――
―――
――――
―――――
――――
―――
――
―
―――
――――
―――――
――――
―――
――
―
――――――――騒々しい騒音によって目が覚めた、受話器を取る。
――先生、いつまで寝てるんですか。
――それとも調子が悪いんですか?
そんな事はないよと答えて、覚醒する。時刻は8時半だ。
――早く降りてきてくださいよ、待ちきれなくて朝飯食べてますよ。
――それとも調子が悪いんですか?
そんな事はないよと答えて、覚醒する。時刻は8時半だ。
――早く降りてきてくださいよ、待ちきれなくて朝飯食べてますよ。
付属の食堂で鳥口は定食をがつがつと食べていた。
「先生、こっちですよ」
鳥口が立ち上がって手を挙げる。
「早起きだな、君は」
「先生が遅いんですよ、早起きは3円の得ですよ」
「いつもは、自堕落な生活をしているからね、朝は辛いよ」
「ダメですよ、体あっての物種って云うじゃないですか」
鳥口は巫山戯て(ふざけて)答え、一生懸命食事を取るのに戻った。
私は食欲がなかったので熱いお茶を貰った。
鳥口は綺麗に食事を平らげた。
「さて、先生どうしますか?、僕は今日2年目の事件が起こった自然公園を見に行くつもりですけど・・」
鳥口は人心地ついたのか、お茶を啜りながら聞いてきた。
ここから1時間ぐらいの所にその公園はあるらしい。
だが当然、1時間で着くはずもなく往復だとかなりの時間車に乗る事になる。
「あんまり、気乗りしないね。体調も悪いし・・・」
「そうですか――それじゃ、僕1人で行ってきますか、
先生は雛見沢の観光でもしていてください、午後からそっちに戻りますから」
「先生、こっちですよ」
鳥口が立ち上がって手を挙げる。
「早起きだな、君は」
「先生が遅いんですよ、早起きは3円の得ですよ」
「いつもは、自堕落な生活をしているからね、朝は辛いよ」
「ダメですよ、体あっての物種って云うじゃないですか」
鳥口は巫山戯て(ふざけて)答え、一生懸命食事を取るのに戻った。
私は食欲がなかったので熱いお茶を貰った。
鳥口は綺麗に食事を平らげた。
「さて、先生どうしますか?、僕は今日2年目の事件が起こった自然公園を見に行くつもりですけど・・」
鳥口は人心地ついたのか、お茶を啜りながら聞いてきた。
ここから1時間ぐらいの所にその公園はあるらしい。
だが当然、1時間で着くはずもなく往復だとかなりの時間車に乗る事になる。
「あんまり、気乗りしないね。体調も悪いし・・・」
「そうですか――それじゃ、僕1人で行ってきますか、
先生は雛見沢の観光でもしていてください、午後からそっちに戻りますから」
――そうさせて貰うよ、と答えると。
――じゃあ早く出発しましょう、光陰あざなえる縄のごとしですよ。
――じゃあ早く出発しましょう、光陰あざなえる縄のごとしですよ。
鳥口は何故必ず間違った慣用句を使うのだろうか?――よく解らなかった。
――ガタガタ――ガタガタ――ガタガタ――
道路が舗装されていない道に入った。
宿泊所がある興宮から雛見沢までは車で15分ほどだ。
話によると、バスなどの公共機関は無いそうだ。
――住むとなったら大変だろうな。
――だが住めば錦ですよ。
――・・・
道路が舗装されていない道に入った。
宿泊所がある興宮から雛見沢までは車で15分ほどだ。
話によると、バスなどの公共機関は無いそうだ。
――住むとなったら大変だろうな。
――だが住めば錦ですよ。
――・・・
村の真ん中ぐらいで降ろしてもらう。
「先生これ、持っていってください」
そう云って鳥口は握り飯と水筒を渡してきた。
先ほどの食堂で作ってもらってきたらしい。
「ちゃんと食べないと、また倒れられたらこっちが困りますからね」
ありがとうと答えると、鳥口は嬉しそうに笑った。
――待ち合わせは夕方に古出神社でお願いします。
そう言い残して鳥口は去っていった。
「先生これ、持っていってください」
そう云って鳥口は握り飯と水筒を渡してきた。
先ほどの食堂で作ってもらってきたらしい。
「ちゃんと食べないと、また倒れられたらこっちが困りますからね」
ありがとうと答えると、鳥口は嬉しそうに笑った。
――待ち合わせは夕方に古出神社でお願いします。
そう言い残して鳥口は去っていった。
さてどうしようか、日はまだ低く時間はたっぷりある。
私は特に目的地も決めずにトボトボと歩き出した。
初夏の青空に澄んだ空気、遠くには蝉の声が聞こえる。
いくら私が偏屈な人間でも多少心が明るくなる。
下手に別れる道に入ってみた、何となく川の近くに行ってみたかった。
川原まで降りるとそこは最高の景観だった。
私は特に目的地も決めずにトボトボと歩き出した。
初夏の青空に澄んだ空気、遠くには蝉の声が聞こえる。
いくら私が偏屈な人間でも多少心が明るくなる。
下手に別れる道に入ってみた、何となく川の近くに行ってみたかった。
川原まで降りるとそこは最高の景観だった。
…東京とは違うな。
木陰に入って季節はずれの夏の太陽から身を隠し、木洩れ日を満喫する。
鳥口から渡された、握り飯を頬張る。
鳥口から渡された、握り飯を頬張る。
…とても美味い。
…
…来てよかった。
…
…
――
―――
――――
―――――ご
――――ご免
―――ご免な
――ご免なさ
―ご免なさい
ごめんなさい
―――
――――
―――――ご
――――ご免
―――ご免な
――ご免なさ
―ご免なさい
ごめんなさい
誰かが・・・謝っている。
誰だ?・・誰が?・・誰に?
誰だ?・・誰が?・・誰に?
ご免なさい
ご免なさい
ご免なさい
ご免なさい
ご免なさい
誰かが・・・謝っている、それも泣きながら。
もう許してあげればいいのに、こんなに必死に謝っているんだから。
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
誰かが・・・謝っている。
目が覚めた、目が覚めてしまった。
川のせせらぎが聞こえる――頭を2、3度振る――
夢か・・あれは・・・そう・・・だろう・・・
変な格好でうたた寝をしたから、悪い夢を見たのか。
太陽は天辺(てっぺん)を過ぎた辺りにあった。
折角だから村の観光をしようと、私は立ち上がった。
川のせせらぎが聞こえる――頭を2、3度振る――
夢か・・あれは・・・そう・・・だろう・・・
変な格好でうたた寝をしたから、悪い夢を見たのか。
太陽は天辺(てっぺん)を過ぎた辺りにあった。
折角だから村の観光をしようと、私は立ち上がった。
何の気なし小径を歩いていると、拓けた所に出た。
まるで私の小説のように、中途までが更地にされている。
どうやら鳥口が云っていた、中止になったダム計画の跡地だろう。
それを横目で見ながらさらに側道を上に進む、するとその脇に塵(ゴミ)の山が在った。
不法投棄されたのだろう。周りの自然とその不自然さの非現実感は何とも云いがたい物があった。
まるで私の小説のように、中途までが更地にされている。
どうやら鳥口が云っていた、中止になったダム計画の跡地だろう。
それを横目で見ながらさらに側道を上に進む、するとその脇に塵(ゴミ)の山が在った。
不法投棄されたのだろう。周りの自然とその不自然さの非現実感は何とも云いがたい物があった。
――カシャ、後ろの方で物音と人の気配がした。
振り向くとそこにはカメラを持った、青年がいた。
私の驚いた表情を見て彼は――すみません、と謝った。
「僕は富竹と云います、フリーのカメラマンをしてます。あまりに絵になっていたものでつい――」
――それは、私の顔が猿に似ているという事に対する嫌味だろうか――
「――雛見沢の人ですか?」
彼の言葉で、彼がここの人でない事がわかった。確かに訛りがない。
「いえ、僕も旅行雑誌の取材で来ていまして」
鳥口に殺人事件の取材ではそれこそ村八分にされると、身分を詐称するように云われていた。
――奇遇ですねえ、僕の専門は野鳥とかが主ですけど。
富竹と名乗り、青年は笑った。
年の頃は30代中盤辺りだろうか、穏和さがにじみ出たような顔だ。
頭には黒い野球帽を被り、黒い眼鏡に、黒い袖無し丸首シャツを着ている。
体格もガッチリしていて、私のような貧弱な体型ではない。
鳥口もそうなのだがカメラマンとはやはり肉体派なのだろう――少し嫌な気持ちになった。
振り向くとそこにはカメラを持った、青年がいた。
私の驚いた表情を見て彼は――すみません、と謝った。
「僕は富竹と云います、フリーのカメラマンをしてます。あまりに絵になっていたものでつい――」
――それは、私の顔が猿に似ているという事に対する嫌味だろうか――
「――雛見沢の人ですか?」
彼の言葉で、彼がここの人でない事がわかった。確かに訛りがない。
「いえ、僕も旅行雑誌の取材で来ていまして」
鳥口に殺人事件の取材ではそれこそ村八分にされると、身分を詐称するように云われていた。
――奇遇ですねえ、僕の専門は野鳥とかが主ですけど。
富竹と名乗り、青年は笑った。
年の頃は30代中盤辺りだろうか、穏和さがにじみ出たような顔だ。
頭には黒い野球帽を被り、黒い眼鏡に、黒い袖無し丸首シャツを着ている。
体格もガッチリしていて、私のような貧弱な体型ではない。
鳥口もそうなのだがカメラマンとはやはり肉体派なのだろう――少し嫌な気持ちになった。
富竹は7~8年前から、年に2・3回雛見沢には野鳥の写真を取りに来るらしい。
「それにしても、この塵は酷いですね」
「ええ、何でも都会の方から捨てに来るらしくて、それが上手いもんでこっちが警戒していない時を狙って、
いつも来るらしいです。こういった自然の素晴らしさなんてわからないのかな」
そう云って富竹はカメラのファインダーを覗いた。
「もし雑誌に載る事になっても、こんな物は載せないでくださ――ん、誰かいるな」
富竹がカメラを向けている方を見ると確かに塵山の中腹あたりに誰かがいる――少女のようだ。
「はは、あんな所で何をしているのかな」
富竹が笑いながら聞いてきた。
「死体でも探しているんじゃないですか」
何の気になしに答えると。
「ああ、関口さんも知っているのか、悲惨な事件だったね」
富竹は急に真面目な顔になった。
「それにしても、この塵は酷いですね」
「ええ、何でも都会の方から捨てに来るらしくて、それが上手いもんでこっちが警戒していない時を狙って、
いつも来るらしいです。こういった自然の素晴らしさなんてわからないのかな」
そう云って富竹はカメラのファインダーを覗いた。
「もし雑誌に載る事になっても、こんな物は載せないでくださ――ん、誰かいるな」
富竹がカメラを向けている方を見ると確かに塵山の中腹あたりに誰かがいる――少女のようだ。
「はは、あんな所で何をしているのかな」
富竹が笑いながら聞いてきた。
「死体でも探しているんじゃないですか」
何の気になしに答えると。
「ああ、関口さんも知っているのか、悲惨な事件だったね」
富竹は急に真面目な顔になった。
何故かおかしな空気が流れ、言葉は失われてしまった。
――悲惨な事件
鳥口が云っていた過去の事件の事だろうか。
そういえば鳥口からまだ事件の詳しい内容を聞いてはいなかった。
そういえば鳥口からまだ事件の詳しい内容を聞いてはいなかった。
――正確には聞いたのだが、記憶していないのかもしれない。
「ま、取材は僕がしますから、村の雰囲気だけ味わってもらって、後は小説家の創造力ってヤツで」
と云われて、それにこんな村で本当に殺人事件など起こらないだろう等とあまり気にしていなかった。
と云われて、それにこんな村で本当に殺人事件など起こらないだろう等とあまり気にしていなかった。
「しまった、もうこんな時間か、いけない待ち合わせに遅れてしまう」
奇妙な沈黙を打ち破るように富竹は、戯けた(おどけた)声を出し。
――じゃあ、また、と去って行った。
奇妙な沈黙を打ち破るように富竹は、戯けた(おどけた)声を出し。
――じゃあ、また、と去って行った。
私は少女が何をしているのかが無性に気になり、塵山を降りていった。
少女はあんな所で何をしているのだろうか?
少女はあんな所で何をしているのだろうか?
――まさか本当に死体を探して――
そんな事を考えていると、注意が削がれたのか不意に足下の塵肌が崩れた。
私は塵山の上を滑るように少女の近くまで、落ちていった。
私は塵山の上を滑るように少女の近くまで、落ちていった。
少女はこちらを振り向いた。
手には鈍く光る鉈を握りしめて。
手には鈍く光る鉈を握りしめて。
【鳥口守彦(起)】
関口を降ろすと、鳥口は白川自然公園を目指した。
鳥口が調べたところ、北条某(なにがし)という夫婦が、
3年前の綿流しの日にそこから転落死したとの事だ。(それ以外はその日に雛見沢の住民は変死していない)
1時間ほどで着くらしい、時刻は9時半。――到着したのは12時近くだった。
鳥口が調べたところ、北条某(なにがし)という夫婦が、
3年前の綿流しの日にそこから転落死したとの事だ。(それ以外はその日に雛見沢の住民は変死していない)
1時間ほどで着くらしい、時刻は9時半。――到着したのは12時近くだった。
鳥口は白川自然公園で五平餅をがつがつと食べていた。――空振りかな。
事故があったという場所の写真は撮ったが、当然3年前の事件の痕跡はなかった。
また目撃証言を集めてたものの、どれも空振りだった。
事故があったという場所の写真は撮ったが、当然3年前の事件の痕跡はなかった。
また目撃証言を集めてたものの、どれも空振りだった。
――まあ、仕方ない。
鳥口は気持ちの切り替えがはやい、伊達にカストリ雑誌の記者をしているわけではない。
――よし、雛見沢に戻ってその家の近所の人から聞き込みだな。
鳥口は行動力に優れている、酔狂でカストリ雑誌の記者をしているわけではない。
鳥口は気持ちの切り替えがはやい、伊達にカストリ雑誌の記者をしているわけではない。
――よし、雛見沢に戻ってその家の近所の人から聞き込みだな。
鳥口は行動力に優れている、酔狂でカストリ雑誌の記者をしているわけではない。
――帰りは流石に速かった。