アットウィキロゴ
バトルロワイアル - Invented Hell - @ ウィキ
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

Specialz

最終更新:

kyogokurowa

- view
メンバー限定 登録/ログイン
放送が鳴り響いたのは、ブチャラティら四人が刑務所を後にして程なくしてのことだった。

四人が深く知る名前は一つだけ。

カナメ。病院でフレンダの処遇に付き合った彼だが、第三回放送の後は顛末が知れなかった。フレンダ・霊夢の同行者二人が呼ばれた前の放送で行方のしれなかった彼の行方が判明することに相なったわけだが、その仔細までは知る術はなく。
悲しみはあれど足を止めるには些か届かず。

(九郎は大丈夫だろうか)

岩永琴子。
ブチャラティはしばし同行していた九郎に想い馳せる。

彼はあまり感情表現豊かではなかったが、しかしその鉄仮面じみた無表情の裏側に潜む純粋な想いは会話を重ねるうちに漏れ出していた。

新羅という前例があるからこそ、悲しみや愛情を乗り越えていけるなどと楽観視はしない。保護対象であった麗奈やクオンが向かったオシュトルの名も呼ばれたことから、やはり状況を整理する兼ね合いもあり、再合流地点へと足を進めていた。

そんな折だった。自分たちとは逆側から歩いてくる人影を見つけたのは。

「ロクロウ!」

顔を綻ばせ呼びかけるのはライフィセット。
しかし、安堵に緩んだ顔はすぐに引き締められる。

「...おお、ライフィセットか」

ライフィセットから見た彼の姿は満身創痍の一言。
隻腕、流血、擦過傷、赤と土色に塗れた全身にボロの衣。
だが、そんなものよりもライフィセットが息を呑んだのは、その覇気の無さ。
ロクロウは戦闘狂に近い男だ。強い相手には積極的に戦いを仕掛け、切り結びには笑みを浮かべる。まだこの目で見たことはないが、それこそ片腕にされようとも「いい相手とやりあえた」で済ませて目をギラつかせる。そんな業魔だ。
だというのに、ロクロウには微塵も覇気を感じない。ありていに言えば、あまりにもやる気がないのだ。

思い当たる要因はある。シグレ・ランゲツ。
ロクロウが絶対にこの手で斬りたいと願っていた豪傑。
彼を倒し超えることがロクロウの生きる目標だった。
そのシグレは第三回放送の時間帯で既に死んでいる。
もしもロクロウが倒したのではなく他の誰かが倒してしまったのなら。
生きている目標が奪われたも同然だ。あの覇気の無さにも頷けるというもの。


「あの、ロクロ...」
「あなた達はこの殺し合いに乗っていますか?」

気遣う声はかき消され、ロクロウの後ろに隠れていた少女が隣に並び立った。

「私は黄前久美子です。その...乗ってないなら、色々と話したいことがあるんです」
「ブローノ・ブチャラティだ。それからこっちは梔子とライフィセットとシルバ。殺し合いには乗っていない。情報交換なら当然拒むことはない。どうやら、この子の知り合いもいるようだしな」

ブチャラティの紹介に梔子とシルバは軽く会釈し、ライフィセットはロクロウをじっと見上げる。

その心配気な視線を察したロクロウは「なんでもねえさ」、とライフィセットの頭にぽんと掌を乗せた。それがあまりにも軽かったことに、二人はこれ以上触れなかった。

⭐︎

久美子は、先にヴァイオレット達にそうしたように、ここに至るまでを嘘偽りなく話した。
セルティと弁慶に助けられたことから、たくさんのものを失って、自身が嵌められたとはいえカナメに致命傷を与えてしまったことまで、全て。


それが単に彼女なりの誠実さか、或いは同情を抱いてくれるかもしれないという打算かは彼女自身も確たるものにできていないが。
少なくとも、クオンと早苗を引き入れてやり直しを望んでいることを伝えていない淀みがあるのは確かだ。

「そうか...セルティに岩永琴子、カナメまでも、か」

ポツリと呟かれた名前に、久美子の背に冷たいものが走る。
もともとこの情報交換は彼ら四人を味方に引き入れるためのものだ。
もしも目の前で散った者たちが、目の前の彼らにとって深い知己であれば。
久美子が無力で、彼女と関わったばかりに死んでしまったと取られてもおかしくはない。
そうなれば相手側からすれば信用も信頼も積むことなんてできない。
なにより。
お前のせいであいつらが死んだんだと責められれば、うまく返事ができるかもわからない。

「すまない、気を悪くしたかな。ただ、俺の組んでいた仲間達の知り合いなのでその顛末をやるせなく思っただけだ。きみを責める意図は無かった。非礼を詫びよう」
「あっ、いっ、いえ。そんな...私が弱かったせいなのは事実ですから...」

そんな久美子の萎縮を察したブチャラティは即座に謝罪し、久美子もまた謙遜を口にしながらもどこか安堵を抱いた。

「その...私からもいいだろうか...」

控えめながらも挙手をしながら、梔子が口を開く。

「謝って済むことではないと思うが、ウィキッドは、私と同じオスティナートの楽士だ」
「え...」

息が詰まる。
いま、この人はなんて言った?
ウィキッドがオスティナートの楽士?
楽士がどうとかはよくわからないが、嗤いながら麗奈を侮辱し、自分たちを壊滅寸前まで追い込み、いまもあの臭い息を撒き散らしている人殺しが、仲間?

「私は彼女についてよく知らないし、友好的とも言えない。あなたが彼女を殺したいと願っても、反対しない。ただ、曲がりなりにも身内が被害をもたらしたこと。その点については隠すべきではないと思った。...本当に、済まなかった」

頭を下げる梔子に、久美子の喉元から熱いものが込み上げる。
あなたが悪いんじゃないよ、だとか、そんな励ましではなくて。

ーーーあなたがあいつの仲間なら責任とってよ!あいつにやられたの、全部返してよ!!

そんな、あまりにも身勝手で稚拙な我儘。
けれど、彼女は飲み込んだ。どうにか堪えた。
わかっていたから。
いまここで八つ当たりに走っても、事態は悪化するだけだと。

「っ...!」

ーーーあなたに責任はないよ。悪いのは全部ウィキッドだから。

ーーーだから、謝らないで。

そんな気取った綺麗事が必要だとはわかっているのに、ソレを出すことが出来ぬまま、ただ息を呑み込み、沈黙に身を晒すことしかできない自分に嫌悪する。

梔子も、久美子が言いたいことを堪えているのは分かりつつも、自分がずっと頭を下げたままでは話が進められないと、頭を上げて再びブチャラティへと話を継ぐ。

「では、こちらからも提供しよう」

ブチャラティもまた、自分が辿った道程と、梔子やライフィセットがそれぞれ辿った道程を合わせて久美子とロクロウに伝える。

フレンダが流竜馬の悪評を振り撒いて戦場に火種を蒔いたことや、殺し合いに乗ったキースと呼ばれる青年を返り討ちにしたこと、スポーツジム付近や病院でヴライと戦ったことなどは、さして久美子にもロクロウにも重要視することでもなかった。

「ベルベットが変貌した、か...あの資料に書いてあった通りだな」

ブチャラティの語った、神話の魔王の如く悍ましき気を纏うベルベット。ロクロウの知る中ではそんなベルベットは見たことが無いし、自分の知るベルベット・クラウではあのシグレをどうにかできるとは思えない。確かに『別物』になったのだろう。

「だからといって、もうどうすることもできんか...」
「その、いいの?ベルベットはシグレを倒しちゃったんだよ?」
「あまり気を遣いすぎるな。シグレを倒すのが俺の目標だったというだけで、あいつにはあいつの生き方がある。そこにシグレが重なっちまっただけだ。俺が倒せなかったからといって、それを恨むのは筋違いってモンだろ」

口ではそう言いながらも、ロクロウの心境は割り切りや振り切りとは縁遠い。
己の口にした理屈が正しいとは思えど、抱いてるのはやはり空虚。
仔細を聞かされるまでは、ベルベットが彼女自身でないナニかに変貌してシグレを討ったのならば、落とし前をつけさせてもらわねば気が済まないと思っていた。
だが、まだ電話越しとはいえ、ライフィセットが言うには、もうベルベットは魔王なんてものではなくいつものベルベットだったという。
もしもその変貌がとうに収まり、シグレを殺したという『魔王』が消え去ったのなら。
結局のところ、いまのベルベットを斬ったところで気が晴れることはなく。

ただ恩義を返すためだけに生きる虚無感はいっそう膨れ上がるばかりだ。


「ロクロウ...」

その心配気なライフィセットの呟きを最後に、沈黙が訪れる。

各々が与えられた情報を咀嚼する中、最も脳髄を働かせていたのは、黄前久美子。

(大丈夫...だよね...また、否定されないよね?)

先のヴァイオレットと間宮あかりはなんとなく人となりがわかっていたのもあり、ある程度の拒絶される覚悟は出来ていた。その上で、折原臨也という毒が予想を超えて強力だったために久美子は多いに動揺してしまった。
その恐怖と嫌悪により、今までほど自発的に勧誘ができなかった。
なにより、ブチャラティも梔子もライフィセットもシルバも。
久美子にとってはあまりにも接点が無く未知数なのも二の足を踏む要因だ。

「...そういえばだが、久美子。君は隼人とクオン、早苗と共に戦ったそうだな」
「あっ、はっ、はい。特になにか出来たわけでもないですけど...」
「隼人やクオンが気にかけていた。もしも生きていたら保護してやってくれ、とな」
「......!」

光明だった。
臨也のように悪意ありきでこちらを品定めせず。
一人の保護対象として見てくれているなら、こちらに負い目を感じている人がいるなら、話す価値は、賭ける価値はある。

「あっ、あの!いいですか!?」

まるで人参を目の前に下げられた馬のように。
久美子は、自分でも想定外の勢いで、口火を切り始めた。

⭐︎

久美子は語った。μを利用して、この殺し合いで起きたこと全てを無かったことにする計画を。
そしてその方針に、クオンと早苗もまた賛同の意を示していることを。

そして、ブチャラティ達にもまた協力してほしいことを。

「全てを、やり直す...」
「そうだよ。だっておかしいでしょ、こんなの。急に集められて、急に殺し合えなんて言われて。みんな、本当は失くさなくてもいいものを失くしてるんだよ」

ライフィセットの溢した呟きを逃してたまるかと言わんばかりに久美子は被せていく。

「麗奈とも約束したの。また会おうって。私たちの“いつも“を取り戻すって。私たちはなにも終わらせたく無い...こんなところ抜け出して、あの日々を取り戻したいだけ。だから...お願い...します...!」

掠れそうな声で、腰を深く折って頭を下げて。
誠心誠意を込めた懇願に、静寂が訪れる。

臨也との問答で学んだ。
相手に付け入る隙を与えれば、彼のように詭弁で肝心な解から焦点をずらされてしまう。
だから下手にでることでイニシアチブを取る。これが久美子が経験から見出した交渉術だ。

「......」

返答はない。ただ、それは拒絶の空気ではなく戸惑いであると、彼女の肌は感じ取っている。
当然、そこまでは織り込み済みだ。だから、その気にさせる甘言を嘯く。
クオンにそうしたように。
大丈夫。やれる。
今がその時。

「それって...『今』の僕がいなくなるということ?」

決意とは裏腹に、出鼻はあっさり挫かれた。
ここまで沈黙していた少年・シルバによって。

ーーー俺からしたら、君たちがやろうとしていることは、『自殺』だよ

あの時の臨也の言葉が脳内を反響する。
言葉自体はまるで違うのに。

「ぼく...垣根に言われたんだ。自分で考えろ、自分で歩けって」

彼と違って悪意なんてないのに。

「それはすごく難しいけど、2ご...ライフィセットみたいになれるかはわからないけど、それでもなってみたいって思ったんだ」

その純粋な言葉が。あの歪んだ毒刃と寸分狂わず重なって。

「だから...今の僕が消えるのは、嫌だよ...」

黄前久美子の心臓に、突き立てられた。

「なっ、な、に、それ...そんなの、知らない、よ」

怒っているのか、笑っているのか、苦悶しているのか。
久美子自身、自認はできないが、顔が歪んでいることだけは感じ取れる。

「そんなこっ、子供の理屈に、つきあわせ、ないでよ」

子供相手に何をムキになっているのか。
普段から俯瞰してそう思えただろうに。
今でも、まともに取り合う必要などないとわかっているはずなのに。

右の掌は、必死に己の胸元をくしゃりと掻きむしるように掴んで。
声が上ずるほどに。体も。震えが微塵も止まらなくなる。

「...黄前久美子。私は、お前の願いを否定できない」

そんな久美子の異変を警戒してか、梔子はシルバを背に回し久美子と向き合う。

今までとは違う、クオン以来の肯定の言葉に、しかし言いようのない不安が胸を締め付ける。
梔子のその顔が。呼吸器の上からでもわかる歪んだ目元が、自分のことのように辛そうな色を浮かべていたから。

「けど、無理なんだ...出来ないんだよ...」
「出来ないって、なんですか!?だから私は協力して主催を倒してーーー」
「私も、かつて同じことを願ったから...」

ギュゥ、と心臓が締め付けられるような感覚に陥った。

「私は放火で家族を殺された...私はμに望んだよ。家族を戻してくれと。μは叶えてくれた...けれど、それは、気を抜けば素顔が崩れるような、模造品だった」

麗奈と誓った『特別』が。
久美子の中で崩れてゆく。
音も立てずに。

「μにそんな力は無い...生きていればまだ戻せた。けれど、死んでしまった者まで戻すことは、出来ないんだ...」
「っ...!ッ...!」

そもそもとして。
頑張ればどうにか、だとか。そんな精神論すら成り立たないという『前提』に、声すら発することが出来なくなる。


「...俺も、この会場で特別な存在を失った。ジョルノ・ジョバーナ。ただの部下というだけじゃあない。あいつがいなければ、俺はきっと生きながらに死んでいた。あいつは、俺にもう一度、生きる道を示してくれた尊敬すべき戦友だった」

続くブチャラティの言葉に、縋るように顔を上げる。
いま、彼はこの会場で、特別な存在を失ったと言った。人生を変えてくれた存在だと。
同じだ。特別(麗奈)を失った自分と、同じ痛みを味わったのだ。

彼なら。所詮は他人を失っただけのヴァイオレットとは違う、彼なら、と込めた期待は。

「だが、俺は君の願いには賛同できない。あいつの生きた証を。遺した覚悟を、無碍にすることをしたくはない」

『正しき覚悟』に、いともたやすく打ち砕かれた。


「ッ、ッ、ッ」

動悸が止まらない。目の前がぐるぐるとまわり、頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。

頭を抱えて、ぐしゃぐしゃ髪を掻き混ぜる。

自分がなにをやっているかもわからない。

心配したのか、呼びかけてくる声も、誰のものかわからなくなる。

ーーー……私以外の全てを敵に回すことになるかも知れないのに。久美子、それでもするの?

崩れてゆく。麗奈の声が。誓いが。

ーーーお願い……、私達の“いつも”を取り戻して……。
私は、久美子と一緒に、全国金を取りたい……絶対に……

最後の声が。顔が。


ーーー約束、だから……、裏切ったら、きっと殺すから……

約束が。


(どうしよう。どうしよう。麗奈、麗奈、麗奈、麗奈、麗奈麗奈麗奈麗奈麗奈麗奈麗奈麗奈ーーー)

もう誰の声も届かない。
ただ、己の脳髄にだけ生きるあの特別に救いを求める。

「久美子はさ」

そのはず、なのに。

「本当は、こんなこと間違ってるってわかってるんだよね?」

心配からかけられた、少年のその言葉が。


なぜかするりと久美子の耳に入り込み。

「うる、さいなぁ」

彼女の中で、プチリと、なにかが切れた。


⭐︎

もうなにも考えられない。

「私が正しいかどうかなんてそんなに大事なの!?」

誰に向けている言葉かもわからないまま、お腹の中から溢れ出る。


「自分が耐えられるからって押し付けないでよ!!」

たぶん。きっと。いや、絶対に。

私は言っちゃいけないことを言おうとしてる。


「私は麗奈に会いたい!会えるかどうかなんて今はどうでもいい!麗奈を諦めるのが正しさならそんなの要らないよ!」

でも止められない。止まってくれない。



「殺し合いに乗ってるかどうかなんてもうどうでもいい...邪魔するなら許さない!あなた達も私の敵だよ!!」


だってこれは、私が押し留めてきた、本心だから。

⭐︎

はぁ、はぁ、と息を切らし肩で呼吸する。

幾度目かの静寂も、もう慣れたものーーーだなんて言えやしない。

皆の視線が突き刺さっているのを、久美子の肌は理解している。

「済まなかった」

最初にかけられた言葉は謝罪だった。

「君の言うとおり、俺は無自覚に俺の枠に君を押し嵌めていた」

紡がれた言葉は、こちらの心情を汲んでくれたモノだった。

「どんな理由であれ、君の願いを押し留めようとした」

願いを肯定してくれるものだった。

だが。それでも。

彼女はとうにわかっていた。

「だから改めよう」

これは断罪では無く。
むしろ、自分を赦してくれるからこその。

「君は、俺たちの敵だ」

処刑宣告であることを。


「『スティッキィ・フィンガーズ!!』」

ブチャラティの背後からスタンドが出現する。
久美子は初めて見るモノだが、もはや驚くこともできず。


迫る拳にも、ただ、ぼんやりと。
向けられた敵意を受け入れるように、空虚な瞳で見つめ続け。

ーーーガキン、と甲高い音を鳴らし、火花を散らして拳は止められる。

ロクロウ・ランゲツ。

久美子にとってはもう何度も見てきた光景だ。
契約を取り付けたのは自分とはいえ、恩義を理由に久美子を守る剣鬼の背中に、嫌悪を抱いてきたモノだが。

今はいっそう嫌悪が湧き上がる。

笑っていた。
先ほどまでの覇気の無さが嘘のように。
久美子が彼を軽蔑し始めたあの時のように。

ロクロウ・ランゲツは笑っていたのだ。


「ロクロウ!?」
「...どういうつもりだ」
「そいつを決めるのはこっからだ。おい、久美子!」

拳との鍔迫り合いをしながら、愉快げに呼びかけるロクロウに仄かな苛立ちを覚えつつも耳を傾ける。

「今なら間に合うぜ。さっきのは言葉の綾だ。許してくれって言えば、こいつらも受け入れてくれる。例え強がりでも一人であそこまで言えたんなら上出来だろ!」

わざわざこれ見よがしに逃げ道を残して。
その大義名分まで用意してくれて。
どうしてその気遣いを最初にしてくれなかったのか。
あなたが弁慶さんとセルティさんの邪魔をしなければ、きっと自分はこんなことになっていなかったと、怒りさえ湧いてきて。

「それでどうだ?もう、やめちまうか!?」

「ーーーイヤ!絶対にイヤ!!麗奈は絶対に諦めない!!」

こんな単純な乗せられ方をする自分が、殺したいほどに腹立たしくなった。


「ハッ、上等だ!!」

刀を握る腕の筋肉が隆起し、力づくでスティッキィ・フィンガーズをブチャラティ諸共弾き飛ばす。

だがブチャラティとて百戦錬磨。
着地と同時、すぐさまロクロウを攻撃しようとするが

「ッ!?」

スタンドを動かそうとするブチャラティは、しかし違和感を覚えて振り返る。

「あ...」

背後にいた梔子が、スティッキィ・フィンガーズの腕を掴んでいた。

「梔子...!?」
「おっと。こいつは思いがけない好機だな」

ブチャラティの動揺する隙を突き、ロクロウは久美子を抱えてひとっ飛びで距離を取る。

「わわわっ」
「ライフィセット!さっきはベルベットの居場所を教えてくれたこと、礼を言う。ただ、おまえにゃ悪いが、ベルベットとはひと足先にやらせてもらうぞ」
「ええっ!?そんな、さっきは恨んでないって言ってたよね!?」
「すまん、忘れてくれ!だが、恨んでないのは本当だ。なんせ俺はそういう業魔で」

ロクロウはニヤリと笑みを深め。

「そういう人間だったからな」

そう告げると、ロクロウは背中を向け久美子ともども、一目散に駆け出していった。

「行っちゃった...」

瞬く間に遠ざかっていくロクロウの背に、ライフィセットは目を丸くする。
会った時はあれだけ落ち込んでいたのが目に見えたものだから、ずっと気に掛けていた。
ロクロウは変なところで真面目だから、久美子の願いにイヤイヤ付き添っていたんじゃないか、と。
それが一転、久美子の叫びを皮切りにああまで元気を取り戻して。
仲間としての喜び以上に困惑してしまう。

このまま何も言わずに別れるのも、なんだか悔しかった。

「...負けないよ、ロクロウ!だって僕、ベルベットが大好きだから!」

ひとまず、男らしく宣戦布告をするのだった。

「......」
「...すまない」

一方で、ブチャラティの無言の問いかけに、梔子は顔を俯かせ謝罪をする。

「...俺にきみを叱りつけるような権利は無いが、理由は聞いておこう」

梔子は言いづらそうに視線を斜め下に向け、やがて意を決したかのように深呼吸をして告げる。

「...彼女は、私だったんだ」

久美子のやり直したいという願い。
どれだけ無理だと突き付けられても。
倫理的に許されないとわかっていても。
過去に縋らずにはいられない。
彼女は、まさに自分そのものだった。

久美子へ言った言葉は撤回しない。μに、久美子の望む結末を叶える力は無いと今でも思っている。今度はもう、手助けなんてしないだろう。
それでも。あの時の自分を、ここで終わらせたくはなかった。

「罰なら如何様にも受ける」
「いや、いい...気持ちはわからないでもないからな」

ブチャラティはそこで追求を打ち切り、去っていった久美子とロクロウの向かう先へと目をやる。

テレビ局にはベルベット・クラウと琵琶坂永至が陣取っている。
もしも久美子たちがあそこで合流してあの二人と組めば、戦力としてはかなり強大なものになるだろう。
参加者の数も猶予があるわけでもない。

(やはりこちらも戦力を整えておくべきだ)

新たな脅威を認めた彼らは、かねてより予定していた進路に急ぎ戻るのだった。

【Gー6/深夜/二日目】

【ブローノ・ブチャラティ@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風】
[状態]:疲労(中)、強い決意、全身に火傷、ダメージ(中)
[服装]:普段の服装
[装備]:
[道具]:不明支給品1~3、 サーバーアクセスキー マギルゥのメモ 身体ストック(ライフィセットの両腕、ブチャラティの左腕使用済)
[思考]
基本:殺し合いを止めて主催を倒す。
0:来た道を戻り、隼人たちやクオンたちと合流して戦力を整える。
1:魔王ベルセリアへの対処。
2:ヴライが生き残って襲ってきたら対処。
3:自称ブチャラティ(ディアボロ)に対して警戒。
4:黄前久美子は敵として見做す。

[備考]
※参戦時期はフーゴと別れた直後。身体は生身に戻っています。
※九郎、新羅と知り合いの情報を交換しました。
※画面越しの志乃のあかりちゃん行為を確認しました。 
※新羅から罪歌についての概要を知りました。
※垣根と情報交換をしました。
※霊夢、カナメと情報交換をしました。
※持ち出した身体ストックはブチャラティ、九郎、ライフィセット、梔子、ア
リア、新羅のもののみです。
※隼人、クオン、早苗らと情報交換をしました。

【ライフィセット@テイルズ オブ ベルセリア】
[状態]:強い倦怠感、全身のダメージ(大)、疲労(中)、強い決意
[服装]:いつもの服装
[装備]:ミスリルリーフ@テイルズ オブ ベルセリア(枚数は不明)
[道具]:基本支給品一色、果物ナイフ(現実)、不明支給品×2(本人確認済み)本屋のコーナーで調達した色々な世界の本(たくさんある)
[思考]
基本:ベルベットを元に戻して、殺し合いから脱出する
0:来た道を戻り、隼人たちやクオンたちと合流して戦力を整える。
1:ブチャラティ達と行動する
2:ムネチカへの心配
3:ベルベットに勝って連れ戻す。
4:ロクロウと合流できたのはいいけど...まだ仲間でいられるのかな...?
5:ヴライがアンジュを殺しているならムネチカやその仲間達に伝えるべき?
6:エレノア、マギルゥ……。

[備考]
※参戦時期は新聖殿に突入する直前となります。
※異世界間の言語文化の統一に違和感を持っています。
※志乃のあかりちゃん行為はほとんど見てません。
※呼ばれた時間に差がある事に気づきました。
※梔子と聖隷契約をしました。
※現在はデイパックの中にシルバがいます。
※隼人、クオン、早苗と情報交換をしました。

【梔子@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-】
[状態]:健康、疲労(中)、精神的ダメージ、レインの仮説による精神的疲労(少し回復)
[服装]:メビウスの服装
[装備]:ストップウォッチ@東方project(1回使用)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1(心許ないもの)、静雄のデイバック(基本支給品、ランダウ支給品×1~2)、ライフボトル×2@テイルズオブベルセリア
[状態・思考]
基本行動方針:琵琶坂永至に然るべき報いを。
0:来た道を戻り、隼人たちやクオンたちと合流して戦力を整える。
1:当面はライフィセット達と行動
2:彩声の義理を返す為、レインを死なせないようにする。
3:琵琶坂永至が本人か確かめる。
4:琵琶坂を擁護する限りアリアとは行動を共にしない。
5:本当に死者が生き返るなら……
6:煉獄さん……天本彩声……
7:私が虚構かもしれない、か……
8:黄前久美子には賛同できないが、否定もできない複雑な心境。
[備考]
※参戦時期は帰宅部ルートクリア後、
 また琵琶坂が死亡しているルートです。
※キャラエピソードの進行状況は少なくとも誕生日のコミュは迎えてます。
※静雄、レインと情報交換してます。
※ブチャラティ、霊夢達と情報交換をしました。
※ライフィセットと聖隷契約をしました。
※隼人、クオン、早苗と情報交換をしました。


【シルバ@テイルズ オブ ベルセリア】
[状態]:健康
[思考]
基本:ゲームを止める人たちの手助けをする。
0:自分の足で歩いて、少しでもライフィセットに近づきたい
1:ライフィセットたちと行動する。


⭐︎

「...いまさら、どういうつもりですか」

ブチャラティ達から距離を取り、ひとまずの安息を経たところで、久美子は不満気に尋ねる。

「早苗さんの時は邪魔してきたくせに」
「そりゃ、あいつも恩人だったからな。あいつにはあいつの心で決めて欲しかった」
「その後もやる気無かったじゃないですか」
「まあな。本音を言えば、どうせお前は途中で諦めちまうと思っていたし、そこまで付き合ってやれば義理は果たしたと言えるとも思っていた」

歯に衣着せぬ言種に久美子は苛立つ。

「だがな。あの時のお前の啖呵を聞いて思い出したんだ。そういえば、元々の俺はこういう奴だったな、とな」

久美子のエゴを聞き遂げた後、彼の脳裏に過ったのは、まだ自身が業魔になる前のこと。
ランゲツ流の継承権を奪うために、シグレの悪評を流し追放の口実を作り、あまつさえ不意を突いて倒そうとしたこと。

今の自分はあの時とは別物であり、過去の方が強かったということもない。
ただ、思い出したのだ。自分は、ただ義理堅いだけでなく、ああいう手段も視野に入れられる人間であったことを。

「突き詰めれば、俺のやりたいことはただ一つだった。シグレとケリをつける...ソイツを叶えるためならなんだってやるさ。お前みたいにな」
「...勝手にしてください」
「そうだな。元々、俺はそうやってあいつらと旅してきたからな」

いっそ朗らかにさえ笑うロクロウとは対照的に、久美子の顔は険しいままだ。

なぜ、麗奈がいなくなって、隣にいるのがこの人なのか。
全部、全部この人が原因のようなものなのに。セルティさんや弁慶さんがいてくれたら、こうはなってなかっただろうに。
そんな後悔や不満は決して消えない。
ただ、少しだけ。
歩みを進める背中が、まっすぐになったように思えた。

【H-6/深夜/ニ日目】

【ロクロウ・ランゲツ@テイルズオブベルセリア】
[状態]:全身に裂傷及び刺傷(止血及び回復済み)、全身打撲、疲労(極大)、全身ダメージ(極大)、感傷、無惨の血混入、右腕欠損
[服装]:いつもの服装
[装備]: オボロの双剣(片一方は粉砕)@うたわれるもの 二人の白皇、ロクロウの號嵐(影打ち)@テイルズ オブ ベルセリア
[道具]:基本支給品一色、不明支給品0~2
[思考]
基本:主催者の打倒
0:ひとまずは早苗達と再合流を目指す。テレビ局に向かってベルベットともケリをつけたい。
1:久美子が敗北を認めない限り、前向きに協力する。
2:無惨を探しだして斬る。
3:シグレを殺したという魔王ベルセリア(ベルベット)は斬る。
4: 早苗が気掛かり。號嵐を譲ってくれた借りは返すつもりだが……
5: 殺し合いに乗るかどうかはその時次第。強い参加者と出会えば斬りあいたい
6: 久美子達には悪いことしちまったなぁ……
7: マギルゥ、まぁ、会えば仇くらい討ってはやるさ。
8: アヴ・カムゥに搭乗していた者(新羅)については……。
9: 臨也は気に入らない
[備考]
※ 参戦時期は少なくともキララウス火山での決戦前からとなります。
※ 早苗からロクロウの號嵐(影打ち)を譲り受けました。
※ オシュトルからうたわれ世界の成り立ちについて、聞かされました。
※ 垣根によってマギルゥの死を知りました。
※ 無惨との戦闘での負傷により、無惨の血が体内に混入されました。
※ 更新されたレポートの内容により、ベルベットがシグレを殺害したことを知りました。
※ 久美子が作った解毒剤によって、毒は緩和されており、延命に成功しました。
※ 殺し合いの全てを無かったことにしようとする久美子達の計画を知りました。

【黄前久美子@響け!ユーフォニアム】
[状態]:全身に火傷(冷却治療済み)、右耳裂傷(小)、右肩に吸血痕、深い悲しみと喪失感、琴子とカナメに対する罪悪感、臨也に対する嫌悪及び苦手意識、精神的疲労(絶大) 、やけっぱち
[役職]:ビルダー
[服装]:特製衣装・響鳴の巫女(共同制作)
[装備]:契りの指輪(共同制作)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1、デモンズバッシュ@テイルズオブベルセリア、セルティ・ストゥルルソンの遺体、シグレ・ランゲツの片腕、クロガネ征嵐@テイルズオブベルセリア、点滴セット複数@現実
[思考]
基本:歌姫(μ)に勝って、その力を利用して殺し合いの全てを無かったことにする。
0: ひとまずは早苗達と再合流を目指す。テレビ局に向かって琵琶坂とベルベットと接触するのもあり?
1:どんな手段を使ってでも、麗奈と共に描いた道しるべを達成する。もう、迷うことは無い...たぶん
2:ロクロウさんは嫌いだけど、利用はするつもり
3:ウィキッドは絶対に許さない
4:例え隼人さん達を敵に回したって、もう私は迷わない。望みを叶えるまで逃げ切ってやる。
5:ヴァイオレットさんと、あかりちゃんには、仲間になってほしかった……
6:魔王ベルセリアという存在には最大限の警戒
7:岩永さん、カナメさん、ごめん。必ず生き返らせるから……
8:折原さんとは、もう顔を合わせたくない
9:計画に反対する「殺し合いに乗っていない参加者」については敵とみなす

※少なくとも自分がユーフォニアムを好きだと自覚した後からの参戦
※ロクロウと情報交換を行いました
※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。現状は麗奈と一緒に衣装やら簡単なアイテムを作れる程度に収まっています。
※麗奈がビエンフーから読み取った記憶を共有し、ビエンフー視点からのロワの記録を入手しました。
※μの事を「楽器」で「願望器」だと独自の予想しました

前話 次話
第四回放送 投下順 ---

前話 キャラクター 次話
何者かに成れたなら ブローノ・ブチャラティ ---
何者かに成れたなら ライフィセット ---
何者かに成れたなら 梔子 ---
艱難辛苦(後編) 黄前久美子 ---
艱難辛苦(後編) ロクロウ・ランゲツ ---
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー