「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 「辺境」-02

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「辺境」 02


前回までのあらすじ

「災厄を招く彗星」と契約した青年が猟銃持ってビルの屋上に立て篭もりました。
不眠症で下半身不能の後輩(黒服I)の知り合いと一緒に、俺こと黒服Mが
この状況をどうしようかどうしましょうと慌てています。
みなさん、どうしましょう?


22:30 辺湖市「旧村」 商社ビル 屋上


オッス、オレオレ。黒服Mです。
モテカワスリムの愛されボディ。
ヒョロくてへっぽこな後輩I(以下、へっぽこ)が厄介シゴト持ってきてー
アタシと後輩の知り合いが、事態の収容に当たってるんだけどー
何つーか、ちょいヤバ気、なカンジィ?
てか、アタシってばヤサシ→ へっぽこのヤツ、チョ→きんも→☆

「ってンな事ぁ、どォでもいいンだよ……」
屋上へ続く非常階段で相変わらず這いつくばっている俺と地元の協力者。
少々デンパが飛来したのでとりあえず溜息をついてみた。

『ブリコルール!』
「る、る……ルーマニア!」
『アニマル!』
「おのれまた『る』か……。る、流罪!」
『インテグラル!』
「お、おのれ……」

俺の横に居る、へっぽこの知り合いという男が始めた
「とりあえずしりとりでもして、『彼』を落ち着かせよう作戦」が功を奏し、
何とか対話の機会は生まれた。
状況を見るに、先刻より幾分かは青年の方も落ち着いてきているみたいだ。
地元の協力者の方は、「る」で返されてばかりで苦戦しているようだが。

「都市伝説と契約したばかりの能力者は、力の制御ができずに力を暴走させる危険性がある」
というのは、真に正しい。
先程までの精神不安定な『彼』であれば、
何かの拍子に彗星を発現させる可能性は十分にあっただろう。

そもそも『彼』は何故これほどまでに精神不安定であったのか。
何故猟銃などを持ってこのビルの屋上に立て篭もったのか。
2時間ほど前からの必死の説得の末、『彼』がぽつりぽつりと話し始めた内容を総合し、
ようやく、『彼』のおおよその事情を掴むに至った。

『彼』――この青年は、大学の3回生だった。
ずっと片思いだったという同じ学科の女の子とようやく恋人になり、
就職活動の末にどうにか正社員として内定を貰う事もできて、
花のキャンパスライフとやらを周囲に遅れて謳歌し始めた頃。

就職先から突如連絡があり、内定を取り消されたらしい。
この世知辛いご時世、ありふれた話ではある。
そして悪い事は重なるようで、その日のうちに彼女が寝取られている事を知ってしまう。
寝取った男に二度と俺達に近づくなと告げられ、手向かったものの完膚なきまでに殴られ。
男の後ろに隠れるようにしていた元・彼女の姿は、
奇しくも、幼い頃過労で父親が死んだ直後に
自分を捨てるようにして駆け落ちしていった母親と重なるものがあったという。

なんというステレオタイプ。御涙頂戴な話とはまさにこの事だろう。

そして、問題は今日の昼過ぎに起こる。
茫然自失で魂の抜け殻のように「新町」を彷徨っていた『彼』は、
突如不思議な青年に行き遇ったのだという。
暇なのなら楽しませろ――。そう言って「契約書」を渡してきたらしい。
この出し抜けな状況に、『彼』は考えるでもなく「契約書」を受け取ってしまい、
――契約が成立してしまった。
その瞬間に『彼』は、幾つかの、断片的な知識を「知った」。
気づくと青年は居なくなっており、その替わりに、前方に黒服が立ってこちらを見ているのを見止めたのだという。
恐らく、この前方の黒服というが、後輩であるへっぽこの事なのだろう。

『彼』は「知って」しまっていた。
『組織』に捕えられたらならば、命は無いと。
それ故にパニック状態となり、その場から逃げだしたという。
成程、そうであれば、へっぽこの言っていた「異常に怯えた様子」「奇声をあげながら、逃走した」
という状況にも合点がいく。
彼が猟銃を手にしたのも、『組織』の刺客に対する自衛の為からだったようだ。
因みに、この猟銃は元々父親の所有物だったもので、唯一の形見らしい。

正直なところ、『彼』の状況に関して、興味はない。
むしろ、俺は『組織』の一構成員として、『彼』に「契約書」を手渡したという謎の青年にかなりの興味をもった。
何故、『彼』に「契約書」を譲渡したか。
その動機は? そもそも何処で「契約書」を入手したのか? 背景には何らかの勢力があるのか?
しかし、それ以上に――俺はこの話を、『彼』の語る話の中に現れる『組織』についてを、
『組織』の構成員どもに聞かせてやりたかった。

『組織』というものは悪役だ。『組織』に目をつけられたら最後、
従えば飼殺され、従わぬなら「消され」る。――結局そんなイメージが罷り通っている。
「保護」なんて言葉は所詮御題目でしかない。『組織』の周縁に居ればソレが嫌でも目に入る。

「『組織』に捕えられたならば、命は無い」

『組織』はそんな『組織』でない、とどれだけ声を大にして言えるだろうか。
この問いを俺が発したとしても、結局は、『組織』の黒服である俺自身にも降りかかってくる。
勿論、『組織』をより良いものであってほしいと願い、行動する黒服のいる事は知っている。

だが。俺やへっぽこ、上司の"ヴァイオレット"は、「辺境」は。
『組織』の状況を良くしよう、などという考えは。とうに投げ捨てた。


「ッたく、へっぽこのヤツも"ヴァイオレット"さんも何処に行っちまったんだ?
 電話にも出ねえし。あ、アレか。俺に全部押し付けようって魂胆か畜生。
 ああクソ早く猟銃捨ててこっちに来てくんねえかなあの青年。
 おでん奢ってやるから、早く馬鹿な真似は止めてだな……」


さあ、『組織』のク*ったれども。
俺を監視しているのだろう? 『イルミナティ』の目が怖くとも、辺湖に居る俺達を監視しているのだろう?
「災厄を招く彗星」の能力者を、『彼』を捕えに来てみろよ。
監視しているのだろう? 早く来いよ。怖いのか?
"首輪"のシステムで、俺達を消してみろ。不要因子なら、「辺境」に3人ばかり居るんだよ。
どうした? たかだか「構成員」風情、「消す」のは造作ないのだろう?


『アロマオイル!』
「ええと、る、る、る。る、ルンバ!」
『バイリンガル!』
「る、る、る、る、る、るり色プリンセス!」
『スクランブル!』
「なあ頼むよ、金渡すから広辞苑買って来てもらえないか?」
「……今の時間に開いてる本屋ってあるのかよ……?」




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