In die hohle Hand Verlangen, 掌なら懇願。
伸ばされたその手は、彼女の腕を掴んで
そっと引き寄せて、そして掌に落とされる口付け
そっと引き寄せて、そして掌に落とされる口付け
「な、な、なななななななななな!!??」
少女の頬は、面白いくらいに真っ赤に真っ赤に染まりあがっていて
そんな様子を見て、黒服はどこか意地悪く、楽しげに笑う
そんな様子を見て、黒服はどこか意地悪く、楽しげに笑う
「どうした?」
「ど、どどどど、どうしたって、い、今!!」
「ど、どどどど、どうしたって、い、今!!」
半ば、パニック状態の彼女のそんな様子に
この少女に若い頃よく似ていた、しかし、性格はまるっきり違う彼女を思い出す
この少女に若い頃よく似ていた、しかし、性格はまるっきり違う彼女を思い出す
『あなたは、化け物なんかじゃあありませんよ』
そう言ってくれた彼女
その言葉が、黒服を縛る鎖となる
とっくに諦めたはずの願いに、未練を持ってしまうための
その言葉が、黒服を縛る鎖となる
とっくに諦めたはずの願いに、未練を持ってしまうための
「何だ、別の場所にして欲しかったのか?」
「そ、そそそそ、そうじゃなくてっ!?」
「じゃあ、ここでいいな?」
「そ、そそそそ、そうじゃなくてっ!?」
「じゃあ、ここでいいな?」
他の場所には、まだ早い
そう言って、笑って…黒服は再び、少女の掌に優しく、恭しく、口付けた
そう言って、笑って…黒服は再び、少女の掌に優しく、恭しく、口付けた
まるで、懇願するかのような口付け
一体、何を懇願する?
一体、何を懇願する?
(……どこまで未練ったらしいんだか、俺は)
未だに人間を諦めきれずに
人間として認めて欲しいと願い続ける
人間として認めて欲しいと願い続ける
彼女の孫である、この少女にも
人間だと、化け物ではないと、言われたいのだろうか?
人間だと、化け物ではないと、言われたいのだろうか?
それを懇願するかのような口付け
その本心は、彼すらもわからない
その本心は、彼すらもわからない
fin