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連載 - 女装少年と愉快な都市伝説-17

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匿名ユーザー

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とある組織の通話録2


 やあ。
 私だよ、私。
 道中、君に色々考えは聞かせてもらったが……ここで逆に質問だ。

 君は―――最愛の人が奪われた時、どうするかね?

 故人を偲ぶ?
 ただ哭き伏せる?
 罵声を浴びせる?
 自らも後を追う?
 犯人の更正を信じる?
 敢えて殺人者を赦す?
 赦さず罪を背負わせる?
 それとも―――復讐する?

 そのどれもが正しく、そして間違ってもいる。
 それはそうだ。人の心の問題に、唯一つの正解など無いのだから。

 だがね―――その答えは、それを導き出したその本人にとっては、絶対唯一の正解と成り得るのだよ。

 例えば、"後を追う"という選択。
 死後の世界を信じる者にとっては、きっと―――それは喪った者と再会出来る、夢のようなものなのだろう。
 例えば、"赦す"という選択。
 真に強い者は相手を赦すことが出来るというし……何より"赦す"という行為は、罪の意識によって罰を求める相手にとっては―――いつまでも続く永遠の地獄に、叩き落とされるようなものだからね。
 そして―――例えば、"復讐"という選択。
 これに関しては、言うまでも無いだろうね。
 私も君も彼も彼女も………それをようく知っている筈だ。
 敢えて言うとするならば、"そんなことを故人は望んでいない"などという、よくある陳腐な台詞についてかな?
 "復讐"という下らない行為に、"故人の意思"なんていう高尚なものは、何の関わりも無いのだからね。
 では、何故復讐なんかをするのか?
 その問いに答えるのは簡単だよ。
 それは単純で陳腐で愚劣でどうしようもない、しかしだからこそ純粋な感情―――ただ"自分がやりたいから"という、その心に従った結果だ。
 そこに"故人の意思"なんてものが入り込む余地は無い。
 ただ赦せないから、喪った悲しみが癒せないから、その痛みを相手にも味あわせたいから―――復讐なんてものは結局のところ、そんな理由で実行されるものなのだよ。

 ―――とまあ長々と語ったが、ようするに、"最愛の人を喪った時、そこには様々な選択肢がある"……ということが言いたかっただけなんだ、これは。
 …まあまあ、焦らない。ここから本題に入っていくのだから。

 これが誰かわからなくともそんなことは些細なこと、そこまで重要でもないしね。
 まず、彼女だ。
 彼女の場合は復讐を終えた後………決して満たされることのない心を満たすため、その復讐相手の仲間にまで敵意を向け、殺戮していった。
 次に、彼だ。
 彼は復讐が永遠に果たされなくなったのを知って絶望の底へと墜ちた後………その復讐を夢見つつも、最愛の人のことを生涯心に刻むことを誓った。
 その次に、君だ。
 君は何に復讐すべきかも解らないままに、その力を手に入れ………"力こそが全て"と、そう信仰するに至った。
 そして、最後に私だ。
 私は、"私達"は、最初から復讐等というものは考えなかった。
 勿論、相手の事は憎かったし…今でも憎いさ。
 しかし、そんなものはどうでもよかった。
 ……いや、違うな。
 私達にとっては、"この世のありとあらゆる全てのもの"がどうでもいいんだ。
 愛するものは家族だけ。
 それ以外は―――善だろうが悪だろうが命だろうが絆だろうが平和だろうが戦争だろうが、世界の理ですらも―――どうなろうが知ったこっちゃあ、ない。
 だから"私達"はそれを求める。
 それ―――則ち、『意図した都市伝説を、意図した形で作り上げる』方法を、ね。
 そして―――娘を甦らせる。
 それによって世界がどうなるかなんか知ったことか。
 私達夫婦は、ただ―――かけがえのない娘をまたこの手に抱ければ、それでいいのだから。


 ……成る程、"狂っている"、ね………。
 …くく、ふふふ……アハハハハはハハハはハハハハハハはハハッ、クフはははハハハハはハハはハハハハハはハハハ!!!
 いいね、実にいい!
 自らの狂気を自覚し、そしてそれを認めているものにとって、"狂っている"とは最高の誉め言葉だよ!
 どうだい、君も?
 私達にたっっっぷりと絶望を味あわせてくれたとびきり阿婆擦れのクソ運命の女神様に、そろそろ反撃といこうじゃないか!
 一世一代の大勝負!
 掛け金(チップ)は自身の命と世界!
 敗けることなんてあり得ない、何故ならこの賭けの期限(リミット)は、私達が諦める時までなのだから!
 さあ、今まで溜まりに溜まった借金(ツケ)を、共に世界に払わせようじゃあないか!



 ―――………そうか、残念だよ。
 君ならば解ってくれるかと思っていたが……いや…新しい生きる道を、君は見つけたのか。
 ならば無理強いはすまい。
 ただ、君が先に進んだことを祝福しよう。

 で、どうする気だい?
 ……ふむ、私達を止める…かね?
 いやまあ、そんな覚悟を決めたところ悪いのだが………"私達"は"私達"として、 『メンバー』の目的と活動は嘘ではないよ?
 いや、本当だ本当。
 何かノリで相当ヤバいことまで言ってしまったが―――いやまあ、まごうことなき本心でもあるわけなんだが―――信じてくれていい。
 私としてはどうでもいいんだがね、生前娘が言っていたんだよ。
 ―――"私はこの世界が好きだ"と、そう、ね。
 だから私は、この世界のことを気にかけざるをえないわけだ。
 来たるべき日に、娘を悲しませたくないからね。
 ああ、ついでに言っておくが、別の『メンバー』の構成員に言っても無駄だよ。
 これらのことを知った上で、更に利用する為に行動している輩やらなんやらが多いからね―――我が息子も含めて、だが。
 『メンバー』という組織は、一枚岩には程遠い。
 それぞれに科せられた任務なんてのは……そうだね、言うなれば"ノルマ"のようなものだよ。
 その"ノルマ"さえこなしてしまえば、後は自らの目的の為に行動すればいい。
 ―――まあ、その行動の結果、自分自身が何処かの誰かの"ノルマ"になる可能性もあるわけだがね。


 ―――さあ、この話はここまでだ。
 学校町に着いたんだろう? ならば適当に行動してくれ。
 …ああ、あと、もしかしたらもう一人そちらに行ってもらうかもしれない。
 その辺りは適当に匙加減でいくからね、よろしく頼むよ?

 ……じゃあ、さよならだ。
 君の新たな道の先に、輝かしい未来が待っている事を、非力ながら祈らせてもらうよ。
 ん、ワタシのことなんてどうでもいいんじゃないのか、って?
 ははは。
 どうでもいいとはいえ、気に入った相手にはそれなりに情は移るものなのだよ。
 そのあたりはまあ、アレだな。
 狂人の理論、狂人の気まぐれだと思ってもらえればそれでいい。
 ―――それでは。

プッ、ツー、ツー、ツー……………………




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