私は川を見ている。
水はやや濁っているが流れは緩やかで、
川音がしなければ止まっているように思える程である。
水はやや濁っているが流れは緩やかで、
川音がしなければ止まっているように思える程である。
私は溜め息を吐いた。
水辺が――好きな訳ではない。
例えば海などは、広過ぎて、深過ぎて、激し過ぎて美し過ぎて、だからかえって厭になる。
海を眺めていると見ている自分の方が矮小で、浅薄で、自堕落で汚らしいモノだと思い知られる。
そんな気がするから、私は海がそれ程好きではない。
海を眺めていると見ている自分の方が矮小で、浅薄で、自堕落で汚らしいモノだと思い知られる。
そんな気がするから、私は海がそれ程好きではない。
紺碧の天空。雄大な海原。そもそもそんなものが私に似合う訳はないのだ。
健康的なもの。真っ当なもの。熾烈なもの。整然としたもの。
私は元来、そうしたものが苦手なのである。
健康的なもの。真っ当なもの。熾烈なもの。整然としたもの。
私は元来、そうしたものが苦手なのである。
だから――この程度でいい。
――それだけか?
ふと、不安が頭を擡げる(もたげる)。
――それだけか?
ふと、不安が頭を擡げる(もたげる)。
それは確かにそうなのだ。私はそう云う性質の人間なのである。
でも――
でも――
目が覚めた、覚めてしまった。
ぼんやりとした頭で時刻を見る、11時半ぐらいだった。
ぼんやりとした頭で時刻を見る、11時半ぐらいだった。
「鳥口は・・・」
声に出して云ってみた――掠れた。
声に出して云ってみた――掠れた。
この時間まで寝ている事は、私としては普通なのだが――
身支度を整えて、下に降りてみる。
言づけをもらった、
言づけをもらった、
――ちょっと出てきます、夕方までには戻りますので、その後お祭りに行きましょう。
だ、そうだ。
いきなり暇になってしまった。
「さて、どうしたものか」
声に出して云ってみた――浮かばなかった。
声に出して云ってみた――浮かばなかった。
とりあえず、食堂に行って何かまずいものを食べた。
そして、腹が膨れたところで部屋に戻ってみる。
とはいえ、戻った所で何もする事がなかった。
よって、座敷に大の字になり天井を見つめる。
そして、腹が膨れたところで部屋に戻ってみる。
とはいえ、戻った所で何もする事がなかった。
よって、座敷に大の字になり天井を見つめる。
思い浮かぶのは彼女――あの少女――何て名前だったか――
私は思索の海に落ちていく。
――まず、始まりは月刊實録犯罪に送られてきた1通の手紙からだ。
――まず、始まりは月刊實録犯罪に送られてきた1通の手紙からだ。
『4年前の綿流し祭の日にダム現場の監督が殺されました
3年前の綿流し祭の日にダム反対派の住民が殺されました
2年前の綿流し祭の日に神社の神主が殺されました
1年前の綿流し祭の日に2年目の被害者の親戚が殺されました
3年前の綿流し祭の日にダム反対派の住民が殺されました
2年前の綿流し祭の日に神社の神主が殺されました
1年前の綿流し祭の日に2年目の被害者の親戚が殺されました
そして今年は私が殺されます
これは、計画殺人? それともオヤシロ様の祟り?』
富竹と鷹野三四によると、この文面は真実らしい。
雛見沢では毎年綿流しの晩に人が死んでいる(殺されている?)
しかも、それだけではなく1人が失踪するという(拉致?)
オヤシロ様の怒りを沈めるには生け贄を捧げるらしい(失踪した人は生け贄に?)
オヤシロ様はこの村の守り神・・・(オヤシロ様の祟り?)
雛見沢では毎年綿流しの晩に人が死んでいる(殺されている?)
しかも、それだけではなく1人が失踪するという(拉致?)
オヤシロ様の怒りを沈めるには生け贄を捧げるらしい(失踪した人は生け贄に?)
オヤシロ様はこの村の守り神・・・(オヤシロ様の祟り?)
被害者の共通点・・動機?(反ダム運動にそぐわない者?)
ダム現場の監督・ダム反対派の住民(これはわかりやすい)
神社の神主・・・神主はダム反対運動に消極的だった(けれども)
ダム反対派の住民の親戚・・・最後の事件の理由は曖昧すぎる(曖昧になっている?)
ダム現場の監督・ダム反対派の住民(これはわかりやすい)
神社の神主・・・神主はダム反対運動に消極的だった(けれども)
ダム反対派の住民の親戚・・・最後の事件の理由は曖昧すぎる(曖昧になっている?)
昨日の夜、鳥口に確認したところ、
2年目の転落死は事故、神主は病死として報道されているらしい。
去年の事件は報道されていない(秘匿指定がかかったのかもしれないとの事――)
2年目の転落死は事故、神主は病死として報道されているらしい。
去年の事件は報道されていない(秘匿指定がかかったのかもしれないとの事――)
そして――今年は私が殺されます
今年は誰が死ぬんだ?――私とは誰だ?
本当に事件は起こるのか?――また1人が死んで1人が消えるのか?
今年は誰が死ぬんだ?――私とは誰だ?
本当に事件は起こるのか?――また1人が死んで1人が消えるのか?
それはいつ?――今日――でも――
【鳥口守彦(結)】
男が2人いる。
「わかった、出て行けばいいんだな」
「ああ―――」
「ああ―――」
1人の男の手には、映像記録媒体(えいぞうフィルム)が握られている。
「け、大体俺もこんなしけた村にいるのは飽き飽きしていたんだ」
「なら、ちょうどいいじゃないか」
「なら、ちょうどいいじゃないか」
答えた男はにやり、と微笑む。
「なぜそんな事をする」
「なぜ?、人助けに理由が必要かい?、義を見てせざるは優なきなりだぜ」
「なぜ?、人助けに理由が必要かい?、義を見てせざるは優なきなりだぜ」