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連載 - エンジェルさん-04

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エンジェルさん 04


「そこのお兄さん、ちょっと寄っていきません?」

 そう言って黒服の男を呼び止めるのは、いかがわしい店の勧誘等ではなく、情報屋を営んでいる青年である。

「……なぜ私を?」
「『組織』の黒服さんの噂はよく聞きますからねえ。それに、疲れがよく見えますよ」
「そんなに、疲れているように見えますか?」

 困り顔でたずねる黒服。青年は笑いながら返す。

「どっちかと言うと憑かれているように見えます」

 なんとなくよろしくないものにまとわりつかれているように、と青年は付け足した。

「よろしくないもの、ですか……」
「心当たりでも?」

 思案するような黒服に青年は聞く。

「まあ、少し……」

 黒服は金髪のチャラチャラした服装をした青年を思い浮かべた。

「もし悩んでるなら占いますよ? 大丈夫ですよ、安くしときますんで」
「……何が知りたいんですか?」
「さすが黒服さん、話がはやい」

 青年が茶化すように言った。

「『夢の国』のことなら、貴方の所にも情報は入っているでしょう」
「『組織』は俺のことも知ってるんですね。でも、今回は『首塚』について知りたいんですよ」

 青年の瞳に、剣呑な炎が垣間見える。青年も、ルーモアの件に近づいているのだ。
 そんな青年のようすに黒服は一つ溜め息をついて言う。

「危ないことはしないでくださいね」
「俺は戦えるタイプじゃあ無いんでね、情報提供にでも回りますよ」

 青年が軽い口調で言った。

「……『首塚』は『組織』と対立している組織です。構成員ははっきりとはしていませんが、規律が緩いので、暴れまわっている構成員もいるようです」
「ふーん、そうかあ……」

 青年は呟く。

「あ、では占いましょうか。右手出してください」
「こう、ですか?」
「じゃあこのペンを握って……」

 黒服は言われた通りに右手を出し、ペンを握った。その上から青年が黒服の手を握る。

「いきますよ」

 青年がそう言うとペンが軽く動く。

「この黒服さんは何に気を付けるべきですか」

 そしてペンが勝手に動き出す。

『ゴ カ イ』

「……ゴカイ?」

 黒服が呟いた。それに青年が答える。

「高いところに気を付けろってことですかね?」
「ではできるかぎり近づかないようにしましょう」

 そう言うと黒服は立ち上がり、背を向ける。

「あ、ちょっと」
「……なんですか」

 立ち上がった黒服を青年が呼び止める。

「また来てくださいね」
「……ではまた」

 それだけ言うと今度こそ立ち去る。
 その姿を見送った青年は一人ペンを握り、質問をする。

「さて……『首塚』の暴れているやつとは?」

 ペンが勝手に動き出す。

『**************』

「あー……文字化けしちまった」

 複雑なことに対しては文字化けしてしまうようである。

「相手も遣り手ってことか……」

 青年は空を仰ぎ呟いた。

「誰も、死ぬなよ……」

 吐き出すように言ったその言葉は冷たい風にさらわれていった。

end



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