更新情報
  • 17/10/09 「OpenBoxプログラム」を追加。
  • 17/09/22 各項目を校正。
  • 17/08/27 「食料貿易システムにおける利益最大化について」に追記。
  • 17/08/24 「食料貿易システムにおける利益最大化について」を追加。
  • 17/08/20 情勢分析方法論の追記、「資源把握の重要性と可能性」を追加。
  • 17/08/01 α海域研究―「ミレニアム戦争総評」「ミレニアム時代の総括とポストミレニアムの展望」を追加。
  • 17/07/16 島裏空母「ホークの穴」問題、情勢分析方法論を追加。
  • 17/07/09 島裏空母についての検討を追加。
  • 17/07/08 復興hakojoywikiの関係ページへのリンクを追加。
  • 17/06/23 α海域研究―「最近の海域動向分析」を追加。
  • 17/06/20 SIZUKAのプロフィールを追加。



しずかの部屋とは?

 世界を代表するセクシュアルセラピスト*1SIZUKAが素晴らしい言葉を残して去る部屋のことである。
 もともとは、「徹子の部屋」のパロディとして、箱庭プレイヤーをインタビューする企画を行っていた。
 どうぞコメントお願いいたします。

wikiの関係ページ


しずかの部屋関連

ZOOM ZONE 「しずかの部屋」関係ポータルページ。ここから各種関係ページに行けます。

静かなる島関連

スティグマ プレイヤー紹介ページとして作ったみたい。記憶なし。
静かなる島 B/A/S海域時代をまとめた島紹介ページでした。別ページへのリンクへ飛びます。
静かなる国 B海域時代の島紹介ページのようです。削除済みページだったと思われますが、復旧に伴って復活した模様です。派生ページとして、「静かなる国の歴史」「静かなる国防衛隊」といったページもあるようですが、こちらも「静かなる国」に統合して削除したページです。
静かなる島実験所 実験海域用のページでしたが、ノート部分しかなく、本文部が残っていません。削除済みページだったのでしょう。
しずかちゃんファンクラブ 黒歴史がすごいが、自分で作ったページではない。「しずかちゃんアンチクラブ」というページもあるが、そっちも知らない。

SG

SG 完成度が高いのではないか。
シージェネラル島 SGの後継。こちらは共有箱庭です。

Esperma

ハラミレコード Esperma del haramの記録です。共有箱庭です。
イグゥレコード Esperma del ignorの記録です。共有箱庭です。

wiki整理関係

All about hakojoy 2011 2011年の出来事をまとめたもの。2012版もある。未完成。今からでも追記してどうぞ。


SIZUKAのプロフィール


 hakojoy B/A/S/SS海域 「静かなる島」、同盟『ASIX』『R.S.』結成
 hakojoy C/B/A海域  「SG」、同盟『生存戦略同盟』結成
 共有 B/AA海域    「シージェネラル島」、同盟『平城連邦』結成
 共有 F/AAA海域    「Esperma del haram」、同盟『大ハラーム同盟』結成
 共有 α海域     「Esperma del ignor」、同盟『やなぎの樹』参画

SIZUKAの別部屋


  • Twitter:アカウント名【静御前】(公開アカウント・フォロー歓迎)
 あまりツイートしない。フォローの大半がエロ漫画家で構成される情報収集垢である。文字数制限により、ツイート内容はかなり端折られているため、意味不明との声が聞こえる。最新の情報を追いかけたいならtwitterにて。海戦(Esperma del Ignor島@α海域、Esperma del haram島@旧AAA海域)関連のツイートも。SIZUKAの近況が知りたければtwitter。


ハメス帝国史

ハメス帝国(イグゥレコード:Esperma del ignor)についての思想的研究である。

<統一主義>
 T600年代に積極的に議論されることになった、「統一主義」とその源泉について説明しよう。まず、「統一主義」とは、ハメス帝国内で宗教家たちが唱えた思想である。人類の目的を「世界の統一」とするものである。それまで「国家の成長」を目的としていたハメス帝国であったが、成長の限界点が必ず訪れることは明白であり、超克が求められる中で、打ち出された一つの思想が統一主義である。
 統一主義の特徴は「世界統一」を世界の目的と置く点である。世界が統一される前に、火が世界を覆い、大災禍となるとされ、信仰によって救済を得て、信者のみが大災禍を生き延び、世界統一=ユートピアの出現を果たす。この設定に関してはすでにお気づきのことだろうが、事実である。というのは、α海域には「統一」設定が存在するからである。アイテムをすべて集めることによって統一が成し遂げられる。そして、海域統一前には統一戦争なる戦争が存在し、反統一主義者が登場するものである。また、このことを前提に置くと、統一主義という考えは、世界の統一が差し迫るにつれ、より海域全体に広がりを見せるはずである。宗教的思想に留まらず、社会思想として発展を遂げることも指摘しておこう。統一を目指す国家(統一主義国家)とでもいえば良いだろうか、これが登場するはずである。すでにB/C.などといった同盟が統一主義的様相を垣間見せているものの、現状ではまだ遠い未来の話である。問題は、この統一がいつ起こるか、という視点である。
 現実世界での《終末思想》についても、その終末がいつ起こるか、という点が非常に重要である。近年では、ノストラダムスの大予言・マヤ暦、といった予想が外れ、今現在最も盛んなのはシンギュラリティに関連したテーマであろう。シンギュラリティ(技術的特異点)の思想は終末思想に関連するものであるとも考えられている(詳しくはwikipedia参照のこと)。そして、このシンギュラリティのテーマは、箱庭の中でも議論されるテーマとなっている。
 箱庭の話に戻すと、統一がいつ起こるか、という予想に関しては様々な議論がなされている。その前に、α海域の特殊性について、確認しておこう。α海域においては、総獲得経験値が変動する。艦艇を破壊した場合、破壊側にxだけ総獲得経験値が加算され、被破壊側はx+1だけ総獲得経験値を失う。これは、総和として、総獲得経験値が1だけ減少するというわけである。したがって、総獲得経験値の総和が増大するには、所属不明と怪獣に頼るほかない。そして、これは統一に関して大きな影響を与えている。アイテムの出現率が総獲得経験値によって支配されているからである。大規模な戦争が起こり、多数の艦艇が失われると、その分だけ総獲得経験値が失われる。しかし、とはいえ、所属不明と怪獣による増加分がその減少分を補って増大していれば、何ら問題はないはずである。事実、T500~T700までに、一度の大戦をはさみつつも、海域総和経験値は5805→8373まで増大している。
 さて、シンギュラリティ=<最初のアイテムが出現する時期>=<海域全体でアイテム出現率が100%に到達する時期>とは、<1ターンあたりのアイテム出現率Pt>の総和が1となったとき、として考えられる。このシンギュラリティを超えると、アイテムは加速的に出現を始める。では、このシンギュラリティはいつ超えるのか、というと、不確定要素が多いので、正確な値を計算することは不可能である。しかし、今までの総獲得経験値の増大実績をもとにすれば、予想が可能である。その予想に関しては、追記するとして、シンギュラリティの時期がいつになるか、ということがどのような影響を及ぼすか、説明しよう。
 α海域の終了ターンは10000に設定されている。したがって、シンギュラリティが10000を超えるのであれば、統一主義は日の目を見ることなく終わる。一方で、シンギュラリティが7000などであると、統一主義は広まることになるだろうが、現実的に統一が起こることは難しいかもしれない。というのも、アイテムの移動確率が極めて低いためである。具体的には400隻沈めて1回しか移動しない。シンギュラリティが10000に近いと、アイテム移動の時間がないのである。したがって、実際に統一する可能性を考えると、シンギュラリティはT2000ごろに起こるべきであるとしておこう。そして、移動のゆるやかさを考えると、統一主義もゆるやかにしか展開しないはずである。
 では、統一主義の可能性について考えていこう。まず、統一主義者は、シンギュラリティを早める必要がある。その方法として基本軸を2つ示しておこう。1つ目は、海域全体の総和経験値を増やすことである。このためには、海域内をなるべく平和に保ち、より多くの島を発見・開発することが重要である。もう1つは、一部の先進国が総獲得経験値を独占することである。このどちらの軸も、シンギュラリティを早めることが出来る。この2軸を反映したものが、ハメス帝国における「新成長主義」と「前進派」である(詳細は、イグゥレコード:Esperma del ignor政策欄)。

<余談:終末思想と箱庭>
 箱庭は神の視座である、ということは、「箱庭において歴史とは何か」で触れているが、この観点は、箱庭における「統一」システムに影響を与えている。プレイヤー=神、箱庭=人間といった視点でみると、キリスト教終末思想に実に似通った思想を持っていることがわかるだろう。神の支配する地上、地上における大災禍、来るべき救済/統一―このようなキー概念が一致している。
 また、トマス・モアの「ユートピア」は、箱庭の統一後世界を描いたものとしてみることもできる。トマス・モアの描いたユートピアは、wikipediaの記述を借りれば、

周囲の大陸と隔絶した孤島である。
科学と土木によってその自然は無害かつ幾何学的に改造され、幾何学的に建設された城塞都市が中心となる。
生活は理性により厳格に律せられ、質素で規則的で一糸乱れぬ画一的な社会である。ふしだらで豪奢な要素は徹底的にそぎ落とされている。住民の一日のスケジュールは労働・食事・睡眠の時刻などが厳密に決められている。長時間労働はせず、余った時間を科学や芸術のために使う。
人間は機能・職能で分類される。個々人の立場は男女も含め完全に平等だが、同時に個性はない。なお、一般市民の下に奴隷や囚人を想定し、困難で危険な仕事をさせている場合がある。
物理的にも社会的にも衛生的な場所である。黴菌などは駆除され、社会のあらゆるところに監視の目がいきわたり犯罪の起こる余地はない。
変更すべきところがもはやない理想社会が完成したので、歴史は止まってしまっている(ユートピアは、ユークロニア(時間のない国)でもある)。

 と表現されている。小島・幾何学的に建設された城塞都市・理性(=プログラム)・歴史の停止、といったものは、統一後の箱庭の世界そのものである。箱庭諸島に限らず、あらゆるゲームは、これまでの思想を反映した点を見受けることが出来るが、箱庭諸島の場合は、《終末思想》をその一つのキーワードとしてみることで、さまざまな分析が可能である。ハメス帝国においては、このような様々な分析が、(現実世界とおなじように)なされているのである。

 こうしてみると、我々の世界もまた、箱庭であり、上位の存在による”ゲーム”であるのかもしれない。

  • ユートピアの説明文に不自然な改行がありますがそれは -- ヌスマ (2017-06-25 23:48:58)
  • ご指摘ありがとうございます。修正しました。
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α海域研究


貿易システムにおける利益最大化について

 貿易システムにおいて、3島間関係を考えてみると、それらの関係性は派遣状況が如何かによって、利益最大化戦略が変化する。貿易は基本的に多角的に行われることから、ほとんどの場合において、3島間関係が成立する。つまり、中間地が存在する。よって、3島間関係における利益最大化戦略を考えることは重要である。
 また、貿易モデルを考えることで、レート調整を目的とした貿易を行う場合、どういった貿易モデルが良いのか、といった示唆も与える。結論としては、「貿易中心地」を設置することが、レート調整を目的とした貿易においては最適である。貿易によってレート調整がなされる場合、農場の吹き飛びや、資源の枯渇などのリスクをヘッジ可能であり、それによって軍備拡張を図ることが可能になるだろう。

相互派遣モデル

 これは、3島A,B,Cとすると、貿易船の派遣状況は、AとB、BとCで互いに送り合っている状態である。図にすると、
  A⇔B⇔C
 である。この時、A,B,CそれぞれのレートをrA、rB、rCとし、rA<rB<rCとする。また、各貿易船をXで表記し、それぞれの食料輸出量をX1,X2...として表す。なお、貿易船の食料輸出量は経験値に依存する。
 では、このモデルにおけるA,B,Cの収支バランスシートは以下のようになる。なお、各貿易船の派遣状態は、
 X1:B→A、X2:A→B、X3:C→B、X4:B→C
 である。
A島 B島 C島
収入 支出 収入 支出 収入 支出
rA*X1 X1 X1 rA*X1
rB*X2 X2 X2 rB*X2
rB*X3 X3 X3 rB*X3
rC*X4 X4 X4 rC*X4

 この時、AとCは、資金と食料がトレードオフの状態になっているので、一概に利益を得ているかは判断できない。しかし、B島に関しては、資金も食料もプラスになりうるかもしれないので、検証してみよう。
 B島の収支を総合すると、
 (資金)= rB*X3 + rc*X4 - rA*X1 - rB*X2
 (食料)= X1 + X2 - X3 - X4
 となる。なお、いずれも最大化するとすれば、
  max{ rB*X3 + rC*X4 - rA*X1 - rB*X2 } …①
  max{ X1 + X2 - X3 - X4 } …②
 となるだろう。ここで、
  rC = rB + d
  rA = rB - d'
 として、rAとrCをrBからの差としよう。なお、rA<rB<rCとしているので、d,d'は正である。この時、①式は、
  max{ rB*X3 + (rB+d)*X4 - (rB-d')*X1 - rB*X2 }  …③
 と書き換えられ、これを整理すると、
  max{ d'*X1 + d*X4 - rB(X1+X2-X3-X4) } …③'
 を得る。 X1+X2-X3-X4 = kと置くと、②、③'式は、それぞれ(※kを導入する意味はあまりない)
  max{ k } …④
  max{ d'*X1 + d*X4 - rB*k } …⑤
 である。⑤式はd,d',Xn,rB > 0より、2つに分けられるので、(※この分離は数学的処理としては誤りだが、単純に食料と資金の両方を同時に最大化することは出来ないと考えてもらえればよい。)
  max{ k }
  max{ d'*X1 + d*X4 }
  min{ k }
 の条件を揃えることになるが、max{k}とmin{k}が並立しており、明らかに成り立たない。したがって、資金・食料のいずれもを最大化することは不可能である。では、資金の最大化を図りつつ、食料で損をしない(0以上)条件を考えていく。この時、資金の最大化条件は、
  max{ d'*X1 + d*X4 } かつ min{ k }(ただし、k>=0とする) …⑥
 である。従って、
  max{ d , d' , X1 , X4 } かつ k = 0
 となる。X1,X4の最大値はexp120の時で、同値になることから、max{ X1 } = max{ X4 }である。これに注意すると、
  k = X1 + X2 - X3 - X4 = 0
 は、
  X2 = X3
 の時に成り立つことになる。なお、この時、B島の得る利益は、
  (資金)=d'X1 + d*X4、(食料) = 0
 である。
 この式から得られる知見は、大まかに言えば、
  『派遣する貿易船のexpは高い方が良く、派遣される貿易船のexpは同じものが望ましい』
  『相互派遣貿易において、すべての貿易船が経験値120であるとき、中間に位置する島は確実に利益を得る
  『相互派遣貿易にあたっては、なるべくレートの高い島と低い島の2島と取引をすることが良い』
 といったものになる。とりわけ、2番目の知見は重要である。この知見は裏返せば、『貿易関係の端に位置する島は、損をする』ことを示すからである。従って、相互派遣貿易は、レート調整を目的とした貿易としてはあまり適切ではないと考えられる。

中心地モデル

 では、レート調整を目的とした貿易において、損をしないためには、どのような貿易モデルが最適かというと、一つはレートが端同士の島で調整するものである。つまり、単純な相互貿易モデルである(一方向貿易でもよいが、その場合、どちらかは損をしている)。しかし、このモデルはあまり現実的ではない。実際には、貿易は多角的に行われ、かつレートが端同士の島が常に存在するとも限らないため、2島間の相互貿易モデルは現実的でない。多角的に貿易が行われる以上、そこに必ず中間地が存在することになる。
 その点で、中心値モデルはレート調整を目的とした貿易としては最適である。このモデルは、
  A→B←C
 といった派遣関係のモデルである。この場合、バランスシートは、
A島 B島 C島
収入 支出 収入 支出 収入 支出
rB*X1 X1 X1 rB*X1
rB*X2 X2 X2 rB*X2
 である。つまり、B島の収支は、
  (資金)= rB*X2 - rB*X1 = rB(X2 - X1)
  (食料)= X1 - X2
 である。明らかに、どちらも0以上は実現不能である。さらに、X1 = X2 である場合、B島の収支はちょうどゼロになる。これは『A島とC島は損をせずにトレードできる』ことに他ならない。相互貿易モデルのA島・C島の収支を見ても分かるように、中心地貿易のほうが、レート調整貿易が利益をもたらしている。よって、レート調整を目的とした貿易においては、この中心値モデルが一つの解になりうる。

逆中心地モデル

 このモデルは、貿易船の派遣状態が
  A←B→C
 となるものである。この場合、B島の送る客船の経験値がいずれも同じ場合、B島は確実に利益を得る。逆にA島,C島は損をする。

一方通行モデル

 A→B→C または、A←B←C のモデルである。この場合、矢印の先端にある島は損をし、根本側は利益を得る。中間地は場合によって収支が変動する。根本の島は利益を得るが、しばらくするとレートが中間地レートに近づいていくため、長期にわたって利益を得ることは難しい。

まとめ

 以上のように、いくつかのモデルを考えた場合、レート調整を目的にする貿易としては、中心地モデルが最も適している。逆に、利益を得たいならば、相互貿易モデルないし逆中心地モデルの中間地になることが良さそうである。この場合、定期的にレートの高い島と低い島に貿易船を移動する必要がある。

より感覚的に分かりやすい貿易システムの理解:合成レート

 これまで、各島のレートをベースに貿易を考えていたが、実質的なレート(合成レート)を考えてみると、より分かりやすい。
 たとえば、相互派遣モデルを例に考えてみよう。相互派遣モデルのバランスシートは以下の通りだった。
A島 B島 C島
収入 支出 収入 支出 収入 支出
rA*X1 X1 X1 rA*X1
rB*X2 X2 X2 rB*X2
rB*X3 X3 X3 rB*X3
rC*X4 X4 X4 rC*X4
 ここで、A島とB島の貿易収支だけ(上半分)を考えてみると、以下のように解釈できる。
 『A島は、食料X1+X2トンを、rA*X1+rB*X2円で輸出した。』
 『B島は、食料X1+X2トンを、rA*X1+rB*X2円で輸入した。』
 つまり、A-B島間貿易は、実質的に、
  合成レートrAB = rA*X1+rB*X2 / X1+X2
 で行われたということである。 この合成レートの式は、相互派遣モデル以外についても利用できる。その場合、X1またはX2が0となる。また、この式は、取引量比Xr=X1/X2を用いれば、
  rAB = rA*Xr + rB / 1 + Xr
 と書き換えられる。ちなみに、rABをXrの関数としてみれば、rABは単調減少関数であるから、Xrを大きくする(つまり、X1:B→Aを増加orX2:A→Bを減少させる)ことで、rABは減少していく。これは、より多く相手島に貿易派遣すれば、より相手島のレートに近いレートで貿易が出来るということと同義である。

 相互派遣モデルの場合、rABとrBCという二つの合成レートが考えられ、この合成レートのレート差を利益としてB島が得ている。一方で、A島とC島は、合成レートと、rBとのレート差を損失としている。よって、例えば、rAB=6、rBC=13、rB=10だとすると、B島はレート差7の分だけ利益を得て、A島は4、C島は3を損失していると理解できる。(※この部分は各自計算してみれば分かるだろう。内容としては、前述の計算と同義なので省略する)
 この時、相互派遣モデルとは、B島は実質的にA島からC島に食料を流し、レート差で儲けているわけであるから、なるべく輸入した食料の分だけ、輸出したほうが(つまり、X1+X2 = X3+X4とするということ)利益を得られる、というのは合成レートを考えることで感覚的にも理解しやすいだろう。
 また、合成レートは、複雑な貿易体系を把握するのに役立つ。互いの貿易派遣量比を見れば、おおよその合成レートが計算でき、あとは、差分を見ていけば、どの島が利益を得ていて、どの島が損失を被っているのかが簡単に把握できるようになる。

資源把握「OpenBox」プログラム


OpenBoxとは何か

 OpenBoxとは、各島の資源量(資金および食料)を計算によって算出するプログラムである。このプログラムは、箱庭における資源把握可能性に基づいて設計されており、資源把握可能性に関しては、「資源把握の重要性と可能性」を参照のこと。

レートグラフ

 OpenBoxの設計にあたっては、二つの概念を理解しておくとよい。一つ目が、レートグラフと呼ばれるグラフである。


 レートグラフとは、上記のように、軸に保有食料・資金をとり、レートとの関係性を引いたものである。各直線は、各レートの中心線を示している。中心線、というのは、レートは実際には幅を持っており、レート9.5~10.4は10などと、計算されているためである。このレートグラフでは、点(food,money)が各島を表し、各島のレートはその近傍の直線の"示す"レートである。直線は下(青線)からレート5,6,7...20を示している。

※ちなみに、ここで、"示す"としたのは、このレートグラフで表される直線の式と実際のレートはずれているためである。例えば、レート10を示す黄緑線(点(5000,100000)を通るもの)は、グラフ上では、レート20を意味している。つまり、このグラフは、food軸(x軸)に対して、1/2に圧縮されている。これは、『本来レート20であるべきものが、レート10で取引される』ことであり、『食料は資金に対して1/2の価値であると考えられている』ということを意味する。(裏を返せば、食料は過小評価されているというわけである。)

二つのレート

 そして、もう一つの概念は、「二つのレート」である。ただ、こちらに関しては理解しなくてもさほど問題はない。ただ、このテーマはより深く研究すると面白そうなので紹介しておく。

 箱庭において、レートは、実は2種類存在している。
  • 貿易レート(ストックベースレート:SR)
  • 生産ベースレート(より発展させて、フローベースレート:FRとなる)
 と呼ぶ。前者は、いわゆる貿易レートであり、このレートはストック(保有食料・資金)によって決定されることから、ストックベースレートと呼ぶ。一方、後者は、ゲームシステム内で考えられている食料と資金のレートである。これは、生産量をベースに考えるもので、例えば人口100万人の島は、その生産力を全て食料生産に回した場合、100万t得られ、逆に工場生産にした場合、1000億円を得られる。この関係性はレート10で固定されている(生産ベースレートと、貿易レートのずれが、レートグラフにおけるズレを引き起こしている)。また、漁礁や鉱床の収入も(ばらつきがあるものの)おおよそレート10に一致するように設定されている。この生産ベースレートをより発展的に解釈すると、『フローベースレート(FR)』を考えることが可能である。フローベースレートとは、
 FR = 資金収支(億円) / 食料収支(万トン)
 であり、資金収支には、工場生産量に加え、鉱床収入、艦隊維持費、貿易収支などを含み、食料収支には、農場生産量に加え、漁礁収入や人口消費分、艦隊維持食料、貿易収支を含む。なお、生産量はレート10に近く、維持費はレート5に近いことが分かる。
 一方で、SRについては、
 SR = R * 保有資金(億円) / 保有食料(万トン) R:レート定数 R=1/2
 である。SRは長期的なレート、FRは短期的なレートとして理解すればよいかもしれない。この時、FRは、グラフ上におけるベクトルの向きとして解釈が可能である。つまり、A島がグラフ上の点(f,m)にあり、次ターン(f',m')に移動する時、
 FR = (m' - m) / (f' - f)
 である。従って、グラフ上の移動の向きを示す。また、SRとFRの関係性については、FRは、SRのT毎の変化量に他ならないので、
 ΔSR / ΔT = FR
 である。
 このSRとFRのズレは、箱庭経済において重要な役割を果たしている可能性が高く、研究を進めたいものである。

FRの積み重ねを描画する

 ここからは、OpenBoxを作成するにあたっての技術的な議論をしていく。
 OpenBoxのプログラムの概要は以下の通りである。
  1.ログを取得する(スクレイピング)
  2.取得したログを分析(RegExpを用いたログ解析)
  3.解析結果をもとに資源収支を計算する(FR算出)
  4.資源収支とレートグラフを突き合わせて整合性を取る
 OpenBoxの肝は、初期値不明の状態から、資源収支とレート情報との組み合わせによって、初期値を決定していくところである。これをうまく行えるかどうかがOpenBoxの出来を左右する。
 上のプログラムが、どのようにして初期値を決定していくかは、以下の図を参考にすると分かりやすいだろう。

 以下のような「棒」を考える。この棒は、あるターンでの資源収支をビジュアル化したものである。この棒を食料ー資金グラフ上の適切な位置に置きたいわけである。しかし、最初の資源量(初期値)が分からないから、どこに置いたらいいかわからない。
 資源量の代わりに、レートを用いることを考える。横軸が食料、縦軸が資金のレートグラフ上に、レートの値が矛盾ないように配置する。多少は絞れたとはいえ、1Tの情報だけでは、まだまだいろんな置き方が可能である。
 そこで、これを繰り返していく。そうすると、1Tだけのデータでは排除できなかった可能性を排除していくことが出来る。これを繰り返せば、最終的にはある初期値に収束していくはずである。

 この仕組みが、OpenBoxプログラムの基本的な挙動である。しかし、大きな問題が残っている。

資源把握の誤差

 その問題とは、資源把握に誤差が存在するというものである。「資源把握の重要性と可能性」で述べているが、資金には上方誤差(実際はより多く支出しているという誤差)が存在する。この誤差は、上記のOpenBoxプログラムにおいては、致命的である。
 つまり、上記の決定法では、誤差が存在する場合、初期値を求めることが不可能になる。計算が進むにつれ、どこかで矛盾が発生し、初期値の解が存在しなくなる。ここで問題なのは、上記の決定法があまりにも厳密すぎるゆえである(精度を高めすぎている)。

全幅探索法

 では、この誤差を認めつつ、上記の決定法を採用しよう。この場合、「棒」に幅があると考えることが出来る。誤差=eの幅をもった棒である。この棒をグラフ上に配置していくわけである。この時、棒同士を繋げていくことを考えると、一つの問題が生じる。それは、いったいどこを結合すべきかということである。
 例えば、誤差0だとすると、以下のように棒をつなげればよい。
 しかし、誤差eだとすると、以下のように繋げることになる。
 誤差0~eまでで考えられるすべての繋げ方を合わせると、以下のようになる。つまり、1Tを経るごとに、eだけ棒の幅が拡大していくと考えられる。
 これは、大きな問題である。誤差0の最大値と誤差eの最小値の場合だけ考えるにしても、nターンで、計算コストは2^n乗倍になる。これはあまり現実的とは言えない。この手法を全幅探索法と呼ぶ。

別のアプローチ:切り捨て探索法

 一方で、誤差を無視して計算する方法もありうる。つまり、使用するデータを直近10ターンとか、20ターンに限定することで、誤差を無視するわけである。しかし、この場合、精度が下がる恐れがある。

ハイブリッドモデル

 全幅探索の場合、精度が高くなる傾向があるが、計算コストが倍増していく。一方で、切り捨て探索は、計算コストは少なくて済むが、精度が低下する恐れがある。
 これらのハイブリッド的な手法を用いて、精度とコストを両立させていくことが可能である。まず、「棒」のおおよその位置を決定するために、全幅探索を用いて、おおよその位置を特定する。その後、切り捨て探索を用いて、誤差を適当に決定しながら進み、矛盾が発生したら、初期値を修正し、計算しなおす。また、この時、誤差無し全幅探索での値との差を評価し、誤差が適当範囲に収まっているかをチェックする。

まとめ

 資源把握プログラムに関するモデルは、多分に機械学習の要素を含んでいる。

ミレニアム時代の総括とポストミレニアムの展望

 ミレニアム時代、とは時代区分のひとつで、「海域発見~ミレニアム戦争」までの時代を差す。具体的な年号としては、T305~T998となる。第一ミレニアムとほぼ一致する。この時代は、全体を通じて比較的平和な時代であった。大規模な戦争は、トロンバ・ダーリャミレニアム戦争に限られ、いずれも、海域全体の疲弊を招いたわけではなかった点で、世界大戦規模の戦争には発展しなかった。
 この時代は、更にトロンバ・ダーリャ以前と以後に分割することが出来る。トロンバ・ダーリャ以前は、海域全体での広く開拓活動が行われ、"フロンティア"の消滅とともに、各勢力圏が直接衝突を起こしていき、トロンバ・ダーリャを引き起こした。トロンバ・ダーリャ以後は、二つの巨大同盟の出現と、それに伴う海域平和の時代となった。この平和は、トロンバ・ダーリャ前後に多く参加してきた古参プレイヤーらによってミレニアム戦争において打破されることになった。なお、"フロンティア"になりうるのは、新規島・放置島・BFである。新規島は端寄せなどを行う際に、人口取引を持ち掛けることが出来る。放置島は、ノーリスクで人口や資源を得られる。BFは、『無限のフロンティア』と呼ばれ、開拓資源が尽きることはない。
 つまり、ミレニアム時代のフローは以下の様に描かれる。

海域発見――島の開発,フロンティア開拓――フロンティアの消滅――BFや弱小島への攻撃――トロンバ・ダーリャ
トロンバ・ダーリャ――巨大同盟――海域平和――打破勢力(古参勢)の出現――ミレニアム戦争

 ミレニアム戦争を経て、巨大同盟『旋風』『B/C.』が解体され、ミレニアム時代は終焉を迎え、ポストミレニアムへと突入した。ポストミレニアムにおいては、打破勢力となった古参勢が大きな存在感を見せていくことになりそうだ。彼らの多くはいまだ開発途上にあり、しばらくは活発な動きはないだろうと思われるが、島の開発が完了すれば動きを活発化させていくことが予想される。
 ミレニアム時代においては、勢力間の闘争を回避するには、フロンティアが供給され続けていればよかった。というのも、多くの島が戦争を望んでいなかったからである。守備側が圧倒的有利に設定されていることもあって、自ら戦争を仕掛けるような状況はなるべく避けたいという意思が感じられた。
 しかし、ポストミレニアムにおいては、反平和主義といった思想が広がっていくことで、単純にフロンティアの問題が戦争に繋がるとも限らない。戦争は、海域を活性化させるものであり、島の成長や発展ないし、安全のために平和を望むという考えは通用しなくなっていくだろう。

ミレニアム戦争の総評

 同盟『旋風』は、トロンバ・ダーリャ以降、盟員の数を急激に増大させ、一時12島にまで拡大した。同盟『B/C.』も8島規模に拡大を遂げ、名実ともにこの二大同盟が海域の支配権を握っていた。しかし、この2同盟への評価はかなり異なっていた。旋風は、「海域支配者」と見做され、B/C.は「対抗勢力」とされた。トロンバ・ダーリャで、旋風が勝利したことによって、また、H.U.との連合関係も考慮されての評価であったのだろう。結果的に、海域支配打破を目指す「反旋風」は、B/C.以外にも拡大していった。
 軍事力的に見れば、B/C.は単体でも旋風に劣っていなかった(とはいえ、それは、B/C.が全体的に過剰軍備であったためでもある。)。それでも、旋風がH.U.と結んでいることを前提に考えれば、旋風を落とすには、もっと味方を集めなければならなかった。そこで、旋風を「海域支配者」とするパラダイムを形成していくことで、反支配という"大儀"で協力者を募ろうとした、という見方は可能である。実際、旋風は、自同盟への攻撃を受けた際を除けば、いたって平和的な同盟であって、海域支配的とは言えなかったし、B/C.の方がよっぽど、攻撃的な同盟ではあった(実際に攻撃したか、という点では、トロンバ・ダーリャ以降で見れば、どちらも「していない」)。
 旋風はH.U.と結んでいたから、事実上17島程度の連合であって、これは、海域支配的ではないのか、という指摘はもっともである。しかし、ミレニアム戦争では旋風の一部の島しか布告されていない。戦術上の理由があったにせよ、これは、「旋風こそ、海域支配者であって、打破すべき存在である」と認識していたためではなかろうか。
 結果的に、ミレニアム戦争は集団リンチの様相を呈したが、これを「リンチだ」と非難することはおかしい。旋風は、H.U.やその他の勢力と手を結んで対抗することは十分に可能であった。というか、そもそも、旋風+H.U.との開戦を想定しての数集めであったはずで、もともとリンチしようとは考えていなかっただろう。リンチされることになったのは、旋風盟主・盟員の自己責任によるところが大きい。
 いずれにせよ、旋風の崩壊、B/C.の解体といった成果は、トロンバ・ダーリャ前後で参加してきた古参勢の力を感じざるを得ない。彼らには、反平和主義的なところがあって、彼らにとって海域平和を創出する巨大同盟は解体すべき存在となったのである。WDやSiestaのような「戦争する」軍事同盟の出現がそれを裏付ける。平和ないし安全志向の強い既存勢力とどのように反応していくのか楽しみである。 

最近の海域動向についての分析[T770]

 トロンバ・ダーリャは、戦略的にはインパクトの大きい大戦であったが、海域情勢にはさほどの影響を齎さなかったと思っていた。しかし、最近の海域動向を見ていると、そうとも言い切れないようである。
 まず、トロンバ・ダーリャがどういった大戦であると位置付けているか、説明しておく。言うまでもなく、α海域で初の大戦であった。開戦の流れは衝突が決定的になってなお、非常にゆったりとしたものであった。クマ島への布告を契機に、事態が決定的になるまでさほど時間はかからなかったが、その後、本格的に大戦を展開するまでにはタイムラグがあった。したがって、この大戦前には、各々の同盟は、さほど外交戦略に注力していなかった(つまり、各同盟は、不可侵や相互防衛といった条約を結んではいなかった)と考えられる。この大戦は、同盟関係を整理する契機となったのである。結果として、この大戦の意義はそこに終始したと言っても良かった。なぜならば、大戦前後で同盟勢力には大した変動がなく、変わったことと言えば同盟関係が構築された、という点のみであったからだ。大戦自体は、双方(またはどちらか)にとって破滅的なものとはならず、何ら決定的な意義を果たしはしなかった。よって、この大戦は、次の大戦に向けた準備段階と捉えるべきものとなった。(大戦の内容に関しては、本項の論点とずれるから、また追記しようと思うが、ホーク戦術研究に非常に役に立つものであった。)
 さて、大戦後、海域の動きは活発なものとなっている。B/C.と旋風の二同盟は、加盟数を増加させ、今後の海域の軸を形成しつつある。とりわけ、旋風は加盟数で優位に立つ戦略があからさまである。現時点で加盟11島、と驚くべき大所帯となった。これだけの規模を以下にコントール下に置けるか、という点は、盟主の腕の見せ所である。とはいえ、B/C.も大戦中に加盟数を伸ばし、現在8島となっている。大戦での協力関係を考えれば、実質的な規模はもう少し膨らむのではないかと考えられる。では、このB/C.と旋風の対抗軸は確固としたものだろうか、検討してみよう。
 まず、この対抗軸は、B/C.の掲げるタイマニズムと、それに対する反発勢力、という一面がある。そもそも、トロンバ・ダーリャがB/C.のタイマニズムの拡大政策と、それに対する反発、という構図であったことを確認しておこう。B/C.の盟主たるシロは、大戦後もこの政策方針を変えるつもりはないようで、『盟員同士でタイマンとか、模擬同盟戦争とかしたいなあ。BCという一つの海域を(』(シロ,T769)と述べるように、B/C.の持つタイマニズムとは、海域全てを飲み込もうとする動きである。タイマニズムは、「(戦争の)管理」の一面を持つことから、思想の性質としては社会主義に近いものである。一方で、旋風は、第三世界のため同盟、という戦略を採っていくようである。そもそも、盟約に『盟主自身まだまだ発展途上』(ナカト,T769)と記載されていることからも、当初からの計画だったと伺える。積極的に下位諸島(発展途上国=第三世界)を囲い込み、数の規模で対抗する。この場合、下位島を搾取するような戦略は取りにくく、200万を超えて人口を増やすことは難しくなってくる。したがって、旋風が(質の面で)より成長を果たすには、上位島を狙う他は選択肢がない。そこで、上位島を多く抱えるB/C.ややなぎの樹との対立は不可避なものとなっていくだろう。整理すると、
 -B/C.…タイマニズムは社会主義的様相を秘めるものであり、第二世界(東側)の同盟、と捉えられる。
 -旋風…第三世界(発展途上国)の同盟、であって、第一/第二世界との対立は不可避。
 この対抗軸には、(単に、二大勢力であるという理由のみならず)思想的に対立している部分が存在すること分かった。それ故に、対立関係は―どちらかの思想が敗北するまでは―継続的であると考えられる。

 ※追記(T1300)
 結果的に、ミレニアム戦争を経て、『旋風』も『B/C.』も解散した。

情勢分析方法

情勢分析を正しく行う理由

 いくつかのプレイヤーによって、海域情勢の分析が行われているが、本項では、情勢分析の方法論を検討していきたい。情勢分析とは、海域内のパワーバランス(内政/軍事力)・外交・思想などを複合的に分析することである。
 そもそも、なぜ情勢分析が必要であり、またそれが正確性ないしは合理性をもって行われることが重要なのか考えよう。情勢分析は、プレイヤーの意思決定のために必要とされる。意思決定とは、将来における自らの利益を最大化する戦略の選択と考えられる(しかし、これは理論的なものに過ぎない。利益最大化を図らないプレイヤーも往々にして存在する)。したがって、正しく情勢を分析することは、正しい意思決定のために不可欠である。誤った情勢分析は、誤った意思決定を生み出す。
 ただし、ここで考えておきたいのは、情報分析を行う主体とはいったい誰かということである。もちろん各プレイヤーは一主体である。彼らはある程度自主的に分析を行っているはずだが、あくまでそれはイメージ的なものに留まることが多い。したがって、各プレイヤーは、正しい/詳しい/信頼性の高い情勢分析の情報を求めていることが多い。そして、だれかから提供された情勢分析の情報も参考にして、意思決定を図ろうとする。このもう一つの「主体」である情勢分析情報の提供者は、なるべく正しい分析を行うことが各プレイヤーからは求められている。
 そして、こうした分析は、提供者にとっても利益をもたらすものになる。これは、提供者が多くの場合、一プレイヤーであることに起因する。提供者自身もプレイヤーである以上、正しい意思決定を行いたいと考えているが、これには、他のプレイヤーの意思決定を正しく予測することも重要である。提供者は正しい分析を他プレイヤーに提供することで、他プレイヤーの意思決定を読みやすくする。これは翻って、提供者に利益をもたらす(情報が普遍化することの弊害もあるだろうが)。
 以上のような考えの下、「合理的で、正しい情勢分析」の方法を検討していくこととしよう。

情勢の構成要素

 前節では、情勢というものを「パワーバランス・外交・思想」などと大雑把に分けていたが、情勢分析の方法を考えるに当たっては、より深く構成要素を探っていく必要がある。
 情勢というのは、海域すべてを取り巻く環境であるから、海域内のすべての要素を出してみる。設定一覧を参考に抜き出した。
 島の数・ターン数・資金・食料・ローカル掲示板・友好国・交戦国・同盟・人口・地形・海軍・経験値・防衛施設・天候・災害・怪獣・アイテム・ターン杯
 これらをグルーピングしていこう。
  基本情報-島の数、ターン数、天候、災害、怪獣
  資源情報-資金、食料、人口、地形
  外交情報-掲示板、友好国、交戦国、同盟
  軍事情報-海軍、経験値、防衛施設
  獲得情報-アイテム、ターン杯、各賞
 と、大まかに5つに分類できそうだ。ここに、プレイヤー情報を加えた6要素が、情勢の構成要素となるだろう。

分析方法1-定量化の妥当性評価

 分析の方法としてはさまざまなものが考えられる。一般的に多く見られるのは、「軍事力分析」である。この場合、軍事力を艦艇保有数や維持食料を用いて、定量的に評価することが多い。また、「移籍Pt」を利用して定量化を図るものも見られる。いずれにせよ、分析にはある種の定量化が必要とされるが、この定量化の妥当性はどのように評価できるだろうか。つまり、「軍事力」を分析するにあたって、「移籍Pt」を利用する妥当性、「維持食料」を利用する妥当性を評価できなければ、定量化したところで無意味なものとなりかねない。
 そうした妥当性を評価するには、そもそも分析したい対象がどういったものか明確にしておく必要がある。たとえば、「軍事力」を分析したいという場合、そもそも「軍事力」がどういったものなのか、確認しておくところからはじめるのが良い。また、そもそも「軍事力」が、情勢分析に本当に必要なのか、なぜ必要なのか、というところも確認しておく必要がありそうだ。こうした作業を抜かしたまま分析を行っても、論点のずれた評価を行ってしまうことが多い。

分析方法2-情勢の構成モデル

 個々のパーツの定量化については、前節に述べたような点に注意すれば妥当性を保障できる。しかし、これらはあくまで各パーツの数値化に過ぎず、これは直接情勢分析に利用できるわけではない。これらの各パーツがどのように連結され、情勢を形成しているのか考える必要がある。たとえば、前々節で述べた、6要素を例に考えてみよう。この場合、軍事情報を分析できたとして、「軍事力」が定量化された(軍事力Ptが算出された)とする。このとき、軍事力Ptは、外交情報(同盟関係)や、獲得情報(アイテム保有関係)などと相互作用し合って、情勢を形成していると考えられる。つまり、単に軍事力Ptが高い=危険とするような判断は浅はかで、たとえば、同盟Aと同盟Bが対立関係にあって、AとBの軍事力が拮抗している場合、情勢はより不安定であると考えられる(この場合、「情勢の安定性」というものについても定義する必要がある)。一方でAとBの軍事力が大きく開いている場合には、むしろ安定的であるとも考えられるが、たとえば、同盟Aは同盟Cとも対立関係にあった場合、同盟BとCは連合するかもしれない(プレイヤー情報が影響する)。つまり、いずれの要素も各要素と連関し合っているため、全体を俯瞰すると、非常に複雑な関係となっている。
 この、ネットワーク的なモデルを解析する方法はどういったものが考えられるだろうか。一つ目には、モデル化を行うものである。これは、「ある程度妥当なのではないか」と目星をつけて、モデル化を行なってしまうというものである。その場合なぜそのモデルが妥当だと考えられるのか、を示す必要がある(結果として、ここのパーツの定量化とやることは同じ)。二つ目には、深層学習を用いて解析するものもありうる。しかし、こちらは技術と膨大なデータが必要であり、あまりにも非現実的である。よって、以下では、モデル化を行うとして、どういったモデルを作り上げるべきか考えていくことにしよう。

分析方法3−モデル化(個人視点)

 情勢分析において、個々のパーツにせよ、それらの組み上げモデルにせよ、何らかのモデル化を必要とする。個々のパーツのモデル化に関しては後述するとして、まずは全体的なモデルを考えていこう(逆に言えば、全体のモデル化を考えず個々のパーツのモデル化に取り掛かることは危険である。)。ここでは、まず、二つの視点を整理していきたいと思う。その視点とは、「個人の視点」か「俯瞰視点」か、である。個人の視点とは、各プレイヤーの視点に立っての分析である。これは各プレイヤーが行なっていることである。分析者も一プレイヤーであるならば、自分の視点に立って分析できることもある。しかし、その分析情報に関しては留意しなければならない点がある。それを説明するために、まず、個人の視点によって、どういった分析がなされているか、考えてみよう。
 まず、分析対象は、マクロな部分とミクロな部分に分けられる。マクロな部分とは、PESTと呼ばれるものでモデル化してみよう。PESTとは、マーケティングにおけるマクロ環境分析モデルであり、Political/Economical/Social/Technologicalの頭文字をとったものである。政治・経済・社会・技術を4要素とする。箱庭に置き換えてみれば、それぞれ、ルール設定・島数など・海域における共通の価値観、流行・プレイヤーの状況と言えるだろう。概してメタ的情報である。これらのマクロ環境が自島ないし自島周辺環境を取り巻いていると考えられる。各プレイヤーは(知らず知らずのうちにも)、こうしたマクロ環境を分析している。
 一方で、ミクロな部分に関しては、同盟内の状況や、自島の状況ということになる。

(執筆中)


資源把握の重要性と可能性

 資源把握、とは、各島の資源量を把握することである。つまり、各島がどれくらいの資金・食料状況なのかを把握することである。これを知ることは、いうまでもなく重要である。どのタイミングで戦争を仕掛けるべきか、何を破壊すべきか、どこに貿易船を派遣するべきか、など、様々な戦略に多大な貢献をする。しかし、これらの資源量は把握できるものではなかった。というのも、単純にそれらのデータは隠蔽されているからである。
 しかし、基本的に、この資源量というものは、ブラックボックスではない。ログという形で何にどれだけの資金を使用したかは現れるからである。把握できないのは、艦艇命名費用・極秘通信費用ぐらいなもので、他の収支はほとんど開示されている。とすれば、原理的には資源量の把握は可能であるはずである。プログラムを作成すれば、おおよその収支状況を把握することは可能である。新規発見島に関しては、初期資金・食料がわかるので、ほとんど正しい資源量を把握可能である。艦艇命名費用や極秘通信費用によって生じる誤差はそもそもあまり大きくなりそうもなく、大きな誤差が生まれる場合には、貿易レートを用いて補正できるだろう。なぜなら、食料収支は完全に把握できるためである。
 とはいえ、すでに存在する島については、現在の資源量がわからないので、今後の収支状況を把握したところで、正確に知ることは出来ないのではないか、と考えられるかもしれない。確かに、正確な資源量を把握することは困難だろうが、レートの変動を利用すれば、プログラムの運用開始後、ターンを経るたびに、徐々に補正がなされ、やがてはおおよその資源量を把握していくことが可能である。したがって、ブラックボックスと思われていた資源量は、根本的にはほぼ特定可能であり、特定できるかどうかは、プログラムを作成できる技術とやる気だけである。このプログラムを開発した場合、他プレイヤーに対して戦略的にかなり優位に立てるだろう。また、資源量把握は、戦略立案の根幹的な事項の一つであるため、資源量把握プログラムは、戦略立案支援プログラムの根幹的プログラムの一つになりうる。

島裏空母について


  • きっかけは、島裏をカメやスパイダーで埋めることの無駄を解消したかった。
  • 無駄、というのは、それらの艦艇が埋めるため以外に運用できないという点。
  • なお、スパイダーであれば建設に利用できるため、島裏を埋めるならスパイダーのほうがカメよりマシ。
  • それ以外の選択肢を考えるにあたって、そもそもなぜ島裏を埋めなければならないのか考えた。
  • 島裏は端寄せにのみ存在する。端寄せでは、施設を前面に集中させることで高い防御構造を作り上げている。
  • 島裏は、防御の薄い場所であるので、島裏から攻撃された場合、危険に晒される。
  • 特に、大和やフォトによる対地攻撃が脅威である。
  • 以上を踏まえると、島裏に艦艇を入れさせないことか、迎撃能力が高ければ問題ないのではないか。

と考えるに至った。そして、空母を置くことを検討した。

  • 島裏に置かれるカメは平均15隻程度で、空母に置き換えると3隻分くらいである。よって、空母3隻を島裏に置いた場合を考えた。
  • 1隻からホーク3隻を出せるので、120空母なら、破壊力期待値は1ターン20程度。実際には余裕を持って3隻から2機ずつ出しているとすれば、1ターンで40程度。
  • 島浦の地形の特殊性から、島裏に出た艦艇に攻撃を集中させられる。
  • よって、仮に120大和が島裏に出たとしても、2回攻撃利用で、派遣tの次のターンには撃沈出来る可能性がある。したがって、派遣側としては、島裏に大和を送れたとしても、失いたくなければ帰還させる他ない。
  • 島裏への出現率は1/20程度と計算され、1回の派遣で島裏に入ってくる艦艇はタイマン戦なら1~2隻。
  • 以上の考察から、島裏空母の水上艦艇に対する迎撃能力は問題なしと判断。
  • 零式に関しては、対潜2隻での迎撃が必要になる。戦時は相手の保有数に応じて島裏に配置すればよい。零式に関しては、島裏に出るのも、前面沿岸部に出るのもリスク的には大差がないため、カメで埋めた方が得ということにはならない。
  • フォトに関しては、空母の機動力を活かす。島裏空母を1隻2機体制としたのも理由があって、1機分余裕を持たせることで、柔軟な対応を可能にするため。フォトが入ってきた場合、シュミを発進させる。もしくは、あらかじめホーク2シュミ1で発進させておいてもよい。フォトを出せない島相手なら出さなくてもいい。
  • 島裏空母の特徴は、柔軟な運用が可能である点である。相手の力量によって、島裏に配備する空母数・航空機数を調整し、余剰分を攻撃に回すことができる。たとえば、大和や金剛を持たない島との対戦なら、島裏空母は2隻で事足りるので、1隻は攻撃に回しても良い。など。
  • 保有数制限にも貢献する。
  • 資源確保にも貢献する。島裏を平時は開けておくことで、資源の沿岸部出現可能性を高めることができる。島形にもよるが、カメ埋めだと、沿岸部(自施設隣接マス)に出現する可能性はだいたい1/6だが、これを1/4程度に高められる。つまり、1資源は島付近に常に存在することになり、それ見込んだ艦隊編成などが可能。

とまあこんな感じだろうか。島裏に海が存在するので、怪獣や所属不明は出るが、怪獣はかわいいので踏み荒らされても気にしない。対潜でも置いておけばよい。所属不明は前述の通り、迎撃で問題なし。対地艦なら森を防衛施設にでも変えて対応すれば良い。

島裏空母に関する質問への回答


  • 大和が島裏に出現した場合、2ターン以内の処理を期待できるが、生存された1ターンで島の重要区画に砲撃が行われた場合の被害に見合うものかどうか?
「2T(=派遣次ターンまで)以内での沈没」の可能性が(高い確率で)存在することによって、大和を攻撃をさせる前に撤退させる、というのが基本的な考えです。無論、撃沈と引き換えに攻撃を選択する場合や、ダメコンを利用する場合があり、その場合、二回攻撃も併せて利用してくると考えられますので、やはり、大和が島裏に出る可能性がある場合は、他の対策が必要であると感じています。とはいえ、現時点では大和保有島がないことから、喫緊の課題ではないと考えています。島裏空母→カメ埋めへの移行コストはさほど大きくないので、大和保有が進んでから切り替えることも比較的容易と考えています。ダメコン利用に対する苦肉の策として、護国を飛ばしておくというのもアリですが、ギャンブルに近いのであまり実用性はないと考えています。

  • 仮に15隻のカメレオンを空母3隻、航空機9機で埋めたとすると3隻分の出現ポイントが生じるが、大戦等で複数の艦艇が同時に出現し、攻撃目標が分散することへの対応は何が考えられるか?
やはり、空きマス数を減らす方向で考えるべきでしょう。対潜艦を1,2隻入れておくか、空母の数を増やしておくのが良いでしょうか。加えて、機雷を設置するなどで攻撃力の分散を補うのもアリでしょう。また、大戦での攻撃はホークメインになると考えられるので、3マス空きがあったとしても、水上艦艇は1,2隻に留まり、そこまで分散することもないのではないかというのが見立てです。

  • 島裏の都合上、空母に隣接する海が2マスにしかないことも考えられるが、その場合は航空機を全ての発艦させるのは難しいのではないか?(航空機のランダム移動により発艦予定地に離陸済み航空機が滞在するなど)
確かに、3マス発進は現実的ではありません。島裏空母は、1隻2機発進を基本に考えています(したがって、期待値計算もホーク6機で行っています)。これには、撃墜された場合、速やかに補充できるというメリットもあります。Esperma del ignorでは、島裏の形を工夫し、3マス空くようにしていますが、これは3機発進させるためではなく、1マスは機雷を入れておき、残りの2マスで航空機が移動しないように固定します。結果として、機雷マスに艦艇を呼び込むことになります。

  • 2回攻撃コマンドの利用は相手の派遣を確認してから行うため、深夜や早朝の派遣に弱いのではないか?
これはなかなか難しいですね。ご指摘の観点から検討したことがありませんでした。深夜や早朝でも確認してくださいとしか言えないですね。戦争が長期化すると辛いかもしれません。とはいえ、大和以外なら2回攻撃入れなくても撃沈可能です。

  • 敵の戦艦や巡洋艦などのHEX攻撃により航空機や空母が落とされ、敵艦の生存ターンが伸びることも考えられるが、その場合の対応はどのようなものを考えているか?
戦艦や巡洋艦が島裏に出た場合と、表側に出る場合(ないし両方)があると思います。島裏に出た場合は、空母がやられる前に撃沈することを目指します。航空機がやられた場合は(1隻2機体制として)1機補充します。同時に2機落ちると思われますが、派遣ターンにそれなりのダメージを負っていると考えられるので補充(+場合によって2回攻撃)で対応可能だと思われます(大和の場合は別です)。防衛施設を設置するのもよさそうです。
表側からの攻撃はやっかいなので、島裏の入り口に海防などを建てておくべきでしょうか。表側からの攻撃は索敵を絞り切れないでしょうし、島裏の入り口に戦艦や巡洋艦を入れさせないように工夫すれば十分かなと思われます。

  • 潜水艦は島裏と島表のどちらに出現しても脅威度は変わらず、対潜型を配備すれば良いとあるが、その場合カメレオンの埋め込みよりも増加したコストに見合うだけの価値はあるのかどうか?(潜水艦の所有島が多いため、敵島を確認してから配備ではなく、常時配備の方がよろしいのではないか?)
機雷配置を前提にすると、対潜は1,2隻で問題なさそうです。増えたコストをどう見るかは難しいところですが、カメは埋めること以外に何も利用できないのに対し、対潜は(改修も含め)様々な用途に転用できるので、コスト増のすべてが島裏空母のコスト、とは言い切れないかなと…。どれくらいの比率を取るかは各個人の戦略とも関与するので、一概に何割とも言えないところですが、島裏空母は基本的にカメ埋め+αのコスト+リスクを引き換えに攻撃力を手に入れるようなもので、カメ埋めに対して完全に優位性があるとは言い難いです。

  • 島裏空母は戦争中は島裏から動かすことができないため、ポケットに出現した敵艦を処理することしか出来ないように思えるが他にどのような活用方法があるのか?
これはEsperma del ignorの戦略に関わるので言えないのですが、島裏空母は空母特化でこそ最も生かせると考えています(ほかの活用法を含め)。島裏空母は柔軟性がウリ、といいましたが、実は一般的な戦術と相性が悪いというのは、おそらく上記の対応策を見ていても感じられることだと思います。とはいえ、カメ埋めに比べ、現状(大和がいない)では致命的な欠陥がなく、それなりの利点があるので、ある程度の採用率があるのだと考えています。

  • 空母3隻(シュミ6機ホーク3機常時対空)+対潜2隻体制で回した場合、実質の維持費は620億円・54万t(うち航空機分420億円・6万トン)になりますよね…。カメ14隻で埋めた場合の維持費は350億円・35万トンですが。 島裏空母はこの上に二回攻撃の×5倍がかかる前提なので、食糧面はともかく資金面で負担が重くなり過ぎな気もします。
二回攻撃×5は大和の場合だけで済むでしょう。確かにカメ埋めに比べ、負担UPですが、その代わり敵艦を落とせるので、300億円*nターン+二回攻撃のコストは、艦艇種によりますが、それなりに見合ったものであると考えています。

…島裏空母は、カメ埋めに比べ、慎重な戦略設計が必要となります。自身の戦略との適合性を考えて導入することが良いでしょう。

「ホークの穴」問題

 本項を執筆後、さまざまな指摘をいただいたうち、オジマンディアス様より『航空機を発進するターンに派遣されたら処理順次第でその位置に敵艦が入り込む』という欠陥を指摘された。このことについて検討したい。
(執筆中)


シンギュラリティについて

 「1つ目のアイテムが発見される時点」をシンギュラリティと呼ぶ。また、「すべてのアイテムが出そろう時点」をネオシンギュラリティと呼ぶ。この項では、シンギュラリティ及びネオシンギュラリティの起こる時期について計算に基づき推測する。なぜ、このような推測が必要であるかと言えば、α海域におけるアイテム出現率および、移動率が減少しているためである。したがって、この推測を行うことによって、統一の実現可能性を検討することが出来る。

  • コイン問題による計算立式
 シンギュラリティ及びネオシンギュラリティの計算にあたっては、類似問題を設定した。
 「表になる確率がPnの硬貨を繰り返し投げ、表が出た場合、1点とし、裏が出た場合、0点とする。得点がk点に達したら終了することにする。ちょうどn回で終了する確率をQnとする。」
 というものである。この問題において、表が出た場合が、すなわちアイテム獲得判定が真となった場合であり、裏が出た場合は偽である場合である。硬貨を投げる試行は、怪獣退治時および残骸売却時、となる。この疑似問題において、k=1である場合が、シンギュラリティであり、k=14である場合が、ネオシンギュラリティである。
 詳細な計算内容に関しては、wikiに記載することは難しいため、省略するが、
 Pn=各ターンにおける、アイテム出現確率(怪獣出現率×アイテム獲得率) 
 Qn=(n-1)ターンまでに、k-1回表が出て、n-k回裏が出て、nターン目に表が出る確率
 として、計算を実施した。ここで問題となったのは、Pnが変動することである。Pnがどのように変動するのか、ということを考える必要があった。

  • Pnの計算
 Pnは、前述の通り、各ターンのアイテム出現確率である。これは、各ターンでの各島でのアイテム出現確率を合計したものである。しかし、各ターンの各島でのアイテム出現確率を求めるのは計算不可能であり、海域全体で考えることにする。
 Pn=(怪獣出現率)*(アイテム獲得率)
 (怪獣出現率)=(全海域の深海マス)*0.0003
 (アイテム獲得率)=(平均総獲得経験値)/1000000
である。深海マスに関しては、陸地マス90+平均艦艇保有数40を除いた270マスとして計算した(B.F.に関しては計算外)。また、島数は50で固定とした。では、平均総獲得経験値についてはどうするか。

  • 総獲得経験値の推定
 α海域においては、総獲得経験値は移動する性質があるため、計算での推測は不可能である。したがって、実績に基づいた近似式を導出し、それを利用することにした。6点(T1,150,510,672,720,733)の総獲得経験値の実績値を利用して、二次近似を行ったところ、以下の二次近似関数を得た。
 y=0.0034x^2+9.5407x-72.172
 これを利用して計算することとした。

 ※追記(T1000)
 実績値に基づき、上記の近似関数を修正した。
  y=0.0041x^2+9.0883x-50.039

 ※追記(T1300)
 この近似関数はT1300時点では誤差2%となっている。

  • シンギュラリティはT2700までに起こる
 これらの定数および変数のもと、Excel上で、上記疑似問題を解いた。結果、シンギュラリティに関して以下の2つの結論を得た。
 『シンギュラリティがT1097に起こる可能性が最も高い
 『シンギュラリティはT2698までに確実(99%)に起こる
 ただし、T1097に起こる可能性は0.07%程度であるから、最も高いといっても、確実性は全くない。しかし、意外にも、シンギュラリティは近々起こると考えられる。なお、T1097は2017年8月半ばである。T2698は、2018年5月ごろである。

  • ネオシンギュラリティは?
 ネオシンギュラリティの計算に関しては、シンギュラリティの計算に比べ、計算量が10^15程度増大する。シンギュラリティはExcel関数で簡単に導出が出来たが、ネオシンギュラリティはプログラムを書いて実行することになる。その結果、
 『全てのアイテムはT7300までに発見される
 という予想を得た。

T600の現状:過剰軍備状況

 α海域の現状(T600)として、過剰軍備が目立つ。とりわけ、中下位の過剰軍備はすさまじく、FPP(人口に対する維持食料)が人口150万あたりでは、1.7程度に達する。適正値が1.0であることから考えると、かなりの過剰軍備と言えるだろう。採掘基地や定置網の施設が存在するので、FPPは下位になるほど高まる傾向があるとはいえ、人口150万の島では100万トン近くを漁礁収入に依存していることになる。また、中下位になるほどFPPのばらつきが広がり、FPPが極端に高い島(2.5程度)と、低い島(0.8程度)に分かれることも特徴である。ミドル層(人口200万人程度)はFPPは1.5程度でばらつきは少なく、トップ層(300万人程度)では1.0程度と健全化する。

資源施設の重要性の拡大

 そのような過剰軍備の流れがある状況では、FPPの適正化へ向けた軍縮への舵は切りづらい。したがって、海域全体としてFPPが1.5程度を(実際の平均値は1.6であった)標準値とする傾向が生まれている。ゆえに、維持食料の1/3を漁礁収入に依存する島が多く、資源施設の重要性は非常に高い。

戦時戦略としての資源施設破壊

 かねてから、戦時の資源施設破壊は重要な要素を占めるものであったが、FPP=1.5状況では、その重要度はさらに拡大する。資源施設を破壊されれば、即座に収入は大幅なマイナスに陥ることになる。とりわけ、α海域ではホーク強化の影響から、資源施設が、ホークの攻撃に晒されるようになれば、確実に破壊されることになるわけで、FPP=1.5としている現状はあまり合理的とは考えられない。
 特に、端寄せの島であれば、外洋資源に関しては、守りたいのであれば、防衛施設を隣接させておくことが必須となる。その点で、ドロンバ・ダーリャで、植物のような島が、第一に集中攻撃を受けたことは必然であった。離れ小島を作り防衛施設を建てる島が多い0のも、α海域ならではの光景である。ホーク強化の影響が大きく影響しているとみるべきである。ホークに対し適正な戦略を採らない島はいずれ沈んでいくだろう。

  • 掘削による資源リセマラはできなくなってるんですがそれは -- 名無しさん (2017-06-11 15:11:44)
  • 情報ありがとうございます。訂正しました。 -- siz (2017-06-12 00:21:21)
  • シンギュラリティ計算…、後に「しずかの大予言」と語り継がれるものである -- 名無しさん (2017-06-19 01:06:26)
  • 島裏空母運用について 1.大和が島裏に出現した場合、2ターン以内の処理を期待できるが、生存された1ターンで島の重要区画に砲撃が行われた場合の被害に見合うものかどうか? 2.仮に15隻のカメレオンを空母3隻、航空機9機で埋めたとすると3隻分の出現ポイントが生じるが、大戦等で複数の艦艇が同時に出現し、攻撃目標が分散することへの対応は何が考えられるか? -- 雛 (2017-07-14 08:22:59)
  • 3.島裏の都合上、空母に隣接する海が2マスにしかないことも考えられるが、その場合は航空機を全ての発艦させるのは難しいのではないか?(航空機のランダム移動により発艦予定地に離陸済み航空機が滞在するなど) -- 雛 (2017-07-14 08:24:03)
  • 4.2回攻撃コマンドの利用は相手の派遣を確認してから行うため、深夜や早朝の派遣に弱いのではないか? -- 雛 (2017-07-14 08:24:59)
  • 5.敵の戦艦や巡洋艦などのHEX攻撃により航空機や空母が落とされ、敵艦の生存ターンが伸びることも考えられるが、その場合の対応はどのようなものを考えているか? -- 雛 (2017-07-14 08:25:32)
  • 6.潜水艦は島裏と島表のどちらに出現しても脅威度は変わらず、対潜型を配備すれば良いとあるが、その場合カメレオンの埋め込みよりも増加したコストに見合うだけの価値はあるのかどうか?(潜水艦の所有島が多いため、敵島を確認してから配備ではなく、常時配備の方がよろしいのではないか?) -- 雛 (2017-07-14 08:26:05)
  • 7.島裏空母は戦争中は島裏から動かすことができないため、ポケットに出現した敵艦を処理することしか出来ないように思えるが他にどのような活用方法があるのか? -- 雛 (2017-07-14 08:26:52)
  • 島裏空母、攻撃にも使えるしこの戦術の「再発見」は大きいと思うんですが、仮に上記事を参考に空母3隻(シュミ6機ホーク3機常時対空)+対潜2隻体制で回した場合、実質の維持費は620億円・54万t(うち航空機分420億円・6万トン)になりますよね…。カメ14隻で埋めた場合の維持費は350億円・35万トンですが。 島裏空母はこの上に二回攻撃の×5倍がかかる前提なので、食糧面はともかく資金面で負担が重くなり過ぎな気もします。 -- 王子駅 (2017-07-14 17:44:49)
  • すいません、上だとホーク2シュミ1の三機体制でしたね。シュミ2ホーク1で計算してました。まぁ大意は変わらないと思うので許してください。 -- 王子駅 (2017-07-14 17:52:51)
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箱庭において、歴史とは何か―Wiki執筆の心得―

 (長くて読めない人は、最後の一文だけ読んでください)
 現実世界における、「歴史」の捉え方については大まかに、二つの捉え方があるとされる。一つ目は、歴史を「世界が誕生しいままで起こった全ての事柄」とするものである。もしくは、世界の範囲をもう少し狭くして、「人類が誕生しいままで起こった全ての事柄」とすることもある。これは、神からの視点である。一方、より一般的に認識される(そして、より現実的な)歴史の定義が「起こった出来事を記述したもの」というものである。もう少し広くみれば、「いままでに何らかの形で残ったもの」が歴史の一部となり、残らなかったものは、歴史に入らないとする。人類が、この世界のあらゆる現象を観測し、記録しえないために、現実世界においては、歴史とは後者の意味で用いられる。詳しい事は歴史(wikipedia)でもみればよい。
 では、箱庭においてはどうであろうか。箱庭世界において、全ての出来事は、サーバーの内部でしか起こりえない。サーバーの内部程度であれば、人が全てを観察することは可能である。したがって、先ほどあげた歴史の定義において、前者の立場を採ることも可能である。あらゆる出来事をログというかたちで抽出すれば、プレイヤーは全てを知ることが可能である。
 もちろん、実際には、全ての出来事がログとして抽出されるわけではなく、プレイヤーは世界を内部から観察することを強制される。(それは、ゲーム性保持のためであるから、仕方がない。)けれども、現実世界に比べれば、プレイヤーの視点は、地上より少し高い。つまり、現実世界よりは世界は簡潔にとらえやすく、把握できる割合は圧倒的に高い。(あくまで割合であって、絶対的な量が多いわけではない。)したがって、歴史を書くことに際しては、前者と後者の中間的な立場から世界を見ることになる。これは、ある意味で、歴史にとっては利益をもたらすものである。
 歴史を記述するに当たって、まず「確実」なことと「不明瞭」なことを区別しなければならない。現実においては、「確実なこと」を定めることすら難しい。一方で、箱庭内部では、ログが絶対的な確実性を保持しつづける。つまり、ログをつなぎ合わせて歴史を記述すれば、それはなんら誤りのない絶対的な歴史となる。(ただし、それは世界の一部を記載したにすぎないが。)
 しかし、そうして生まれた歴史記述に、人は面白いとは感じない。箱庭において歴史を書くには、やはり、現実の歴史と同様に、「編集」しなければならない。ログから確認できる出来事のそれぞれを解釈し、文章の中に落とし込むことが必要である。では、現実のように、世界は一人一人異なって見えるのか?そうではない。プレイヤーはいわば神と人との中間的な視点から世界を見つめる事が出来る。つまり、プレイヤーはみな、一部の視野を共有している。それは、ログであり、観光者画面である。そして、それはプレイヤーだけでなく、箱庭を外から眺めるだけの傍観者にも共有されるものである。
 そもそも、歴史というのものは、多くの当事者の話を高次元化して、まとめたものである。箱庭プレイヤーの視点とは少し異なるが、歴史を読むことも、神と人との中間的な視点(少なくとも一個人からの視点に限定されることはないだろう)からである。箱庭は、それ疑似的に作り出すものであるともいえる。そう考えると、箱庭の内部では、出来事が起こっているが、プレイヤーの中では、歴史が起こっていると言える。プレイヤーは歴史を見る。そして、プレイヤー毎に、見る歴史が違う。しかし、その中に絶対的な共通項はある。
 従って、歴史、箱庭においての歴史とは主に戦史であるが、これを記述する際には、この共有される視野を十分に活かすことで、歴史をより明快にすることが可能である。箱庭で歴史を記述する者に求められるのは、その出来事を単に記録することではなく(現実世界では、不可能である。記録自体が人の手によって為される以上、そこには記載者の解釈が存在する。一方で、箱庭では、ログを写せば可能である。)、自らの見た歴史を文章化することである。つまり、自分の見たこと・感じたことをそのまま記述すれば、それが歴史である。

より具体的に、戦史について

 戦史をどう書くか、についての方針を示したいと思う。戦史を記述する際に必要なのは、第三者が見て分かる事である(さらには楽しめることである)。前述のように、見た事・感じた事をそのまま記述すれば歴史となるわけであるから、無理に各プレイヤーの記述する内容をまとめる必要はない。それは逆に歴史を解体する。
 より具体的に、例を上げてみる。私は参加していないし、見ていたわけでもないが、B海域大戦 ~Q・Cvs統一阻止連合~という戦史がある。この戦史の秀逸なところは、二人のプレイヤー視点での記載が、本記事とは別に用意されていることである。この二人のプレイヤー視点での記載は、記述が丁寧なこともあるが、エッセイ的な体裁で書かれている。これは、現実世界においての歴史記述をそのまま箱庭世界にあてはめたものであろう。つまり、プレイヤーの書くことは、あくまで個人体験記に過ぎず、「これが歴史だ!」と主張はできないと考えているからであろう。エッセイ形式でなく、堂々と「これが歴史だ!」と主張するかのように記載しても構わないと思われる。
 従って、各プレイヤーが自らの視点だけで戦史を記載する事は歓迎すべきことであるが、一方で、第三者からみて分からなければならない。そのためには、戦史を客観的に、簡潔にまとめた記載も必要である。つまり、戦史の作り方として、
 その1 各プレイヤーが個々人の視点から戦史を記載する。(これはページを分ける方がよく、誰が書いたのか分かるのがよいだろう。これを副記事とする)
 その2 各プレイヤーの戦史を回し見て、第三者からみて分かりやすい、また、中立的な戦史を作る。(これを本記事とする)
 その3 そうしてつくられた戦史に、その1で作られた個々人の戦史をひも付けする。
先ほど挙げたB海域大戦の例は、これを満たしている。(ただ、本記事の記述が、少し分かりにくいことは残念である。)
一方で、執筆者に文句を言うつもりはないが、たまたま見つけた残念な例として、CC海域大戦を挙げておこう。この記事では、副記事的な戦史を記載しようという試みが見られるが、失敗している。それは、「本記事」に相当する様な、第三者が見て分かりやすい記述が為されていないことや、さらに、異なる副記事の記述が混ざり合ってしまっている感じさえもつ。(無理にまとめようとしてしまったからだろう。)副記事をしっかりと分けるか、「本記事」の編纂が為されれば、好例となったのだが…。
 私も一部執筆している、ロードス戦争は、副記事のみで構成されているが、Esperma del haramによる記載部分が大まかな流れを追いつつ、当事者である神聖Sword、うなぎいぬ、パラキートが裏側的な補足をしている。現実的にはこのようなタイプが良いのかもしれない。本記事は流れを追うくらいにしておき、副記事の分量を増やすことで、執筆者の負担を分散する。また、執筆者を明記することで(客観的でないという)批判を免れえる。



ハラム帝国史

 ハラミレコードを参照のこと。本項では、歴史家としても有名なSIZUKAが、ハラム帝国史に関する、諸事項の意義を再検討する。

F海域特定保護条約の意義


 F海域特定保護条約(以下、FASTA)とは、ハラム帝国が提唱した、
  "海域内での無人化を阻止する"
 ことを約束した国際条約である。一般的に、この条約はF海域における初の国際条約であり、この条約は海域の安定化に貢献したとされる。この条約の骨子は以下の通りである。
  1.条約国には部分的には侵攻を認めるが、無人化は避けること
  2.無人化を図る戦争には軍事的に介入する
 この条約の周辺には、ハラム帝国の内政・軍事・外交政策のあらゆる革新が存在する。しばしば、FASTAは「安定」を目指した条約であると言われることがあるが、実際には安定どころか、「革新」を目指したものである。
 まず、FASTA成立までの経緯をたどる。
 ハラム帝国は大ハラーム主義(海域全体がハラームの下で一体であるという価値観)を掲げて、征服主義(敵対国を、外交でなく、戦争で屈服させる方針)を採っていた。しかし、これはBF全域を制圧し、継続的に圧倒的軍事力優位性を有することが前提であったため、T724に管理人なちゅらるによる「門戸開放宣言」が打ち出され、BFが定期的に消去されることになると、たちまち再検討を余儀なくされた。
 一方、共栄圏は、対覇大同盟以後に成立してから後、大ハラーム同盟がBFを制圧していたため、その代わりに、海域内の小国に盛んに侵攻した。BFで支配権を持たない共栄圏は、門戸開放の影響を受けず、逆に、ロードス島などを制圧していたために、門戸開放がなされると、大ハラーム同盟に対して圧倒的優位に立つことになった。
 ハラム帝国は、国防の安全上、自軍の勢力を維持する必要があったため、共栄圏が強大になる前に、ロードス島で資源分割を要求した。この際用いられたのが、"共存共栄"であり、これは共栄圏との直接対決を避けながら、自軍勢力の拡大を図るものであった。この時点では、未だ大ハラーム同盟と共栄圏の対立項が想定されていた。
 しかし茸島での海戦(トードストール戦争)においては、共栄圏が5島に留まらず、それ以上に拡大していることが判明する一方で、共栄圏に対抗しうる新勢力の台頭も見られた。それは、うなぎいぬ帝国周辺勢力であった。それまで、共栄圏との協調路線をとっていたうなぎいぬ帝国*2は、この戦争で共栄圏に対抗した。この戦争によって、主な対立軸は共栄圏とうなぎいぬ帝国勢力圏へと移動し、門戸開放以降、ハラム帝国は、同盟参加数でもこの2帝国に後れを取っていたため、この2帝国に対抗することが出来なくなっていた。
 その離脱を決定的にしたのがFASTAである。ハラム帝国は、共栄圏やうなぎいぬ帝国との対立関係から離脱し、それらを包含する新たな関係を打ち出した。これは「超共存圏」と呼ばれ、外交関係における革新となった。
 ハラム帝国は、征服主義の時代においても調和主義の時代においてそれぞれ、征服主義的介入主義(軍事的介入;対話無き介入)、調和主義的介入主義(外交介入;対話する介入)を取っていた。つまり、一貫して介入政策を維持しているわけであるが、これは他国から攻撃されるリスクを常に抱えている、ということに他ならない。また、介入が多少の摩擦を生むとともに、介入を成功させるためにはある程度の軍事力・経済力・継戦能力を誇示する必要があった。したがって、介入政策を維持している間は、防衛改造といった内政強化策を取りづらくなる。ここにハラム帝国は大きな矛盾を抱えていた。対覇大同盟以降、防衛網に脆弱さを抱えたまま改良することが出来ずにあったなかで、積極的な介入政策によって戦争勃発の危機を幾度と経験していた。しかし、FASTAによってハラム帝国の介入策は、3帝国に共有されることとなり、ハラム帝国の負担は軽減され、内政改革に乗り出すことが可能となった。この点でもFASTAは革新をもたらすこととなったのである。


トーナメント関連の考察


ごめん途中から観てない。決勝戦は観戦しようかな。

+ 1回戦~4回戦

四回戦の展望


  • シーフード島(410万) 対 翼島(240万)
 いずれの島も、三回戦を楽に勝ちぬいてきたが、シーフード島は多くを得たのに対して、翼島は最下位通過。120木曽などが揃うシーフード島に対し、端寄せの利はあるとはいえ、翼島は積極的に攻めなければ勝ち目がない。

  • INPUT_YOUR_NAME島(390万) 対 Nepthune島(250万)(なにもかめ諦め島)
 島の堅さは、Nepthune島が勝る。しかし、120大和を4隻保有するINPUT~島が、今度こそNepthune島の陸地壁を突破するか。一方攻めなければならないNepthune島の木曽12隻の艦隊を迎え撃つのは、やはり、木曽12隻である。軍事力では、ほとんどの点でINPUT~島に劣ってしまうが、接戦に持ち込めれば、勝利を掴めるはずだ。

  • USA島(340万) 対 オリョール軍管区でちでち島(290万)
 海防を20基も設置しているUSA島に、でち島は勝つために攻め入らなければならないが、幸い、海防のレベルは高くない。序盤に果敢に攻めて、早い段階で逆転しておきたいところか。一方ででち島の海防のレベルも高くないので、USA島も攻勢に出るだろう。

三回戦の感想


 不戦勝や圧勝によって勝ちぬいてきた島が主に三回戦に駒を進めた。二回戦において最後まで戦闘を行っていたのは12組中2組だけだ。三回戦では、どの島も錬度の上がった軍港を持ち、各地で接戦となることが予想された。しかし、三回戦も、白熱した戦闘があまりみられなかったことが残念である。

  • USA島(350万)◎-×淡藤島(140万) 
 淡藤島は、組み合わせ決定直前に都市の一部を地ならししてあえてUSA島との対戦を選んだ様子だった。1隻の120大和、3隻の120木曽をはじめとした強力な艦隊を保有するUSA島に対してどんな作戦を考えているのか注目していたが、アメ畜には勝てなかったよ…。長方形の芸術的な島は破壊しつくされ、焦土化された。もはや勝機が無いと悟ったのか、わずか37ターンで放棄した。3位通過。

  • シーフード島(320万)◎-×朝露の島(145万)
 ただでさえ人口差が大きいうえ、戦力的にも朝露の島の敗北は必至であった。結局117ターンで無人化された。シーフード島は、人口400万を突破し、首位通過。

  • ポッポ島(300万)×-◎翼島(200万)
 第二回戦で君と僕の島(葉月)との接戦を繰り広げた翼島は、トナメ参加中唯一の端寄せ型である。軍港壁が敵の侵入を阻む。戦力的には均衡していた。46ターン目にポッポ島が放棄してしまった。翼島は、十分に人口を得る事が出来ないまま終戦してしまい、最下位(6位)で通過することになってしまった。

  • 侵略する島される島(280万)×-◎INPUT_YOUR_NAME島(220万)
 十分挽回可能な人口差に収まる。特攻兵器を禁止し、両軍合わせて大和7隻に及ぶ大火力な一戦となった。INPUT~島が見事大逆転を演じ、114ターンで無人化。人口はプラス160万の380万で2位通過。

  • 南島(250万)×-○もうなにもかも諦め島(230万)
 最終盤まで勝負がもつれ込んだ一戦。もうなにもかも諦め島が、第2戦でのSIZUKA戦に続いて、接戦を制した。諦め島は、軍港壁の陸地バージョンである陸地壁を作り、奪った人口を簡単に流出させなかったことが勝因か。唯一大和なしで勝ち進んだ。南島も、一度逆転されるも再逆転するなど好戦した。結局人口はプラス20万に留まり、5位通過。

  • あかね色に染まる島(230万)×-○オリョール軍管区でちでち島(230万)
 均衡するかと予想していたが、わりと早い段階で、勝利が決着してしまった一戦。あかね色が途中から諦めてしまった。でち島は4位通過。

SIZUKAの素晴らしい戦い


第1戦 FIRST BATTLE VS KUN KYO-SO (SHIN-HAKUAI ISLAND OWNER)

 SIZUKAは戦い前夜に、お○ん○んランドに遊びに行った事を神にとがめられ、身ぐるみを剥がされた。全裸のまま戦場に向かう事になったSIZUKAは、戦闘開始直後からKYO-SOによる激しい攻撃を受ける。主力は麻耶・水雷。これにより、建造中の大和が攻撃にさらされ完成が大幅に遅れてしまう。資金食料難のため、SIZUKAは反撃に出られず、防戦一方のまま。
 しかし、第1波の攻撃を乗り切ると、SIZUKAは完成した大和を携えて攻撃に出るも、戦果の無いままあえなく帰還する。大和はその後本土に停留し、まさしく大和ホテル状態になっていた。
 このままでは負けてしまうとなったSIZUKAは終了まで10ターン頃に迫ると総攻撃をしかける。大和が猛烈に攻撃を開始し、ついに逆転に成功した。

第2戦 LAST BATTLE VS WRISCA (NANIMOKAMO AKIRAME ISLAND OWNER)

 KYO-SO戦のち、開発期間が120ターンだと思っていたSIZUKAは開発を急がず、新造艦の建造も始めなかった。そうしたら突然戦闘が始まった。戦闘開始直後、互いに様子見となると考えていたSIZUKAだったが、WRISCAは大胆にも先制攻撃をしかけてくる。しかしここでSIZUKA猛将は木曽2隻を海の藻屑とし、木曽偏重の風潮に疑問符を投げかけてやった。はずだった。
 反撃に出たSIZUKAであったが、敵本土は猛烈に堅く、大和はなすすべなく帰還することとなった。その後も木曽を主力とするWRISCA軍にいいようにやられ、気付いたら100万人差にも広がっていた。
 もはや瀕死となり、静かに死を待つほかなくなったSIZUKAはWRISCAと幸せなキスをして終了。

歴史上最大のミステリー・なぜSIZUKAは敗れたのか?


 第1戦で大和の圧倒的な火力を見せつけ、序盤の苦境から逆転したSIZUKA。しかし、つづく第2戦では大和は活躍の場を奪われ、その効果を発揮すること無く沈没した。なぜSIZUKAは負けなければならなかったのか?それは歴史の必然か、それとも――

 第1戦での勝利から間もなく、SIZUKAは本土防衛網の強化に乗り出した。SIZUKAの考えた防衛網は、いわゆる
  ”軍港凍土壁”
 とよばれるものである。この形の防衛網はかつてから良く見られるものであり、このトーナメントにおいても採用している島が多い。特にその中でも強力な軍港壁を保有しているのが、翼島である。(下画像)この軍港凍土壁とは、あの全く役に立たなかった凍土壁とは違って、役に立つのである!
 下の画像を見ていただこう。これはT424の翼島である。左下の島本体を覆うように軍港と陸地(防衛施設)で形成された壁が見えるだろう。これこそが、軍港凍土壁である!


 この軍港凍土壁の役割は、まさしく、外部からやってくる水を堰き止めるがごとく、外敵の侵入を阻むものである。特に、対地型駆逐艦は島本体と壁の間に入り込めない限り、壁の外側からの対地攻撃は不能となる*3。これはトーナメントの勝利条件が人口であることを考えればとても大きな利点となることが分かるだろう。同様にして、SIZUKAは、中央に島を配し、周辺を軍港凍土壁で囲むことにした。


 中央型ゆえに、全方向を囲むと、島本体の縁は対地駆逐艦の射程に収まるが、この時、SIZUKAは第1戦で圧倒的に攻め込まれたおかげで、島に埋め込まれていた海防はほとんどが経験値120になっていた。したがって、壁外部ギリギリから撃ち込まれた場合にも、ある程度は防衛してくれる、という算段があった。また、翼島と異なって、陸上防衛施設の代わりに海上防衛施設を採用しているのは、木曽を多数保有していたWRISCAに対応するためのものである。木曽級の高破壊力では軍港は1撃で破壊されることが危惧される。海防を設置することで攻撃目標を拡散させ、防衛網の持久力を高めたのである。
 しかし、この時点で既に大きな間違いをSIZUKAは犯していた。
 第1戦と第2戦の間の休戦期間(開発期間)が120ターンだと思っていたのである。

 したがって、本来60ターンで完了しなければいけない開発を120ターンで計算していた。そして、それに気づかぬまま50ターンが過ぎた。
 残り10ターンで始まることを雰囲気で感じとったSIZUKA、時すでに遅しであった。防衛網は部分的に未完成のまま開戦に至ることになった。さらに悪いことに、第1戦で喪失した艦艇の補充も、開発期間120ターンの計算の上で行う予定であったので、この時点で新造予定の艦艇は何一つ建造を開始していなかった。第1戦の序盤に、建造中の大和が散々攻撃されて20ターンほど工期を延長することになった。これは1兆円の損失と同等である。こうした形での損失を嫌がったSIZUKAは艦艇の新造を行わず(1~2隻は新造したが、予定よりははるかに少ない)、そのまま戦闘に突入することとなった。木曽級12隻をはじめとして多数艦艇を保有するWRISCAに対してSIZUKAは大和1、木曽3、駆逐艦8程度の戦力で対抗することになった。ただ救いは、相手が大和を保有していなかったことだった。

 大和の高破壊力に一縷の望みを託して、戦闘に突入した。当初、互いに様子見から始まると考えていたSIZUKA。なぜなら、愛は見つめ合う事から始まるから。
 そんなSIZUKAの恋慕もつゆしらず、WRISCAは開幕先制攻撃をかけてきやがった!ふぁ○く!
 しかし、この戦闘では軍港などが破壊されながらも木曽2隻を撃沈することに成功し、ダメージ半減コマンドを利用せずとも防衛網はある程度機能する事が示された。ここまでは良かった。しかし人口で劣るSIZUKAは攻めなければ勝利は無かった。SIZUKAは積極的な攻めを展開しなかったのだ。

 だが、そうはいってもSIZUKAが積極的な攻めを展開しなかったのを彼が臆病であったから、という理由だけで片付けることはできない。
 ところで、海戦における根本的な戦法として、
  • アクション戦法 (先撃)
  • リアクション戦法 (反撃)
 の二つが存在する。アクションとは、前もって行動する、すなわち先制攻撃、先手必勝を信条とする戦法である。一方でリアクションとは、相手の行動に反応して行動する戦法である。構造的にあらゆる戦術はこの2つの戦法のいずれかに属することになる。そして、このトーナメント、ひいては海戦全体に言えることだが、
  ”リアクション戦法が圧倒的に有利”
 なのである。より具体的な場面で言えば、
  ”防衛側が有利”
 と言う事も可能である。防衛行為自体がリアクションである故である。
 SIZUKAは第1戦において、緒戦での失敗が影響して、戦闘の中期ごろには人口で大きく差をつけられており、攻めなければ負ける場面であった。裏を返せば、KYO-SOはその状況で無理をして攻める必要はなかったのである。ただ、SIZUKAが攻めてくるのを見て、反撃すれば良かった。SIZUKAは大和を持っていたのでいつ逆転されるかわからない、という心理からか、時にSIZUKAの島へ攻め入ることがあった。これはSIZUKAにとっては幸いなことであった。その攻撃によって、SIZUKAは
  ”リアクション戦法を採る事ができた”
 からである。より有利に立つためのアクション戦法はこうした場面では不利に働くのである。

 第2戦もまた、人口で勝るWRISCAは攻める必要がなかったのに、緒戦から攻めを展開してきた。これはSIZUKAの心理に大きく作用した攻撃であった。
  ”今回もリアクション戦法を採る事ができる”
 こう考えたからこそ、SIZUKAはより果敢に攻めるべき場面でも攻めることを躊躇したのであった。そして結果的にそれは凶と出た。

 第1戦と大きく違った点は、敵本土が大和単艦では攻略できないほどの強度を持っていたことにある。さらに言えば、120軍港から発進するホークの攻撃力の高さは大和すら簡単に撃沈に追い込むものであった。こうした要素によって、SIZUKAはWRISCAが仕掛けた二,三度ほどの先制攻撃に対しての反撃で戦果を上げる事が出来なったのである。そして、そのチャンスを逸し、リアクション戦法に移行した―専守防衛に徹した―WRISCAを相手に人口で劣るSIZUKAが採れる戦法は、アクション戦法に限られたのである。しかし、SIZUKAはこれまでほとんどの場面でリアクション戦法ばかり採っていたために、アクション戦法のノウハウを全く持っていない。ただでさえ人口的にも軍事的にも劣るSIZUKAが勝利するのに必要な技術をSIZUKAは何一つ持っていなかったのである。
 したがって、二,三度のSIZUKAの攻撃もWRISCAにとっては防弾数を稼ぐ格好の機会にしかならなかった。WRISCAはあとはただ対地艦を派遣するだけで良かった。こうして為すすべなくSIZUKAは敗れ去ったのである。

艦隊編成の風潮<木曽偏重>

 T319現在で、21島が残っているが、艦隊編成についてそれらの平均値を取ってみると、
  • 軍港:18.4港(保有島数100%)
  • 海防:10.0港(95%) 保有島のみで計算すると10.5港
  • 霞級:7.10隻(90%) のみ、7.8隻
  • 空母:0.95隻(29%) のみ、3.3隻
  • 零式:1.38隻(43%) のみ、3.2隻
  • 金剛:0.10隻(10%) のみ、1.0隻
  • 麻耶:0.29隻(19%) のみ、1.5隻
  • 木曽:6.05隻(100%) 
  • 大和:1.29隻(76%) のみ、1.69隻
  • 維持費:2291億円 航空機保有数5機以内だと1859億円 18位以上だと2443億円
  • 維持食:286,2万トン 5機以内、253.3万トン 18位以上、302.1万トン
 以上のようになっている。また、特化(種別の維持食料が90万トン以上)の比率を出してみると、
  • 霞級特化(15隻以上)2島 最高23
  • 空母特化(8隻以上)なし 最高6
  • 零式特化(10隻以上) 1島 最高10
  • 金剛特化(4隻以上)なし 最高1
  • 麻耶特化(9隻以上)なし 最高2
  • 木曽特化(12隻以上)1島 最高14
  • 大和特化(2隻以上)7島 最高4
 なお、特化90万tの所以は、
  1/2{平均維持食料-60000(軍港+海防+採掘+定置の平均数)}≒900000
 に依る。つまり、施設群を除いた維持食料の半分以上を単一の艦種に振り分けている場合を特化と呼ぶことにしている。
 これらの情報をもとに考察されうることとして、まず、木曽偏重の傾向が強い、ということである。駆逐艦ですら保有していない島が存在する一方で、木曽は艦艇のなかでは唯一保有島が100%に到達している。一方で、木曽特化型は(10,11隻保有など惜しい所は有ったものの)1島に留まっている。つまり、木曽のみを単独で使用する事を避ける傾向も同時に存在している。これらは木曽型の高破壊力(これはメリットにしかならないだろう)を重宝する一方で、低耐久力(これはデメリットにしかならないだろう)を不安視している事の反映であろう(指摘の通り、木曽では勝利条件である人口を獲得する対地攻撃が出来ないということ一因である)。一方で利用率の少ないものは、金剛・麻耶で、共に平均0.5隻にとどかず、保有率は20%以下である。この2種は耐久はそこそこあるものの、破壊力・索敵・射程などが中途半端であり、運用に流動性を持たせにくいことが原因だろう。特に、金剛は対地に使えず、基本的に密集の少ない1対1の場面での艦艇に向けた絨毯爆撃は効果が薄いので、敬遠されたか。麻耶は単純に破壊力の問題で、防空なら防空駆逐艦、対艦なら木曽を選択された結果か。零式・空母も保有率は共に50%以下であるが、保有島のみでの平均保有数は3隻程度であり、割としっかりと利用されている。これら2種は利用するか否かはプレイヤーの戦略に依る所が大きく、これらは特別これといった理由があって選択されていないわけではなさそうである。大和は保有率も高めであり、保有島に限れば、1.7隻とほぼ2隻体制が主流となっている。大和は経験値が上がりやすく、対地の効果も大きいため、単艦で既に戦略レベルである。(2隻で特化になるレベル)さすがに4隻保有するのはやりすぎだが、2隻保有していればルーティーンで常に相手の島に攻撃を与えることが可能になるという判断だろうか。ただし、今後大和の保有数が増加する事はあまり期待できない。工期的に大和を建造すると言う事はつまり、戦闘に勝利することを確信しているからにほかならないからである(工期は120Tで、戦闘期間も同じ)。2回戦以上では、際どい戦闘が予想されるので、不戦勝や早くに決着がつくことがなければ建造に踏み切る事は難しい。つまり、現状2隻を保有出来ている島は優位に進められるだろう。
 維持費維持食料に関しては、人口平均が約185万人ということを考えれば、農工に半分ずつ分けるとすれば、鉱床に平均1366億円、漁礁に平均193.7万トンを期待していることとなる。枯渇がなく、経験値が120に到達している場合には、おおよそ鉱床は2基で2000~3000億、漁礁は200~300万トンを生産するので、十分維持可能であり、トーナメントながら、軍拡の傾向はさほど強くない。戦闘の概況を見るに、資源を狙っていく戦術があまり見られない(そもそも端寄せが少なく、狙いにくいこともあるが)ことから、多くの戦闘において互いに消耗戦を強いられる。ゆえに維持に余裕を持たせたいことが予測されうる。



3ターン更新に関する考察の成果


+ 過去検討内容
 海戦トーナメントで当初採用されていた3ターン更新海戦は、バグの発覚によって現在は実施されていない。トーナメント開催以前よりテストプレイをしていたということらしいが、何故このようなバグを見過ごしたのかは疑問が残る。バグの内容については後述する。なお、以下1ターン、一回、一度の三つの言葉を使い分けているのでその点を注意。

前置き


 今まで海戦といえば1ターン更新が暗黙の了解であったのか、複数ターン同時更新の海戦には出会った事がなかった。複数回更新は現在の箱庭海戦の事実上の基礎を為している箱庭海戦ver7.15にも搭載されているので、こうしたプレイについても開発者はある程度の価値を見出していたのであろう(それ以前の版については確認をしていないため言及しない。何か情報を持っている人が居れば、是非とも知らせてほしい。)。このような複数ターン同時更新に対しては反対論も散見されるのだが、セクシュアルセラピストの私はこの設定にはある程度納得している。
 さて、この設定の大きな利点として、
  • 可持続性
  • 高変動性
が挙げられる。海戦、特に戦争を目的としたトーナメントに対してはこの2つの要素は非常に重要である。hakojoy.netおよびその仕様の根幹をなぞる当サイトの仕様は、特に前者を強く意識しているものと考えうる。hakojoy.netに施された改造はあまりに多く、その全てに言及することは、たとえ開発者本人であっても難しいことであろう。しかしながら、それら積極的改造はある一定の指針に従っている。広いマップが好まれ、広大な島と巨大な艦隊を保有する事こそが海戦の面白さを引き出すと思われていた時代で、あえて艦隊の保有をシビアにさせた仕様―相対的な維持費の拡大、工期の設定、鉱床や漁礁など―は大量破壊ゲームと化していた他の箱庭海戦と一線を画し、逆に戦術の幅を拡大したと言えよう。さらに、五分箱庭などといった一つのゲームが終わりを迎えようかという時に見られるようなものとは比較して四時間という長い更新時間は、他の設定と相まってその事実より長く感じられた。しかしそれでも、私自身の変化だろうか、四時間ごとに確認せねばならないという義務は重みに感じてしまう。こうした心境に至っていた私にとっては、十二時間に一度で済む、ターンをまたいだ直前直後に確認すれば、一日一度で済むというのは非常に心理的に楽である。そしてそれは現実世界で様々な義務を負って生きている箱庭の民たちにとってもやはり同じようであったようだ。一方で、ゲームには変化を引き出す機構が欠かせないように、それをプレイヤーが担ってきた箱庭をはじめとする仮想的対人ゲームにおいては、プレイヤーが変化を生みださなくなってしまうと、それだけでゲームは半分死んでしまう。本サイトの海戦の設定はその点で大きな矛盾を抱えていた。箱庭海戦では戦争という形で表出するが、諸島間での大きな戦力的ギャップはその変化を遮る理由にはあまりにも十分である。hakojoy.netにおいてはおそらく初出のアイデアなのだろうが、移籍というシステムがその調整を図るために開発されたのだろう(移籍に関してはそれ以外にも重要な役割があるのだが、それは後述することとしておきたい。)。海域内の島自体が入れ換わることは変化のサイクルの中で潤滑油として働いている。話を戻せば、複数ターンを同時に更新するということはその分だけ戦闘機会が増加しているということである。従って、その経過を見る事は叶わないが、一回の更新で3ターンを含むことによってその分だけ戦況に変化が生じやすいのである。戦術ゲームとして箱庭を捉えているプレイヤーに取っては確かにこの3ターンの経過を見れないという事は致命的かもしれないが、逆にその3ターンを考察することによってより戦術的な深みを増せると考えられないだろうか。本項はそうした3ターン同時更新の戦術的な面を考察していくものである。上記では、本題から外れたいくつかの話題について示唆し非常に冗長な文となってしまったが、忙しい人のために、太字で重要点を強調しておいたので、許してほしい。

見えない3ターンの中に何を想像するか―完全不可視周回―


 とりあえず、トーナメントに参加していない人や事情に疎い人のため、また、この記事が活きて行くであろう未来に設定が変わっている可能性も高いので、仕様と設定についても随時指摘しながら論を進めていくことにする。設定を把握できている人にとっては不要な記述であるだろうから、斜体で記述しておくことにしよう。
 3ターン同時更新は、一回の更新で3ターン進むことであるが、その分三度の戦術的機会が与えられている(が、残念ながらそれをプレイヤーがどう利用するかを見る事はバグのために今回のトーナメントではほとんどできなかった。それゆえにこの論にはもとよりそれを証明する様ななにかがあるわけでなく机上の空論に過ぎない事を先に謝罪しておく)。それらを第一ターン、第二ターン、第三ターンと呼んで字数を省略しよう。しかし、その三度の戦術機会はそれぞれ違う顔を持っている。
 第一ターンは「予想のターン」である。更新前にきちんと自島を確認しているプレイヤーならば第一ターンは"予想"をするターンになるということだ。その一回前の第三ターンが終わった状況の自島と相手島を見比べて、相手がどういった攻撃もしくは防衛策を取るだろうか予想することになる。そして続く第二第三ターンで有利に進めるための手立てを打たねばならない。一方で第三ターンはその逆のことを考えれば、「反転のターン」になる。自島と相手島がそのターンが終了した状況を平等に見る事が出来るため、逆に次の更新の第一ターンの「予測」を反転させることになるだろう。第三ターンは、見る事が出来るということから、二つの「反転」が考えられる。一つ目は、戦闘の反転である。艦艇を移動させる場合、移動位置が直ぐに把握でき、ターンを無駄にすることが無いために、艦隊移動をするならば最も適したターンと言えるだろう。特に耐久力が低い艦艇を派遣しようという場合にはこのターン以外は悪手であると言わざるを得ない。もう一つは次の第一ターンを利用した戦術の反転である。第一ターンが予想のターンであるというのは前述のとおりであるが、相手の逆を突こうという際にはその予想を利用しない手はない。つまり、第三ターンにその後の戦術を示唆するかのような行動を行いながらも、次ターンにそれに基づく相手の予測の裏をかいて、優位性を確保しようということである。つまり、そう考えれば第三ターンも予想のターンとなりうるし、第一ターンもまた反転のターンとなるわけである。
 しかし、意外にも思えるかもしれないが、この3ターンの中で最も重要なのは第二ターンである。2ターン目はその前の更新を踏まえて対策が出来る第一ターンと、更新後に確認が出来る第三ターンとは異なって、完全に状況を予測する事が出来ない、いわば完全不可視周回である。この完全不可視周回をどう自らの戦術の中に組み込むことが出来るかどうかで、戦闘での優位性は大きく変わる。仮に第一ターンを反転のターン、つまり艦隊派遣しようという時には、第二ターンはこちらもその中身を見る事が出来ない代わりに相手も見る事が出来ないため、派遣位置が良かった場合には大きな被害を与える事が出来るだろう。一方逆にその更新回の3ターンは反転せずに現状を維持するのが良いと判断した場合には、相手側の第二ターンの使い方に気を付ける必要がある。相手が「反転」してきた場合に、何も対策していなければ大きな被害を受けてしまう可能性があるということだ。このように、戦況を決定する力をもっているのは第二ターンであり、この完全不可視周回を制圧しなければ一時的に優位であっても勝利を手にしたとは言えないのである。

完全制圧のための軍備


 軍備の話に移ろう。どのような艦艇が採用されているのかは下の表を見てほしい。軍艦以外の艦艇は省略した。参照するに当たって、索敵の順に並べかえた。今回のトーナメントでは艦艇の建造レベル制限は解除されており、これらは考慮の範囲外である。

艦種名 初期耐久力 破壊力 攻撃力 射程 工期(航続) 維持費 維持食料 攻撃
空・シュミット戦闘機 1 1 2 5 6T 40億 5000t 対空
艦・霞級駆逐艦(防空型) 15 1 2 3 16T 30億 60000t 対空
艦・麻耶級重巡洋艦 25 2 7 3 40T 60億 100000t 対空/対艦(艦砲)
空・ホーク攻撃機 2 4 4 1 5 60億 10000t 対艦(ミサイル)
艦・霞級駆逐艦(水雷型) 15 3 1 3 16T 30億 60000t 対艦(魚雷)
潜・零式潜水艦 8 5 1 2 24T 45億 90000t 対艦(魚雷)
艦・金剛級戦艦 30 4 7 4 48T 120億 240000t 対艦(艦砲)
艦・木曽級軽巡洋艦 15 5 1 6 30T 45億 75000t 対艦(魚雷)
艦・大和級巨大戦艦 50 6 7 5 120T 240億 480000t 対艦/対地(艦砲)
空・フォートレス爆撃機 2 1 7 4 12T 80億 10000t 対地
艦・霞級駆逐艦(対地型) 15 1 7 3 16T 30億 60000t 対地
艦・霞級駆逐艦(対潜型) 15 1 2 4 16T 30億 60000t 対潜
艦・ひゅうが級護衛空母 15 - - - 48T 60億 120000t 対空(シュミット)/対艦(ホーク)/対地(フォートレス)
艦・ミラー級イージス艦 15 - - - 96T 240億 480000t 艦隊防衛

 さて、この中で前述したような3ターン同時更新の特性に沿って力を発揮できるものはどれであろうか。3ターン同時更新の特性をおさらいしておくと、
 -第1ターン、第3ターンに「予測」と「反転」が存在する
 -完全不可視周回が存在する
 つまり、こうした3ターン同時更新の特性に従えば、"予測しやすく、反転しやすく、完全不可視周回で威力を発揮できるもの"こそが最も適した艦艇であると言える。では艦艇を順番に見て行こう。

霞級駆逐艦(お勧め度★★)

 霞級駆逐艦は4種類の艦艇種に派生し、改修することによってその間の装備を変換できることが最大の特徴だ。改修によって全ての攻撃に対応でき、運用のしやすさという点では最高の艦艇であると言えよう。1ターン更新の場合には十分主力艦として利用できるだろう。だからといって、3ターン同時更新の場合にも同じように当てはめる事は出来ない。この艦艇の最大の弱点はその対艦攻撃力の低さと耐久力にある。トーナメントにおいて、駆逐艦の艦艇経験値を上げることは難しく、経験値120の駆逐艦を保有できるのは決勝まで残ってどうだろうか、というレベルである。それゆえに、初期の破壊力の低い駆逐艦では艦隊攻撃においてはあまりその力を発揮できるとは思えない。それに、数を多く保有することになる駆逐艦の場合、経験値が分散しやすく、その分各艦の錬度は平均的に低下する。1対1という局地的なシチュエーションを考えれば、各艦の錬度の低さは少し懸念材料となる。その速力と数を利用すれば、防衛戦では十分に役立つだろう。耐久力が低いため、第二・第三ターンに予期せず沈没する可能性も高い。ただし、この艦艇は改修が3ターンであることから、第一ターンに改修を入れれば、第三ターンには改修が完了し、その次の回の第一ターンで「反転」に移る、ということも可能だ(たとえば、水雷から対地に変更して、相手島に奇襲をかける、などは効果があるだろう)。こうした事を考えれば、攻撃にもある程度の意外性を持たせることができ、相手を翻弄する道具としても利用できる。攻撃力と射程が低い分期待と実際のズレが少なく「予想」しやすい艦艇であるが、それは逆に相手にとっても対応しやすい艦艇である、ということになる。

零式潜水艦(お勧めできない)

 残念ながら、零式潜水艦に出番はないだろう。この艦艇の最大の弱点である耐久力はもはや致命的である。派遣時に機雷で沈没することも多々ある上、対潜型の射程に入ってしまうともはやどうしようもない。1ターン更新ならまめに移動するなりして手立てはあったが、3ターン同時更新ではもはや予想し切ることは不可能である。相手島に派遣する際には相手島に対潜型があるならば、予期せぬ沈没を免れるためには派遣のタイミングは第三ターンに限られる。しかしそれは相手にも対応の機会を与え、戦果を上げられぬまま姿を消すことになることも多い。特化はもとより、混成艦隊で組み込むことも、"相手に対潜型を強要する"ことにどれほどの意味があるかは分からないが(つまり、そうして配備された対潜型に沈められる結果となれば元の意味も危うい)、防衛時にも第一ターンなどに派遣された対潜型の射程に入れば軍港の付近でなければ予期せぬ沈没の危険性があるゆえに、なかなか難しい。ただ、経験値120などまで育てられれ"ば"非常に脅威となることは間違いない。

金剛級戦艦(お勧め度★★)

 大和に次ぐ高耐久を誇り、破壊力・射程も特に問題とならない艦艇である。高い耐久力を生かして防衛・攻撃の両面で活躍できる。特に防衛面では、軍港や基地類の代わりに相手の攻撃を受ける壁としての役割も期待できる。また攻撃面でもその絨毯爆撃の効果は絶大であり、他の艦艇との組み合わせによって重厚な敵防衛網の突破も可能である。3ターン特性にも相性が良く、資源破壊・敵艦追撃などで戦果を上げることが期待できる。

木曽級軽巡洋艦(お勧め度★★)

 全艦艇中最長射程を持ち、防衛が出来ない高い破壊力を持った水雷攻撃を仕掛けることが出来るために、対艦戦・資源破壊では強力に思われる。しかし、過ぎたるは及ばざるがごとし、というように、その長射程があだとなってターゲットを絞りにくく、耐久力が低いために、近接戦闘ではあまりその力を発揮できないまま姿を消さざるを得ない。長射程は3ターン特性が活きる大きな利点であるが、その分低耐久力という3ターン特性に合わない欠点を持ち合わせた諸刃の剣である。長射程であるために第一ターンに艦隊移動しても、おそらく敵艦のいずれかを射程に入れるだろうから、「予想・反転」の作戦は立てやすい。ただし敵艦の射程内に移動すると、耐久力が低く、3ターンの間に大きなダメージを負ってしまうこともありうる。攻撃面では扱いに気を付ける必要がある。ただし、防衛面では非常に有用な艦艇である。

大和級巨大戦艦(お勧め度★★★)

 耐久力と長射程を持ち、3ターン特性に最も適合している艦艇である。大和級を保有するかどうかで戦術戦略に幅が出てくるだろう。高い維持費と長い工期はネックであり、開発初期からこの艦艇を準備する事は厳しいかもしれないが、利点を考えれば少し無理をしてでも保有したほうが良いと思えるはずである。
 この艦艇の最も強力な点は単艦でも敵陣内に侵入することが可能であるという点である。資源破壊などにも活用できる破壊力を持っており、破壊完了まで敵の攻撃を耐えられる耐久力も持っている。1対1の戦争では資源も特に重要な要素であり、相手を困窮に追い込むことで大きく優位に立てる。高い耐久力を活かして、どのタイミングでも派遣が可能であり、第一ターンに派遣すれば運が良ければ第三ターンまでになにか戦果を上げるかもしれない、と十分期待出来る。

とまあここまで書いたところで、3T設定案はなくなったので洋ナシ。おいしい。


御意見お待ちしています。コメントする際は名前を明記してもらえると対応しやすいです。

  • 長い -- 炒飯 (2014-09-29 00:36:17)
  • セクシュアルピラフニスト、まで呼んだ -- ヲ級 (2014-09-29 03:28:38)
  • すばらしいですね。ただ潜水艦の部分は私は個人的にはちょっと納得できませんでしたが。零式ちゃんが脳内変換でロリの時点で使わないわけにはいかないでしょうに。零式ちゃんかわいいよ零式ちゃん -- ののの (2014-10-03 08:58:28)
  • 分かりやすくて、勉強になります!続きお願いします~>< -- シロ (2014-10-03 22:56:34)
  • 木曾特化が低耐久を不安視をしているという所でちょっと違和感が。トナメの勝利条件上(特に下位の島は)対地攻撃が必須であり、ただ単に対地を持たない木曾の特化では勝利に繋がらないということが理由だと考えています。耐久の不安視が原因であれば、金剛が多少なりとも使われると思うのですが、実際の使用率は最低クラスです。(データの中では霞はひとくくりになっているのでパッと見ですが)対地霞と大和の使用率が高いのも考えると、むしろ勝利条件との兼ね合いでこの程度の特化率に落ち着いていると考えるのですが、セクハラセラピストであるしずかさんのお考えを伺いたいです。 -- 葉月っち (2014-11-13 23:57:18)
  • 初建設的意見謝謝!Your point of view is very good! -- SIZUKA (2014-11-14 00:00:41)
  • 言われると、確かに木曽級だけでの特化は勝利に直結せず、対地艦を保有する必要性があることは同意できます。不思議なのは、木曽特化で相手陣営を突破して、フォトで爆撃しようと考えるプレイヤーが少ない事ですね。 -- SIZUKA (2014-11-14 00:06:11)
  • また、おそらく金剛は攻撃効率の低さ(絨毯があんま意味ない、防衛されること)が使用率を下げていると思われます。耐久の求めるプレイヤーはその分大和を採用したのでしょうか。 -- SIZUKA (2014-11-14 00:09:07)
  • フォトの存在素で忘れてたとか言えない・・・木曾特化+フォトだと攻撃時に対地のかなめであるフォトが操作出来ない不便さが嫌気されている気がしますね。 -- 葉月っち (2014-11-14 00:18:50)
  • また、航空機は操作できないと言えども、防衛時だと比較的デメリットを感じにくいため、同じ航空機で高破壊力の対艦ダメをだせ、使い勝手のよいホーク+対地艦で攻める方が安定しそうな気がします。個人的な考えではありますが。 -- 葉月っち (2014-11-14 00:23:37)
  • ↑勘違いされそうなので訂正。「使い勝手の良いホークで守り、操艦出来る対地艦で攻める」ということで。後、大和に関しては対地艦であり高耐久なので、外から動機を予想するのは難しそうですね。耐久だけを考えれば、大和1隻と金剛2隻が同じコストであり、索敵の分散や単純な合計耐久の高さも考えると後者を選びそうだと考えますが、それを踏まえても無視出来ない攻撃能力の低さですからね・・・。 -- 葉月っち (2014-11-14 00:28:49)
  • 確かに僕も対地攻撃はフォトよりかは対地艦を利用していますね。やはり、撃墜されると金額的にダメージが大きく、効率もそれほど高くならないことが難点ですね。 -- SIZUKA (2014-11-14 17:03:32)
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最終更新:2017年10月09日 22:43

*1 ISSI,国際セクシュアルセラピスト協会,の認定を受けたセラピスト

*2 ロードス島介入の頃、うなぎいぬ帝国は共栄圏にハラム帝国攻撃をけしかけていたことが、神聖sword帝国の発表により判明している

*3 対地駆逐艦の射程は3HEX