鳥口がやって来たのは2時をまわってからだった。
何処か、何故か、嬉しそうだった。
何処か、何故か、嬉しそうだった。
「先生ー、もう何やってるんですか」
「いやあ、面目ない」
鳥口の声は浮かれている。
「いやあ、面目ない」
鳥口の声は浮かれている。
「鳥口君、何か嬉しそうだけど良い事でもあったのかい?」
「先生ここの自然は凄いですよ、カメラマンには天国ですよ。
こないだ大枚叩(はた)いて、カメラを買った甲斐がありましたよ」
鳥口はそう云うと、肩から掛けたカメラを見せつけた。
「先生ここの自然は凄いですよ、カメラマンには天国ですよ。
こないだ大枚叩(はた)いて、カメラを買った甲斐がありましたよ」
鳥口はそう云うと、肩から掛けたカメラを見せつけた。
「いやあ、そんな物見せられても僕にはちっとも――」
「うへえ」
入江に声かけてを入江診療所を出た。鷹野三四とは未だに連絡が取れないらしい。
「それにしても、こう何度も気を失うのは変ですね。水が合わないのかな?蓼食う虫も何とかですね。
どうしますか、とりあえず取材は一通り終わってますので、もう東京に戻ってもいいですけど」
車に乗る前に、鳥口が問いかけてきた。
どうしますか、とりあえず取材は一通り終わってますので、もう東京に戻ってもいいですけど」
車に乗る前に、鳥口が問いかけてきた。
確かに、もうこの村にはそう長くいたくない。
私の心はもう無理が来ているような気がする。
私の体はもう限界まで近づいてしまっている。
私の心はもう無理が来ているような気がする。
私の体はもう限界まで近づいてしまっている。
「・・・そうだね、鳥口君がそう云うならできれ――」
――関口さーん!
私の答えは遮られた。
声の方から中年の男――大石がやって来た。
「いやー関口さん探しましたよ、ま、午後には退院するって聞いたから待っていたんですけど。
んっふっふっふ、ちょっと、お時間いいですか?、二三、聞きたい事がありまして」
――関口さーん!
私の答えは遮られた。
声の方から中年の男――大石がやって来た。
「いやー関口さん探しましたよ、ま、午後には退院するって聞いたから待っていたんですけど。
んっふっふっふ、ちょっと、お時間いいですか?、二三、聞きたい事がありまして」
大石はたしか刑事だった――刑事が私に何の要だ?
「大丈夫ですけど・・・」
「それじゃ、ここじゃあれですから、車まで来てもらっていいですか?
えーと、お連れの鳥口さんでしたか、ちょっと時間かかるかもしれないので、
関口さんは私が宿まで送っていきます、宿は調べてますから心配しないでください」
勝手にそう云うと、大石は少し離れた所に停めてある車まで、歩き出した。
「それじゃ、ここじゃあれですから、車まで来てもらっていいですか?
えーと、お連れの鳥口さんでしたか、ちょっと時間かかるかもしれないので、
関口さんは私が宿まで送っていきます、宿は調べてますから心配しないでください」
勝手にそう云うと、大石は少し離れた所に停めてある車まで、歩き出した。
「あれは誰ですか?」
鳥口は気の抜けた声で聞いてきた。
「警察の人だよ、だから心配はいらない。まあ、よくわからないけど行ってくるよ」
そう答えて私も大石を追う。
鳥口は気の抜けた声で聞いてきた。
「警察の人だよ、だから心配はいらない。まあ、よくわからないけど行ってくるよ」
そう答えて私も大石を追う。
大石は車の後部座席を開けて待っていた。
私がそこに乗り込むと、大石も隣に座った、あまり気分のいいものではない。
私がそこに乗り込むと、大石も隣に座った、あまり気分のいいものではない。
「関口さんは雑誌の取材でこちらに来られているんですよね」
「ええ、まあ」
「どんな、雑誌ですか?」
「え、えーと旅雑誌ですよ」
私は嘘を吐いた。
「ええ、まあ」
「どんな、雑誌ですか?」
「え、えーと旅雑誌ですよ」
私は嘘を吐いた。
「関口さん嘘は良くないですよ、これでも私、警察ですから」
大石は私を睨みつける。
――う、嘘・なんか・・声が震える。
「ま、いいでしょ、それは。でもね関口さん、貴男凄くわかりやすい性格してますよ。
んっふっふっふ、そんなんじゃ1人前の犯罪者にはなれませんよ」
「それでは、本題に入りましょうか、この写真の男女をご存知ですか?」
大石は2枚の写真を渡してきた。
大石は私を睨みつける。
――う、嘘・なんか・・声が震える。
「ま、いいでしょ、それは。でもね関口さん、貴男凄くわかりやすい性格してますよ。
んっふっふっふ、そんなんじゃ1人前の犯罪者にはなれませんよ」
「それでは、本題に入りましょうか、この写真の男女をご存知ですか?」
大石は2枚の写真を渡してきた。
その写真には富竹と鷹野三四が写っていた――何故、警察がこの2人の写真を?
「富竹さんと鷹野さんですか・・・」
「そうです、この2人に最後に会ったのはいつですか?」
「え・・昨日のお祭りで会いましたけど・・」
「それは何時くらいでしたか?」
「そうです、この2人に最後に会ったのはいつですか?」
「え・・昨日のお祭りで会いましたけど・・」
「それは何時くらいでしたか?」
――何故、警察がそんな事を聞いてくるのだ?
「詳しくはちょっと」
「そうですか、実は私、関口さんが富竹さん達と話をしているのを見てましてね。
こっちは色々警備でうろついていたんですけど、ほら祭具殿の前の辺りで話ししていたでしょ。
ワタを流し出すころかな、その時の事を詳しく教えてもらっていいですかね?」
「ぐ・偶然会ったんです・・・富竹さん達は、2人でワタを流しに行くと云って別れました」
「そうですか、実は私、関口さんが富竹さん達と話をしているのを見てましてね。
こっちは色々警備でうろついていたんですけど、ほら祭具殿の前の辺りで話ししていたでしょ。
ワタを流し出すころかな、その時の事を詳しく教えてもらっていいですかね?」
「ぐ・偶然会ったんです・・・富竹さん達は、2人でワタを流しに行くと云って別れました」
――いったい何故警察がそんな事を聞いてくるのだ?
「な・何故そんな事を聞くんですか?」
私は声を振り絞った。
大石は暫し沈黙して。
私は声を振り絞った。
大石は暫し沈黙して。
「関口さんはオヤシロ様ってご存知ですか?」
「え・し・知りません・・」
「んっふっふ、関口さん正直ですね、
私は貴男達はそいつを調べに来たんじゃないかと践んでるんですが」
――すみません、私は謝った。
「どこまでご存知です?」
「一通りは知っていますけど」
「それなら、話は早い、関口さんは祟りなんか信じないでしょ」
「・ええ・・」
「え・し・知りません・・」
「んっふっふ、関口さん正直ですね、
私は貴男達はそいつを調べに来たんじゃないかと践んでるんですが」
――すみません、私は謝った。
「どこまでご存知です?」
「一通りは知っていますけど」
「それなら、話は早い、関口さんは祟りなんか信じないでしょ」
「・ええ・・」
「それなら大丈夫だ。実はね、富竹さんが昨晩、お亡くなりになりました」
――何を云っているんだ?
「よりにもよってね、お亡くなりになられたのが昨日なんですよ。
つまり綿流しの当日―――意味わかりますよね」
つまり綿流しの当日―――意味わかりますよね」
――彼は何を云っているんだ?
「これはここだけの話でお願いしたいんですけど、その死に様がね異様だったんですよ。
第1発見者は祭りの警備を終えて帰還中のうちの者でした、時刻は24時5分前」
第1発見者は祭りの警備を終えて帰還中のうちの者でした、時刻は24時5分前」
――こいつは何を云っているんだ?
「場所は、町へ出る道路がちょうど舗装道路に変わる所の路肩でした。
辺り1面血まみれでね、始めは轢き逃げかとも思われたんですが近寄って見るとこれが違う」
辺り1面血まみれでね、始めは轢き逃げかとも思われたんですが近寄って見るとこれが違う」
――コイツは何を云っているんだ?
「"喉がね、引き裂かれていたんですよ、それも自分の爪で"」
――此奴は何を云っているんだ?
「検死の結果、矢張り自分の爪で、と云う事が判明しました。
要するに富竹さんは自分の爪で、自分の喉を掻きむしって、死んだようです」
大石は続ける。
「薬物を疑いましたが、そう云う類(たぐい)のものは検出できませんでした。
ただ、体からは本人によらない外傷がいくつか発見されました。
富竹さんは何者かに暴行を受けた可能性があるということです」
大石は進める。
「死亡推定時刻は21時から23時頃のようです。
つまり、関口さんが昨日別れてからすぐの出来事なんですよ」
大石は喋る。
「検死の結果、矢張り自分の爪で、と云う事が判明しました。
要するに富竹さんは自分の爪で、自分の喉を掻きむしって、死んだようです」
大石は続ける。
「薬物を疑いましたが、そう云う類(たぐい)のものは検出できませんでした。
ただ、体からは本人によらない外傷がいくつか発見されました。
富竹さんは何者かに暴行を受けた可能性があるということです」
大石は進める。
「死亡推定時刻は21時から23時頃のようです。
つまり、関口さんが昨日別れてからすぐの出来事なんですよ」
大石は喋る。
――意味が解らない。
昨日の夜、私と別れた後、富竹が自分で、自分の喉を掻きむしり、死んだ?
死んだ――自殺?――そんな馬鹿な――そんな様子はなかった――
なら何故?――祟り?――それにあの少女が云っていたことは――
死んだ――自殺?――そんな馬鹿な――そんな様子はなかった――
なら何故?――祟り?――それにあの少女が云っていたことは――
「それとね、富竹さんと一緒にいたと思われる鷹野三四さん、こちらもお亡くなりになっています」
――意味がわからない。
「こちらは、何故か離れた隣の県で焼死です。もっとも正確には首を絞められた後、焼かれたようです」
――いみがわからない。
「しかもね、初期の検死では死亡から24時間は経過しているって出ちゃったんですよ」
――イミガワカラナイ。
「これは隣の県だから、ちょっとアレなんですけどね――検死が正しいとしたら、
鷹野三四さんは昨日は疎か、一昨日には死んでいたことになっちゃうんですよ。
だとすると、一昨日、私や関口さんが会った鷹野三四は一体何なんでしょうね」
大石は私に云う。
「今までの事件は別個に解決していますが、これで雛見沢連続怪死事件は5年連続です。
バラバラ殺人、事故死、病死と自殺、そして撲殺、さらに今年は喉を掻きむしる自殺に焼死。
我々もあらゆる面から捜査を進めますが、
村人達はオヤシロ様の祟りの話になると兎に角、口が重くなる」
大石は私を見る。
「このままでは、富竹さんと鷹野さんはオヤシロ様の祟りで死んだことになってしまいます。
ただ、当然――そんなモノはあるわけがない」
大石は紙を渡し。
「これは、私の電話番号です。不在でしたら出た者に伝言してもらえれば結構ですから。
何か気になるものを見たり聞いたりしたら教えてください」
「これは隣の県だから、ちょっとアレなんですけどね――検死が正しいとしたら、
鷹野三四さんは昨日は疎か、一昨日には死んでいたことになっちゃうんですよ。
だとすると、一昨日、私や関口さんが会った鷹野三四は一体何なんでしょうね」
大石は私に云う。
「今までの事件は別個に解決していますが、これで雛見沢連続怪死事件は5年連続です。
バラバラ殺人、事故死、病死と自殺、そして撲殺、さらに今年は喉を掻きむしる自殺に焼死。
我々もあらゆる面から捜査を進めますが、
村人達はオヤシロ様の祟りの話になると兎に角、口が重くなる」
大石は私を見る。
「このままでは、富竹さんと鷹野さんはオヤシロ様の祟りで死んだことになってしまいます。
ただ、当然――そんなモノはあるわけがない」
大石は紙を渡し。
「これは、私の電話番号です。不在でしたら出た者に伝言してもらえれば結構ですから。
何か気になるものを見たり聞いたりしたら教えてください」
「・・・・」
私は言葉を失っていた。
失語症を発症したのかもしれない。
もう私の脳味噌の許容を大きく越えた。
もう無理だよ――多分、きっと、確実に。
私は言葉を失っていた。
失語症を発症したのかもしれない。
もう私の脳味噌の許容を大きく越えた。
もう無理だよ――多分、きっと、確実に。
空はゆっくりと色をかえていく所だった――遠くで蜩(ひぐらし)が啼いている。
「さて、お話はこれで終わりです、送っていきますから」
そう云うと大石は車を動かす。
「さて、お話はこれで終わりです、送っていきますから」
そう云うと大石は車を動かす。
車を動かしながら大石は独り言のように云う。
「実は、私、雛見沢の連続怪死事件は、村ぐるみで引き起こされているんじゃないかと思ってるんです」
――ガタガタ、振動がする。
「証拠はないんですが、毎年綿流しの日に村の仇敵が死ぬんです。過程はともかく結果がそうなのです」
――ガタガタ、振動がする。
「もし、それが可能だとしたら。矢張り園崎家が有力なのかな、古手は子供1人だし公由はお飾りです」
――ガタガタ、振動がする。
「関口さんも気をつけてくださいよ、雛見沢では刺されても、下手をしたら無罪になるとかありえます」
――がたがた、振動がする。
「それにしても、富竹さん達は何で祟られたんですかね。いくら何でも、余所者ってだけじゃ弱いです」
――がたがた、振動がする。
「あれか、それじゃ関口さんこの事はくれぐれも内密にしてください、何かあったら、連絡待ってます」
――がたがた、振動がする。
【色あせたノート】
神がいつ降臨されるのかは誰も知りません。
それはたとえるなら、泥棒がいつ訪れるのかわからないように。
だから予期せずにしてその時を迎えて、不信心であったことを悔いぬよう、常に目を醒ましていなさい。
その日が何時なのか、神さえも知り得ないのです。
神はいつその時が訪れてもいいように、常に目を醒ましているのでしょう。
常に自分の中に神を信じよ。
いつ日の光を浴びるかは、その神すらも知り得ないのだから。
努力を惜しむな。常に勤勉であれ。探求に情熱を。
報われる日は神でも知り得ないが、その日は約束されているのだ。
約束の日まで、私は自らの情熱の炎を消えさせることはない。
(略)
神は自らが三日の後に復活すると予言しました。
罪人たちは兵にて墓を封じ、その体が蘇ることがないように監視しましたが、
それはとても愚かしいことでした。
復活とは肉体が蘇ることではなく、その心と教えが蘇ることだからです。
肉体の死を恐れるな。
自らの貢献が揺らぎ無いなら、必ず自分は蘇る。
その時、自分は死を超越し永遠の生を得るのである。
神がいつ降臨されるのかは誰も知りません。
それはたとえるなら、泥棒がいつ訪れるのかわからないように。
だから予期せずにしてその時を迎えて、不信心であったことを悔いぬよう、常に目を醒ましていなさい。
その日が何時なのか、神さえも知り得ないのです。
神はいつその時が訪れてもいいように、常に目を醒ましているのでしょう。
常に自分の中に神を信じよ。
いつ日の光を浴びるかは、その神すらも知り得ないのだから。
努力を惜しむな。常に勤勉であれ。探求に情熱を。
報われる日は神でも知り得ないが、その日は約束されているのだ。
約束の日まで、私は自らの情熱の炎を消えさせることはない。
(略)
神は自らが三日の後に復活すると予言しました。
罪人たちは兵にて墓を封じ、その体が蘇ることがないように監視しましたが、
それはとても愚かしいことでした。
復活とは肉体が蘇ることではなく、その心と教えが蘇ることだからです。
肉体の死を恐れるな。
自らの貢献が揺らぎ無いなら、必ず自分は蘇る。
その時、自分は死を超越し永遠の生を得るのである。
そして悪魔は、神の子を断崖に連れて行き、飛び降りるよう言いました。
自らが神の子を名乗るなら、神は奇跡にてその身を守るはずだと言うのです。
それを試すことは即ち、神を試すということです。
神は人を試しますが、人が神を試してはなりません。
試すことは疑うことです。
疑いは悪魔の囁きに耳を貸し、あなたを堕落させるでしょう。
自らの成果を疑うな。自らの人生を疑うな。自らの貢献を疑うな。
そして自分の実績を人が評価することを試してはならない。
それを試すということは、自らの人生を疑うのと同じことなのだ。
自らが神の子を名乗るなら、神は奇跡にてその身を守るはずだと言うのです。
それを試すことは即ち、神を試すということです。
神は人を試しますが、人が神を試してはなりません。
試すことは疑うことです。
疑いは悪魔の囁きに耳を貸し、あなたを堕落させるでしょう。
自らの成果を疑うな。自らの人生を疑うな。自らの貢献を疑うな。
そして自分の実績を人が評価することを試してはならない。
それを試すということは、自らの人生を疑うのと同じことなのだ。
Hifumi.T