「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - モンスの天使-06a

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 モンスの天使契約者に、今、抱えている悩み事を相談して、すっきりしたのだろうか
 仲介者は、ちゃっかりとフォーチュン・ピエロの特製ケーキ4種類とパフェを完食し、モンスの天使契約者と共に店を出ていた
 …悪い奴じゃないんだけど、一緒に食事すると胸やけしそうになる事があるんだよな、とこっそりモンスの天使契約者は考える

「…今日は、本当にすまない。面倒な事を頼んでしまった」
「いいんだよ。お前には本当に世話になってるんだし」

 モンスの天使契約者の隣を歩く仲介者の体は、酷く小柄で細い
 分厚い本を読みながら歩くその姿は、何だか危なっかしくすらある
 実際のところ、モンスの天使契約者も、仲介者が都市伝説能力を使って戦っている場面をまともに見たことがない為、彼がどの程度の実力を持っているのか、よく知らない
 召還できる天使の名前を聞くに、それなりに強いのだろうが…
 そんな事を考えながら、歩いていると


 少し遠くの路地から、悲鳴が聞こえてきた


「…何だ?」
「女性の悲鳴、だな。それと、何らかの麻薬中毒者が高確立で発しそうな奇声が少々」
「コーク・ロア支配型か?」

 また面倒な……辺りに、「組織」の人間らしき者はいない
 仕方ない、仕事しますか

 モンスの天使契約者は、悲鳴が聞こえてきた路地裏に飛び込んだ
 そこには、痩せこけた犬を抱きかかえた少女が一人、男達に囲まれて座り込んでいた
 倒すべきは、取り囲んでいる男達

 己の契約都市伝説達を召還する
 即座に呼び出しに応じた彼女達は、はらはらと純白の羽を舞い散らせて、きゃぴきゃぴとその手に武器を構えた

「お呼びですかー?」
「デストロイですかー?」
「皆殺しですかー??」
「殺さない程度に無力化しろ。被害者を保護する」
「「「「了解いたしましたーーーー!!!」」」

 じゃきんっ!
 銃を構えるモンスの天使達
 相手がこちらに気づいたようだが、遅い
 無力化する、ということで、脚を狙った銃弾が男達に襲い掛かる
 いくら、相手が痛みを感じないと言っても、脚を撃ち抜かれてはそうそう動けないだろう
 あっと言う間に、十数人を無力化していく
 ……やっぱり、俺の契約都市伝説は最強だ!!
 モンスの天使契約者は満足げに笑って、痩せこけた犬を抱き抱えた少女に駆け寄る
 その後ろを、仲介者がひょこり、ついてきて…少女の姿に、おや、と声をあげた

「……リュパンと、契約者じゃないか」
「うん?お前の知り合いか?」
「あぁ、仕事上の、な」

 言われて、少女と、少女が抱きかかえる犬を見つめる
 抱きかかえられた、その痩せこけた犬は…よく見れば、痩せこけた狼
 なるほど、フランスの都市伝説「リュパン」か
 だが、何か様子が…

「…う、お前、ですか………とりあえず、助けてもらったのはお礼をいいます………それよりも、リュパンさんっ!」

 少女は、抱きかかえているリュパンに必死に声をかける
 …リュパンの様子が、おかしい
 何かに抗っているかのように、苦しそうにしている

「…う、うぅぅ……声が…聞こえるん、だな…………でも……言う事、聞いちゃ……駄目、なんだな……」

 ぼそぼそと、そう呟いているリュパン
 何かに支配されそうになって、それに必死に抗っているようだった
 仲介者が、警戒するように辺りを見回す

「…コーク・ロア支配型の被害者たちがいたんだ。契約者がどこかにいるかもしれない」
「そうだな……お前達、探せ!」
「「「はーい!!」」」

 空に飛び上がるモンスの天使達
 空から見下ろせば、それはすぐに見付かる

「発見ですー!」
「デストロイしますかー!?」
「…いや、確保しろ!」

 近頃異様に増えているコーク・ロア支配型の契約者達は、皆、「都市伝説の契約書」にサインして、その力を手に入れている
 今まで「組織」で確保してきた連中は、皆、同じようなコーク・ロア支配型契約者からそれを受け取ったらしい
 …だが
 その包囲網は、徐々に狭まってきている
 そろそろ、他のコーク・ロア支配型契約者に契約書を渡した奴が……他の誰かから、その契約書を受け取った奴に、辿り着いてもいいはずだ

「悪い、その子の事は任せたぞ!」

 モンスの天使契約者はそう言って、モンスの天使が指す方向へと駆け出して…


「-----ぎぃゃああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!??????????????」


「---っな!?」

 聞こえて来たのは、断末魔の絶叫
 慌てて路地を駆け、その先に向かうと

「……う!?」

 …血の匂いが、鼻をつく
 ぴちゃり、ぐちゃり
 肉が食い散らかされる音が聞こえる

 そこには、一人の男が倒れていた
 その手元に、コーラの瓶が握られていて…しかし、それはことり、手元から転がっていく
 ぐちゃり、ぐちゃり
 その、男に……犬が
 何匹もの犬が、群がっていて
 その顔を、手を、脚を、食い散らかしていた
 駆けつけたモンスの天使契約者の事など、まるで気にした様子もなく、犬達は食事に夢中だ

「……このっ!?」

 慌てて、犬を蹴散らそうとする
 犬達が食べているのは、顔、手、脚
 どれも、身元を証明するのに必要な部位が含まれている
 それを消されたら、まずいっ!?
 モンスの天使を傍に呼び寄せ、犬達を蹴散らそうとして…

 …その時
 犬達の様子に、変化が訪れた
 きょとん、とした様子で…きょときょと、辺りを見回しだしたのだ
 不思議そうに首をかしげ、座り込む犬
 モンスの天使契約者の姿を見て、慌てて逃げ出す犬
 反応は、様々だ

 …そして、散々食い散らかされた、死体が残る

「何だ…?」
「………接続の、解除を確認………逆探知、不可能……………どうやら、何者かが犬を操って、証拠を消したらしいな」

 す、と
 モンスの天使契約者の傍に、仲介者が駆け寄ってきた
 向こう側から「リュパンさん、もう大丈夫ですか!?」「…声が聞こえなくなったんだな」とかき超えてくるのを見ると、あっちは無事なようだ
 ぱらぱらと…仲介者が持っている「光輝の書」が、勝手にめくれ続けていた

「犬を操る?それも何かの都市伝説か?」
「恐らくは……多分、コーク・ロア支配型契約者達の、親玉かと……」

 そこまで、口にして
 ふらり、仲介者の体が、揺らいだ
 倒れそうになったその体を、モンスの天使契約者は慌てて支える

「お、おい、大丈夫か?」
「……あぁ」
「顔色が悪いですー」
「体力消耗してますー?」
「疲労困憊な顔ですー」

 きゃいきゃいきゃい
 モンスの天使達も、心配そうに仲介者を見つめている
 …疲労している?
 先ほど、「光輝の書」は勝手にめくれていた
 恐らく、仲介者は「光輝の書」の力を使っていたはずだ
 そのわりには、召還された天使の姿が見えない

「…お前、まだ召還できてない天使の力を、無理矢理引っ張り出して使おうとしただろ?」
「……そろそろ、呼べると思ったのだがね。答えてもらえなかったので、少々、力のみ借りた」

 やはりか、とモンスの天使契約者は呆れた
 先ほど、接続の解除を確認、とか言っていたから、犬達が何かに操られているかどうか、それを調べようとしたのだろう

 …仲介者は、自分が契約している都市伝説の力を完全には使いこなせていない
 そして、その力は、使えば使うほど、仲介者に激しい疲労をもたらす
 まだ使えぬ力を無理矢理使ったような状態だ
 それは、疲労するだろう

「ほら、肩貸してやるから。歩けるか?」
「…自分で歩ける」
「ふらついてるくせに何言ってんだ。口答えするようだったら横抱きで家に送るぞ」
「………勘弁してくれ」

 苦笑して、モンスの天使契約者の肩を借りる仲介者
 モンスの天使契約者は、モンスの天使達を一旦消して、「組織」に連絡をとる
 死体になってしまったが…一応、回収させておかなければ
 かなり食い散らかされたが、まだ、証拠になる部分があるかもしれない

「…っと、リュパンだかと、その契約者は?」
「…彼女らは、どこにも所属していない、フリーだ………厄介事に関わりたくない、と逃げたのだろう。彼女らは、コーク・ロア支配型の件に関しては、関わりがない。今回もただの被害者だろう…僕が保証する」

 仲介者の言葉に、わかった、と頷くモンスの天使契約者
 嘘ではないだろう
 彼は、仲介者の言葉を信じる事にした

 路地を出て、モンスの天使契約者は考え込む
 …残された、証拠を食い散らかされた、死体
 つまり、あいつは、「組織」に確保されては不味い存在だったのだろう
 それこそ、黒幕に何らかの形で繋がっていたのだ
 その証拠を、みすみす逃してしまった
 それが、悔しくてならない

 ……と、同時に
 相手の非情さを実感する
 あのコーク・ロア支配型契約者は、つまりは見捨てられたのだ
 情報が漏れるくらいなら、と相手に消された
 相手は、情報漏れを防ぐ為なら、仲間を殺すくらいは平気でやってのける
 そう、「組織」の強硬派や、過激派の連中のように

(…まぁ、俺も元々は強硬派よりだけどよ…)

 ……担当黒服が変わってから、自分も生温くなったな、とこっそりと苦笑する
 それでは駄目だ、と思いつつも、今の現状が心地いいのも確かで


 …とにかく、気を引き締めなければ
 相手が犬を操るのならば、それもまた酷く厄介な能力だ
 「組織」に忠告して、警戒を強めさせなければ

 ぐったりしている仲介者を送り届けながら、モンスの天使契約者は思案の海に沈んだのだった





to be … ?






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