少女――竜宮レナといったか
おかしな少女と別れて、私は古手神社を目指した。
日はもう暮れ始めていた、鳥口を待たせているかもしれない。
おかしな少女と別れて、私は古手神社を目指した。
日はもう暮れ始めていた、鳥口を待たせているかもしれない。
境内まで来たが鳥口の姿はなかった、代わりに老人達が酒盛りをしている。
辺りを見ると昨日来た時と違って天幕が張られ、椅子が準備されている。
明日の祭りの支度をしていたのだろう。
私は鳥口を待ち受けるために鳥居の所まで戻った。
辺りを見ると昨日来た時と違って天幕が張られ、椅子が準備されている。
明日の祭りの支度をしていたのだろう。
私は鳥口を待ち受けるために鳥居の所まで戻った。
「あれ―、関口さんじゃないですか」
すると誰かが声をかけてきた、見ると富竹と見た事がない女性が2人いた。
女性の1人は富竹より少し下ぐらいのの年齢で、もう1人は少女――さっきの少女と同じぐらいだろうか。
「いや~、奇遇ですね、こう何度も会うなんて」
富竹は人の良さそうな顔を綻ばせた。
「ジロウさんたら、隅に置けない人」
女性が笑った、とても艶っぽい声をしている。
「ええ、いや、そういう訳じゃなくて、え―紹介しようか、こちらは旅雑誌の作家の関口さん」
私は頭を下げた。少女も園崎魅音(そのざきみおん)と名乗って頭を下げた。
「私は―昨日―診療所でお会いしましたよね」
そう云うと女性は妖艶に笑った。
「―――」
昨日会ったのだろうか、私の記憶の中には無かった。
「あら―」
女性は首を傾げて私を見つめ、云った。
「―――」
顔が赤くなるのを感じる、私は鬱の他にも多人恐怖症に赤面症、失語症も持っているのだ。
「鷹野さん、いじめちゃダメだよ。こちらは診療所で看護婦をしている鷹野三四(みよ)さん」
私を見かねた富竹が助け船を出してくれた。
鷹野三四は嬉しそうな笑みを浮かべ――よろしく、と云った。
すると誰かが声をかけてきた、見ると富竹と見た事がない女性が2人いた。
女性の1人は富竹より少し下ぐらいのの年齢で、もう1人は少女――さっきの少女と同じぐらいだろうか。
「いや~、奇遇ですね、こう何度も会うなんて」
富竹は人の良さそうな顔を綻ばせた。
「ジロウさんたら、隅に置けない人」
女性が笑った、とても艶っぽい声をしている。
「ええ、いや、そういう訳じゃなくて、え―紹介しようか、こちらは旅雑誌の作家の関口さん」
私は頭を下げた。少女も園崎魅音(そのざきみおん)と名乗って頭を下げた。
「私は―昨日―診療所でお会いしましたよね」
そう云うと女性は妖艶に笑った。
「―――」
昨日会ったのだろうか、私の記憶の中には無かった。
「あら―」
女性は首を傾げて私を見つめ、云った。
「―――」
顔が赤くなるのを感じる、私は鬱の他にも多人恐怖症に赤面症、失語症も持っているのだ。
「鷹野さん、いじめちゃダメだよ。こちらは診療所で看護婦をしている鷹野三四(みよ)さん」
私を見かねた富竹が助け船を出してくれた。
鷹野三四は嬉しそうな笑みを浮かべ――よろしく、と云った。
「旅雑誌の記者の方が来るって事は、雛見沢が載るんですか?」
少女が聞いてきた、何処か男児風(ボーイッシュ)な印象の少女だ。――ふくらみは大きいが――
「ええっと、まだいつ載るかとかは決まってないというか、まだいつ刊行されるかも――」
後半は嘘ではない。
――そうなんですか、少女は残念そうな表情を浮かべた。
――雛見沢は良いところだから、是非載せてくださいね、と笑った。
私は複雑な表情を浮かべた。
「おやおや、勢揃いですね、皆さんこんばんは~」
少し変な節回しの声がして、恰幅のいい中年の男がやって来た。
「ああ、大石さんこんばんは、明日の警備の話ですか?」
富竹が答える。
「んっふ~そうですね、今年こそ何も無いと良いんですがね」
そう云って大石と呼ばれた男は全員の顔を舐めるように一瞥(いちべつ)した。
少女は嫌な者を見るような目で、男を睨み、
――明日のお祭りには来てくださいね、と私に云って去っていった。
「おやおや、嫌われちゃいましたかね、ところでそちらの方は?」
大石は私に顔を向けた。
「こちらは、関口さんと云って、東京で旅雑誌の作家さんをなさっている方ですよ」
富竹が私よりも早く応答した、――どうも、私は頭を下げた。
「雑誌社の方ですか、いや雛見沢も有名になったもんですな。私は大石蔵人と云います。
興宮、隣町で刑事をしています」
「大石さん、刑事さんですか」
「ええ、何なら蔵ちゃんでもいいですよ、んっふっふ」
大石はねちっこく笑った。
「さてさて、そろそろ行かないと、もうちょっと遅刻ですね」
――よいお年を。
大石はそう云い残して、警――今年も起こるのかしらね、オヤシロ様の祟りは。
――いやあ、君も好きだなあ。
鷹野三四が富竹に話しかけている。
少女が聞いてきた、何処か男児風(ボーイッシュ)な印象の少女だ。――ふくらみは大きいが――
「ええっと、まだいつ載るかとかは決まってないというか、まだいつ刊行されるかも――」
後半は嘘ではない。
――そうなんですか、少女は残念そうな表情を浮かべた。
――雛見沢は良いところだから、是非載せてくださいね、と笑った。
私は複雑な表情を浮かべた。
「おやおや、勢揃いですね、皆さんこんばんは~」
少し変な節回しの声がして、恰幅のいい中年の男がやって来た。
「ああ、大石さんこんばんは、明日の警備の話ですか?」
富竹が答える。
「んっふ~そうですね、今年こそ何も無いと良いんですがね」
そう云って大石と呼ばれた男は全員の顔を舐めるように一瞥(いちべつ)した。
少女は嫌な者を見るような目で、男を睨み、
――明日のお祭りには来てくださいね、と私に云って去っていった。
「おやおや、嫌われちゃいましたかね、ところでそちらの方は?」
大石は私に顔を向けた。
「こちらは、関口さんと云って、東京で旅雑誌の作家さんをなさっている方ですよ」
富竹が私よりも早く応答した、――どうも、私は頭を下げた。
「雑誌社の方ですか、いや雛見沢も有名になったもんですな。私は大石蔵人と云います。
興宮、隣町で刑事をしています」
「大石さん、刑事さんですか」
「ええ、何なら蔵ちゃんでもいいですよ、んっふっふ」
大石はねちっこく笑った。
「さてさて、そろそろ行かないと、もうちょっと遅刻ですね」
――よいお年を。
大石はそう云い残して、警――今年も起こるのかしらね、オヤシロ様の祟りは。
――いやあ、君も好きだなあ。
鷹野三四が富竹に話しかけている。
――いいじゃない、こんな渇いた時代には潤いが必要だわ。
――でも、ほら関口さんもいるんだから
鷹野三四は私の方をちらりと見た。猫が鼠を確認するように。
――でも、ほら関口さんもいるんだから
鷹野三四は私の方をちらりと見た。猫が鼠を確認するように。
――都会じゃこういった怪奇譚は喜ばれるのよ。
鷹野三四は富竹に云った。
鷹野三四は富竹に云った。
彼女はこちらに向き直り。
「関口さんは祟りを信じるかしら」
「関口さんは祟りを信じるかしら」
――祟り――そういえばあの手紙にもオヤシロ様の祟りと――
「祟りですか、面白いとは思いますがあんまり信じていませんが――」
そう答えた私の目を彼女は少し非難の混じった視線で捕らえた。
「そう――でも、祟りを信じるかどうかは話を最後まで聞いてからゆくっり考えてください」
そういって彼女はくすりと嗤った。
官達が集まった方へ向かっていった。
そんな私たちを見て、富竹はヤレヤレという表情を浮かべ一度大きく息を吐いた。
「それじゃ、少し僕が話そう―関口さんは雛見沢ダムの事件はご存知ですよね?」
「ええと、実は詳しくは知らないんですよ、何かがあったらしいという話は聞いているんですが・・」
そう答えた私の目を彼女は少し非難の混じった視線で捕らえた。
「そう――でも、祟りを信じるかどうかは話を最後まで聞いてからゆくっり考えてください」
そういって彼女はくすりと嗤った。
官達が集まった方へ向かっていった。
そんな私たちを見て、富竹はヤレヤレという表情を浮かべ一度大きく息を吐いた。
「それじゃ、少し僕が話そう―関口さんは雛見沢ダムの事件はご存知ですよね?」
「ええと、実は詳しくは知らないんですよ、何かがあったらしいという話は聞いているんですが・・」
――そうか、と富竹は頷いて。
「なら最初から話しましょう、昔といっても数年前ですが、
雛見沢ダム計画という、ここら辺一体がダムの底に沈む大がかりな国のダム計画があったんですよ
そして、それに反対するために住民運動が結成されて国と激しい戦いを繰り広げたんです」
「なら最初から話しましょう、昔といっても数年前ですが、
雛見沢ダム計画という、ここら辺一体がダムの底に沈む大がかりな国のダム計画があったんですよ
そして、それに反対するために住民運動が結成されて国と激しい戦いを繰り広げたんです」
――確か――あの手紙にもダムの事は書かれていた――
「その雛見沢の人達が結束して旗揚げした、反対同盟の事務所があったのがこの神社なんです」
「ほらあの集会場がその名残よ、解散後は老人会のサークル活動にしか使われてないけど、
当時はまさに最後の砦だったそうよ」
鷹野三四が本堂に向かって左の別棟を指した。
「ほらあの集会場がその名残よ、解散後は老人会のサークル活動にしか使われてないけど、
当時はまさに最後の砦だったそうよ」
鷹野三四が本堂に向かって左の別棟を指した。
「そういった事務所とかは普通、村長宅等が兼務するものじゃないのですか?」
「通常はそうだろうね、けど彼らは雛見沢の守り神様である
オヤシロ様を祀るこの神社に本陣を置く事で必勝を祈願したんだよ」
富竹が答えた。
「通常はそうだろうね、けど彼らは雛見沢の守り神様である
オヤシロ様を祀るこの神社に本陣を置く事で必勝を祈願したんだよ」
富竹が答えた。
- オヤシロ様・・・
―――間違いない―――
さっきオヤシロ様の祟りと云っていた。
「オヤシロ様というのはこの神社の祀る神様の名前です、雛見沢を守っていると伝えられている」
富竹は一呼吸置いて――ここからは鷹野さんの方が詳しいかな、と鷹野三四に視線をふる。
さっきオヤシロ様の祟りと云っていた。
「オヤシロ様というのはこの神社の祀る神様の名前です、雛見沢を守っていると伝えられている」
富竹は一呼吸置いて――ここからは鷹野さんの方が詳しいかな、と鷹野三四に視線をふる。
「平たく云えばそのままよ、オヤシロ様はこの雛見沢に伝わる古い神様で、
神聖なこの地が俗世に汚される事がないよう、守り続けて来たと伝えられているわ」
「オヤシロ様崇拝は一種の選民思考の表れではないかと、研究されているわね。
大昔の雛見沢の人達は自分たちが人間とは違う、格が異なる存在だと強く信じていて、
下界との交流を『格が落ちる』として忌み嫌ったそうなの。・・・だから村に下界の人間が来ると
不純が混じってオヤシロ様のバチが当たると強く信じ、何者も近寄らせなかったそうよ」
神聖なこの地が俗世に汚される事がないよう、守り続けて来たと伝えられているわ」
「オヤシロ様崇拝は一種の選民思考の表れではないかと、研究されているわね。
大昔の雛見沢の人達は自分たちが人間とは違う、格が異なる存在だと強く信じていて、
下界との交流を『格が落ちる』として忌み嫌ったそうなの。・・・だから村に下界の人間が来ると
不純が混じってオヤシロ様のバチが当たると強く信じ、何者も近寄らせなかったそうよ」
「よく推理小説に出てくるよそ者を嫌う村、そんな感じだったらしいです」
富竹が補足する。
「だから下界からやって来た穢れたダム計画に立ち向かう為にこの神社に本陣を置いたんだろうね」
富竹が補足する。
「だから下界からやって来た穢れたダム計画に立ち向かう為にこの神社に本陣を置いたんだろうね」
富竹は続ける。
「縁担ぎも万端、村民達は死力を尽くしてダム計画に立ち向かうんだ・・・・その最中なんだよ。
事実上あの事件でトドメが入ったと云ってもいい」
「雛見沢ダムの建設現場の監督がね――殺されちゃったの――」
鷹野三四が云う。
「4年前だね、関口さんが見たのはこの事件だと思うよ、凄惨な事件だったから結構取り上げられたから」
富竹が云う。
――凄惨な事件?
「バラバラ殺人だよ」
富竹が答える。
「縁担ぎも万端、村民達は死力を尽くしてダム計画に立ち向かうんだ・・・・その最中なんだよ。
事実上あの事件でトドメが入ったと云ってもいい」
「雛見沢ダムの建設現場の監督がね――殺されちゃったの――」
鷹野三四が云う。
「4年前だね、関口さんが見たのはこの事件だと思うよ、凄惨な事件だったから結構取り上げられたから」
富竹が云う。
――凄惨な事件?
「バラバラ殺人だよ」
富竹が答える。
――バラバラ殺人――
――4年前の綿流し祭の日にダム現場の監督が殺されました――
――4年前の綿流し祭の日にダム現場の監督が殺されました――
「その翌年にはね、雛見沢の住民でありながらダムの推進派のグループを結成していた男がね、
旅行先で崖から落ちて死んじゃったの。これは事故だそうよ」
「何しろ雛見沢中から敵視されていたからね。警察も念入りに他殺の線を洗ったんだけど、
結局、事故と断定したみたいだよ」
旅行先で崖から落ちて死んじゃったの。これは事故だそうよ」
「何しろ雛見沢中から敵視されていたからね。警察も念入りに他殺の線を洗ったんだけど、
結局、事故と断定したみたいだよ」
――これは今日鳥口が調べに行った、3年目前の事件――
「更に翌年、今度はね、この神社の神主さんが原因不明の病で倒れて急死しちゃったの」
「前の神主さんはちょっと日和見的な性格だったらしいね、何しろ本陣を構えている所の
主だからね、反対運動の盛り上がっている村の中では不満もあったらしいね」
「前の神主さんはちょっと日和見的な性格だったらしいね、何しろ本陣を構えている所の
主だからね、反対運動の盛り上がっている村の中では不満もあったらしいね」
――2年前の綿流し祭の日に神社の神主が殺されました――
「しかもね、面白い事に、これらの事件や事故はみんな綿流しのお祭りの晩に起こるんだよ」
「ね、――ちょっと祟りっぽくなってきたでしょう?」
「ね、――ちょっと祟りっぽくなってきたでしょう?」
――という事は、やはりあの手紙――告発文は本当なのか?――
「さらに翌年。つまり去年だね。今度は、事故死したダム推進派のリーダー格の男の、
弟夫婦の奥さんが撲殺死体で発見されちゃったんだ。もちろん犯人は捕まったけどね」
「ね?やっぱり祟りっぽいでしょう?」
弟夫婦の奥さんが撲殺死体で発見されちゃったんだ。もちろん犯人は捕まったけどね」
「ね?やっぱり祟りっぽいでしょう?」
――やはりあの手紙は真実なのだ、では一体誰があの手紙を――
「最近では、みんなオヤシロ様の祟りだと噂しているらしいね、
実は何年か前までは綿流しのお祭りはそこまで盛況じゃなかったんだよ。
不信心者にはバチがあたるかもしれない、だからお祭りには行こうって人も多いだろうね」
富竹はそこで一区切りつけた。
実は何年か前までは綿流しのお祭りはそこまで盛況じゃなかったんだよ。
不信心者にはバチがあたるかもしれない、だからお祭りには行こうって人も多いだろうね」
富竹はそこで一区切りつけた。
「さて、ここまで聞いて関口さんは祟りはあると思いますか?」
鷹野三四が語りかけてくる。
鷹野三四が語りかけてくる。
「まあその、それでも祟りなんかないと思いますけど、信じる人の気持ちはわかりますが・・・」
私は答えた。
「祟りでもなく、偶然のはずもないのなら、――これらの事件はどういう事になるのかしらね」
鷹野三四が尋ねてくる。
私は答えた。
「祟りでもなく、偶然のはずもないのなら、――これらの事件はどういう事になるのかしらね」
鷹野三四が尋ねてくる。
「―――」
返答に困った私に、富竹が助け船を出してくれた。
「鷹野さんはね、これは人の仕業かもしれない、って云っているんです」
「だってそうでしょ?祟りでもなく偶然でもないなら、人の意志が働いているとしか考えられないもの」
返答に困った私に、富竹が助け船を出してくれた。
「鷹野さんはね、これは人の仕業かもしれない、って云っているんです」
「だってそうでしょ?祟りでもなく偶然でもないなら、人の意志が働いているとしか考えられないもの」
――これは、計画殺人? それともオヤシロ様の祟り?――
「――でも人の仕業だとすると、村の中に犯人がいるという事になりますよね?」
私は問うた。
私は問うた。
「そうね、警察の大石さんはそういう風に考えているみたいね、
それに村の中ではオヤシロ様の祟りはダム計画抵抗運動の暗部じゃないかとも云われているわ」
鷹野三四は嬉しそうに答えた。
「まず、動機が村の内部の人間以外には無いもの、
――それにね関口さん、雛見沢の人間にはわかる、雛見沢の人間の犯行だという証拠があるんです」
鷹野三四は続けた。
「必ず1人が死んで、1人が消えるの――」
それに村の中ではオヤシロ様の祟りはダム計画抵抗運動の暗部じゃないかとも云われているわ」
鷹野三四は嬉しそうに答えた。
「まず、動機が村の内部の人間以外には無いもの、
――それにね関口さん、雛見沢の人間にはわかる、雛見沢の人間の犯行だという証拠があるんです」
鷹野三四は続けた。
「必ず1人が死んで、1人が消えるの――」
どういう意味だ?
「――消えると云うのは、失踪するという事ですか?」
新しい情報に私の頭はパニック寸前だった。
「そう、忽然と、跡形もなく――」
鷹野三四は私の目を覗き込む。
「実はね、雛見沢に伝わる古い古い伝統のひとつに
オヤシロの様の怒りを鎮める為に生け贄を捧げた、というのがあるの」
鷹野三四は楽しそうに。
「それが、簀巻き(すまき)にされて、底なし沼に生きたままじわじわと時間をかけて沈めたんですって」
鷹野三四は更に楽しそうに。
「文献を調べた限りでは、3日3晩かけて本当にゆっくりと、じわじわと、沈めたそうよ。
ほら昔の人って駄洒落が好きでしょう?、『沈める』と『沈める』をかけたんていたんでしょうね
『時間をかけて鎮める』という意味があったんでしょうね――」
「――消えると云うのは、失踪するという事ですか?」
新しい情報に私の頭はパニック寸前だった。
「そう、忽然と、跡形もなく――」
鷹野三四は私の目を覗き込む。
「実はね、雛見沢に伝わる古い古い伝統のひとつに
オヤシロの様の怒りを鎮める為に生け贄を捧げた、というのがあるの」
鷹野三四は楽しそうに。
「それが、簀巻き(すまき)にされて、底なし沼に生きたままじわじわと時間をかけて沈めたんですって」
鷹野三四は更に楽しそうに。
「文献を調べた限りでは、3日3晩かけて本当にゆっくりと、じわじわと、沈めたそうよ。
ほら昔の人って駄洒落が好きでしょう?、『沈める』と『沈める』をかけたんていたんでしょうね
『時間をかけて鎮める』という意味があったんでしょうね――」
――くすくすくす
鷹野は嗤った。
鷹野は嗤った。
3日3晩かけてじわじわと沈めていく、
想像しただけで、私は顔から血の気がひいていくのを感じた。
想像しただけで、私は顔から血の気がひいていくのを感じた。
「鷹野さんは雛見沢出身じゃないけど詳しいでしょう、
彼女は郷土史とか民間伝承が好きでね。全部独学で調べたんですよ」
呆然としている私に富竹が云った。
「そんなにかっこいいものじゃないのよ、単なる知的好奇心。
・・子供と同じよ、ただの怖い物みたさなんだから」
鷹野三四は恥ずかしそうに云って富竹と笑いあった。
彼女は郷土史とか民間伝承が好きでね。全部独学で調べたんですよ」
呆然としている私に富竹が云った。
「そんなにかっこいいものじゃないのよ、単なる知的好奇心。
・・子供と同じよ、ただの怖い物みたさなんだから」
鷹野三四は恥ずかしそうに云って富竹と笑いあった。
「ちょっと待ってください、という事は人が1人亡くなる意外にも
1人がいなく――生け贄にされているという事ですか?」
私は話を本題に戻した。
1人がいなく――生け贄にされているという事ですか?」
私は話を本題に戻した。
「うーん、生け贄にされているかは別にして、
過去の事件では必ず1人が死んで、1人が消えているんだよ」
富竹はさらりと云う。
「例えば、一番最初のダム現場の監督が殺された事件も、
複数犯の最後の1人がまだ逮捕されてないらしいんだ」
富竹は平然と続ける。
「で、次の年のダム推進派のリーダー格の男なんだけど、崖から落ちたね、
その時奥さんも一緒に落ちたらしいんだよ、けどその奥さんが見つからなくてね。
警察も懸命に捜査したらしいけど、増水していたらしくて奥さんの遺体は見つからなかった」
富竹は悠然と続ける。
「その次の年の神主の病死の時はもっとはっきりしている、奥さんが遺書を残していたらしい
『死んでオヤシロ様の怒りを鎮めに行きます』みたいなのが自宅にあったらしい。
その奥さんが入水自殺した沼は、さっき鷹野さんが話した底なし沼って事になっていて、
警察が沼を調べたけど、遺品が見つかっただけで、遺体は見つからなかった」
富竹は忽然と続ける。
「その次、去年か、殺された主婦の義理の甥だっけ、
確か2年目の祟りの事故に遭った夫婦の子供だったらしいんだけどその子が消えたんだ」
過去の事件では必ず1人が死んで、1人が消えているんだよ」
富竹はさらりと云う。
「例えば、一番最初のダム現場の監督が殺された事件も、
複数犯の最後の1人がまだ逮捕されてないらしいんだ」
富竹は平然と続ける。
「で、次の年のダム推進派のリーダー格の男なんだけど、崖から落ちたね、
その時奥さんも一緒に落ちたらしいんだよ、けどその奥さんが見つからなくてね。
警察も懸命に捜査したらしいけど、増水していたらしくて奥さんの遺体は見つからなかった」
富竹は悠然と続ける。
「その次の年の神主の病死の時はもっとはっきりしている、奥さんが遺書を残していたらしい
『死んでオヤシロ様の怒りを鎮めに行きます』みたいなのが自宅にあったらしい。
その奥さんが入水自殺した沼は、さっき鷹野さんが話した底なし沼って事になっていて、
警察が沼を調べたけど、遺品が見つかっただけで、遺体は見つからなかった」
富竹は忽然と続ける。
「その次、去年か、殺された主婦の義理の甥だっけ、
確か2年目の祟りの事故に遭った夫婦の子供だったらしいんだけどその子が消えたんだ」
「まあ、ざっとこんな感じね、1人が死んで、1人が消える」
鷹野三四が締めた。
私は頭の中を整理しようと勤めた。
1人が死んで、1人が消える、それが事実なら、やはり村の内部に犯人(犯人達)がいる事になる。
それはオヤシロ様信仰というものに取り憑かれた、狂信者達という事になるのだろうか。
もちろん祟り等という非科学的な物を排除するならばだが・・・
鷹野三四が締めた。
私は頭の中を整理しようと勤めた。
1人が死んで、1人が消える、それが事実なら、やはり村の内部に犯人(犯人達)がいる事になる。
それはオヤシロ様信仰というものに取り憑かれた、狂信者達という事になるのだろうか。
もちろん祟り等という非科学的な物を排除するならばだが・・・
――これは、計画殺人? それともオヤシロ様の祟り?――
「という事はやっぱり、オヤシロ様の信仰者、この村の中に犯人がいると言う事になっちゃいませんか?」
私は考えを述べた。
「そうね、そういう事になるわ」
鷹野三四が云った。
「それなら、一体誰が――」
私は考えを述べた。
「そうね、そういう事になるわ」
鷹野三四が云った。
「それなら、一体誰が――」
今度の私の問いには回答はなかった。
暫く時間が止まった。鷹野三四は黙って私の顔を覗き込んでいる。
「鷹野さん、もういい加減にした方がいいよ、関口さんが本気にしてるじゃないか」
富竹が時間を破った。
「関口さん、あくまでもこの話はそういった符号があるというだけの、ただの噂話ですから」
富竹が明るく云った。
「まったく、鷹野さん悪い癖だよ、そうやって人を驚かして喜ぶのは」
「くすくす――ご免なさいね、関口さんが真剣に聞いてくれるからつい嬉しくなっちゃって」
鷹野三四は続ける。
「でも、明日のお祭りでは一体、誰が死んで、誰がいなくなるんでしょうね――」
「鷹野さん、もういい加減にした方がいいよ、関口さんが本気にしてるじゃないか」
富竹が時間を破った。
「関口さん、あくまでもこの話はそういった符号があるというだけの、ただの噂話ですから」
富竹が明るく云った。
「まったく、鷹野さん悪い癖だよ、そうやって人を驚かして喜ぶのは」
「くすくす――ご免なさいね、関口さんが真剣に聞いてくれるからつい嬉しくなっちゃって」
鷹野三四は続ける。
「でも、明日のお祭りでは一体、誰が死んで、誰がいなくなるんでしょうね――」
――そして今年は私が殺されます――
「鷹野さん」
富竹が子供をしかる親の様な声を出した。
鷹野三四は――ご免なさい、と云ってペロリと舌を出してはにかんだ。
富竹が子供をしかる親の様な声を出した。
鷹野三四は――ご免なさい、と云ってペロリと舌を出してはにかんだ。
「関口先生ーー」
ちょうどその時、階段を上がりながら鳥口が声をかけてきた。
ちょうどその時、階段を上がりながら鳥口が声をかけてきた。
「さてと、それじゃ僕らも行こうか」
富竹が鷹野三四に声をかける。
富竹が鷹野三四に声をかける。
――それじゃ関口先生、明日のお祭りで会いましょう。
富竹はそう陽気に云って去っていった。
富竹はそう陽気に云って去っていった。
その去り際、鷹野三四がこちらにやって来て。
「今日は話していてとても楽しかったです――是非また今度も聞いてください。
雛見沢の昔話とかお伽噺(おとぎばなし)にも興味深いのがたくさんあるの。
もちろん、薄気味悪いのがたくさん――」
「今日は話していてとても楽しかったです――是非また今度も聞いてください。
雛見沢の昔話とかお伽噺(おとぎばなし)にも興味深いのがたくさんあるの。
もちろん、薄気味悪いのがたくさん――」
そう云うとゆっくりと嗤った。
私は顔が赤くなるのを感じた。
【鳥口守彦(転)】
空が橙色(だいだいいろ)になる頃、鳥口は小学校の職員室にいた。
と云っても小さな分校の小学校だ、そんなには大きくない。
と云っても小さな分校の小学校だ、そんなには大きくない。
「それじゃ知恵先生、もし上手くいったら、こちらの取材に全面的に協力してもらいますからね」
鳥口が云う。
「はい、わかりました」
知恵と呼ばれた女性は頷く。
鳥口は云う。
鳥口が云う。
「はい、わかりました」
知恵と呼ばれた女性は頷く。
鳥口は云う。
「まあ、泥船に乗ったつもりで安心してください、義を見てせざるは優なきなりですよ」
後半は意味が通じても漢字が違う事に、鳥口は気が付かなかった。
【前夜祭】
「皆さん、明日のお祭りの準備、遅くまでご苦労様です。
近年連続して起こっている、所謂雛見沢連続怪死事件ですが。
今年も昨年の様な、便乗した模倣犯の犯行などに十分注意してください。
んっふっふ~まあ、と云っても多分事件を未然に防ぐ事は不可能でしょう。
今年も1人が死んで、1人が消えます」
近年連続して起こっている、所謂雛見沢連続怪死事件ですが。
今年も昨年の様な、便乗した模倣犯の犯行などに十分注意してください。
んっふっふ~まあ、と云っても多分事件を未然に防ぐ事は不可能でしょう。
今年も1人が死んで、1人が消えます」
部屋内に苦笑の波が起きる。
「大事な事は、明日の晩に起きた事にしっかりと食らいついて、
その裏側にあるモノを引きずり出す事です」
その裏側にあるモノを引きずり出す事です」
「今年こそオヤシロ様の祟りの化けの皮を引っ剥がしてやるぞ!」
――おおおおお!!
部屋内に野太い咆哮があがった。