「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

〝其れはとある求血姫の一日(夜)〟

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一日は、残酷に廻る。
例え其処に幸福があろうと。
例え其処に寂寥があろうと。
例え其処に虚無があろうと。
其れでも一日は、残酷に、廻る。

紅い少女は、何処からともなく現れて。
血の盃を掲げ――、ゆらりと嗤うのだ。



†其れはとある求血姫の一日(夜)――Bloody Mary



「……ええと。此処が、〝ディルチ〟で相違ないようですね。」
「都市伝説……本当なのでしょうか。」

今宵――この街〝ディルチ〟に訪れたのは、修道服に身を包んだ、一人の女性だった。
白い車を路肩――其処に在ったのは、血の跡――に止め、一つ溜息を吐く。

『この街の何処かに車を止めると、〝血塗れ女〟を見る羽目になる』――。
其れが、この街の都市伝説。
だが、女性の知る〝其れ〟は――……より踏み込んだ物だった。

「〝この街には、沢山の捨てられた子供が居る〟……。」
「……こんな、危険な街に?」

〝血塗れ女〟を見た者は、一人たりとも帰ってきてはいない。
其れは――つまり、全て殺されたという事だ。
――狂気的な殺人鬼の塒と、捨て子たちの安息の地。
其の二つが、この狭い街で、矛盾する事なく共存している――この女性には、信じ難い事だった。

だから――確かめに来たのだ。

「……、あ。」

だが。
……どうやら、〝捨て子たちの安息の地〟は存在するらしい。
其の証拠に――彼女の目の前に、小さな女の子が現れた。

「……ほんとう、だったんですね。」

がちゃり、ドアを開けて外へ出て。
感心するような声は、白い靄となって、寒空に融けるように消えた。
ちょっとクセのある銀髪に、真っ赤な瞳。……何処か人形のような――浮世離れした印象を受ける、小さな小さな少女。
ふらり、花の咲いたような笑みを見せ、女性に対峙する。

「……教会の者です。貴方〝たち〟を、引き取りに来ました。」
「一緒に――来て下さい。」

少女に向けて、伸ばした右手。
其れを――銀の少女は一笑に付し、手を弾く。

「……如何して、ですか?」
「こんな街に――貴方たちの幸せはありませんよ?」

再び掛けられる言葉に、少女の返答は無く。
まるで嘲笑うかのように、まるで見下すかのごとく、少女は射抜く視線を投げかけた。
女性は僅か気圧され、其れでも。

「ね、……一緒に、来ましょう?」

包み込むような優しげな声色に、返される言葉は――何処までも。

――〝What's(何が)〟

「……?」

――〝What's so Maria(何が、聖女だ)〟

「な――――――――ッッ!!」

何処までも、冷たく。
其れでいて、襲撃は烈火の如く。
地が爆ぜ、黒閃が襲い、ぞぷり、ざくり、女性の肌を切り裂いてゆく。

そうして宙に血の華が咲き、刹那の内に散華してゆく。

……砲火が収まると、水を打ったような静寂が其の場を満たす。
じり、少女が僅かに後退する音さえ、街中に響き渡るかのようで。

そう、攻撃した少女が後退する程。
異常だった。
この女性は――この攻撃を受けて尚、笑っていたのだ。

「……ふ、ふふ。そうですか。そうなんですか。」
「貴女が――〝血塗れ女〟という訳ですか。」
「仕方ないですね――なら。」

嗚呼、先程までとは違う〝冷たい笑顔〟で――……。

「〝血塗れ女<アナタ>〟を殺して、子供たちを救います!」

轟――――と。
不意に街を包んだのは、破壊音と〝ナニカ〟の炸裂の余波だった。

俄かに街がざわめく。
静寂は――喧騒へ。喧騒は、闘諍へ。闘諍は殺戮へ。

がたり、かちゃり、と歯車は回り。
今この街は、戦場と化した。


手ごたえは無かった。
危険を察知する能力には長けていたのか――〝血塗れ女〟は、何処へと消えていたのだ。
女性は僅かに、口惜しげな表情を見せる。

(都市伝説の一つ――〝聖書によって、チェルノブイリ原発事故は予測されていた〟)
(契約によって得た能力は――〝ニガヨモギを代償とし、指向性を持った炸裂を起こす〟)
(……〝血塗れ女〟の能力は?)

……そう、分からない。
全くと言って良いほど――分からないのだ。
缶が爆弾になる事もあれば、謎の力で身体が爆発する事もある。
そうかと思えば――先程のように、地面からの攻撃が来る事もあるのだ。
共通する事といえば――……。

(――炸裂。)
(私と同系統の能力――でしょうか。)
(いや、でも〝都市伝説〟の内容に、そんな事は含まれない……。)

ともかく。奴の予測不能の攻撃を掻い潜り、此方の爆破攻撃を入れる必要があるのだ。
バッグに入っている〝ニガヨモギ〟には限りがあるのだから……無駄遣いは出来ない。

――そんな事を考えていた所為か。
ふわり。
近くの建物の屋根から、〝缶〟が降って来た事に気付くのが――僅かに遅れた。

「――ッ!」

ひゅ、と〝ニガヨモギ〟の枝を向け、女性は砲撃する。
先と同じ轟という音が周囲を満たし――建物の屋根の其の一角、そして缶を、跡形も無く消し飛ばす。

だが――缶を投げたであろう人物を仕留めた気配は、一向に無かった。

(……おかしいですね。)
(缶を投げた人物が居る筈ですが――誰も居なかった。)
(……弱い爆発で飛ばした……?でも、間違って爆発が連鎖してしまったら。)
(――やはり、解せない能力です。)

す、と。
静かに女性は――瞑目する。

揺蕩う静寂に紛れて、彼の者の気配は。攻撃は。
――さあ、来るが良い、と。
女性は、身構えるのだった。

――ひゅん。
空を切る音が、一つ。

「……!!」

反射的に飛び退き、枝を向ける。
だが――女性の目の前から飛んできて、地面にぶつかったのは、ウイスキーのボトル。
其れは一瞬で割れ、中に入っていた液体を撒き散らす。

(……からかっているのですか。)
(いや……!)

不可思議な表情を見せる女性の、其の下に。
ビンを口火としたように――〝血塗れ女〟が、踏み込んできた。
だが――、余りに、無防備ではないか。
見かけは唯の少女。手にはナイフが一本。防具を持っている訳でも、何でもない。
今、手に持っている全ての〝ニガヨモギ〟を使って、無理矢理突破――してしまえば?

少女へと真っ直ぐに向けた枝に。
其の少女がたじろぐ様子は――無かった。

「――――食らい、なさいッ!!」

轟――――――、炸裂。
空間其の物さえ火薬としたように、炸裂は飲み込み、食らい、巻き込み、爆ぜる。
其の爆裂は、建物を消し飛ばし、道を削り、空を穿つ。
反動は女の身体を吹き飛ばし――背後の建物へと、叩き付けた。

(……くっ、……でも、……。)

其処には誰も居なかった。
ただ――蒼い空が、目の前に広がっているばかりであった。

そう――。

『〝神様<ウエ>〟ばかり見てるから、〝底辺<シタ>〟の私達に、気付かないんだ。』
『何も――知らないんだ。』

――地面に這いずる少女に、足を掴まれていた事さえ――気付かなかったのだ。
当然だ。あまりに膨大な反動は、女性の感覚を悉く麻痺させてしまっていたのだから。

(……どう、して。)
(――!!)

女性が見たのは、僅かな地面の隆起。
〝反動で砲撃がズレたのではなく、地面への爆発によって僅かにズラされていた〟……?
……足元に転がる少女は、既に血だらけで。
正に、〝血塗れ女<ブラッディ・マリー>〟と呼ぶに、相応しい――。

だが。

「――これで……!」

少女も、自分も、読み違えていた。
〝葉の一枚で、威力が弱くとも砲撃をする事ができる〟――まさか、手中に一枚残っているとは思わなかったのだ。
呆然と、見上げる少女。発光する葉。
――其の、葉は。

何処からの射撃によって、吹き飛ばされた。

「……!?」

弾き、散る葉の向こう。
――女性が、最期に見たのは。

(あ……。)
(――こ、ども……!?)

刹那。
女性の身体は――足元の〝血塗れ女〟が刺したナイフの変形によって、〝十字に貫かれた〟――。


夜。
其処に立っていたのは、十字架に掛けられたかのように死んでいた――ひとりの女性だった。
十字架に寄りかかっていたのは、真紅に染まった〝血塗れ女〟……。

彼女は、メモを見つけた。
女性のカバンに入っていたメモには――〝血塗れ女の能力:炸裂の一種か〟と書かれていた。

少女は一つ哂うと、其れを破り捨てた。

†其れはとある求血姫の一日(夜)――Bloody Mary†
――To be continued

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