「あー。暇だ暇だー」
「首塚」が抑えているラブホテルの一室に、一人。厨二病。
「全く…ホモの野郎もコアラ少年も最近ほとんどこっちこねーし…」
なんでもあのチャラ男は最近黒服とあと一人と同棲を始めたとか…そりゃこっちに来ねーよな…
なんでもあのチャラ男は最近黒服とあと一人と同棲を始めたとか…そりゃこっちに来ねーよな…
この町も物騒になってきたものだ。
今話題沸騰中のマッドガッサー一味に、支配型のコークロア。
コーラは別にどうでもいいとして、正直女にされるのはいろいろとまずい。ホモ野郎馬鹿にしづらくなるし。
”疾風の風走り”とかで見つからないようにするのはできるが、探査系の能力者が一味の中にいたらすごく厄介だ。
今話題沸騰中のマッドガッサー一味に、支配型のコークロア。
コーラは別にどうでもいいとして、正直女にされるのはいろいろとまずい。ホモ野郎馬鹿にしづらくなるし。
”疾風の風走り”とかで見つからないようにするのはできるが、探査系の能力者が一味の中にいたらすごく厄介だ。
そんなわけで、三日ほどこの部屋にこもりっぱなしなのだ。
「……こんだけ暇なのは…奴が死んで以来か」
「……こんだけ暇なのは…奴が死んで以来か」
日付とかは正確に覚えていない。少なくとも俺が首塚の組織に入る前…
俺は『厨二病』の名に恥じないくらいに、アホだった。とにかく、都市伝説を追い求め、敵意があろうとなかろうと、戦って潰す毎日。
自分の能力は最強だ。そう思い込んで、あらゆる都市伝説を見つけては潰し、見つけては潰しを繰り返していた。
俺は『厨二病』の名に恥じないくらいに、アホだった。とにかく、都市伝説を追い求め、敵意があろうとなかろうと、戦って潰す毎日。
自分の能力は最強だ。そう思い込んで、あらゆる都市伝説を見つけては潰し、見つけては潰しを繰り返していた。
そんなある日、俺と同じ能力を持つ奴の噂を聞いた。
血気盛んだった俺は、そいつのところへと押しかけ、強制的に戦いを始めた。
血気盛んだった俺は、そいつのところへと押しかけ、強制的に戦いを始めた。
負けたさ。ズタボロにな。
奴の技は、とにかく意味不明に強いものばかりだった。奴が何をやってるかも分からずに、俺は氷漬けにされたんだったか。
あれから俺は、寝ても覚めてもやつを打ち負かすための技を考えてたっけな。
んでもって何回も戦ったっけな…結局最後の1回しか勝てなかったけど。
そこまで戦ってるうちに…友情とかいう陳腐な言葉でしか言い表せないものは生まれるもんなのかねぇ…
んでもって何回も戦ったっけな…結局最後の1回しか勝てなかったけど。
そこまで戦ってるうちに…友情とかいう陳腐な言葉でしか言い表せないものは生まれるもんなのかねぇ…
戦友(とも)であり、好敵手(ライバル)なんつー関係になったかな。
初めて、親友と呼べる奴ができた…そう思ったさ。
でも、あの日。奴は俺を置いていった。
あの日…俺が初めて奴に勝った日……奴は、どこか寂しげだった。
そんな奴に、俺は気づいてたか気づいてなかったか覚えてないが、何も言ってやらなかった。
また今度逢う日だけを約束して。
そんな奴に、俺は気づいてたか気づいてなかったか覚えてないが、何も言ってやらなかった。
また今度逢う日だけを約束して。
…その夜。
何となく胸騒ぎがして、久々に夜の見回りに出かけた。
その夜は満月がきれいで、ついつい民家の屋根に座ってボーっと月を眺めてたっけな。
そんなとき、俺の脳に直接…奴の声が響いてきた。
その夜は満月がきれいで、ついつい民家の屋根に座ってボーっと月を眺めてたっけな。
そんなとき、俺の脳に直接…奴の声が響いてきた。
「……サラバネ、ニッポンの厨二病…」
それは奴の技の一つ”ジェミニ・テレパシンクロ”によるものだった。
”ジェミニ・テレパシンクロ”とは、設定した相手へどこにいてもテレパシーでメッセージが送れるものだ。
”ジェミニ・テレパシンクロ”とは、設定した相手へどこにいてもテレパシーでメッセージが送れるものだ。
俺はその時、別れのあいさつの、意味が分からなかった。
だから、とにかく奴を探し回った。”疾風の風走り”と”鳳凰の千里眼”で。
そして、俺の目がとらえたもの…それは……
そして、俺の目がとらえたもの…それは……
「奴」に*される、奴の姿。
俺は、その現場に大急ぎで向かった。が…遅かった。
俺が行った時には、奴はすでに息が無かった。
俺は悔やんださ。奴が死んだことを。奴に別れの言葉も何も言えなかったことを。奴と共に戦ってやれなかったことを。
「懐かしいな…」
奴が死んでから、俺は昔の俺とほぼ変わらなくなっていた。
進学もせずに、ただただ町を見まわって、都市伝説を探しては、潰してたっけな。
そこには、最強だとか正義だとかそういう考えはなかったけどな。全ては、奴への懺悔と弔いのため…そんな考えしかなかったかな。
奴が死んでから、俺は昔の俺とほぼ変わらなくなっていた。
進学もせずに、ただただ町を見まわって、都市伝説を探しては、潰してたっけな。
そこには、最強だとか正義だとかそういう考えはなかったけどな。全ては、奴への懺悔と弔いのため…そんな考えしかなかったかな。
そしてそんなある日、将門様に出会ったんだっけな。
あの方の復讐の念は、俺なんかよりもはるかに上だった。そんな思いに魅入られた俺は、あの方の下で戦うことを決めた。
あの方の復讐の念は、俺なんかよりもはるかに上だった。そんな思いに魅入られた俺は、あの方の下で戦うことを決めた。
「…全く、何もかも懐かしいぜ…何もかも、な」
そう、何もかも。
奴にあったのも、奴が死んだのも、奴を殺した奴への復讐を胸に誓ったのも。
久方ぶりに仲間と呼べる存在ができたことも、この町に大量の契約者がいるというのを知ったのも。
創造の厨二病が掘られたのも、コアラ少年からのささやかな幸せも、祭りでの射的対決も。
夢の国が進行してきたのも、戦いの後の宴も…
久方ぶりに仲間と呼べる存在ができたことも、この町に大量の契約者がいるというのを知ったのも。
創造の厨二病が掘られたのも、コアラ少年からのささやかな幸せも、祭りでの射的対決も。
夢の国が進行してきたのも、戦いの後の宴も…
何もかもが懐かしく思える。まるではるか昔のことのように感じられる…
「…いかんいかん、何感傷的になってんだ俺は。俺のガラじゃねぇっつうの」
自分の頭を一発叩き、自らに突っ込みを入れる。
自分の頭を一発叩き、自らに突っ込みを入れる。
「なんか気を紛らわさねば……まぁ…ここも、俺の家みたいなもんだからな…掃除でもするか」
寝転がっていた体を起こし、それほど広くないこの部屋を掃除することにした。
寝転がっていた体を起こし、それほど広くないこの部屋を掃除することにした。
「うあ、このパン賞味期限切れてやがる…晩飯にする前に見つけてよかった」
「…何で冷凍庫からボールギャグが…まぁ元々ラブホだから仕方ねぇか…いやでも意味わかんねぇよな…」
ゴソゴソ「あ、鏡台の裏に隠すようにエロ本が置いてある。これはあのチャラ男のものに違いない!」
……
「…う~む、流石巨乳好き。胸でかいのばっかだな…」
「…これ、借りものじゃね?チャラ男はこういうの見なさそうだし…コアラ少年かね…?」
「あ、袋あった……げ!?一か月近く延滞してんじゃねーか!?…俺が持ってかなきゃならんのか…?」
「…こんなもんでも、暇つぶしにはなるだろ」ピッ
……
「…さすがはジ○リ…感動させるねぇ」グスッ
「……めんどくせぇけど…返さにゃならんよなぁ……たまには外に出らねばな、うん。後食料も買い足さねば。流石にちょっとだから厄介事には巻き込まれんだろう…」