少年、手塚 星にとって、それは警戒すべき相手だった
想いを抱く年上の女性に近づく不審な男
そうとしか認識できなかった
想いを抱く年上の女性に近づく不審な男
そうとしか認識できなかった
だから、こそ
「よぉ、坊主」
そう言って、その男が近づいて来た時
少年は、激しい警戒感を示した
少年は、激しい警戒感を示した
「そう、警戒するこたぁねぇだろ」
くっく、と黒服Hは、少年の反応に笑って見せた
…これはまた、随分と嫌われたものだ
どうにも、G相手といい辰也相手といい、自分は同性相手には嫌われがちなのだろうか
いや、G相手に関しては、ほぼ自業自得なのだが
…これはまた、随分と嫌われたものだ
どうにも、G相手といい辰也相手といい、自分は同性相手には嫌われがちなのだろうか
いや、G相手に関しては、ほぼ自業自得なのだが
「…何か、用?」
「あぁ、ちょいとな……お前さん、佳奈美のことをどう思っているんだ?」
「あぁ、ちょいとな……お前さん、佳奈美のことをどう思っているんだ?」
少年が浮かべた表情に、わかりやすい、とそう考えた
子供だからこその、素直さ、正直さ
自分にはもはやカケラも残っていないその要素が、酷く眩しく見える
子供だからこその、素直さ、正直さ
自分にはもはやカケラも残っていないその要素が、酷く眩しく見える
「カナお姉ちゃんは、俺のお嫁さんだよ」
「まだ、結婚しちゃあいねぇだろ?」
「まだ、結婚しちゃあいねぇだろ?」
意地悪く笑ってやれば、少年はむすっとした表情を浮かべてくる
その反応に、黒服Hはくっく、とからかうように笑って
その反応に、黒服Hはくっく、とからかうように笑って
-----刹那
真面目な表情で、少年を見つめる
真面目な表情で、少年を見つめる
「…それで?お前は、佳奈美を護れるのか?」
「え?」
「お前に、それだけの力があるのか?」
「え?」
「お前に、それだけの力があるのか?」
彼女を好いているというのなら
彼女を護れる程度の力は、持っていると言うのか?
彼女を護れる程度の力は、持っていると言うのか?
「お前さんも都市伝説契約者のようだが。攻撃的な能力でもないんだろ?それは。彼女を護れるのか?お前は」
少年を見下ろす黒服Hの表情は
酷く真面目で、しかし、同時に酷く意地の悪い表情だ
少年を、試しているかのような
そんな表情にすら、見える
酷く真面目で、しかし、同時に酷く意地の悪い表情だ
少年を、試しているかのような
そんな表情にすら、見える
「まだ、子供だしな。お前さんは」
「--っ、今は、まだ子供だけど!ちゃんと勉強して良い仕事に就いて、カナ姉ちゃんを幸せにしてやるんだ!」
「--っ、今は、まだ子供だけど!ちゃんと勉強して良い仕事に就いて、カナ姉ちゃんを幸せにしてやるんだ!」
力強く、少年は言い切る
その、強い意思が、真正面から黒服Hを見抜いた
その、強い意思が、真正面から黒服Hを見抜いた
「今は、まだ……ねぇ」
少年は、まだあまりにも子供で
その強い意志は、未来に向けたものだ
その強い意志は、未来に向けたものだ
……遠い、未来へ
「………それじゃあ、間に合わねぇんだよ」
「え?」
「え?」
黒服Hが呟いた言葉に、少年が眉をひそめる
少年が浮かべた疑問符に答える余裕もなく……黒服Hはけほけほと、小さく咳き込み始めた
口の中に、血の味が広がる
少年が浮かべた疑問符に答える余裕もなく……黒服Hはけほけほと、小さく咳き込み始めた
口の中に、血の味が広がる
「…まぁ、いいや。忘れとけ、少年」
何とか、血を吐き出す事はなく、黒服Hは少年を見下ろした
「……ただ、な。佳奈美と一緒にいたいなら、覚悟しとけ」
色んな意味で、なと
どこか意地悪く、笑って
黒服Hはくるり、少年に背を向けて、この場を立ち去った
どこか意地悪く、笑って
黒服Hはくるり、少年に背を向けて、この場を立ち去った
「……あー、辰也くらいの年齢か、せめて佳奈美と同じ歳だったら任せられたんだがなぁ……」
そう、小さく呟かれたその言葉は
誰の耳にも、届かなかった
誰の耳にも、届かなかった
to be … ?