「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 悪意が嘲う・マドカ-03

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■月◎日

 今日は、翼のピアノの発表会だった
 あの子をピアノ教室に通わせているくせに、旦那は見に行くつもりがないらしい
 えぇい、あの無慈悲男め
 あいつ、血の代わりにオイルでも体内に流れているんじゃないだろうか
 私も旦那も行かない、となると、翼がガッカリするだろう
 だから、私が出席する事にした

 で、翼の演奏を聴いた結果なんだけど…親の贔屓目があるのはわかってるけど、上手だったと思う
 何だか、賞ももらえたみたいだし
 だから、褒めてやろうと思ったのだ
 ただ、翼のところに行こうとして……私は、誰かを褒める、と言う事をした事がない事実に気づいた
 いや、心の篭っていない賞賛の言葉を他人にかけたことはある
 でも、本当に、心から誰かを褒めた事なんて、なくて
 翼を、どう褒めたらいいのかわからなかった
 どう褒めようか、悩んでいたら…あの男に、先を越された

 私の、知らない男だ
 黒いスーツをまとってサングラスをかけた、多分、20代後半くらいの男
 何だか、映画に出てくる、宇宙人の存在を吹聴する事を阻止する秘密結社の人間みたいな印象を覚えた
 そんな男が、翼の頭を撫でて、褒めてやっていたのだ
 その現場を、私は見てしまった

 ……驚いた
 翼が、その男に褒められて、満面の笑みで喜んでいたのだ
 それはそれは、嬉しそうに、幸せそうに、笑っていて
 翼が、あんな幸せそうに笑っている顔を、始めてみた
 多分、旦那だって、見た事がないと思う

 悔しい、と
 正直に、そう思った
 親の私だって向けられた事ない笑顔を向けられている、あの黒服が
 だが、同時に自業自得だ、と思った
 私は、翼をあんな風に褒めた事がない
 あの黒服のように、手放しであの子を褒めてやったり……あぁやって、頭を撫でてやった事なんて、なかった
 今更ながらに、その事実に気づかされる
 私は、母親だと言うのに…あの子を、撫でた事すら、なかったのだ

 何だか気まずくなって、結局、あの子のところに行く事ができなかった
 家に帰ってからも、翼に、発表会を見に行った事を、告げる事ができなかった
 翼は家で、一切、発表会の事は話すことはなかった
 きっと、私も旦那も、発表会を見にこなかったのだと思ったのだろう

 違う
 私は、ちゃんと行ったんだ
 でも、翼を褒める事ができなかった

 何をやっているんだろう
 私は、母親なのに
 子供を褒める事も、撫でる事も、一度もした事がない、と
 誰か、他人が翼を撫でて、褒めている所を見て…初めて、気づかされるだなんて




(ここから数ヶ月、記述はない)



◎月▲日

 どうやら、翼はあの黒服の男に、随分と懐いているらしい
 名前は、よく知らない
 翼は、「黒服」としかあの男を呼ばないから
 翼の友達の誠君も、「黒服」としか呼んでいなかった
 もしかしたら、あの子たちも、あの黒服の名前を知らないのかもしれない
 名前も知らない相手に、あんなに懐いているのはどうかと思った
 どうにも、翼は変な奴に狙われやすいから

 でも、少し遠くから見ていて、気づかされた
 あの黒服は、翼のことを本当に気にかけている
 ちゃんと食事をとっているか、とか、近頃、周りで妙な事は起きていないか、とか
 さり気なく聞き出して、あの子のことを心配している
 翼の話に耳を傾けて、褒めてやったり、嗜めてやったり
 ……まるで、あの黒服の方が、あの子の親みたいだ
 私や旦那よりも、よっぽど、翼の親らしい

 悔しい
 私も、ちゃんと翼の母親であるつもりだったのに
 でも、あんな様子を見せ付けられては、私なんて母親ですらない
 どうすれば、私はあの子の母親でいられるのだろう
 どうすればいいのか、わからない


 腹が立ったので、街で見かけた悪そうな都市伝説数体に、自分が契約している都市伝説の能力を使って軽く痛めつけておいた
 死んだかどうかはわからない
 後悔も反省もしていない

(ここから数年、記述はない)





△月◇日

 殺してやりたい、とそう思った
 あの女、私の大事な息子になんて事をしやがったのだ
 あの子は、まだ中学生だ
 あんな事は、まだ速い
 私だって、あの頃に初体験したけど、ただ痛いわで大変だったのだ
 そんな思いを、あの女は翼に味合わせた
 かわいそうに、怖い思いをしたのだろう
 あの子の頬には、泣いた後があった
 だから、容赦などしなかった
 能力を使い、動きを封じて、徹底的に痛めつけた
 どうせ、あんな犯罪者、生きていても意味などあるまい
 殺しても構わないと、そう思った

 だが、保健室に気配が近づいてきて…私は、咄嗟に窓から逃げてしまった
 逃げた後に、後悔した
 …私は、あの状態の翼を放置してきてしまった
 あの状態の、ままで
 どうして、私は翼を介抱しなかったのだ
 あの女を痛めつけるのに夢中になって、息子を解放するのを忘れるだなんて
 本当に……母親、失格だ


 窓から様子を窺うと、駆けつけたのはあの黒服だった
 私の能力をうけたあの女の様子を見て、驚いていたが…それよりも何よりも、翼に駆け寄って、介抱してやっていた
 その最中で、翼が目を覚まして……泣き出した翼を、黒服はずっと、慰めていた
 私の前で、翼があんなに泣いていたのは、赤ん坊の時くらいだ
 いつからか、あの子は私や旦那の前で、一切泣かなくなってしまったから

 あの子の、心からの笑顔も
 あの子が、泣いている顔も
 私は、見せてもらえていなかったのだ
 だが、あの黒服は、あの子の笑顔も、泣き顔も、全て知っていて
 その全てを、受け止めてやっている

 翼を介抱するのを忘れて、あの女を痛めつけるのに夢中になっていた渡しと
 翼を介抱してやり、泣き出したあの子を慰めていた黒服

 …やっぱり、あの黒服の方が、あの子の親らしい
 私には、母親の資格はないのだろうか?





(ここから数日間、記述がない)






△月●日

 翼を襲ったあの変態ビッチ女、訴えられて保険医をクビになったそうだ
 ざまぁみろ、私の可愛い息子に手を出したからだ
 …と、言うか、誰があの女を訴えたのだろう
 本当なら、私が訴えたかったのだが、翼は結局、私や旦那にあの事を一切話さなくて、どう訴えたらいいものか、悩んでいたのだ

 調べてみたら、あの子の友人の父親が訴えていた
 清川弁護士といえば、有名な敏腕弁護士だ
 あんな女、有罪確定だろう
 刑務所で臭い飯でも食ってろ、糞女め!!!





 それにしても、気にかかる
 あの女は、私の能力であの状態となり、動けなくなっていた 
 その事に関して、一切騒がれていない
 …あの黒服が、何かしたのだろうか
 あの黒服は、本当に何者なのだろう?


(ここから数年間、記述はない)





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