「…ヒッヒッヒッ…まだ誰も、私が薬を持ってることに気づいてないようだねぇ…」
緑色の液体の入ったビンをつまみながら、ロン毛ババアは呟く。
緑色の液体の入ったビンをつまみながら、ロン毛ババアは呟く。
まぁ情報を回していないというのもあるし、自分が見ただけで女体化の被害者であると特定できないので売りつけることもできない。
「…ま、この薬が効くかは分からんがのぉ…とりあえず売らねば材料の元がとれん」
そう言って婆さんがビニル袋の中から、緑色のラジオのようなものを取り出し、そのスイッチを入れる。
そう言って婆さんがビニル袋の中から、緑色のラジオのようなものを取り出し、そのスイッチを入れる。
しばらくして…遠くのほうから、何かが飛んでくる。
「よんだのだ?お婆さん」スタッ
真っ赤な風船が運んできたものは…緑色の全身タイツに身をまとった小さなおじさん。
「夜中に呼んですまんの、チンちゃん」「いえいえ、お婆さんが御用とあればいつどこでも飛んで行くのだ」
彼は、ノミ沢と同種の『小さいおっさん』であり、ノミ沢の『三十歳まで童貞だったら魔法使いになれる』の上位種。
何歳だったかは忘れたが童貞で居続けると妖精になれるとか何とか…
…彼は何か妖精をはき違えているような気がしないでもないが…
何歳だったかは忘れたが童貞で居続けると妖精になれるとか何とか…
…彼は何か妖精をはき違えているような気がしないでもないが…
「最近何やらまっどなんたらとかいう者が男を女に変えとるじゃろ?その解毒剤について情報を流してほしいんじゃ」
「なるほど。そんなこと、妖精さんの僕にはお安い御用なのだ!…ただ一つ条件があるのだ」
「なるほど。そんなこと、妖精さんの僕にはお安い御用なのだ!…ただ一つ条件があるのだ」
チンさんが不敵な笑みを浮かべる。
「いつものアレ、用意してくれなのだ」「…そう来ると思ったわい、ホレ」
婆さんが取り出したものは……口に出すのも恥ずかしいタイトルの本であった。しかも三冊ほど。
「おぉ!これは完全初回生産限定の『(自主規制)』セットではないか!流石婆さんなのだ!これで文句はないのだ!じゃ、行ってくるのだ~」
「あ、ちょっと待っとくれ」
風船を膨らまし飛び立とうとしたチンさんを婆さんが止める。
「あ、ちょっと待っとくれ」
風船を膨らまし飛び立とうとしたチンさんを婆さんが止める。
「…もぅ、何なのだ?」「あんまり多くの者には話さんどいてくれ。まわりすぎてまっどなんたらのところに回ってしもうたら私が危険じゃ」
それにあまりに回しすぎて在庫切れとかなったら薬を持つ者たちの奪い合いが起こりかねん。最近の若者は血気盛んじゃからのぉ…
それにあまりに回しすぎて在庫切れとかなったら薬を持つ者たちの奪い合いが起こりかねん。最近の若者は血気盛んじゃからのぉ…
「わかったのだ!…じゃあ『組織』とかのごく一部の人たちに、情報を回してくるのだ~!くるりん~~ぱっ!」
「…さて、忙しくなるかのぉ…ヒッヒッヒッ…」
赤い風船の見送りを終えた婆さんは、怪しげな笑い声をあげながら夜の闇に消えていった……
赤い風船の見送りを終えた婆さんは、怪しげな笑い声をあげながら夜の闇に消えていった……