「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - ある赤マントの最後

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kemono

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だれでも歓迎! 編集
 さぁさ、夜の始まりだ
 都市伝説たちの時間だよ
 日が暮れ出したら都市伝説の時間に近づいている証拠
 とっぷり、暗ぁい闇夜になれば
 それは都市伝説の時間なのさ

 さぁさ、坊や達
 お家に篭ってないで出ておいで
 一緒に、面白おかしく遊ぼうじゃあないか

 怖くなんかないよ?
 すこぉし、おじさんの言う事を聞いてくれればいい
 なぁに、簡単さ

 おじさんは、ね、ある「色」を見たいんだよ
 その色を見せてくれればいい




 真っ赤な、真っ赤な




 …血の色を、ね

 さぁさ、だから逃げないで
 血の色を見せておくれ
 君の流す血の色を
 このマントよりも、赤い、赤ぁい、血の色を

 どうして逃げるんだい?
 なぁに、大丈夫
 そう簡単には死にはしない
 血の色を、たくさん
 たくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさん
 たぁくさん、見せて欲しいから
 だから、そう簡単には死なせないよ
 だから、大丈夫
 安心して、血を流しておくれ

 学校なんかに逃げ込んで
 大人に助けを求めるつもりかい?
 無駄さ、こんな時間に、人が残っているものか
 本来、目標とすべき獲物よりは、すこぉし、年上だが
 その分、血の綺麗さでは負けるかもしれないけれど
 でも、君はきっと、素敵な血の色を見せてくれるはず

 さぁ、逃げないで
 抗っておくれ
 今までの獲物たちのように
 素敵に抗ってくれたまえ

 逃げ惑うだけではなく、抵抗するがいい
 そうしてもがく相手が流す血こそ美しい

 さぁさ、見せてくれ
 苦しみもがく姿を
 悲鳴をあげる姿を
 逃げないで、立ち向かっておくれ

 人間の見せる、最後の命の炎を
 どうか、どうか、見せておくれ

 可哀想な赤マント
 赤マントは気付かない
 どうして、少年が逃げるのか

 可哀想な赤マント
 赤マントは気付かない
 少年が、ただ逃げているだけではない事を

 可哀想な赤マント
 赤マントは気付いていない
 少年が、赤マントを誘い込んでいる事に


 …可哀想な、可哀想な赤マント
 赤マントは気付かない、気付いていない、気付けない
 この、少年が


 …都市伝説と、契約している事に




 女子トイレに駆け込んだ少年
 赤マントに立ち向かう意思を見せた
 赤マントは気付かない

 少年が、女子トイレをテリトリーとする、都市伝説と契約している事に

 少年が立っているのは、入り口から数えて三番目の、トイレの前
 こんこんこん
 少年が、トイレの戸をノックした、その音が…まるで、己が死刑台に登っていく音に、聞こえたのは
 赤マントが、とうとう気付いたから

 自分ははめられたのだと言う、その事実に


「花子さんっ!」
「は~ぁいっ!」

 ばぁん!!と
 トイレの個室から飛び出してきたのは、一人の少女
 おかっぱ頭に、白いブラウス、吊りスカートの少女
 凶悪な笑みを浮かべてくるその相手を、赤マントは知っていた

 トイレの花子さん
 全国、どこにでも存在する都市伝説
 ゆえに、学校に出没する都市伝説、及び、女子トイレをテリトリーとする都市伝説で…最強クラス
 赤マントとて、都市伝説としては非常にポピュラーな存在であり、口裂け女や人面犬と並んで強大な存在であるという自覚はあった

 だが、場所が悪い
 相手が悪い
 ここは、女子トイレ
 すなわち、花子さんのテリトリー

 人間と契約した都市伝説 
 その都市伝説が、己のテリトリー内で戦うとしたら

 …その力は、如何程か?


「おじさんなんてだ~っい嫌い!死んじゃえっ!」

 無邪気にそう言って、花子さんはその力を発動させた

 己に迫ってくる激流を、赤マントはまるで他人事のように見詰めていた

(………あぁ)

 自分は、ここで消えるのか
 ただ、他人事のように、そう思って

 もっともっと
 たくさんの血を見たかったな

 もっと、もっと、もっと
 このマントを、真っ赤な血で染めたかったな

 そんな事を考えながら、赤マントは激流に飲み込まれ
 都市伝説としての、長いのか短いのか、よくわからない生涯を……閉じた





 可哀想な赤マント
 花子さんに負けちゃった
 可哀想な赤マント

 …本当に死んじゃった?
 本当に消えちゃった?

 それは誰にもわからない
 だって、赤マントはどこにでも「い」る

 だって、みんなが噂する
 赤マントはいるんだよ、って
 夕暮れ時に、子供に声をかけてきて
 真っ赤な真っ赤なマントを身につけ現れて
 真っ赤な返り血に染まる為に、人を殺して回っているんだよ、って

 だから、赤マントはどこにでもいる
 消えちゃった、可哀想な赤マント
 でも、赤マントはまたきっと現れるよ


 みんながうわさし続ける限り
 赤マントは、またきっと現れて

 その身を血に染め、恐怖の都市伝説として君臨するんだよ?



fin





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