「っはぁ・・・・・はぁ・・・・・、ふぅ」
温かい
ベッドの中が温かい
ベッドの中が湿って温かい
姉ちゃんのベッドの中が俺の想いで湿って温かい
ベッドの中が温かい
ベッドの中が湿って温かい
姉ちゃんのベッドの中が俺の想いで湿って温かい
「姉、ちゃん・・・姉ちゃん・・・」
姉ちゃんの匂いがする
姉ちゃんの匂いに俺の匂いが混じる
姉ちゃんのベッドに・・・俺の匂いつけちゃった・・・へへへ
姉ちゃんの匂いに俺の匂いが混じる
姉ちゃんのベッドに・・・俺の匂いつけちゃった・・・へへへ
「―――って第1話から何ちゅうシーン見せちゃってるんだ俺は!?」
ごめん、自己紹介するよ
俺は水無月 清太(ミナズキ セイタ)、小学3年生
この世で好きなものは、いや、好きな人はただ1人―――俺の姉ちゃん
可愛くて、優しくて、胸はそんなに大きくないけどキレイな身体の、中学2年生の姉ちゃん
もしも俺が弟じゃなかったらお嫁さんにしてるのに・・・
いやでも弟だからこそ、姉ちゃんがいない間にこうして部屋に侵入して好き放題できるから―――
俺は水無月 清太(ミナズキ セイタ)、小学3年生
この世で好きなものは、いや、好きな人はただ1人―――俺の姉ちゃん
可愛くて、優しくて、胸はそんなに大きくないけどキレイな身体の、中学2年生の姉ちゃん
もしも俺が弟じゃなかったらお嫁さんにしてるのに・・・
いやでも弟だからこそ、姉ちゃんがいない間にこうして部屋に侵入して好き放題できるから―――
「やっべ、姉ちゃん帰ってきちまう!」
時計を見て、パンツとズボンを穿き、俺は布団を跳ね除けベッドを降りる
ついでに姉ちゃんの下着も拝借しようとタンスに手をかけ―――
ズボンのポケットに、何か違和感があった
ついでに姉ちゃんの下着も拝借しようとタンスに手をかけ―――
ズボンのポケットに、何か違和感があった
「あれ!?俺のお守りは!?・・・あ、あった!」
床に転がってたものを慌てて拾う
透明な六角形の水晶が入った小ビン
姉ちゃんが小学6年生の時に修学旅行で買ってきてくれた、俺の宝物
俺はこれを、いつも肌身離さず持ち歩いてる
傍に、姉ちゃんがいてくれるような気がするから
姉ちゃんが、俺の傍にぴったりと・・・・・・うへへへへへへ
透明な六角形の水晶が入った小ビン
姉ちゃんが小学6年生の時に修学旅行で買ってきてくれた、俺の宝物
俺はこれを、いつも肌身離さず持ち歩いてる
傍に、姉ちゃんがいてくれるような気がするから
姉ちゃんが、俺の傍にぴったりと・・・・・・うへへへへへへ
「毎日毎日、ヨク飽キナイナ・・・変態メ」
声
透き通ったような、女の人の声
俺は声変わりもしてない小学3年生だけど、こんな声は出ない
姉ちゃんだって帰ってくるには早いし、そもそも姉ちゃんはもっと澄み切った声だ
父ちゃんも母ちゃんも、共働きで今は家にいないし
透き通ったような、女の人の声
俺は声変わりもしてない小学3年生だけど、こんな声は出ない
姉ちゃんだって帰ってくるには早いし、そもそも姉ちゃんはもっと澄み切った声だ
父ちゃんも母ちゃんも、共働きで今は家にいないし
「・・・誰、だよ」
俺は誰かも分からない声に向かって訊いた
嫌な汗が滲み出てくる
嫌な汗が滲み出てくる
「ココダ、ココ」
ココ、ココ、と何度も自らの場所を示す声を、キョロキョロと見渡してその姿を探す
でも、声を頼りにして辿り着いた先は
でも、声を頼りにして辿り着いた先は
「・・・・・え?」
俺の、手の中――――小ビンの中の、水晶だった
「・・・お、お前、なのか?」
「他ニ誰ガ居ルトイウノダ?」
「で、でも、水晶が・・・あ、こ、これ、夢なんだきっと、へへへ・・・」
「ナラ目ヲ醒マサセテヤロウカ」
「他ニ誰ガ居ルトイウノダ?」
「で、でも、水晶が・・・あ、こ、これ、夢なんだきっと、へへへ・・・」
「ナラ目ヲ醒マサセテヤロウカ」
パリン!
水晶の入ってたビンが1人でに割れて、破片が手に突き刺さった
水晶の入ってたビンが1人でに割れて、破片が手に突き刺さった
「痛ッ・・・い、夢じゃ、ない!?」
「分カッタカ?コレハ紛レモナイ現実ダ」
「分カッタカ?コレハ紛レモナイ現実ダ」
俺に話しかけながら、水晶は俺の目の前まで飛んできた
「な、ななな、何なんだよお前は!?」
「案ズルナ、妾ハ何モ汝ヲ捕ッテ喰オウトハ思ッテイナイ
変態デハアルガ、永ラク大切ニシテクレタ主ニ、一ツ助言ヲシタクテナ」
「正体不明の石に突然話し掛けられた俺の気持ちは無視!?
あと変態って言うな!・・・というか、助言って何だよ?」
「妾ト契約セヨ」
「はぁ?」
「契約ダ、契約」
「いや意味わかんねぇし!?」
「契約トイウノハ、二人以上ノ当事者ノ意思表示ノ合致ニヨッテ――――」
「そういうことじゃなくてさ!? なんでいきなりそんな」
「早クシタ方ガ身ノ為ダ、デナイト死ヌゾ?」
「案ズルナ、妾ハ何モ汝ヲ捕ッテ喰オウトハ思ッテイナイ
変態デハアルガ、永ラク大切ニシテクレタ主ニ、一ツ助言ヲシタクテナ」
「正体不明の石に突然話し掛けられた俺の気持ちは無視!?
あと変態って言うな!・・・というか、助言って何だよ?」
「妾ト契約セヨ」
「はぁ?」
「契約ダ、契約」
「いや意味わかんねぇし!?」
「契約トイウノハ、二人以上ノ当事者ノ意思表示ノ合致ニヨッテ――――」
「そういうことじゃなくてさ!? なんでいきなりそんな」
「早クシタ方ガ身ノ為ダ、デナイト死ヌゾ?」
もう頭がぶっ壊れそうになった
きっと俺の髪の毛はアニメみたいにアフロになってるに違いない
きっと俺の髪の毛はアニメみたいにアフロになってるに違いない
「あのさ、ここは俺ん家、しかも姉ちゃんの部屋だぞ?・・・まぁ、確かにこんな空間で死ねたら本望だけど」
「トンデモナイ変態ダナ」
「だから変態って言うなっつぅの!」
「変態以外ノ何ダト言ウノダ?」
「あぁもう怒った!姉ちゃんから貰った宝物でも容赦しないぞ!」
「トンデモナイ変態ダナ」
「だから変態って言うなっつぅの!」
「変態以外ノ何ダト言ウノダ?」
「あぁもう怒った!姉ちゃんから貰った宝物でも容赦しないぞ!」
俺は拳を作って、宙を浮いている水晶に思いっきり叩きつけた
「――――――――――ん、あれ?」
後から感じたのは爽快感じゃなくて、山積みになった疑念
何で殴り飛ばされないんだ?
何でその場に浮いたままなんだ?
何で殴った感触がしないんだ?
何で殴り飛ばされないんだ?
何でその場に浮いたままなんだ?
何で殴った感触がしないんだ?
「なん、で・・・」
「時間ガナイ、早クシロ!」
「時間ガナイ、早クシロ!」
水晶が声を荒げる
一体何があるっていうんだ―――
一体何があるっていうんだ―――
「早ク、ソコノ“もう1人の変質者”ヲ倒セ!」
・・・もう、1人?
「っち、ばれちまったか!」
今度は野太い声
振り返ると、さっきまで俺が独りでヤっていた筈のベッドの下から、
斧を持った真っ黒な男の人が這い出てきた
振り返ると、さっきまで俺が独りでヤっていた筈のベッドの下から、
斧を持った真っ黒な男の人が這い出てきた
「え!?えぇっ!?」
「女がいると思ったのに、ガキの独り遊びを見る羽目になっちまうとは・・・
まぁいい、とりあえず命よこせや」
「女がいると思ったのに、ガキの独り遊びを見る羽目になっちまうとは・・・
まぁいい、とりあえず命よこせや」
男が、大きな斧を俺に向ける―――殺される!
でもここで逃げたら、姉ちゃんが・・・
でもここで逃げたら、姉ちゃんが・・・
(どうしよう、どうしよう、どうしよう!?)
「ダカラ契約シロト何度言エバ」
「まだ言ってんのか!?」
「ごちゃごちゃうるせぇ・・・動くなよぉ?」
「ダカラ契約シロト何度言エバ」
「まだ言ってんのか!?」
「ごちゃごちゃうるせぇ・・・動くなよぉ?」
男がゆっくりと近づいて、斧を振りかぶる
避けなければ俺は死ぬ
避けたら姉ちゃんの部屋が滅茶苦茶になる
死ぬのは嫌だ、だけど姉ちゃんを泣かせるのはもっと嫌だ!
避けなければ俺は死ぬ
避けたら姉ちゃんの部屋が滅茶苦茶になる
死ぬのは嫌だ、だけど姉ちゃんを泣かせるのはもっと嫌だ!
「契約スレバ汝ニ力ガ宿ルゾー、助カルノダゾー」
「なっ!?も、もっと早く言えよ!す、するから、どうしたらいい!?」
「ヤットソノ気ニナッタカ、妾ヲソノ手デ掴ンデ『契約する』ト唱エヨ、サスレバ力ヲ与エル」
「なっ!?も、もっと早く言えよ!す、するから、どうしたらいい!?」
「ヤットソノ気ニナッタカ、妾ヲソノ手デ掴ンデ『契約する』ト唱エヨ、サスレバ力ヲ与エル」
咄嗟に浮いている水晶を掴んだ
あとは唱えるだけ――――
あとは唱えるだけ――――
「死ねぇ!!」
迫る黒い刃
思わず腰が抜けて、必死に手を突き出した
思わず腰が抜けて、必死に手を突き出した
「け、契約する!!俺に力をくれぇ!!」
―――――――契約完了
・・・まだ、死んでない? 俺、生きてる?
そぉっと、俺は強く瞑っていた目を開いた
そぉっと、俺は強く瞑っていた目を開いた
「・・・な、何だよ、これ?」
伸ばした腕がキラキラと輝いてる
それは水晶の塊
その、水晶で出来た俺の腕が、男の斧を受け止めていた
それでも何か変だ
抑えてる感覚が、全然無い
相手は一方的に力を入れているみたいなのに、俺にはその力は全く伝わってこなかった
それは水晶の塊
その、水晶で出来た俺の腕が、男の斧を受け止めていた
それでも何か変だ
抑えてる感覚が、全然無い
相手は一方的に力を入れているみたいなのに、俺にはその力は全く伝わってこなかった
「ぐ、ぐぬぬぬ・・・何、だと・・・このガキにこんな力が・・・!?」
「な・・・何が何だか、全ッ然分かんないけど」
「な・・・何が何だか、全ッ然分かんないけど」
斧を持っていた手を離し、男の真ん前に移動した
また斧で斬りかかってきたけど、俺も左手を水晶に変えて受け止めた
やっぱり、痛みは感じない
また斧で斬りかかってきたけど、俺も左手を水晶に変えて受け止めた
やっぱり、痛みは感じない
「ば、バカな!?」
「姉ちゃんの部屋に・・・勝手に入り込むなぁ!!!」
「姉ちゃんの部屋に・・・勝手に入り込むなぁ!!!」
今度は水晶になった右手で、男の顔面を殴った
口から折れた歯と血を吐き出しながら、男は白目になって倒れていく
口から折れた歯と血を吐き出しながら、男は白目になって倒れていく
「やべっ、床が汚れ・・・」
と思うと、それらは全部ピカッと光って消えてしまった
斧を持った男と、一緒に
斧を持った男と、一緒に
「ぜぇ、ぜぇ・・・か、勝った・・・」
「初陣ニシテハマァマァダガ、年齢ヲ考エルト上出来、カ?」
「初陣ニシテハマァマァダガ、年齢ヲ考エルト上出来、カ?」
俺の腕が元に戻ると同時に、身体から水晶が飛び出した
「が、頑張ったんだから、少しは褒めてくれよなぁ・・・
ところで、お前は結局・・・ん?」
「知識モ、汝ニ与エタ筈ダガ」
「・・・都市伝説・・・契約者・・・『水晶は邪気を吸収する』・・・
ダメだ、さっぱり分かんないや」
「追々理解スレバ良イ。何ニセヨ、コレカラハ長イ付キ合イニナル」
「あぁハイハイ、宜しくね
とりあえず俺はもう1回出すから、お前はどこかに引っ込んでてよ」
「マダヤルノカ? イイ加減ウンザリナノダガ」
「ほっとけよ!お前には俺の姉ちゃんに対する想いなんか分かりっこないんだ!」
「正直、同ジ女トシテ汝ノ姉ニハ同情スル」
「またそうやって俺を変態扱いして――――女だったの!?」
「何独り言言ってるのよ?」
ところで、お前は結局・・・ん?」
「知識モ、汝ニ与エタ筈ダガ」
「・・・都市伝説・・・契約者・・・『水晶は邪気を吸収する』・・・
ダメだ、さっぱり分かんないや」
「追々理解スレバ良イ。何ニセヨ、コレカラハ長イ付キ合イニナル」
「あぁハイハイ、宜しくね
とりあえず俺はもう1回出すから、お前はどこかに引っ込んでてよ」
「マダヤルノカ? イイ加減ウンザリナノダガ」
「ほっとけよ!お前には俺の姉ちゃんに対する想いなんか分かりっこないんだ!」
「正直、同ジ女トシテ汝ノ姉ニハ同情スル」
「またそうやって俺を変態扱いして――――女だったの!?」
「何独り言言ってるのよ?」
ピシリ、身体が固まった
この清流のように透き通った、しかし胸に突き刺さるような声は
この清流のように透き通った、しかし胸に突き刺さるような声は
「ね、姉ちゃん、は、早かったね;」
「また私の部屋に勝手に入って! 何度言えば分かるの!?」
「へ、へへ・・・ごめんなさぁぁぁぁぁい!!」
「また私の部屋に勝手に入って! 何度言えば分かるの!?」
「へ、へへ・・・ごめんなさぁぁぁぁぁい!!」
黙ってその場に転がってた水晶を握り締めて、俺は早々に部屋を出た
あぁ、でも姉ちゃんに怒られて幸せだ・・・自分の部屋でもう1回しよっと
あぁ、でも姉ちゃんに怒られて幸せだ・・・自分の部屋でもう1回しよっと
―――この日から、俺は都市伝説とその契約者達の妙な戦いに巻き込まれてしまったのだった
† † † † † †
「こら清太! あぁもう・・・シーツくらい換えなさいよ・・・」
ぶつぶつ言いながら、汚されたベッドシーツを剥ぎ取る制服の少女
清太の姉、水無月 藍那(ミナヅキ アイナ)
清太の姉、水無月 藍那(ミナヅキ アイナ)
「全く、困った弟だわ、ホント・・・」
ピリリリリリ
部屋に響く電子音
表示を見た瞬間、顔を真っ赤にして大急ぎで携帯を開いた
部屋に響く電子音
表示を見た瞬間、顔を真っ赤にして大急ぎで携帯を開いた
「も、もしもし?」
《急にごめんな、勉強中だった?》
「う、ううん、今帰ったところだから」
《そっか。明日って体育あったっけ?》
「えっと・・・あ、保健の授業になるみたい」
《うおマジか!? ありがとう! こんな用事でごめんな;》
「いいの、気にしないで。私もいつも勉強教えて貰ってるから・・・」
《それこそ気にしなくていいのに。おっと、そろそろ切るわ、また明日な。風邪引くなよ?》
「うん、黄昏クンもね!」
《おう!》
《急にごめんな、勉強中だった?》
「う、ううん、今帰ったところだから」
《そっか。明日って体育あったっけ?》
「えっと・・・あ、保健の授業になるみたい」
《うおマジか!? ありがとう! こんな用事でごめんな;》
「いいの、気にしないで。私もいつも勉強教えて貰ってるから・・・」
《それこそ気にしなくていいのに。おっと、そろそろ切るわ、また明日な。風邪引くなよ?》
「うん、黄昏クンもね!」
《おう!》
通話が切れたのを確認すると、彼女は嬉しそうに携帯電話を閉じた
「黄昏クン・・・」
「また彼氏からぁ?」
「シーツ持っていきなさい!」
「また彼氏からぁ?」
「シーツ持っていきなさい!」
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