カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ
キーボードを叩く音が、その広い部屋に響き渡る
その部屋は、「組織」上層部メンバーの一人にあてがわれている部屋だ
能力の関係上、めったに前線に出られない彼、G-No.0は、そこで軟禁状態に陥っているに近い
そのせいか、その部屋は「組織」本部の中でありながら、完全に生活スペースになっていると言う奇妙なスペースでもある
そんな部屋の中で、パソコンの前に座り、彼はキーボードをひたすら叩いていた
末端メンバーからの報告に目を通しながら、学校町内で朝比奈 秀雄が潜んでいると思わしき場所を探し出す
書類仕事は全滅な彼だが、情報処理能力は高い
普段仕事をしない…と言うより、させてもらえない分、本来ならもっと下の者がやるべき仕事を、自分に適任だからと勝手に引き受けていたのだ
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ………
キーボードを叩く音が、その広い部屋に響き渡る
その部屋は、「組織」上層部メンバーの一人にあてがわれている部屋だ
能力の関係上、めったに前線に出られない彼、G-No.0は、そこで軟禁状態に陥っているに近い
そのせいか、その部屋は「組織」本部の中でありながら、完全に生活スペースになっていると言う奇妙なスペースでもある
そんな部屋の中で、パソコンの前に座り、彼はキーボードをひたすら叩いていた
末端メンバーからの報告に目を通しながら、学校町内で朝比奈 秀雄が潜んでいると思わしき場所を探し出す
書類仕事は全滅な彼だが、情報処理能力は高い
普段仕事をしない…と言うより、させてもらえない分、本来ならもっと下の者がやるべき仕事を、自分に適任だからと勝手に引き受けていたのだ
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ………
----ッタン
「……見つけた!」
やや興奮した声をあげるG-No.0
この場所は……繁華街の端っこ辺り、か
こんな場所に、堂々と潜んでいたとは…
この場所は……繁華街の端っこ辺り、か
こんな場所に、堂々と潜んでいたとは…
とりあえず、連絡をせねば
G-No.0は同じ穏健派メンバーであるH-No.0に連絡を取ろうとして
G-No.0は同じ穏健派メンバーであるH-No.0に連絡を取ろうとして
「……ん?」
直後、入ってきた報告に…眉をひそめた
「…おいおい。やっと見つけたってのに……あちらも、ちょうど動き出す所だったとでも言うのか?」
時刻は、夕刻6時を半ばほど回った頃
それらは、ゆっくりと動き出していた
それらは、ゆっくりと動き出していた
ーーーぉぉぉぉん、と、どこからか響く、遠吠え
それに答えるように、だらだらと涎を垂らした犬達が……路地裏から、表通りへと出ようとしている
ギラギラと、その瞳は、獲物を狙う眼差しで表通りを歩く人間達を見つめていた
表通りを歩く人間達はその狂気に気づかない
それに答えるように、だらだらと涎を垂らした犬達が……路地裏から、表通りへと出ようとしている
ギラギラと、その瞳は、獲物を狙う眼差しで表通りを歩く人間達を見つめていた
表通りを歩く人間達はその狂気に気づかない
犬達が、一斉に表通りへと駆け出そうとした
その、瞬間
その、瞬間
どぉん!!と
爆発音が、響き渡った
爆発音が、響き渡った
「うわっ!?」
「きゃぁっ!?」
「きゃぁっ!?」
---きゃいん!?
路地裏と表通りの、その中間辺り
そこにあった、消火栓が…突然、爆発したのだ
何か、すぐ傍にあった爆発物が、消火栓を巻き込んで爆発したらしい
それによって、辺りに水が撒き散らされる
その水に、犬達は怯えて、表通りに出る事はできなかった
そこにあった、消火栓が…突然、爆発したのだ
何か、すぐ傍にあった爆発物が、消火栓を巻き込んで爆発したらしい
それによって、辺りに水が撒き散らされる
その水に、犬達は怯えて、表通りに出る事はできなかった
同時に
その爆発音に驚いたことで…何者かの支配を脱したのだろうか
統一された動きから、勝手バラバラな動きへと変化していったのだった
その爆発音に驚いたことで…何者かの支配を脱したのだろうか
統一された動きから、勝手バラバラな動きへと変化していったのだった
…ほっと、恵は息を吐く
スーパーハカーが見せてくる、表通りを映す監視カメラの映像を見て…ひとまず、クールトーに操られた犬達が、表通りに出る事を阻止できた事を確認したのだ
…消火栓を壊してしまったのが、少し、申し訳ない
スーパーハカーが見せてくる、表通りを映す監視カメラの映像を見て…ひとまず、クールトーに操られた犬達が、表通りに出る事を阻止できた事を確認したのだ
…消火栓を壊してしまったのが、少し、申し訳ない
「…連中、動き出したか」
「……くけっ」
「……くけっ」
辰也の呟きに、恵はこくりと頷く
昼間、買い物に出ていたマッドガッサーと葵が、妙な集団を見かけた
コーク・ロアに操られているようではあったが…今までのように人を襲いはせず、潜むような動きをしていた集団を
…何か、おかしい
違和感を感じ、警戒をしていたら…案の定
本格的に、学校町で暴れ出すつもりだったらしい
昼間、買い物に出ていたマッドガッサーと葵が、妙な集団を見かけた
コーク・ロアに操られているようではあったが…今までのように人を襲いはせず、潜むような動きをしていた集団を
…何か、おかしい
違和感を感じ、警戒をしていたら…案の定
本格的に、学校町で暴れ出すつもりだったらしい
「…誠、たち……大丈夫、だろうか?」
「大丈夫だろ。あいつらがそう簡単に負けるか」
「大丈夫だろ。あいつらがそう簡単に負けるか」
心配そうな恵に、そう言ってやる辰也
……自分がするべきことは、恵を護ることだ
小さな空きビルの、階段の踊り場
自分にとって、もっとも戦いやすい、その場所で
辰也は、心配そうにスーパーハカーが見せてくる街の監視カメラの映像を確認している恵を見守るのだった
……自分がするべきことは、恵を護ることだ
小さな空きビルの、階段の踊り場
自分にとって、もっとも戦いやすい、その場所で
辰也は、心配そうにスーパーハカーが見せてくる街の監視カメラの映像を確認している恵を見守るのだった
街中に散らばっていた、コーク・ロアに操られた被害者達が…一斉に、暴れ出した
自分達を操っている存在からの指令を感じ取り、一斉に動きを見せる
襲え、暴れろ
単純な指令を果たそうと…彼らは、まずは視界に入ってきた青年と少女に襲い掛かった
ヴェールを纏った少女は、彼らの動きに素早く気づき
自分達を操っている存在からの指令を感じ取り、一斉に動きを見せる
襲え、暴れろ
単純な指令を果たそうと…彼らは、まずは視界に入ってきた青年と少女に襲い掛かった
ヴェールを纏った少女は、彼らの動きに素早く気づき
ニヤリ、笑った
「ぎゃっ!?」
「ぐがっ!!??」
「ぐがっ!!??」
コーク・ロアの被害者達の体が、一斉に殴り飛ばされた
少女の姿は、何時の間にか2mほどの巨大な人狼に姿を変えており
その元少女の隣に立っていた青年は、くるり、身軽な動きで宙に跳びあがり、襲い掛かってきた相手の頭上を飛び越える
そのまま着地し、周囲の相手を一瞬で殴り倒した
少女の姿は、何時の間にか2mほどの巨大な人狼に姿を変えており
その元少女の隣に立っていた青年は、くるり、身軽な動きで宙に跳びあがり、襲い掛かってきた相手の頭上を飛び越える
そのまま着地し、周囲の相手を一瞬で殴り倒した
「…駄目だ、全然駄目だな。いくら身体能力を強化しようが、元が駄目じゃあ雑魚のままだ」
「まったくだな」
「まったくだな」
誠と、マリ・ヴェリテ
コーク・ロア被害者達の動きを警戒していた二人
いつでも戦える状態でいて、正解だったようだ
コーク・ロア被害者達の動きを警戒していた二人
いつでも戦える状態でいて、正解だったようだ
「…あのおっさん。これ以上、翼を苦しめようってのか…」
ぼそり、誠が憎悪交じりの声で呟く
おおっぴらに暴れ出したコーク・ロアの被害者達
今まで以上に、街に被害をもたらす事だろう
おおっぴらに暴れ出したコーク・ロアの被害者達
今まで以上に、街に被害をもたらす事だろう
…それを知れば
朝比奈 秀雄が、己を苦しめる為に悪事を重ねていることを知っている翼が、どれだけ苦しむか
朝比奈 秀雄が、己を苦しめる為に悪事を重ねていることを知っている翼が、どれだけ苦しむか
「…で、どうすんだよ、誠。ここまで大規模に相手が暴れるとなると「組織」も動くし、面倒だぞ?」
「……「組織」の動きなんざ、知るか。あのおっさん見つけ出して、叩き潰す!!」
「……「組織」の動きなんざ、知るか。あのおっさん見つけ出して、叩き潰す!!」
…こりゃ、駄目だ
完全に、頭に血が上っている様子の誠に、マリは肩をすくめた
完全に、頭に血が上っている様子の誠に、マリは肩をすくめた
……まだ、周囲には、コーク・ロアに操られている被害者達がいる
まずは、食欲が働きそうになるのを抑えつつ、こいつらを叩きのめすのが先か
まずは、食欲が働きそうになるのを抑えつつ、こいつらを叩きのめすのが先か
そう考え、マリは向かってくるコーク・ロアの被害者達に、獰猛な肉食獣の眼差しを向けた
「……了解した。D-No.962には、G-No.1から連絡させる。指揮はお前に任せたぞ」
H-No.0、ヘンリエッタは、G-No.0からの連絡に、そう答えた
…朝比奈 秀雄が、動きだした
学校町のあちらこちらで、一斉に騒ぎが起こっている
ならば
…朝比奈 秀雄が、動きだした
学校町のあちらこちらで、一斉に騒ぎが起こっている
ならば
外に出かけようとしたヘンリエッタ
それを、G-No.1が止める
それを、G-No.1が止める
「…お嬢様、どちらへ?」
「現場に出る!お前はD-No.962に、朝比奈 秀雄の居場所を知らせよ。どうやらこの件、あの男の身内が巻き込まれておるようじゃしの」
「…D-No.962への情報伝達に付いては、了解いたしました。しかし、お嬢様が現場に出る必要性はございません」
「何を言うか!」
「現場に出る!お前はD-No.962に、朝比奈 秀雄の居場所を知らせよ。どうやらこの件、あの男の身内が巻き込まれておるようじゃしの」
「…D-No.962への情報伝達に付いては、了解いたしました。しかし、お嬢様が現場に出る必要性はございません」
「何を言うか!」
ぴし!と、畳まれた状態の日傘で、G-No.1を指すヘンリエッタ
彼女はきっぱりと、力強く告げる
彼女はきっぱりと、力強く告げる
「こう言う時だからこそ、現場に出るのじゃ!都市伝説の力を用いて悪事を働く者を放置する訳にはいかんじゃろう!」
「……ですが」
「この件、妾の友人の家族が巻き込まれておるのじゃ!黙っていろとでも言うのか!!」
「……ですが」
「この件、妾の友人の家族が巻き込まれておるのじゃ!黙っていろとでも言うのか!!」
ヘンリエッタは、己の意見を曲げるつもりは、一切ない
強い意志をもって、G-No.1に命令する
強い意志をもって、G-No.1に命令する
「妾は、顎砕き飴の契約者が起こした事件の際、全く彼女の力になれんかった……じゃから、今度こそ、力になりたいのじゃ!だから、どけ、G-No.1!!妾も、騒ぎを収めるために、現場で動く!」
「…………」
「…………」
ヘンリエッタを、じっと見つめて…G-No.1は、小さくため息をついた
こうなっては、ヘンリエッタが何を言っても聞かないのは、数百年の付き合いでよくわかっている
こうなっては、ヘンリエッタが何を言っても聞かないのは、数百年の付き合いでよくわかっている
「…わかりました。ですが、私も行きます。お嬢様だけを、戦いの場に赴かせる訳にはいきません。私が、あなたの盾となります」
「……盾になる必要などないわ、馬鹿者が」
「……盾になる必要などないわ、馬鹿者が」
G-No.1の言葉に、ヘンリエッタは一瞬、悲しげな表情を浮かべて
…しかし、すぐに顔を上げ、歩き出す
…しかし、すぐに顔を上げ、歩き出す
「…ならば、行くぞ。連中を制圧する」
「任務了解」
「任務了解」
ヘンリエッタの目が、一瞬、赤く光る
G-No.1の体が…一瞬、かすかな機械音をたてる
G-No.1の体が…一瞬、かすかな機械音をたてる
めったに現場に出る事などないはずの、上層部メンバーが
…この戦いにおいて、表舞台に姿を現そうとしていた
…この戦いにおいて、表舞台に姿を現そうとしていた
to be … ?