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連載 - Tさん、エピローグに至るまで-神智学協会決戦-17

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 将門は剣を地面に突き刺した。剣の下には人の形をした修羅の残骸が眠っている。
 剣は彼が使用していた最後の一振りだった。
「見事であった……」
 称賛の言葉は短く、またそれだけで十分だった。
 死に場所を定めた修羅の命の最期の輝きは、極限まで磨き上げられた武をもって示された。
 切り刻まれて荒廃した周囲の街並みが弘蔵と、それに相対した将門の命のやり取りの結果だ。
 数十の刃を受け、また与え、満足そうに死んでいった弘蔵に簡素な塚を作ったのはその死に様が、そしてその直前にまで振るわれていた刃に籠る彼の生き様が将門の心を動かすに足るものだったからであろう。
 後腐れなく墓に背を向けた将門は遠くから聞こえてくる戦の音に耳を傾けた。
 音自体の激しさは当初よりもずいぶんと収まり、その反面、音が響いてくる範囲は広がっているように思われた。
「散った者達の追討戦に移ったというところかぁ?」
 だとすれば少なくともこの≪夢の国≫での戦いはこちら側の勝利という事になるだろう。一方で、いくつかの気配が≪桃源郷≫の方へと入っていったのを将門は感じとった。主戦場は≪桃源郷≫に移っている。≪夢の国≫での勝利はイコールで戦争の勝利とはいかないようだ。
「さぁて、手伝いに行ければそれも面白いが……」
 将門は自身の体を確認する。
 霊であり、人であり、英雄である将門だが、彼は詰まるところ死人で怨霊だ。元より≪魔除けの桃≫とは相性が良くはないし、≪桃源郷≫も今は内部に侵入した異物を排斥するために異界の排他性を最大限に発現している事だろう。首塚から離れる事のできない彼では外界と断絶された≪桃源郷≫は存在できない異界だ。
「足手まといになるのも面白くはないなぁ」
 一つ頷いて将門は歩きだした。向かう先は遠くに聞こえる争いの音だ。
「こちら側の勝利を盤石にしておこう。向こうへの援軍を潰すことにもなろうよ」
 空で雷が鳴きだした。≪冬将軍≫の妨害もなくなった今、彼の振るう力を止める事が出来る者は存在しない。





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