「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 悪魔の少女-03

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悪魔の少女 03


AM3.00 学校町西区

一人の少女が歩いていた。
また、少女の後には、二人の男がいた。片方は警備員風の男、もう片方はサラリーマン風の男。
少女が夜の散歩の護衛として、悪魔を憑けた男達である。ちなみに、彼等の財布は既に空だ。
「ん~、廃工場しかなくてつまんないな。」
そう呟く少女だったが、すぐに奇妙なものを見つけた。それは、こんな時間、こんな場所にいる自分以外の少女だった。
その少女は、高校生ぐらいで、右手に包丁、左手にクマのぬいぐるみを持っていた。
「あら、あなたが一人目の犠牲者のようですね。しかし、いきなり契約者と出会うとは思っていませんでした。
 ……ん?よく見たら外人さん?こっちの言葉通じてます?」
「通じてるよ。で?なに?いきなり。」
「ふふっ。少し人を殺してみようと思ったんです。では、殺されてください。」
そう言って少女は、右手の包丁をぬいぐるみに刺した。
ザワリ、と周囲の気配が変わる。電柱の陰から、塀の向こうから、路地裏から、様々なぬいぐるみや人形が姿を現した。
そして、その手にはそれぞれ包丁や鋏が握られているかの様にくっついていた。

「さあ、かくれんぼを始めましょう。」

警備員風の男が駆け出し、少女を捕らえようとする。だが、既に前には大量のぬいぐるみ達。方向転換しようと立ち止まった瞬間、左右からぬいぐるみ達が飛び掛かった。
警備員の男が襲われている隙に、その横をサラリーマン風の男が走り出そうとする。
しかし、気が付けば彼も何体ものぬいぐるみに取り囲まれていた。
「囮なんか無駄ですよ。その子達は、私とぬいぐるみ以外の生物をそれぞれランダムに狙うんですから。
 一人だけ前にでていても、後に下がっていても皆平等に襲われるんです。わかります?おねーさん。」
そう言う少女は、ぬいぐるみ達の攻撃を器用によけ続ける悪魔憑きの少女を見た。
運がいいのか、彼女を攻撃しているぬいぐるみは数体しかおらず、その殆どが男達を襲っていた。
これは、少女の都市伝説「ひとりかくれんぼ」が発動後は自動で動く為、自分で狙いを定める事が出来ないという短所の為であった。
少女は、人間ではないと思っていたとはいえ、男達がいまだにやられない事に驚いたが、
契約者の女には疲れだしているのを見て勝利を確信した。
だが、少女は気付いてしまう。もはや負けるのは時間の問題のはずの相手が笑っている事に。

「おい、お前。このぬいぐるみ共をとめないと…………その首、切るぞ」

私は家族全員で夕食を食べた記憶がない。父も母も仕事が忙しく、滅多に家にいないからだ。
その事に罪悪感を感じているのか、両親はたまに会うと私を甘やかす。
学校の先生も私を叱らない。私の家からの寄付金が莫大な額になっているらしい。
誰も私を叱らない。でもこれは良くない。漫画やドラマでは、甘やかされた子供はたいてい嫌な奴だ。そんな奴にはなりたくない。だから、叱られないと。
でも、誰も私を叱らない。遅刻しても、テストのできが悪くても、万引きしても、クラスメートをいじめても。
だから、思い付くなかで一番悪い事をしようと思った。殺人を、しようと思った。
まさか、他の契約者と出会うとは思わなかったけれど、契約者だって人だ。かまわない。
勝てると思ったし、勝ったと思った。でも、その人は笑って、言った。
「おい、お前。このぬいぐるみ共をとめないと…………その首、切るぞ」
その時、後ろから私の首に冷たい金属が押し付けられるのを感じた。直感的に、ナイフだと思った。
言われるままに、「ひとりかくれんぼ」を終了する。目だけ動かし、後を見ようとするとそこには、私のウサギのぬいぐるみがいた。
何故?混乱する私にその人は言った。
「お前と他のぬいぐるみは襲わない。そう言ったのはお前だ。便利な事に、私の能力は人以外にも効果があるんだよ。」
その人はゆっくりとこちらに歩き出した。
「さて、こんな時間に外を出歩く悪い子には、お仕置きしなきゃな。」
恐い、恐い、恐い、いったい何をされるのだろうか。あぁ、でも……この人は、私を叱ってくれるのか……。


ちなみに、私の首に押し付けられた物が、ナイフでも包丁でもなく、ただのホテルの部屋鍵だと知るのはかなり後の事である。



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