「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - エンジェルさん-03

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

エンジェルさん 03


 ルーモアのマスターが亡くなった。たまに行く程度だったが、マスターはいつも笑顔を向けてくれた。
 俺は、初めてあの店に行ったときのことを思い出した。


――
「……」

 あんな占い紛いの事をしていれば、色々な噂が耳に入ってくる。
 そしてその時に聞いた『都市伝説が集まる店』という所に来てみたんだが……

「割と普通なんだな」
「ああ……」

 予想外だった。もっと人間離れした人たちがいるのかと思っていたが、ほとんどが普通の人だ。もっとも、内面まではわからないが。


「むしろ俺たちの方がういてるな……」

 ヒラヒラの服着たおっさんと頭だけの男をつれて歩いてる俺は、かなり怪しい人物だろう。
 とりあえずカウンター席に座る。

「ご注文は?」

 おそらくこの喫茶店のマスターであろう人物が聞いてきた。

「コーヒーで……お前らは?」
「俺はビーr「やめろ」……コーヒーで」
「私は紅茶! 紅茶!」
「かしこまりました」

 ふふっ、とどこかから小さな笑い声が聞こえた。……やっぱり俺たちは怪しいのか!

「青年、何を悩んでいるんだ?」
「お前のせいだよおっさん」

 可愛い女の子を連れている契約者が沢山いるってのに、俺だけおっさんなんて悲しすぎる。

「はい、どうぞ」

 そんなことを考えているうちに、頼んだものが出てきた。
 特に猫舌ではないのですぐに口をつける。

「……うまい」
「確かにうまいな……」

 うまく表現できないが、心が温まるような味がする気がした。
 何か言わなければ、と思った。

「……俺、占い師兼情報屋やってるんですよ。あの……よかったら今度来てください。安くしますんで」

 突然何を言い出すのか、と頭の中で聞こえた。でも、言わずにはいられなかった。

「それは、ありがとうございます。必ず行きますね」

 社交辞令だろうとは思っても、嬉しかった。なぜか安心するのは、この人の持つ父性のなせる業だろうか。

「……お連れさん、困ってますけど……」
「あ」

 目を向けると、出てきた紅茶を前にして困っているアンサーが居た。

「どうした?」
「……カップを持てない。持てない」

 そういえばこいつには手がない。

「……すみません、ストローもらえますか」

 また、笑い声が聞こえた。


――
「マスター、結局来てくれませんでしたね」

 葬式からの帰り道、誰に言うでもなく呟く。
 都市伝説の契約者に※されてしまったマスター。もしも、マスターが俺の占いを聞いていたら助かったんだろうか。
 ……そんなことを考えても無駄だとわかってる。けれど考えずにはいられない。

「なあ、おっさん、アンサー」
「なんだ、青年」
「どうした? どうした?」「俺もいつか死ぬかな?」

 馬鹿なことを聞いたと思う。けれど、聞かずにはいられなかった。

「まあ、可能性はあるな」
「死ぬかもな! かもな!」
「……オブラートに包むとかないのか」

 ずいぶんはっきり言う奴等だ。

「殺されようが、自殺しようが、老衰だろうが、いつか人間は死ぬだろう?」
「……まあそうだが」
「死にたくなければ逃げれば良い。護りたいものがあれば護り通せ……好きなように生きれば良いさ」

 ……マスターは護りたいものを護った。それがマスターが選んだ道。

「……私は、契約者が死んだらいやだな。いやだな」
「……そうだな、俺もまだ死にたくないわ」

 俺にも、護りたいものがある。それを護るためには生きなくちゃならない。

「……これからもよろしくな」

 二人に向けて言う。ちょっと恥ずかしかったので早足で歩く。
 また、夜が明ける。



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー