私が落ち着きを取り繕って戻ると、鷹野三四は既に祭具殿から出ていた。
――大丈夫ですか?富竹の問いに、――まあ、何とか、と無理して笑った。
――大丈夫ですか?富竹の問いに、――まあ、何とか、と無理して笑った。
富竹は申し訳なさそうな表情を作り。
「僕たちは今からでも沢に行ってみますけど、関口さんも一緒に来ますか?」
「僕たちは今からでも沢に行ってみますけど、関口さんも一緒に来ますか?」
沢で――綿を流し――ワタを流し――腸を流し――
「僕はもう・・・」
それだけ云うと富竹は察してくれたのか、鷹野三四に声をかけて沢への下り坂に向かった。
それだけ云うと富竹は察してくれたのか、鷹野三四に声をかけて沢への下り坂に向かった。
私が2人の後ろ姿を、安堵の気持ちで見送っていると、
鷹野三四が戻ってきて、手帳を出した。
鷹野三四が戻ってきて、手帳を出した。
「関口さんなら、馬鹿にしないでちゃんと読んでくれそうな気がするから、
私の秘蔵の切り抜き集(スクラップ)を貸してあげます。
本当は門外不出なのよでも、でも関口さんだから特別よ」
鷹野三四はそれを私の手に握らせた。
私の秘蔵の切り抜き集(スクラップ)を貸してあげます。
本当は門外不出なのよでも、でも関口さんだから特別よ」
鷹野三四はそれを私の手に握らせた。
「是非、感想を聞かせてね、それと――これと、今日の事は絶対に内緒よ。
それこそ連中に知られたら、消されてしまうかもしれないもの――くすくすくす」
それこそ連中に知られたら、消されてしまうかもしれないもの――くすくすくす」
鷹野三四は嗤って、去って、行って、
――私は暫し呆(ぼう)とした。
体も心も消耗していた。
鷹野三四――彼女が持つ毒気に当てられてしまった。
少し時間が欲しかった。
もう一度――自分の心と体に平常を取り戻すために。
体も心も消耗していた。
鷹野三四――彼女が持つ毒気に当てられてしまった。
少し時間が欲しかった。
もう一度――自分の心と体に平常を取り戻すために。
――私は暫し呆とした。
遠くの祭囃子さえ消えて、世界は静寂に包まれていた。
静寂はいい、動物でも植物でもない私はそれを暫し忘れる。
考えるからいけないのだ、何も考えずにいればいい。
時の流れに思考を乗せるのだ――そう時間の流れのように唯(ただ)流していけばいい。
静寂はいい、動物でも植物でもない私はそれを暫し忘れる。
考えるからいけないのだ、何も考えずにいればいい。
時の流れに思考を乗せるのだ――そう時間の流れのように唯(ただ)流していけばいい。
「――関口、見ーつけたー、なのです」
背後から声をかけられ、瞬間に心が緊張した。今の私には人と接するには準備がいる。
背後から声をかけられ、瞬間に心が緊張した。今の私には人と接するには準備がいる。
振り向くとそこには少女――古手梨花がいた。
「こんな所で、何をしているのですか?」
「え、・・えーと、月夜の散歩だよ」
私はどぎまぎした。
「え、・・えーと、月夜の散歩だよ」
私はどぎまぎした。
「でも、ここら辺には祭具殿しかないのですよ」
「そ、・・そう、あの建物は祭具殿なんだ・・へ、へぇー・・」
私はあたふたした。
「そ、・・そう、あの建物は祭具殿なんだ・・へ、へぇー・・」
私はあたふたした。
「関口はボクの奉納演舞を見てくれましたか?」
「も、もちろんだよ・・・」
私はびくびくした。
「も、もちろんだよ・・・」
私はびくびくした。
「関口は嘘がへたくそなのです」
少女は私の顔を上目づかいで見上げ、にぱーと笑った。
月光を浴びて少女の髪は蒼く輝いている。
少女はその可愛らしい瞳で私の目を見つめた。
少女は私の顔を上目づかいで見上げ、にぱーと笑った。
月光を浴びて少女の髪は蒼く輝いている。
少女はその可愛らしい瞳で私の目を見つめた。
――関口は"見えているのですか"
「な、何が・?・・」
少女はほんの少しだけ、落胆の表情を見せ、逡巡し、
そして、何かを決心した様な顔になり。
そして、何かを決心した様な顔になり。
とても信じられない様な表情で、
とても信じられない様な口調で、
とても信じられない事を話した。
とても信じられない様な口調で、
とても信じられない事を話した。
そして、少女は最後に云った。
――今日、鷹野と富竹が殺されます。
――――そして、明後日にも私が殺されます。
――――――未来はもう決まっているのでしょうか?
――――――――運命は受け入れなければいけないのでしょうか?
――――――――――死にたくない。
そして――
私は―――――失神した――――――