「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - dog days

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匿名ユーザー

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子供が一人で出歩くには暗い時間帯。
獣耳の飾りのついたフードを被った小学生くらいの少女がトテトテと公園を走っていた。
「ワン!ワン~。ワンですよ~。ワ~ン~?」
公園で何かを捜すようにぐるぐると少女が走っていると、
「五月蝿いぞ、ガキ」
公園のあちらこちらから、たくさんの犬が姿を現した。
「あっ!ポチさん、ご飯持ってきましたよ、ご飯」
そう言って少女はドッグフードの入った袋を一匹の犬に差し出した。
「いらねぇよ」
差し出された犬は、人の言葉でそう言った。それだけではなく、その犬には人の顔がついていた。
都市伝説『人面犬』だ。
「人間の施しは受けねぇって言ったろう」
「ぅ~……でも、ほらっ、犬耳!」
仲間ですよ~、と言いながら少女はフードについた飾りを見せる。
「あほう。そりゃ猫耳だ」
「あれ?」
飾りの耳をピョコピョコと指で動かしながら、少女は首をかしげる。
「こんな夜に出歩くな。俺みたいなのに関わるな。さもないと……」
「私、綺麗?」
突然、公園に女が現れた。
「……こういうのに襲われるぞ、と言いたかったんだが」
「私、綺麗?」
真っ赤なワンピースに、大きなマスクの女。
「『口裂け女』か」
「私、綺麗?」
口裂け女は、人面犬を無視し、少女をジッと見ながら尋ねる。
「え、えっと」
「答えんな」
人面犬に言われ、少女は口を閉じる。
「私、綺麗!?」
「ひゃっ!」
目の前まで口裂け女が顔を近づけ、思わず少女は後ずさる。
「逃げた?」
「え?」
「逃げた」
「あ、あの……」
「私の顔が怖いから?怖いからね?」
口裂け女がぶつぶつと一人で何かを呟きだす。
「おいガキ、契約するぞ」
「けーやく?」
「いいから、契約するって言え!」
「う、うん、けーやくする」
少女がそう言うと、いつの間にか人面犬に首輪が現れた。
「よし、乗れ」
「ぇ?」
「早くしろ!」
「あわ、わ」
人面犬に急かされ、少女は人面犬の背に乗り、首輪を掴む。
「しっかり掴まってろ!」
そう言って人面犬が走りだすのと、同時、他の犬達が口裂け女に飛び掛かり、そして
「お前も同じ顔にしてやる!!」
口裂け女が叫び、走りだした。

人面犬は高速道路を時速100キロで走るという。契約者の少女を乗せ、車の間をすりぬけながら、人面犬は走る。
そして、口裂け女は飛び掛かってきた犬達を一瞬で薙ぎ払い、メスを手に、少女を目指す。
100メートルを3秒で走る口裂け女。時速約120キロ。
「流石、速いな」
「ポ、ポチsぁ、ぅきゅ」
「喋んな、舌噛むぞ」
「もぅ、噛みました……」
二人の差、20キロ。あっという間に口裂け女は人面犬の後ろに到達し、メスを振り上げる。
「おおっと」
急に人面犬が速度を落とす。
結果か、メスは空振り。口裂け女は一瞬、人面犬を見失う。
口裂け女が振り返り、速度が落ちた、瞬間、
人面犬が再び走りだし、口裂け女を追い抜く。
「知ってるか?人面犬に追い抜かされると事故に遭うんだぜ?」
口裂け女の横を駆け抜けざま、人面犬はそう言った。
そして、クラクションの音を響かせながら、口裂け女に大型のトラックがぶつかった。

 §          §          §

「ちょいと遠くまで来過ぎたな」
先程よりもゆっくりと走りながら、人面犬はそう呟いた。
「このまま家まで送ってやる。そしたら契約解除すっから、もう俺に関わるんじゃn」
「ポチさん!このまま海に行くです!私は海が見たいです!」
「人の話聞いてんのかクソガキ!」
人面犬の上で、首輪をギュッと握りながら、少女は呟く。
「家には……帰りたくないです……」
「あん?」
「家にいると、パパが私の体を舐めるです。ママがそれを見て、私を叩くです。私が家にいるとパパとママが喧嘩するです……」
「………………野良犬生活になるぞ」
「だいじょーぶです!ほら、耳!」
「だーから、それは猫耳だ」
苦笑しながら、人面犬は走る。楽しそうな少女を背に、とりあえず、海を目指して。

 §          §          §

「人、人轢いた……ぅわぁ」
道路のど真ん中に立っていた女にトラックが当たり、運転手は混乱していた。
「け、警察、美容院、ちが、病院!……ぃや、このまま逃げ、……逃げ、……あれ?」
そこで、奇妙な事に気がつく。
女がトラックの前にいるのだ。トラックの前に立っているのだ。
片手で、トラックを押さえながら……
「私、綺麗?」
女が、ゆっくりと顔を上げ、運転手を見つめる。そして、

口裂け女は走りだす。先程の男の口は裂いた、もう興味はない。
生まれて、自我を持って以来、狙った獲物を逃がした事は無い。
だから、これで終わりはしない。
目指すは、先程の少女。
口裂け女は走りだす。100メートルを3秒で駆け抜けながら。

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