アットウィキロゴ

「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者-54c

最終更新:

guest01

- view
だれでも歓迎! 編集
 悪魔の囁きに囁かれた、その少年の前に
 黒服が再び姿を現すまで、そうそう、時間はかからなかった


「っ!」

 しゅるり、と
 暗闇から迫ってきたそれの気配を感じて、星は素早く反応した

「俺は、こんなものには捕まらない」

 口に出された言葉は、全て真実となる
 たとえ虚像であろうが偽りであろうが、星が口にすれば、それは全て真実
 迫ってきた黒い髪は、星を捕まえる事ができず、宙を切った

 …っひゅん!と
 代わりに飛んできたのは…閃光弾か、何かか
 だが、やはり星は反応する

「それは、爆発しない」

 言葉の通り、閃光弾は本来の役割を果たす事、なく
 ころん、とそのまま地面に転がった

 誰かが、自分を襲撃してきている
 星は、辺りを見回した
 頼りない電灯と月明かりだけでは、周囲は暗く、よく見えない
 「この暗闇でも、俺は全てを見通せる」と口にしようとした、その時


 ------どすっ、と
 背中に、何かを突き立てられた


「------っ!?」
「……っと!?」

 突き立てられたそれから、何か、液体を体内に流し込まれたのを感じて
 星は、即座にそれを振り払った

 …体に、何も影響は感じない
 一瞬、体の内側から苦しむような声が聞こえたが、きっと気のせいだろう
 背後に現れたそれを、星は睨みつける

「…一発じゃ効かないか。この短期間に、どれだけ深く根付かれてんだ」

 …あの、黒服だった
 手には、恐らく、先ほど星に突き立てられたのであろう、注射器が握られていたが…半分近く中身が残っていたそれを、黒服はそのままスーツのポケットに仕舞いこんだ

「お前…」
「よぉ。坊主。戦闘向きの都市伝説じゃないと思ってたが、使い方しだいじゃそう言う事もできる、って訳かい」

 くっく、と黒服は何が楽しいのか、笑っている
 …そうだ
 こいつも、倒してしまおう
 自分が想いを寄せている少女に近づいてくる不審者だ
 さっさと……………殺してしまえばいい

『アァ、ソウサァ!ヤッチマエ!!!』

 内側から聞こえる声に、星はそのまま従おうとした
 目の前の相手を倒すべく、己の体を強化しようとして

「おぉっと、喋られちゃあ困るねぇ?」

 どこか、ふざけた口調で言いながら
 黒服の、髪が………一瞬で、伸びて
 星の首に、巻きついた

「っく!?」
『オイ!?シッカリシロ!!』

 ごがん!と壁に叩きつけられる
 黒服は、壁に叩き付けた星に、ゆっくりと近づいて


 そして、にぃ、と
 どこか、残酷な笑みを浮かべてきた


「……化け物の世界へようこそ、坊や?」
「………!?」

 ばけ、もの?
 どう言う事だ

「ん?あぁ、まだ完全には踏み込んじゃいねぇか…でも、もう片脚突っ込んでるなぁ?」
「何……を」

 首を絞められているが、完全に言葉を封じられた訳ではない
 黒服を、星はぎろりと睨み付けた
 殺気すら混じった視線を突きつけられながらも、黒服は笑っている
 その笑みは、暗く、暗く……どこか、狂気すら、混じっていた

「お前は、まだその都市伝説を使いこなすにゃあ、早すぎる。この調子で使ってたら、あっと言う間に飲み込まれて………化け物の仲間入りだぜ?」

 くっくっく、と
 暗く、暗く、暗く
 どこまでも暗く、笑う

「都市伝説に飲み込まれて都市伝説になっちまえば、お前は最早人間じゃねぇ、化け物だ」

 星を、真正面から見つめて
 黒服は、はっきりと、そう断言した
 黒服を睨みつけながら、星は反論する

「--っそれ、でも……カナ姉ちゃんを護れるなら…!」
「…っは。何、言ってんだ」

 ……ふいに
 黒服の顔から、表情が消えた
 静かに星を見下ろし……見下し、告げる


「化け物になっちまったお前が、彼女に受け入れられると思うか?」
「………ぇ」
『……オイ!コノ黒服ノ言葉ヲ聞クナ!!』


 内側から、声が響く
 しかし、星は、黒服の言葉に囚われた
 黒服から、視線を逸らす事ができない

「まぁ、彼女なら、受け入れてくれるかもしれないが……化け物になっちまった状態で、ずっと、彼女の傍にいるつもりか?」
「でも……でも、護ら、ないと」
「化け物になっちまったら…むしろ、お前が、彼女に危険を運ぶ事になるぜ?」


 それは
 まるで、すでにそう言う事を経験してきたかのような、言葉


「…甘ったれるなよ?糞餓鬼。強くなって、強い連中倒して強さ示して、それで彼女を護れるつもりか?……そんなもんで、彼女を護れると思うな」
「……っお前に、何がわかる!!」

 星は、黒服を睨み続ける
 そうだ、お前に何がわかる

「俺だって、好きで遅く生まれたんじゃない!!俺だって、カナ姉ちゃんを護りたいんだ!!俺の都市伝説なら、カナ姉ちゃんを護れる!!」
「…あぁ、そうだなぁ。お前の都市伝説をうまく使えば…護れるかもな?」

 だが、と
 黒服は、また、暗く笑った

「今のお前さんには、まだ早いんだよ」

 …星の首を絞めてくる、髪から
 ゆっくりと、力が抜け始める

「……あぁ、そうだなぁ……お前さんが、好きで遅く生まれた訳じゃないのは、わかってる、けどよ」

 どさ、と
 星の体が、地面に下ろされた
 否
 落とされた
 黒服の髪が、完全に力を失い、元に戻り始めている

「でも…間に合わねぇんだよ、本当、それじゃ……………っ!?」

 げほげほと
 黒服が、咳き込み始めた
 ぽたぽたと……口元を抑える手の指の間から、赤い液体が、零れ落ちて
 それが、黒服が吐き出している血であると、星は即座に理解した

(…………血?)

 血を、吐いている?
 ……吐血、している?

 先ほどまで、なんともなかったはずだと言うのに
 今、黒服はげほげほと咳き込み、膝を折った
 ごぼ、とその口から、大量の……尋常ではない量の血が、吐き出されていっている


 それを見て、星は気づいてしまった
 黒服が、「間に合わない」といった意味が
 それは、星に対する嫌味とか、そう言うものではなく
 …この黒服の命が尽きる、それまでに
 星が、「ファンタ・ゴールデンアップル」の力を使いこなせるようになるまで…間に合わない、と
 そう言う意味であったのだ、と
 あれは、星に対する言葉ではない
 本当は、黒服が、黒服自身に言った言葉であったのだ、と
 それまでに、何とか寿命が持たないか……そう、自分自身に問い掛けるような言葉であった、と


『…オイ、ドウシタァ?』

 内側で、声が響く

『サァ、今ガちゃんすダ!!殺シテシマエ!!!』

 声が、叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ
 しかし…星は、黒服に手を下す事ができない
 苦しげに血を吐き続ける黒服を、見ていることしかできない

『……オイオイオイィイイ?ドウシタァ?サッサト殺シテシマエヨォオオオオオオ!!!』
「…れ、は」

 この黒服を、殺せば
 あの少女を、護れるようになる?

 …違うのではないか?
 星の中に、疑問が浮かび始める

「…あぁ、畜生が……」

 ごぱ、と 
 血を吐きながら、黒服は、少年を見上げてきた
 血の気の失せた顔
 口元を、一筋の赤い線が走っている

「……お前、さんが……そうやって、焦らないで、よ……きちんと、手順を踏んで…その力を、使いこなせるように、なるって言うんなら……佳奈美の事、任せられるんだがなぁ…?」
「………っ」
「…それ、まで……俺の命が、持てばもっと、いいんだがなぁ…」

 自嘲気味に、黒服が笑う
 …間に合わない、と
 黒服は、核心してしまっているのだ


 それは、どうしようもないほどの、絶望と、諦めが混じった、そんな表情で


『ホラホラホラホラホラホラァ!!早ク殺シテシマエェエエエエエエエエエ!!!』
「………」

 内側から、叫び続ける声
 星は、黒服を見つめ…ゆっくりと、口を開く

「……お前は、まだ、死なない」
「…?」
『……!?オイ、何言ッテンダ!?殺セ!殺シテシマエヨォオオオオ!!!』

 内側からの叫びを無視して
 星は、そう口にした

「俺が、力を使いこなせるようになるまで……お前は、死なない」
「…やめろ」

 星の言葉を
 黒服が遮る

「命を操る言葉は、まだ、お前さんの都市伝説で使うにゃ早い……飲み込まれるぞ」
「お前は」
「……やめておけ」

 かはっ、と
 …血を、吐き出しきったのだろうか
 懐からピルケースを取り出し、錠剤を大量に口にして…黒服はよろり、立ち上がった

「…俺と同じ、化け物の領域に入っちまったら、意味がねぇ……化け物になっちまったら、彼女を護りにくくなる」
「………」
「お前は、こっち側の領域に、くるな。化け物になるな…佳奈美を、護りたいんならな」


『オイ、ドウシタンダヨォオオオ!?オレノ言葉ガ聞コエネェノカァアアア!!??』


 …聞こえてはいる
 内側からの叫びを、星は確かに聞いている
 …だが、それには従わない

 黒服に、背中に突き立てられた注射器に入っていた液体
 それは、悪魔の囁きの駆除剤だった
 しかし、心に深く根付き、そして、「ファンタ・ゴールデンアップル」の力のおこぼれで力を増した悪魔の囁きは、その薬では駆除できなかった
 …だが
 星の心を、ほんの少し…悪魔の囁きから引き離す事は、できたのだ

 あと、もう一度、駆除剤を使えば
 …引き離せる

「…お前の中にいる、それ…駆除するぞ。そんなもんに踊らされてるようじゃあ、佳奈美を任せられないからな」
「……それ、は」

 …内側から聞こえる声と決別する


 …そこまでは、まだ星には、できず


「…お前は、俺には追いつけない」
「---っ!」

 だっ、と
 星は、黒服に背を向けて走り出した


 自分が、とんでもない間違いを犯してしまったような
 そんな考えが…大人の前に立つ事を、拒絶させてしまった
 半ば、パニック状態に陥りながら、星は暗闇の中を走り、逃げ続けた




「…くっそ、逃げられたか」

 …まいった
 どうにも、悪魔の囁きにとり憑かれたようだから、さっさと駆除してやりたかったのだが
 …何せ、佳奈美の知り合いである
 彼女が事情を知る前に、どうにかしてやりたい

「…次に遭遇した時には、しくじる訳にはいかねぇな」

 決意の言葉を、口にして
 体の内側の激痛が…星の言葉のおかげでか、ある程度収まっている事に、苦笑しながら
 黒服もまた、暗闇の中に身を躍らせて、姿を消した



to be … ?




タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー