「テケテケ」は、上半身と下半身が切断された少女の御話。
切断の経緯は諸説有るが、自分は学校事故説を推す。
切断の経緯は諸説有るが、自分は学校事故説を推す。
独り、遅くまで居残りをしていた少女(これも諸説有るが凡そ中学生)が、男性教諭に襲われた。
押さえつけられ、全身を撫でられ、舐められ。しかし行為が本番に至る直前に、少女は力を振り絞って逃げた。
ズボンまで下ろしていた男性教諭は追うに追えず、少女はすぐに見えなくなった。
興奮冷めやらぬ、一種の恐慌状態と言っていい精神状況だった彼は、ここで愚かな手段を行使する。
押さえつけられ、全身を撫でられ、舐められ。しかし行為が本番に至る直前に、少女は力を振り絞って逃げた。
ズボンまで下ろしていた男性教諭は追うに追えず、少女はすぐに見えなくなった。
興奮冷めやらぬ、一種の恐慌状態と言っていい精神状況だった彼は、ここで愚かな手段を行使する。
それは学校内における、すべての防火シャッターの起動。
少女は特別大きい方であった校舎内を逃げる最中に、見事その策に陥る。
男性教諭は悲鳴を聴いた。
閉じ込めた! と思い、嬉々としてその声の方へと向かう。
閉じ込めた! と思い、嬉々としてその声の方へと向かう。
そして彼が発見したのは、降りてくる防火シャッターに腰を挟み身動きがとれなくなっている少女。男性教諭に見つかった恐怖からか、シャッターに潰されている痛みからか、少女の顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっていた。
彼は問う。
「素直に言うことをきいて、俺の恋人になれ。なったなら助けてやる」と。
少女は答える。
「わかりました、なります、なりますから。恋人にでも玩具にでもなりますから、早く助けてください」と。
「素直に言うことをきいて、俺の恋人になれ。なったなら助けてやる」と。
少女は答える。
「わかりました、なります、なりますから。恋人にでも玩具にでもなりますから、早く助けてください」と。
少女が自分に対する恐怖から言うことをきくようになったと“勘違いして”、さも嬉しそうに、もったいぶりながら、非常用の手動装置を操作し始めた。
少女の呻きを、男性教諭は快感に感じていた。
少女の叫びを、男性教諭は悦楽に感じていた。
少女の叫びを、男性教諭は悦楽に感じていた。
そして、聞き慣れない音が響く。
ごきゅん
なんだ? と男性教諭が視線を向けると、少女が泡をふいて信じられないような形相で虚空を見つめている。
潰されていた腰の骨が、折れた。
その事に気付いた男性教諭は、今更になって急いで装置の操作を続けた。
しかし、止まらない。
しかし、止まらない。
古いからか、それとも彼の犯した愚行のツケか、防火シャッターはいくら操作を繰り返しても、止まらない。
イヤな音が冷たい夜の校舎に響く。
コレは、肉の潰れる音。
コレは、肉の潰れる音。
少女を見た。少女は既に気絶していた。
だがすぐに目を開き、また想像を絶するほどの痛みに叫声を上げて、気を失った。
だがすぐに目を開き、また想像を絶するほどの痛みに叫声を上げて、気を失った。
そして、男性教諭は操作する手を止めた。
もう無理だ。
もう助からない。
もう助からない。
二度目の叫声の後に、少女は二つに分かたれた。
いくらだけの時間が経ったのだろうか。
少女が目を覚ました時、男性教諭の姿は無かった。
陽はまだ昇っておらず、そう長い時間は経っていないようにみえる。
陽はまだ昇っておらず、そう長い時間は経っていないようにみえる。
“一歩”、前に出た。
自分の足が、腰から下がないことなどはとうに理解している。
既に人間の許容を越えている痛みなんて、感じることはない。
だから、這った。
既に人間の許容を越えている痛みなんて、感じることはない。
だから、這った。
手を伸ばし、血のついた指先を床に押しつけて、体を引き寄せる。
綺麗だと褒められていた指が、傷ついていく。
お気に入りで手入れされた爪が、無惨に割れていく。
少女は“歩き方”を指ではなく、肘に依存する事にした。
腕を組むように固定した肘を左右互いに前に出し、ゆっくりと、しかし確実に、前に出す。
綺麗だと褒められていた指が、傷ついていく。
お気に入りで手入れされた爪が、無惨に割れていく。
少女は“歩き方”を指ではなく、肘に依存する事にした。
腕を組むように固定した肘を左右互いに前に出し、ゆっくりと、しかし確実に、前に出す。
少女は何を思い歩きだしたのか、
少女は何を求めさまよいだしたのか、
少女は何を求めさまよいだしたのか、
それを誰も知ることはなく、少女は翌朝、長い長い血の跡を残して、校庭の中央で息絶えているのが発見された。
テケテケは少女の“上半身”と共に、“下半身”にも少々逸話が有る。
防火シャッター作動の報を受けた消防が学校にやってきた際に、“下半身だけ”は早期に発見されている。
この時“上半身”は校舎内を徘徊し、何かを探していたようだ。
そして救急が血まみれの下半身を片付けようとした際に、足は反応をしめしたと言う。
曰わく、何かを探すかのようにバタバタと走り出した、と。
曰わく、何かを探すかのようにバタバタと走り出した、と。
上半身と下半身が見つかり、最終的に少女は葬られた。
だが二つに分かたれた少女の魂は、いまも“上”と“下”の体が互いを求め、様々な学校舎を走りまわっていると言う。
だが二つに分かたれた少女の魂は、いまも“上”と“下”の体が互いを求め、様々な学校舎を走りまわっていると言う。
誰か、悲しい二つの彼女を一つにしてあげてくれないだろうか…。
ちなみに、男性教諭はその当日から行方不明らしい。