「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者-54b

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 少年、手塚 星にとって、それは警戒すべき相手だった
 想いを抱く年上の女性に近づく不審な男
 そうとしか認識できなかった


 だから、こそ


「よぉ、坊主」

 そう言って、その男が近づいて来た時
 少年は、激しい警戒感を示した


「そう、警戒するこたぁねぇだろ」

 くっく、と黒服Hは、少年の反応に笑って見せた
 …これはまた、随分と嫌われたものだ
 どうにも、G相手といい辰也相手といい、自分は同性相手には嫌われがちなのだろうか
 いや、G相手に関しては、ほぼ自業自得なのだが

「…何か、用?」
「あぁ、ちょいとな……お前さん、佳奈美のことをどう思っているんだ?」

 少年が浮かべた表情に、わかりやすい、とそう考えた
 子供だからこその、素直さ、正直さ
 自分にはもはやカケラも残っていないその要素が、酷く眩しく見える

「カナお姉ちゃんは、俺のお嫁さんだよ」
「まだ、結婚しちゃあいねぇだろ?」

 意地悪く笑ってやれば、少年はむすっとした表情を浮かべてくる
 その反応に、黒服Hはくっく、とからかうように笑って

 -----刹那
 真面目な表情で、少年を見つめる

「…それで?お前は、佳奈美を護れるのか?」
「え?」
「お前に、それだけの力があるのか?」

 彼女を好いているというのなら
 彼女を護れる程度の力は、持っていると言うのか?

「お前さんも都市伝説契約者のようだが。攻撃的な能力でもないんだろ?それは。彼女を護れるのか?お前は」

 少年を見下ろす黒服Hの表情は
 酷く真面目で、しかし、同時に酷く意地の悪い表情だ
 少年を、試しているかのような
 そんな表情にすら、見える

「まだ、子供だしな。お前さんは」
「--っ、今は、まだ子供だけど!ちゃんと勉強して良い仕事に就いて、カナ姉ちゃんを幸せにしてやるんだ!」

 力強く、少年は言い切る
 その、強い意思が、真正面から黒服Hを見抜いた

「今は、まだ……ねぇ」

 少年は、まだあまりにも子供で
 その強い意志は、未来に向けたものだ

 ……遠い、未来へ

「………それじゃあ、間に合わねぇんだよ」
「え?」

 黒服Hが呟いた言葉に、少年が眉をひそめる
 少年が浮かべた疑問符に答える余裕もなく……黒服Hはけほけほと、小さく咳き込み始めた
 口の中に、血の味が広がる

「…まぁ、いいや。忘れとけ、少年」

 何とか、血を吐き出す事はなく、黒服Hは少年を見下ろした

「……ただ、な。佳奈美と一緒にいたいなら、覚悟しとけ」

 色んな意味で、なと
 どこか意地悪く、笑って
 黒服Hはくるり、少年に背を向けて、この場を立ち去った



「……あー、辰也くらいの年齢か、せめて佳奈美と同じ歳だったら任せられたんだがなぁ……」

 そう、小さく呟かれたその言葉は
 誰の耳にも、届かなかった



to be … ?

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