも緑色の氣が纏われつつあるのを。
その目までもが、緑色の光を帯びつつあるのを。

 ーーー♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪♪♪

竜馬は笑い。隼人は激昂と共に。
肉を打つ。赤色が舞う。
骨が軋み、筋肉が悲鳴をあげる。
だが止まらない。
技術もない、知性もない、理性もない。
ただ原初の本能に従うが如き野蛮な殴り合いを繰り広げる。

際限なく苛烈さを増していくノールールの殴り合いに、アリアも九郎も割って入ることなどできない。

 ーーー願え 願え! 弱きものよ

「「オオオオオオオオォォォォ!!!!」」

竜馬と隼人。

ゲッターに選ばれ、戦いの運命に呑まれた二人の。

幾度目かも解らぬ拳の交差に互いの咆哮が重なり合う。

我らの進化を邪魔するなーーーそう言わんばかりに、μの形をした光は口角を三日月状に釣り上げた。





「ウラアアアアァァァ!!」

叫び声。

衝突する二人の間に、上空より降り注ぎ、爆弾の如き衝撃を地面に与え、砂塵を巻き上げる。

互いに後方に弾き飛ばされながらも、その正体を見据える。

煙が晴れ、その姿が現れる。ゲッターの『進化』に割って入る、ソレの名は。

「何やってやがんだ流竜馬ァ!!」


ーーー池袋最強、平和島静雄。



「あれは...!」

コシュタ・バワーに揺られ目的地である早乙女研究所へと向かっていたレインは、立ち昇る煙に目を見張った。

異常事態であるのは一目でわかる。

もしもあそこに隼人たちが居れば、急ぎ合流しなければならない。

「ゲッターの関わるとこでの厄介ごとかよ...嫌な予感しかしねえな」

ただでさえ忌み嫌う『ゲッター』の関連施設で異変が起きているのだ。
リュージは苦い顔を浮かべざるを得ない。

「降りてもいいんですよ」
「そいつは優しい提案だ。この腕じゃなけりやあな」

切断された腕をふりふりと見せつける。
ただでさえ、自分はこの会場の中でも優れた身体能力や異能を有しているわけでなく、攻撃手段も銃火器に依存するスタイルだ。
片腕すら失っているいま、魔王や琵琶坂ら危険人物に単独で遭遇すれば勝ち目など微塵もないだろう。
ならば、こちらについてサポートに徹した方がまだマシというものだ。

なにより『ゲッター』。あの無限地獄を生み出す脅威について識る機会を逃すわけにはいかない。あのまま早乙女研究所が破壊でもされれば、ますますあの暴威は止められなくなる。

静雄に頼み、コシュタ・バワーを急がせる二人。
ほどなくしてたどり着いた研究所で三人が目撃したのは、研究所の入り口付近で行われる凄惨な殴り合いーーー否、ソレはもはや食らい合いであった。

狂ったような雄叫びと共に血が舞い、鈍い音が響き、それでも彼らは止まらず。
ただ己が存在を示すかのように拳を振い合う。

「うっ...」
(あれだ...俺があの世界で見たのは...!)

レインとリュージは共に息を呑む。
レインは事前に聞いていた以上の『暴』の嵐に。
リュージは未来で見た『ゲッター』の到達点、その片鱗に。

そして平和島静雄は。

「ちょっくら行ってくる」

その一言だけで、跳躍。レインたちが止める暇もなく、戦場へと躍り出た。

(気に入らねえ)

落下までの数秒間。

静雄が最も大きく抱いていたのはその感情。
それはゲッターの暴威ーーーではない。
もしもこれが静雄のこれまで戦ってきた面々、というだけなら抱いていたのは怒りのみだろう。
今は違う。怒りだけでなく、失望や気に入らないといった幾重もの感情が折り重なっている。

(気に入らねえんだ)

未来がどうとか。宇宙や進化がどうのとか。
彼にとってはそれは二の次で。
純粋に、『流竜馬が訳のわからないモノに支配されている』という事実があまりにも腹立たしかった。

雄叫びと共に、拳を地面に叩きつけ。

巻き上がる砂塵を吹き飛ばし、思いの丈をありったけに叫び上げる。

「何やってやがんだ流竜馬ァ!!」

そんな静雄の憤怒も歓待するように、『ゲッター』の化身の笑みは止まらない。


「ちょ、こんどはなにさ!?」

爆撃じみた衝撃に、慌てふためくアリアの身体がひょいと摘み上げられる。

「おう、ここにいたかアリア」
「あっ、リュージ!それに、ええと、レイン!ええと、いま大変なことになっててぇ!!」
「落ち着いてください。なんとなく状況は把握してますから」

慌てふためくアリアを宥めつつ、レインは戦況を改めて解析する。

(止めようが止めまいが静雄さんがああする他なかったのはともかくとして...鍵は隼人さんと連携できるかどうか、ですか)

遠目から見ただけではあるが、今の竜馬のスピードと力強さは常軌を逸している。
自分の異能を加味しても、リュージともども手に負える領域ではないのは一目瞭然。
それは、アリアと側にいる青年も同じことだろう。
唯一、対抗できているのが隼人と静雄のみ。
この二人が連携しなければ勝機はないと言っても過言ではない。

だが、レインの胸中には不安しかなかった。

なにがどうしてここまでに至ったかはわからないが、しかし。
緑色の光に包まれながら、本能に従うが如く戦っていた隼人の姿が、竜馬と同質のものとしか思えなかった。

「どけ平和島」

その予感を的中させるように。
助太刀に入ったはずの静雄の肩を、隼人は握りしめる。

「おい、隼人!?」
「隼人さん!」

思わぬ行動にリュージと九郎は共に声を挙げて制止を呼びかける。
だが止まらない。いまの隼人の目に映るのは、『ゲッター』とその前にある壁一つのみ。

「俺の邪魔をするならお前もーーー」

ゴッ

一瞬だった。
鈍い音が響き渡ったと思った時には、隼人の身体が舞い上がり、早乙女研究所の扉が派手な音と共に破壊されていた。


訪れる静寂に、唖然とする一同。彼らが、静雄が隼人を殴り飛ばしたと理解したのはその数秒後だった。

「ちょっ、あんたなにやってんのさー!?」
「いや、普通に邪魔だったから...」

目を三角にして叫ぶアリアに、静雄はこともなさげに言いのける。

あの人はもう...とため息と共に頭を振るレイン。
だが一方で、この場はあれで良かったのかもしれないとも思う。

今の隼人は明らかに異様だった。
ほんの少し会話した程度だが、あの時は確かに感じられた理性が殆ど無くなっており、今にも静雄にすら噛みつきかけていた始末。しばらくはあのまま沈黙していてもらった方が、一人に集中できるという意味ではプラスになる。

だが、それは相手側から見てもも同じことで。

「ヴオオオオオオオオォォォォォォォォ—————!!!!」

竜馬が咆哮と共に静雄へと殴りかかる。
ここから先、静雄一人に彼の殺意と暴が襲いかかることになる。
それに耐えられなければーーーその時点で、ここにいる面々の命運は尽きるのと同じだ。

振り下ろされる拳は、静雄の額に放たれ、派手な音と共に静雄の足元の地盤が凹み、血が滴り始める。


「ーーーおい」

盛れるのは、悲鳴ではなく、憤怒。
普段の雄叫びではなく、その名に沿うような、静かな怒り。

「効かねえぞ、ゴラ」

鉄拳。
再び、鈍い音が鳴り響く。
竜馬の身体が錐揉み回転し、後方へと吹き飛ばされる。

アリアも。九郎も。リュージも。レインも。
驚愕に開口を抑えられない。

額が割れ、地盤が割れ。地を血で濡らし。
しかしそれでも。
ノールールの殴り合いでは百戦錬磨。池袋最強は、微塵も揺らがなかった。

「...足りねえ」

呟きと共に、静雄は拳を鳴らしながら歩み寄っていく。一歩ごとに、ふつふつと腑から煮えたぎるような熱さが押し寄せてくる。
それが、平和島静雄の本来の怒り方。

「足りねえぞゴラアアアアアァァァァァァァ
!!!」

噴火の如き雄叫びと共に、再び『ゲッター』の化身を殴り飛ばした。

「す、すご...あのグラサン、あんな強かったわけ?」
「ほんとにあれで異能使いじゃねえのかよ...なんにせよ、こいつはチャンスだな」

リュージが片腕で銃を装填すると、残る九郎とレインも臨戦態勢を取る。

「隼人には悪いがよ、『あの未来』まで辿り着く前にあいつは倒さなくちゃならねえ」
「『あの未来』?...それってまさか...」
「話せば長くなるんだが...って、なんか知ってそうなツラじゃねえか。えっと」
「九郎です。桜川九郎」
「OKだ。九郎、お前もゲッターがヤベェのがわかってくれてるならそれでいい」
「ええ。『アレ』は秩序を乱す災厄に他なりませんから」
「そこまでわかってんなら事情聴取は後にさせてもらうぜ。レイン、作戦をーーー」

ド ン ッ

空を叩く音が響く。

ド ン ッ

空気に掴めるような物質が無いことは周知の事実。
しかし、いま、ここに居る者たちは確かに空気が叩かれる音を耳にしている。

ド ン ッ

まるで何かを呼び起こす太鼓のように。
幾度も竜馬の拳が空を打つ。

ド  ン  ッ

静寂ーーーそれも、束の間。


 ーーーー♩♩ ♩♩ ♩♩



先ほどまでの荘厳な曲調から一転し、暴力的なギターベースの低音演奏が鳴り響く。

竜馬の背後より、μを模るゲッター線が上空へと飛び出す。
そしてより鮮明に、手足の、肢体の輪郭を創り上げていく。

 ーーーー♩♩ ♩♩ ♩♩

彼女に、音楽に釣られるように、地面から緑色の光線が天へと穿たれた。
地響きと共に、光線で空いた穴から腕が伸びた。
機械の手。人間一人など容易く包み込めるほどの機械仕掛けの巨腕だ。

「な、なんなのさこれぇ!?」
「私にもさっぱり...!」

異変に困惑するアリアとレイン。

一方で、リュージと九郎は共に穴から這い出てくるモノをまっすぐ見据えていた。

「おい、これって...」
「ええ。僕が...そしてきっと貴方も見た...」

 ーーーー♩♩ ♩♩ ♩♩

地下より湧き出るは、兵どもが夢の跡。
魂は滅び、されど遺された傀儡共の再現象。

彼らを背景に、哄笑するゲッターの化身と静雄は睨み合う。

舞台を更なる領域に上げるためーーー進化の歌姫は、新たな歌を紡いだ。

ーーーDon't be back! 時空-とき-を越え
疼きだしたRed energy 止まらない衝動 生きる証を掴んで

【D-8/早乙女研究所外/真夜中】
※地下からプロトタイプゲッターの群れ×6@新ゲッターロボが現れました。
※ゲッターμ@虚獄ロワが、周囲一帯をフロアージャックしています。


【流竜馬@新ゲッターロボ】
[状態]:ダメージ(大、再生中)、疲労(大、再生中)、ゲッター線同化による暴走、自我消失。
[服装]:
[装備]:ゲッターμ@虚獄ロワ
[道具]:
[思考]
基本方針:全てを壊す。
0:強者を喰らい進化する。

【平和島静雄@デュラララ!!】
[状態]:疲労(極大)、ダメージ(極大)、全身火傷(大・処置済み)、出血(小~中、止血済み)、全身に複数の切り傷(小)、精神的ダメージ、全身に複数の打撃痕、レインの仮説による精神的躊躇(小)
[服装]:いつものバーテン服(ボロボロ)
[装備]:なし
[道具]:見回り用の自転車@現地調達品、コシュタ・バワー@デュラララ!!
[状態・思考]
基本行動方針:主催者を殺す。
0:竜馬をぶん殴る。まだまだ足りねえぞゴラァ!!
1:黄前久美子、高坂麗奈も探したい。
2:仮面野郎共(ミカヅチ、ヴライ)は絶対殺す。
3:やっぱりノミ蟲(臨也)は見つけ次第殺す
4:竜馬の知り合いに遭ったら一応伝えておいてやる。
5:彩声との約束を守るため、梔子を護る。
6:仮面をつけている参加者を警戒。
7:久美子と会ってセルティの話を聞きたい。
8:新羅の死の真相が知りたい。
[備考]
※参戦時期は少なくともセルティが罪歌と関わって以降です。
※静雄とミカヅチの戦闘により、公園が荒れ放題となっております。
 仮面アクルカによる閃光は周辺地域から視認できたかもしれません。
※彩声の遺体は喫茶店に運び込まれています。
※梔子と情報交換しました。
 ただウィキッドは仲間の義理として細かくは説明してません。



【リュージ@ダーウィンズゲーム】
[状態]:片腕・片目損失。精神的疲労(中)、『ゲッター』への強い忌避感。
[服装]:軍服
[装備]:イケPの二丁拳銃@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-
[道具]:ポルナレフの双眼鏡@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風、上やくそうの束@ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島(一部消費)、悲鳴嶼行冥の日輪刀@鬼滅の刃(暴走時に竜馬が捨てたのを拾った)
[思考]
基本:『ゲッター』を止める。
0:クソッタレが...!
1:とにかく『ゲッター』を止めたい。
2:ひとまずは殺し合い反対派の連中に合流したい。
[備考]
※参戦時期は宝探しゲーム終了後です。
※この世界をメビウスのような「フィクション」だと思っています。
※夾竹桃・ビルド・琴子・隼人・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。
※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。
※カタリナとあかりのこれまでの経緯を聞きました。
※琵琶坂のこれまでの経緯を聞きました。
※気絶中に『ゲッター』の一部を垣間見せられた影響で、『ゲッター』に対して強い忌避感を抱いています。

【桜川九郎@虚構推理】
[状態]:健康 静かに燃える決意、魔王ベルセリアに対する違和感、ゲッターへの嫌悪感
[服装]:ホテルの部屋着(上半身の部分はほぼ全焼)
[装備]:
[道具]:基本支給品一色、不明支給品×1~3、スパリゾート高千穂の男性ロッカーNo.53の鍵
[思考]
基本:殺し合いからの脱出
0:始まってしまうのか...あの地獄が...!
1:あの彼女(魔王ベルセリア)、何とかしかければ……。
2:岩永を探す 。少し心配。
3:人外、異能の参加者達を警戒
4:余裕があればスパリゾート高千穂を捜索
5:きっとみねうちですよ。
6:ゲッターを危険視。
[備考]
※鋼人七瀬編解決後からの参戦となります
※新羅、ジオルドと知り合いの情報を交換しました。
※アリア、ブチャラティと知り合いの情報を交換しました。
※画面越しの志乃のあかりちゃん行為を確認しました。 
※新羅から罪歌についての概要を知りました
※魔王ベルセリアに対し違和感を感じました。
※垣根と情報交換をしました。
※隼人、クオン、早苗らと情報交換をしました。
※ゲッター線の生み出した地獄を垣間見ました

【レイン@ダーウィンズゲーム】
[状態]:疲労(大)、全身にダメージ(大)
[服装]:普段の服
[装備]:ベレッタM92@現実、レミントンM700@現実
[道具]:天本彩声の支給品(基本支給品、ランダム支給品×0~2)
[状態・思考]
基本行動方針:会場から脱出する
0:ロボットは流石に想定できませんよ...
1:竜馬が心配。それにイヤに執着するリュージも不安視。
2:『アリア』に対し、疑念。確証はないが、彼女に関しての情報は集めておきたい。
3:情報は適切に扱わなければ……
4:サンセットレーベンズメンバーとの合流を目指す。
5:μについての情報を収集したい。
6:琵琶坂、ウィキッド、無惨に警戒。
7:竜馬の知り合いに遭ったら協力を仰いでみる。
[備考]
※参戦時期は宝探しゲーム終了後、カナメ達とクランを結成した頃からとなります。
※ヒイラギが名簿にいることから、主催者に死者の蘇生なども可能と認識しております。
※彩声の支給品はレインが回収しました。
※『参加者は赤の他人がキャラクターになりきってる』と言う説と、
 『それが参加者が折れ殺し合いをするしかない結論をさせる為の罠』説を立ててます。
 どちらも確証はありません。(前者の方は辻褄が合い、後者の方は発想の逆転のようなもの)
※梔子と情報交換しました。
 ただしウィキッドには仲間であるため細かく説明してません。


【アリア@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-】
[状態]:疲労、悲しみ(絶大)
[思考]
基本:μを止める、だけど……
0:あんなの(μの真似とかロボット出てくるのとか)反則!反則~!!
1:永至を信じたい
[備考]
※参戦時期は少なくてもシャドウナイフ編以降。琵琶坂生存ルートです。詳しい時期はお任せします。
※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。
※夾竹桃・隼人・ビルド・琴子・リュージと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、
Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。
※フロアージャックはしばらく使えません
※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。いまはこのロワでビルドがやったことが出来るだけですが、今後の展開次第ではもっとできることが増えるかもしれません。
※ブチャラティ、九郎、ライフィセット、梔子と情報交換をしました。

【D-8/早乙女研究所内/真夜中】

【神隼人@新ゲッターロボ】
[状態]:疲労(絶大)、全身にダメージ(絶大)、出血(絶大)、カタルシス・エフェクト発現、気絶
[役職]:ビルダー
[服装]:普段着
[装備]:ミスタの拳銃@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風、ミスタの拳銃(ビルドの作った模造品)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、浜面仕上の首輪、錆兎の首輪(分解済み)、ビルドの支給品0~2、ビルドの首輪、霊夢の首輪、マロロの首輪
[思考]
基本方針:首輪を外して主催を潰し帰還する。
0:気絶中

※少なくとも平安時代に飛ばされた後からの参戦です
※幻想郷の大まかな概要を聞きました。
※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。
※夾竹桃・ビルド・琴子・リュージ・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。
※カタルシス・エフェクトに目覚めました。武器はドリルです。
※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。いまはこのロワでビルドがやったことが出来るだけですが、今後の展開次第ではもっとできることが増えるかもしれません。
※ブチャラティ、九郎、ライフィセット、梔子と情報交換をしました。
※ゲッター線の生み出した地獄を垣間見ました



解説

【ゲッターμ@虚獄ロワ】
当企画オリジナル。ゲッター線がアリアのフロアージャックから学び模倣したゲッター線でできた電子妖精。フロアージャックを発動できるが、対象は無差別でありあくまでも模倣により生まれたモノなので、本物のμのような自意識は持たない。

【プロトタイプゲッター@新ゲッターロボ】
本編で竜馬たちが見つかる前に使われていたゲッターロボたち。合体機能が無いため、チェンジはできない。基本は有人機だが、パイロットがいなくてもゲッター線の力でゾンビのように動くことはできる。また、本体性能はゲッターロボ本体より劣るものの、そのサイズ差と重量は並大抵の敵は寄せ付けない。

前話 次話
艱難辛苦(後編) 投下順 悪魔の契約

前話 キャラクター 次話
因果応報 神隼人 ---
因果応報 桜川九郎 ---
因果応報 流竜馬 ---
眼光紙背に徹す 平和島静雄 ---
眼光紙背に徹す レイン ---
眼光紙背に徹す リュージ ---
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