…それは天倉 紗江と天倉 紗奈が、「組織」の仕事をやっている最中の事だった
「逃がさないっ!」
二人は、とある都市伝説を追っている最中だった
捕獲命令が出ている、少々凶暴らしい都市伝説だった
…もっとも、戦況が不利、と判断したとたん、こうやって逃げに出ているのだが
捕獲命令が出ている、少々凶暴らしい都市伝説だった
…もっとも、戦況が不利、と判断したとたん、こうやって逃げに出ているのだが
歩道橋近くを通り過ぎようとしているターゲット
逃げ足が速い
このまま、では、逃げられ…
逃げ足が速い
このまま、では、逃げられ…
……しゅるり
「え?」
何か、黒い、ものが
ターゲットに…絡みついた
それは、ぽ~ん、とターゲットを歩道橋の階段……下から数えて、「13段目」に放り投げる
ターゲットに…絡みついた
それは、ぽ~ん、とターゲットを歩道橋の階段……下から数えて、「13段目」に放り投げる
「行ったぜ」
「わかってる…………引きずり込め、「13階段」」
「わかってる…………引きずり込め、「13階段」」
聞こえて来た、二人の男性の、声
後から聞こえて来た声の直後…階段から、無数の手が、伸びて
ターゲットはあっけなく……それに、引きずり込まれていった
後から聞こえて来た声の直後…階段から、無数の手が、伸びて
ターゲットはあっけなく……それに、引きずり込まれていった
「………うん?誰だ?」
ゆらり
闇から、人影が現れる
闇から、人影が現れる
黒いスーツを着て、サングラスをかけた、短髪の……20代前半と思わしき、男性だ
しゅるりっ、と
紗江と紗奈の姿を見た瞬間…髪が、一瞬、伸びたようにも見えた
しゅるりっ、と
紗江と紗奈の姿を見た瞬間…髪が、一瞬、伸びたようにも見えた
「彼女いるんだから自重しろ、そこのど変態」
もう一つの声は、歩道橋の上から聞こえて来た
月明かりをバックに立っていて、顔はよく見えないが……肩の少し上まで伸びた髪に、真っ黒なコートを着た、青年のようだった
耳元で、銀のピアスが月明かりを浴びて光る
月明かりをバックに立っていて、顔はよく見えないが……肩の少し上まで伸びた髪に、真っ黒なコートを着た、青年のようだった
耳元で、銀のピアスが月明かりを浴びて光る
(…あれ…?)
ふと、紗奈はその青年に、見覚えがあるような気がした
学園祭の時、姿を見た…ような…?
学園祭の時、姿を見た…ような…?
「わかってるっての。ちゃあんと、俺の心は彼女で埋め尽くされてるさ」
「惚気んな……とりあえず、そっちの処理はお前に任せたぞ。面倒だし」
「惚気んな……とりあえず、そっちの処理はお前に任せたぞ。面倒だし」
っとん、と
青年が、歩道橋から飛び降りる
ぁ……と、思ったが、軽々道路に着地して、すぐに走り去ってしまった
青年が、歩道橋から飛び降りる
ぁ……と、思ったが、軽々道路に着地して、すぐに走り去ってしまった
…さて、と
黒スーツの男が、紗江と紗奈に視線を向ける
黒スーツの男が、紗江と紗奈に視線を向ける
「さぁて…どうしてこんな真夜中に、あんな化けモンを追いかけてたかな?嬢ちゃん達は?」
くっく、と笑ってくる黒服
紗奈は、紗江の犬神と共に紗江を護るような位置に立ちつつ…伺うように、尋ねる
紗奈は、紗江の犬神と共に紗江を護るような位置に立ちつつ…伺うように、尋ねる
「えっと……「組織」の黒服さん……ですか?」
「あん?……あー、こっちの関係者かよ」
「あん?……あー、こっちの関係者かよ」
参ったな、という表情の黒服
…自分達の担当の黒服とは、ずいぶん印象が違うな、と双子は感じる
…自分達の担当の黒服とは、ずいぶん印象が違うな、と双子は感じる
「…お前ら、担当黒服の名前は?」
「え…A-No.666、って名乗ってました、けど」
「え…A-No.666、って名乗ってました、けど」
名前、といわれても
そう言えば、聞いてなかったような…
そう言えば、聞いてなかったような…
「………よりによって、アレか」
っち、と
目の前の黒服が、舌打ちしたように見えた
どうしたのだろうか?
まだ少し警戒したまま、紗奈は黒服の様子をうかがう
紗江も、犬神に指示を出すべきか否か悩みつつ、黒服を伺う
目の前の黒服が、舌打ちしたように見えた
どうしたのだろうか?
まだ少し警戒したまま、紗奈は黒服の様子をうかがう
紗江も、犬神に指示を出すべきか否か悩みつつ、黒服を伺う
「あの…?」
「………お前ら、A-No.666を、あんま信用すんな」
「………お前ら、A-No.666を、あんま信用すんな」
え、と
突然の言葉に、きょとんとする二人
紗江の様子に引っ張られたのか、犬神もくぅん?と首をかしげる
突然の言葉に、きょとんとする二人
紗江の様子に引っ張られたのか、犬神もくぅん?と首をかしげる
「どう言う…意味ですか?」
「言った通りの意味だよ。あの野郎は、ロクな噂を聞かねぇ……実験材料にされる前に、とっとと「組織」と縁を切るか、どうにかして担当を替えてもらった方がいいだろうな」
「言った通りの意味だよ。あの野郎は、ロクな噂を聞かねぇ……実験材料にされる前に、とっとと「組織」と縁を切るか、どうにかして担当を替えてもらった方がいいだろうな」
どこか、吐き捨てるように言ってくる黒服
その言葉には…A-No.666への露骨な嫌悪が、見え隠れしていた
その言葉には…A-No.666への露骨な嫌悪が、見え隠れしていた
「担当さんって…替えられるん、ですか?」
「時と場合によるけどな……ま、一番簡単なのは、その担当が「行方不明」になる事だが」
「時と場合によるけどな……ま、一番簡単なのは、その担当が「行方不明」になる事だが」
やや、物騒な気配をにじませる言葉
双子の警戒を感じ取ったのか、くっく、と黒服は笑う
双子の警戒を感じ取ったのか、くっく、と黒服は笑う
「…ま、心の隅に止めておけや。中央高校の生徒が、「組織」絡みで何かあった日にゃあ……特に、「アレ」の生徒に何かあった日にゃあ、「組織」最強候補のヤンデレが煩いんだよ」
警告であり、忠告である言葉を吐いて
黒服は、闇の中に身を翻す
その姿は、一瞬で闇の中に溶け込んで
黒服は、闇の中に身を翻す
その姿は、一瞬で闇の中に溶け込んで
どこか、不吉な気配と共に
その姿は、あっという間に見えなくなってしまったのだった
その姿は、あっという間に見えなくなってしまったのだった
to be … ?