「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - Tさん-14e

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「転移を封じたくらいでいい気になるなよ、若造がっ!」
 際限のないパレードが次々空間内から、空気から湧きだすように現れる。その数は、
「げ」
「いっぱいなの」
 これまでの比ではなく、行進するまでもなくその数だけで青年たちを押しつぶすのに十分な程だった。
 やっぱり相手の全権を奪うとかいう展開にはなってくれないか……。
 青年はつぶやきマスコットを見る。
「ミッ○ー、皆を護ってくれるか?」
 マスコットは青年の言葉にうなずく。それを確認して更にその主に向かって、
「≪夢の国≫、頼む」
 護衛を要請した。
「あなたは?」
「悪逆非道の王様相手に時間稼ぎでもしてくるよ」
 アレには俺の力が有効らしいからな。
 そう言って両手から光を生む。
「喰らいつくせ!」
 老人がパレードに指示を出す。飽和して狂気すら感じさせる程ひたすらに楽しげな気配の中、パレードが全方位からおしつつみに掛かってくるのに合わせて≪夢の国≫も祈る。
「私についてきてくれたみんな! お願い!」
 その声と同時にパレードが出現した。
 その姿は老人の操るパレードと似通ってはいるが、不思議と、いや彼等が本来あるべき姿から考えると至極当然なことに、禍禍しさなど感じさせなかった。そのパレードは≪夢の国≫たちを護るように展開する。
 しかし、その規模は、
「クク、そんな小さなパレードだけでは餓鬼や都市伝説を喰らって強大になった私のパレードには抗えん!」
 老人が語るように、老人のパレードとぶつかるにはあまりにもそのパレードは小さすぎた。
「諦めないよ」
 だが、≪夢の国≫は言う。
「悪夢に潰されはしないよ」
 瞳を老人にまっすぐに向けて、
「私たちが本当の≪夢の国≫なんだから!」
 押し包み呑みこもうとする老人のパレードと、護ろうとする≪夢の国≫のパレードが激突した。


            ●


 青年の背後で≪夢の国≫同士がぶつかり合う音が聞こえる。
 そして、青年の目の前には≪夢の国≫の創始者たる老人がいた。
「若造、どこまでが作戦のうちだ?」
「作戦、ねぇ」
 青年はまだ余裕がありそうな老人を睨みつけながら考える。
「町の防衛、≪夢の国≫の契約者の解放くらいじゃないか? 本当ならここに来る前にあの子を正気に戻してあんたへの対策を講じたり、≪夢の国≫の王権を奪っておきたかったんだがな」
 しかし、実際には≪夢の国≫が正気に立ち戻る前に≪夢の国≫の地下へと来てしまった。王権の一部はあの子が掌握しているものの、
「いや、上手くいかないな」
 結局見通しが甘くて再び洗脳をさせるところだったし、あの子は人ではなくなってしまった。
「これだけやって得た戦果が王権の一部を奪っただけというのは釣り合わんよなぁ」
 青年はうんざり顔で告げる。
「私にしてみれば愚民にここまでされて業腹だがな」
 憎しみを込めて老人は言う。
「まだまだ」
 青年も、こちらもまた笑い、手を差し出す。
「そろそろ永眠してくれ、御老体。あんたは危険すぎる」
「これから楽土を作らねばならんのでな。それにもう長く眠ったよ」
「その楽土が皆にとっての楽土ならまだ良かったんだがなっ!」
 蹴りを放つ。老人は退くと機械の影、青年には見えない所に手を突っ込む。
「皆が楽土と思うようになるさ! 私の国の住人になればなぁっ!」
 そこから引っ張りだしたのは、虚ろな目の子供。
 青年にためらいを与えるための代物だ。しかし、
「お断りだ!」
 青年は白光を放つ。それは子供を消し去りそのまま老人の腕も吹き飛ばした。
「っ!」
「小細工は効かない。俺も≪組織≫にいた頃はやんちゃだったんだぞ?」
 言う青年。老人は腕を急速に再生させながら無事な方の手に銃を構える。
「私は死なんよ?」
「さて、どうだか」
 老人の銃が火を噴くと同時に青年も光を放った。



            ●


 青年は老人相手に白光を放ち、破壊されてはすぐに再生する老人と戦いつつ圧倒的量で彼の契約者たちに迫るパレードにも光弾を打ち込む。
 ≪夢の国≫は己の指示に従う住人をミッ○ーを先頭にして辺りを覆うように展開するパレードからの防壁にする。互いに破壊と再生を繰り返すが元の数が違い過ぎる、幾人かの老人に従う住人が防壁を抜け、迫る。
 防壁を抜けてくる住人を黒服と人形とその契約者、≪夢の国≫の王本人が払う。彼等はパレードが一方向はいなくなる壁際を目指して逃げ、そこでようやく状況は均衡が保たれ、硬直する。しかし、
「体力がいつまで保つかな? 若造」
「あんたが発狂するまでじゃないか? 御老体」
 青年は何度か完全に消滅するまで白光を浴びせたが、この老人は復活を果たしていた。パレードやマスコットレベルなら滅ぼせる一撃もどうやら老人には役者が不足しているらしい。
「ハハハハハ! 私は痛みではもう狂わんよ! この身体を細菌に蝕まれたり治療のためにメスを入れている間に慣れてしまった!」
 老人は愉快そうに言って見せつけるように自分のこめかみに銃を一発放ち、なんでもないかのように銃弾を頭から素手で摘出する。
 グチャリ、と湿っぽい音を立てて摘出された銃弾を投げ捨てる老人を見て青年は、
「既に狂人か」
 まあ分かってたが。と吐き捨てる。青年の息は荒く、疲労の色も濃い。
 一日中町を探しまわっていたしな、
 老人が放つ銃弾を「結界とか張れたら幸せだな」と言って防ぎつつ思う。
「契約者共を守りながら戦うのも疲れよう? 楽にしてやろうか?」
 老人が言うと同時に、奇形の住人が天井から落ちてきた。
 青年の契約者たちの頭上へと。
「うわあああああ!?」
「っみんな! お願い!」
「パワーストーンをっ!」
「ちっ」
 青年はとっさに光を放ち、彼女らが防衛体制を整えるための時間を稼ぐ。しかし、
 住人を一撃で屠れる数が目に見えて減少していた。
「威力が落ちていないかぁ? 若造」
 更に、老人の放つ銃弾が結界を抜けて青年の腕を穿った。
「っつ、でっかいお世話だっ!」
 光弾を老人に直撃させるが老人は意に介さず復活してくる。 
「俺の脚力が突然上がると幸せだね」
 光を纏った足、その強靭な脚力で老人へと肉薄する。
「再生が果たされなくなれば俺はひどく幸せなんだがな」
 そう言って光る拳を打ち込む。
「そんな奇跡は起こらんよ!」
 老人はそう言っていつの間にか銃から持ち替えたナイフを疲労困憊の青年に振り下ろす、
 肉厚の刃が青年の首筋に迫り、
 それをマスコットが防いだ。
「なに?」
 それは紫にピンクのシマシマの猫の着ぐるみだった。
「マスコット、だと? そこのネズミ以外にも支配から脱したモノがいるのか?」
「いいや」
 青年の声が響く。
「あんたはもう彼等を支配する権利なんて持っちゃいないのさ」
 言って老人を蹴り飛ばす。
 青年は背後を確認する。契約者たちの方にも影響が現れ始めたらしかった。
「……再生が、止まってる?」
 黒服が銃撃の手を思わず休めて、言った。
「なんだと?」
 強靭な脚力のまま蹴り飛ばされて距離を一気に引き離された老人は、銃を青年に向け、周囲を確認する。彼が≪夢の国≫を押しつぶし取り込むために差し向けたパレードたちは、打ち倒された住人は、皆復活することなくなされるがままに崩れていく。
「馬鹿な!?」
 何が起こっているのか分からない老人にその声は響いた。

「≪夢の国≫はね?」

 少女は、≪夢の国≫の王たる彼女は言う。
「≪夢の国≫は人々に夢をくれる場所。夢をくれる為に対価は必要だけど、確実に夢を与えてくれる所。それは、」
 それは――
「悪夢なんかじゃない! 明るい夢じゃなきゃいけない!」
「それがどうした!?」
 銃を≪夢の国≫に向ける老人。既に銃によって直接狙いをつけることができるほどにまで老人の呼び出したパレードの人員は減っていた。
 そして増援を望んでみても一向に住人が現れる気配がない。

「噂だよ。御老体」

 青年が言う。
「噂だと?」
 インターネットって知ってるか?
「そこで人々が悪夢を振りまくような≪夢の国≫は≪夢の国≫なんかではないと、そう断じたんだよ」
 誰かがネットに広めていたその噂を、青年は出来得る限り広めていた。
「そんな馬鹿なことが! たかだか噂などに私の国が揺るがされるとでも言うのか!?」
「噂から生まれておいてそれはないな。都市伝説よ」
「ありえない! 私程の大きさになれば人の噂に簡単に左右されたりはしないはずだ!」
「気がつかないのか?」
 青年は黒服に視線を向けた。黒服はうなずき、
「あなたの王権はこうしている間にも削られているんですよ?」
 ≪夢の国≫の関係者として≪夢の国≫を深く知る彼は断言した。
「なに?」
「アンタが町にやったパレード。アレの内倒された奴の中からあんたじゃなくてこっちの子につく奴が続々出てるってことだな」
 それは老人の規模を小さくすることであり、
「噂が効果を発揮するほどまでに規模が小さくなったんだよ。そして、貴方は王と認められなくなった。すでに≪夢の国≫では誰も死なないという噂を保有できなくなるほどにな。≪夢の国≫の創始者さん」
 あの子の≪夢の国≫の王としてのカリスマ性もあるんだがな。
 そう言って彼は残りのパレードを威力の落ちた、だがその輝きは衰えない光弾で消し飛ばした。
「今のあなたに残っているのは復活を待つ夢の国の創始者の都市伝説のみです」
 黒服が告げる。
「くっ!」
 老人はとっさに駆ける。目指す先はこの地下施設に並べられている冷凍睡眠装置で、
「私の新たな姫君たちよ! 私の楯になってもら――」
 そんな彼の目の前に≪夢の国≫が現れた。
「ねぇ、知ってる?」

 夢の国ではね?

「王様は一人しか居ないけどね、世界中のどこにも居るんだよ?」
 それは老人が≪夢の国≫から王と認められなくなった何よりの証で、
「このっ」
 老人はナイフを振りかぶって目の前の王に振りおろそうとするが、
「突っ込めネズミィィイイ!!」
 青年の契約者とミッ○ーが蹴り飛ばした。
「っ!?」
 吹き飛んだ老人は床から立ち上がる。その体に負った擦り傷が癒えることはない。
「私の国が、私の所有物が私を裏切るか!」
 叫ぶ老人に声が届く。
「≪夢の国≫はお前の所有物ではないよ。御老体」
「あれは皆に夢を届ける、そんな綺麗ごとで成り立っているすばらしい国ですよ」
 光輝く手とその光を照り返す煌やかな石、
 黒服と青年はそれぞれの得物を振りかぶる。

「知っているか?」
「ご存じですか?」

「「暴虐な王というのは民草に粛清される運命にあるん(ですよ)だぞ」」
「っま、まてっ!」

「「破ぁぁぁぁぁぁっ!!」」

 白い閃光が、浄化の光が、夢の国の創始者が眠るといわれる地下の隠し部屋を染め上げた。



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