…カラン、と
店内に、黒服の男が入り込んだ
黒服は、迷う事無く、その男性が座っている席に向かう
店内に、黒服の男が入り込んだ
黒服は、迷う事無く、その男性が座っている席に向かう
「…やっと、会えたな」
男が、黒服にそう声をかける
黒服は、男を見つめ…窺うように、口を開く
黒服は、男を見つめ…窺うように、口を開く
「…私の存在に、気づいていたのですね」
「大体は。詳しくは知らんかったが…この間、弟が「蝦蟇の油」とか言うので傷を治しているのを見て核心した」
「大体は。詳しくは知らんかったが…この間、弟が「蝦蟇の油」とか言うので傷を治しているのを見て核心した」
タバコに火をつけようとして…
…店内が禁煙だった事を思い出し、タバコを仕舞う
まったく、世知辛い世の中になったものだ
…店内が禁煙だった事を思い出し、タバコを仕舞う
まったく、世知辛い世の中になったものだ
「……あいつは、俺にお前たちのことを知らせようとしていなかった」
「あなたを、巻き込みたくないのですよ、彼は……「組織」などと言う、そんな存在に」
「あんたも、その「組織」の一員なんだろ?」
「…私は、はぐれ者ですから。「組織」が真っ当な存在ではない自覚はあります」
「あなたを、巻き込みたくないのですよ、彼は……「組織」などと言う、そんな存在に」
「あんたも、その「組織」の一員なんだろ?」
「…私は、はぐれ者ですから。「組織」が真っ当な存在ではない自覚はあります」
小さく、ため息をつく黒服
どこか困ったように、続けてくる
どこか困ったように、続けてくる
「…私とあなたが接触しました事は、弟さんにはご内密に。「組織」の人間があなたや、あなたの教え子に関わる事すら、彼は嫌いますから」
「…全く」
「…全く」
男は、深々とため息をついた
そこまで、過保護になる必要はないというのに
そこまで、過保護になる必要はないというのに
「…それと引き換えに、あいつは「組織」とやらの仕事をしている、という事か」
「……あまり、汚い仕事はさせたくないのですが」
「あぁ、それはありがたい」
「……あまり、汚い仕事はさせたくないのですが」
「あぁ、それはありがたい」
じろり
男は、真正面から黒服を睨み付けた
はっきりとした、殺意交じりの眼差し
それが、黒服を真正面から射抜く
男は、真正面から黒服を睨み付けた
はっきりとした、殺意交じりの眼差し
それが、黒服を真正面から射抜く
「……あいつの身に、何かあってみろ。俺は容赦しない」
「…善処させていただきます」
「…善処させていただきます」
黒服は、そう言って小さく頭を下げた
男とて、この黒服に言っても仕方ないであろう事はわかっている
恐らくは、この黒服よりも上の存在次第であろうから
…しかし
牽制する事に、意味がない訳ではない
男とて、この黒服に言っても仕方ないであろう事はわかっている
恐らくは、この黒服よりも上の存在次第であろうから
…しかし
牽制する事に、意味がない訳ではない
「…話は、それだけだ」
話を打ち切り、立ち上がる
男はそのまま、自分が頼んでいたコーヒーの代金を払い、店を後にした
男はそのまま、自分が頼んでいたコーヒーの代金を払い、店を後にした
「…………はぁ」
黒服は、小さくため息をついた
…双子の兄弟
姿かたちこそ似ているが、中身は全く別だと思っていた
しかし…
…双子の兄弟
姿かたちこそ似ているが、中身は全く別だと思っていた
しかし…
「…中身まで、そっくりだったとは」
考えように、よっては
あのヤンデレブラコンよりも…あの兄の方が、よほど厄介だ
むしろ、普段から堂々とあの危険さを表している弟の方が、まだ可愛げがある
内面に牙を隠し、ギリギリまでそれを現さない兄の方が……ずっとずっと、危険だ
あのヤンデレブラコンよりも…あの兄の方が、よほど厄介だ
むしろ、普段から堂々とあの危険さを表している弟の方が、まだ可愛げがある
内面に牙を隠し、ギリギリまでそれを現さない兄の方が……ずっとずっと、危険だ
だからと言って、自分が監視するわけにはいかない
「骨を溶かすコーラ」と契約している青年が「組織」に協力する条件は、あの兄に関わらない事
…自分が、それを破る訳には行かないのだ
自分だけじゃなくとも、「組織」の人間があの兄に関わる訳にはいかない
……ある意味、狂犬を首輪なしで放置しているような状態である
まったく、頭が痛い
「骨を溶かすコーラ」と契約している青年が「組織」に協力する条件は、あの兄に関わらない事
…自分が、それを破る訳には行かないのだ
自分だけじゃなくとも、「組織」の人間があの兄に関わる訳にはいかない
……ある意味、狂犬を首輪なしで放置しているような状態である
まったく、頭が痛い
まったく、何故、自分が担当した都市伝説契約者は、身内まで厄介な人物なのか
胃痛を覚え、黒服は大きく、大きくため息をつき、己の不運を呪ったのだった
胃痛を覚え、黒服は大きく、大きくため息をつき、己の不運を呪ったのだった