「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者-54s

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 お人好しの同僚から連絡があった
 明日真が酷い怪我を負って、倒れていた、と
 怪我自体はあのお人好しが「蝦蟇の油」を使って治癒したようだし、ちゃんと家にも送ったようだ
 お人好しの同僚に感謝しつつ、同時に、自分の担当契約者がそのような状況に陥った訳で、一応、確認を取らなければ
 とりあえず、本人に事情を聞きに行ったわけだが

「……で、カイザーの契約者と遭遇して、戦った、と」
「………はい」

 案の定、というべきか
 明日から話を聞いて、黒服Hは小さく苦笑した

「お前とは相性が悪すぎるから戦うのはやめておけ、って言ったろ?」
「…すみません、でも」
「まぁ、お前さんらしいがね」

 そうだ、明日らしい行動だ
 正義の味方であろうとする、明日らしい
 …目の前で、悪事を行った相手を、明日は見逃せないだろう
 まだ小学生でしかないその相手が、「組織」によって殺される可能性もあるならば……自身が何とかして、悪の道から救いだろうと考えるのかもしれない
 非常に明日らしい行動ではある
 だが、その代償は大きすぎる
 もし、あのお人好しの同僚が見つけていなかったら、どうなっていた事か

「あんまり無茶を続けてると、恋路ちゃんが泣くぞ?」
「わかっています……それでも」
「正義の味方として、ってか?………罪な仕事だねぇ、正義の味方って奴も」

 くっく、とどこかからかうように笑うH
 ……っふ、と
 その笑いが、自嘲するようなそれに、変わる

「…まぁ………復讐の為に他人を平気で巻き込む復讐鬼よりゃあ、マシか」
「………」

 …Hの、その自嘲するような呟きに…反論しようとしていた明日が、押し黙った

 明日から、怪我をして倒れていた事情を聞きだすより、前に
 Hは、己の復讐の為に、明日をも利用しようとしていた事実を、正直に話し、謝罪した
 ……許されずともよい
 ただの自己満足でしか、ないのだが
 それでも、謝罪しないわけにはいかなかったから
 今後、復讐の為に明日を利用するつもりはない、ともきっぱりと告げた
 復讐を止める、とは言っていないし、止めるつもりもさらさらないが

「………それで、明日。お前さんは、どうしたいんだ?」
「え?」
「そのカイザー契約者のお子様と、もし、また遭遇したら…お前さん、どうする?」

 明日は、既に二度、その契約者と遭遇している
 これは、何らかの縁でもあるのかもしれない…あまり、嬉しくない縁ではあるが
 それに、今回の戦いで、明日は相手を敗北寸前まで追い詰めている
 相手が、根に持っている可能性も高い
 再び遭遇する可能性は、0とは言えないのだ

 考え込むように、視線を落とした明日
 ………まぁ
 きっと、答えは決まっているのだろう

「…お前さんが、その契約者を止めたい、って言うんなら。その行方がわかったら、お前さんに知らせてやるぞ」
「え……いいんですか?」

 あぁ、と頷いてやるH
 …利用しようとしていた件での、せめてもの償いだ
 この程度で許されるとは、思ってはいないが

「なんだったら、しばらく、他の契約者が動かないように働きかけてもいい…ただ、長時間、他の契約者を向かわない、ってのは不可能だからな。その間に、きっちりけりつけておけ」
「……充分です」
「ただし、絶対に無茶はするなよ?お前さんが正義の味方だろうが、なんだろうが……お前さんのことを心配してくれる、お前さんが死んだ時に泣いてくれる相手がいる限り、死ぬんじゃねぇ」

 …いい加減に、「組織」も朝比奈 秀雄の居場所を見つけ出す時期だろう
 決着の時は近い

 その戦いで、明日が、カイザーの契約者が、どんな結末を迎えるのか
 …予知能力など持たぬHは、ただ、その時を待つ事しか、できないのだ



to be … ?


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